川の防災情報の見方完全ガイド|4つの基準水位とスマホ活用

川の防災情報の見方完全ガイド|4つの基準水位とスマホ活用
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
大雨のニュースで「川の水位が上がっています」と聞いても、自分の家の近くの川がいまどうなっているのかは、なかなかわからないものですよね。そんなときに頼りになるのが、国土交通省の「川の防災情報」です。名前は聞いたことがあっても、「開いてみたけれど、どこを見ればいいのかわからなかった」という方も多いのではないかと思います。
この記事では、川の防災情報で何がわかるのか、水位やライブカメラ、雨量レーダーの見方、そして大雨の日にどの順番で確認すればよいのかを、防災士の目線でかみくだいてお伝えします。
この記事でわかること
- 国土交通省「川の防災情報」で確認できる情報の種類
- スマホでの使い方と、自宅周辺を登録しておくコツ
- 4つの基準水位と、避難のタイミングとの関係
- 雨がやんでも川の水位が上がり続けることがある理由
- 県のシステムとの使い分けと、大雨の日のチェック手順
川の防災情報とはどんなサイトか

川の防災情報とは、国土交通省が運営する、全国の川の水位や雨量、河川カメラの映像、洪水予報などをリアルタイムで確認できるウェブサイトのことです。
大雨の日は「洪水予報・雨量・水位・カメラ」の4つを順に見ることで、近くの川の危険度を自分で判断しやすくなります。
国交省の川の防災情報でわかること

川の防災情報は、もともと大雨で川があふれるおそれがあるときに、雨や水位の状況をインターネットで配信し、避難に必要な情報をいつでもどこでも手に入れてもらうことを目的に作られたサイトです。2015年9月の関東・東北豪雨をきっかけに見直しが進み、2016年3月には河川カメラの映像や浸水想定区域図、高性能なレーダー雨量の表示が加わりました。さらに2021年3月には全面リニューアルされ、ひとつの地図の上でさまざまな情報を重ねて見られるようになっています。
見られる情報はかなり多いので、まずは「どの情報が、どんな場面で役に立つのか」を整理しておくと迷いにくくなります。
| 情報の種類 | わかること | 使う場面 |
|---|---|---|
| レーダー雨量(XRAIN) | いま、どこで、どれくらい強い雨が降っているか | 雨雲が近づいているか、上流で降っているかを知りたいとき |
| 川の水位 | 観測所の水位と、基準水位に対してどの段階か | 近くの川が危険な水位に近づいているかを判断したいとき |
| 河川カメラ | 川の現在の様子(映像・画像) | 川に近づかずに、水の量や流れを目で確かめたいとき |
| 洪水予報 | 氾濫の危険度を知らせる公式な発表 | 避難を始めるかどうかを決めるとき |
| ダム情報 | 貯水位・放流量・放流の通知 | 上流にダムがある川の近くにいるとき |
| 浸水想定区域図 | もし氾濫したら、どこがどのくらい浸水するおそれがあるか | 平時に自宅や職場のリスクを確認するとき |
このうち浸水想定区域図は、大雨の日よりも平時に見ておきたい情報です。地図の色の読み方はハザードマップの見方と使い方をまとめた記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してみてください。
スマホ版とパソコン版の違い

大雨の日は、パソコンの前にいるとは限りません。外出先や避難の準備中に確認することを考えると、川の防災情報はスマホで使えるようにしておくのが一番かなと思います。
川の防災情報には、2016年からスマートフォン用のサイトが用意され、スマホの位置情報を使って現在地周辺の雨や川の状況をすぐに表示できるようになりました。2021年のリニューアルでは、見ている端末の画面の大きさに合わせて文字の大きさや配置が調整され、スマホでもタップしやすい画面になっています。パソコンでは広い画面で地図や複数の情報を一度に見比べやすく、スマホでは現在地周辺をすぐに確認しやすい、という違いだと考えておくとよいですね。
よく「川の防災情報のアプリはありますか?」と聞かれます。私が調べた範囲では、国土交通省の公式アプリは見当たらず、川の防災情報はブラウザで開いて使うウェブサイトです(国のデータを使った民間のアプリはあります)。ブラウザの「ホーム画面に追加」機能を使えば、アプリのようにワンタップで開けるので、ぜひ設定しておいてください。
もうひとつ便利なのが「地点の登録」です。自宅や職場など最大3か所の地点と、近くの観測所を登録しておくと、トップ画面からすぐにその周辺の情報を確認できます。自分のスマホだけでなく、家族それぞれのスマホでも登録しておくと安心です。
雨量とレーダーの見方

川の防災情報の地図では、いま降っている雨の強さが色分けで表示されます。ここで使われているのが「XRAIN(エックスレイン)」と呼ばれる国土交通省のレーダー雨量の仕組みです。
XRAINは250メートル四方という細かい単位で、1分ごとに雨の情報を配信しています。従来のレーダー雨量が1キロメートル四方・5分間隔だったことを考えると、かなり細かく、ほぼリアルタイムに近い形で雨の様子がわかるようになりました。急に発達する局地的な大雨を追いかけるときにも役立ちます。
レーダー雨量を見るときのポイントは、「自分の家の上」だけでなく「川の上流側」を見ることです。自宅の周りで雨が弱くても、上流の山のほうで強い雨が降り続いていれば、その水は時間をかけて下流へ集まってきます。この仕組みは、あとの見出しで詳しくお話ししますね。
なお、山に電波がさえぎられる場所などでは、レーダーで観測できない範囲があるとされています。レーダーの色だけで判断せず、次に紹介する水位の情報とセットで見るようにしましょう。
川の水位と4つの基準水位

川の防災情報で一番大事なのが、水位観測所の情報です。地図上の観測所を選ぶと、現在の水位、川の断面図、水位の変化をあらわすグラフなどを確認できます。
ここで知っておきたいのが、観測所ごとに決められている「基準水位」です。基準水位は低いほうから次の4段階になっていて、それぞれ避難情報の目安と結びついています。
| 基準水位 | 意味 | 目安となる行動 |
|---|---|---|
| 水防団待機水位 | 水防団が待機を始める目安 | 今後の情報に気をつけ始める |
| 氾濫注意水位 | 水防団が出動する目安。氾濫に注意が必要な水位 | 避難の準備を確認する(警戒レベル2相当の情報) |
| 避難判断水位 | 高齢者等避難の発令の目安となる水位 | 高齢の方や避難に時間がかかる方は避難を始める(警戒レベル3相当の情報) |
| 氾濫危険水位 | 氾濫のおそれがある水位。避難指示の発令の目安 | 危険な場所から全員避難する(警戒レベル4相当の情報) |
水位のグラフを見るときは、「いまの数値」だけでなく「どのくらいの速さで上がっているか」にも注目してください。基準水位までまだ余裕があるように見えても、グラフが急な右上がりになっているときは、短い時間で次の段階に届くおそれがあります。
警戒レベルごとの具体的な避難のタイミングや、水のうの作り方など家庭でできる備えは、個人でできる洪水対策をまとめた完全ガイドで整理しています。基準水位とあわせて確認しておくと、「どの段階で何をするか」が具体的になります。
また、洪水予報が出ている川の基準観測所では、6時間先までの予測水位が表示されます。ただし、この予測は洪水予報を発表したときに計算されたものなので、時間がたつと実際の水位とずれることがあるとされています。予測は参考にしつつ、最新の実測値と発表を優先して確認しましょう。
雨が降ってから川が増水する仕組み

ここで少し「防災理科」のお話をさせてください。大雨のとき、「雨がやんだのに、川の水位はまだ上がっている」という場面を見たことはないでしょうか。これには、川という仕組みそのものが関係しています。
ある川に雨水が集まってくる範囲のことを「流域」といいます。流域に降った雨は、地面にしみこんだり、斜面を流れ下ったりしながら、小さな沢や支流に集まり、やがて本流へと合流していきます。山に降った雨が下流の町の川まで届くには、こうした長い道のりを流れてくる時間がかかります。
そのため、下流の観測所では、雨のピークから少し遅れて水位のピークがやってくることがあります。流域が広い大きな川ほど、遠くの山に降った雨が集まってくるまでに時間がかかり、雨がやんだあとも数時間にわたって水位が上がり続けることがあるとされています。反対に、流域が小さく傾きが急な中小の川では、雨が降り始めてから短い時間で一気に水位が上がることもあります。
つまり、「いま自分の頭の上で雨が降っているか」だけでは、川の危険度は判断できないということです。川の防災情報でレーダー雨量の上流側と水位のグラフをあわせて見るのは、この「時間差」を読むためなんですね。
ライブカメラで川を安全に確かめる

大雨のとき、「川の様子を見に行く」のは絶対にやめてください。増水した川や用水路の近くは足元が崩れやすく、流れも想像以上に速くなっています。そこで役に立つのが、川の防災情報の河川カメラです。
地図上のカメラのマークを選ぶと、その地点の川の現在の様子を画像や映像で確認できます。カメラによっては、普段の様子の画像と並べて見比べられるので、「いつもよりどのくらい水が多いのか」が直感的にわかります。
最近は、これまで水位計やカメラがなかった中小河川にも、洪水のときの観測に特化した低コストの「危機管理型水位計」や「簡易型河川監視カメラ」の設置が進んでいます。危機管理型水位計は、普段は1日1回程度の観測ですが、水位が上がってくると数分から10分程度の間隔で観測値を表示する仕組みになっているものが多いとされています。自宅近くの小さな川にこうした設備がないか、平時のうちに地図で探しておくと心強いですよ。
なお、夜間や強い雨のときは、カメラの映像が見えにくくなることがあります。映像がはっきりしないときは無理に判断しようとせず、水位の数値と公式の発表を優先しましょう。
ダム放流と洪水予報の確認方法

上流にダムがある川の近くに住んでいる方は、ダムの情報もチェックしておきたいところです。川の防災情報では、ダムの貯水位や流入量、放流量、放流の通知などを確認できます。
ダムは洪水を一時的にためて下流の被害を減らす役割を持っていますが、想定を上回る雨が続くと、ダムを守るために放流量を増やす操作が行われることがあります。放流が増えると下流の水位も上がるため、ダムの情報と下流の観測所の水位はセットで見るのがポイントです。中州や河原にいるときは、自分の周りが晴れていても、上流の雨やダムの放流によって急に水かさが増すことがあります。川辺で過ごす日は、出かける前に上流のダムと観測所の情報を一度確認しておくと安心です。
そして、避難の判断で最も重視したいのが「洪水予報」です。洪水予報は、国土交通大臣と気象庁長官が共同で発表するもので、危険度に応じて「氾濫注意情報」「氾濫警戒情報」「氾濫危険情報」「氾濫発生情報」の4種類があります。川の防災情報のトップ画面や地図では、いまどの川に洪水予報が出ているかを一目で確認できます。
川の防災情報を避難に生かす方法

ここまで、川の防災情報で何が見られるかをお話ししてきました。ここからは、それを実際の避難にどうつなげるかを考えていきます。
2011年3月11日、私は福島で東日本大震災を経験しました。あのとき、テレビが数日間まともに映らず、正確な情報が手に入らない不安を味わいました。情報がない状態は、それだけで人の判断力と心の余裕を奪っていきます。だからこそ防災士として、「いざというときに頼れる情報源を、平時のうちに複数用意しておくこと」を何より大切に考えています。
県の河川情報システムとの使い分け

川の水位を確認できるのは、国土交通省の川の防災情報だけではありません。多くの都道府県が、県が管理する川の水位や雨量、カメラ映像を公開する独自のシステムを持っています。たとえば岐阜県や愛知県には「川の防災情報」という名前の県のサイトがあり、福島県では「福島県河川流域総合情報システム」が公開されています。
| 比較項目 | 国交省「川の防災情報」 | 都道府県の河川情報システム |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 全国の川(国の観測所に加え、県などの情報もまとめて表示) | その県内の川が中心 |
| 強み | レーダー雨量・洪水予報・カメラを1つの地図で見比べやすい | 県管理の中小河川の情報や、県独自の表示・メール配信などがある |
| 向いている使い方 | 上流から下流まで、川全体の状況を広く確認する | 自宅近くの川を、県の情報でくわしく確認する |
福島県のシステムは、2019年の令和元年東日本台風(台風第19号)のとき、約1万2千のアクセスが集中して表示が遅れたとされています。その後、アクセスが集中しても表示できるよう強化が進められましたが、この出来事は「大雨のときほど、ひとつのサイトがつながりにくくなることがある」ということを教えてくれます。この台風では、阿武隈川の国が管理する区間(須賀川市)で堤防が決壊し、県が管理する区間でも多くの箇所で堤防が決壊しました。
私のおすすめは、国の川の防災情報と、お住まいの県のシステムの両方をスマホのホーム画面に追加しておくことです。片方がつながりにくいときでも、もう片方で確認できるようにしておく。これだけでも、いざというときの安心感はまったく違います。
川の水位だけではわからない危険

川の防災情報はとても頼りになるサイトですが、これを見ていれば水害のすべてがわかる、というわけではありません。注意しておきたい点が2つあります。
1つ目は、水位計やカメラがない川もまだ多いということです。中小の川や用水路では観測設備が限られている場所もあり、情報がないことは安全を意味しません。周りの状況や自治体からの避難情報もあわせて確認しましょう。
2つ目は、川があふれなくても浸水が起きることがあるという点です。強い雨で下水道や水路の排水が追いつかなくなると、川から離れた場所でも道路や住宅が水につかる「内水氾濫」が起こります。内水氾濫は川の水位の情報だけでは読み取りにくいため、気象庁の情報や自治体の発表にも目を配る必要があります。川があふれる外水氾濫との違いは、内水氾濫と外水氾濫の違いを解説した記事でくわしくまとめています。
そして何より大切なのは、川の防災情報はあくまで「自分で状況を知るための道具」だということです。避難のタイミングは、市町村が出す避難情報を基本にしてください。川の情報で危険を感じたら、避難情報を待たずに早めに動く、その判断材料として使うのが正しい使い方かなと思います。
大雨の日の川の防災情報チェック手順

最後に、大雨の日に川の防災情報をどの順番で見ればよいかを、チェックリストの形でまとめておきます。大雨の日は、次の5つのステップで確認します。平時のうちに一度、この順番で操作してみてください。
平時にやっておくこと
- □ 国の川の防災情報と県のシステムを、スマホのホーム画面に追加した
- □ 自宅・職場・学校など最大3か所の地点と、近くの観測所を登録した
- □ 近くの観測所の4つの基準水位を確認した
- □ 浸水想定区域図で、自宅周辺のリスクと避難先を確認した
大雨の日に見る順番
- □ ① 洪水予報:近くの川に洪水予報が出ていないか
- □ ② レーダー雨量:自宅周辺と川の上流側で強い雨が続いていないか
- □ ③ 水位:基準水位のどの段階か、グラフが急に上がっていないか
- □ ④ カメラ:いつもと比べて水の量や流れはどうか
- □ ⑤ 自治体の避難情報:高齢者等避難・避難指示が出ていないか
情報の確認とあわせて、逃げるときに持ち出す物も、この機会に見直してみてください。
防災用品を一つずつ揃えるのが難しい方へ。HIHでは、福島の被災経験と防災士の視点をもとに考えた防災リュックを楽天市場で販売しています。
楽天市場でHIH防災リュックを見る →
川の防災情報は、雨が降ってから初めて開くのではなく、晴れている日に一度触っておくことで、いざというときに本当の力を発揮します。国の情報と県の情報、そして自治体の避難情報。この3つを組み合わせて、大切な人と自分の命を守る判断につなげてください。
(出典:国土交通省『川の防災情報』)
数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 川の防災情報はスマホでも見られますか?
A. はい、見られます。国土交通省の川の防災情報は、スマホの画面に合わせて表示されるウェブサイトで、位置情報を使って現在地周辺の雨や川の状況を確認できます。公式アプリは確認できなかったため、ブラウザの「ホーム画面に追加」機能で開きやすくしておくのがおすすめです。
Q. 川の防災情報では、どの水位になったら避難すればよいですか?
A. 避難判断水位は高齢者等避難、氾濫危険水位は避難指示の発令の目安とされています。高齢の方や避難に時間がかかる方は避難判断水位を目安に避難を始め、氾濫危険水位は危険な場所にいる全員が避難する目安と考えてください。最終的には市町村の避難情報に従ってください。
Q. 川の防災情報のライブカメラはどこで見られますか?
A. 川の防災情報の地図上に表示されるカメラのマークを選ぶと、その地点の川の現在の様子を確認できます。増水時に川へ近づかずに状況を確かめられるのが大きな利点です。夜間や強い雨のときは見えにくいことがあるため、水位の数値とあわせて判断しましょう。
Q. 川の防災情報と県の河川情報システムは何が違いますか?
A. 国交省の川の防災情報は、全国の川の水位・雨量・カメラ・洪水予報を1つの地図で見比べやすいのが特徴です。県のシステムは、県が管理する川の情報を中心に、県独自の表示やメール配信などを提供しています。大雨のときに片方がつながりにくい場合に備えて、両方をブックマークしておくと安心です。
Q. 川の防災情報で自宅周辺をすぐに表示するにはどうすればよいですか?
A. 「地点の登録」機能を使うと、自宅や職場など最大3か所の地点と、近くの観測所を登録できます。登録しておけば、トップ画面からすぐにその周辺の水位や雨の状況を確認できます。家族それぞれのスマホでも登録しておくと安心です。
🛡️ 防災士監修記事
後藤 秀和(ごとう ひでかず)
防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。



