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地震予知は可能か|予言との違い3つを解説【保存版】

地震予知の研究現場をイメージした、波形が並ぶ観測管制ルームと研究者たち

地震予知は可能か|予言との違い3つを解説【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「地震予知」と検索してこのページにたどり着いた方は、きっと不安な気持ちを抱えているんじゃないかと思います。SNSを開けば日付を指定した地震の情報が流れてきて、家族に話していいものかどうかも分からない。そんな夜を過ごした経験のある方は、決して少なくないはずです。

この記事では、地震予知が科学としてどこまで来ているのか、そして「地震予言」と呼ばれるものとは何が違うのかを、公的資料をもとに整理していきます。

地震予知とは、地震が起こる「時」「場所」「大きさ」の三つの要素を精度よく限定して予測することです。気象庁は、現在の科学的知見ではそこまで確度の高い予測は難しいとしています。

結論を先にお伝えします。日時を特定した地震予知は現在の科学ではできないとされており、国は予知を前提とした体制から確率で備える方式へすでに切り替えています。

この記事でわかること

  • 地震予知の正確な定義と、予測・予言との違い
  • なぜ地震予知が科学的に難しいのか、その仕組み
  • 国が東海地震の予知体制を見直した経緯
  • 予知の代わりに国が採用した「長期評価」という考え方
  • 予知できない前提で、今日から何をすればよいか
目次

地震予知とは何か予言との違いも解説

地震予知とは何を指す言葉か

地震予知の三要素を大型スクリーンで説明する講義風景のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

まず言葉の整理からいきましょう。地震予知は、オカルトの用語ではなく地震学の専門用語です。

気象庁は『地震予知について』の中で、地震を予知するということを「地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測すること」と定義しています。ポイントは「精度よく限定して」という部分ですね。

たとえば「1年以内に、日本の内陸部で、マグニチュード5の地震が起こる」という予測なら、たいてい当たります。日本ではその規模の地震は日常的に起きているからです。でも、これを聞いて避難する人はいませんよね。気象庁も、こうしたあいまいな予測には情報としての価値はあまりないとしています。

役に立つ予知とは、少なくとも「1週間以内に、東京直下で、マグニチュード6〜7の地震が発生する」という水準まで限定されたものを指します。そして現在の科学では、この水準の予測は難しいというのが公式見解です。

予知と予測と予言の違いを整理

予知・予測・予言の性質の違いを三本の光の柱で表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここが多くの方が混乱するところです。似た言葉が3つあり、それぞれ性質がまったく違います。

区分意味示し方検証現在の扱い
地震予知時・場所・規模を限定して当てる断定的(決定論的)可能確度の高いものは困難とされる
地震予測一定期間内に起きる可能性を示す確率(%)統計的に可能国が実施中(長期評価)
地震予言科学的根拠のない予告断定的だが根拠なし不可能科学の枠外

地震予知と地震予言の3つの違い

  • 根拠……予知は観測データにもとづく/予言は根拠が示されない
  • 示し方……予知は三要素を限定する/予言は日付だけなど部分的
  • 検証……予知は外れれば手法が修正される/予言は修正されない

この3つのうち、いちばん大きな違いは「外れたときに検証できるかどうか」です。

科学は、外れたら手法を修正します。だから予測は確率という形をとります。一方、根拠を示さない予言は、外れても「時期がずれた」「回避された」と説明が付け足せてしまう。この構造の差が、両者を決定的に分けています。

ちなみに「予言」と「預言」も別の言葉です。予言は未来を言い当てること、預言は宗教的に授かった言葉を伝えることを指します。検索では混在していますが、防災の文脈で扱うのは前者ですね。

地震予言が広がる心理と背景

夜の街でスマートフォンの情報に見入る人々のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

では、なぜ地震予言はこれほど広まるのでしょうか。

理由はシンプルで、不確実さは人にとって不安だからです。「いつ来るか分からない」という状態は、じつは「◯月◯日に来る」と言われるより心理的にしんどい。日付が入った情報は、その不快な宙ぶらりんを一時的に解消してくれます。だから、信じていない人まで拡散してしまう。

気象庁も、具体的な日時を指定した地震の予知は現在の科学的知見からは間違いなくデマと言える、としています。とくに大きな地震のあとは、不安を煽る根拠のない噂が発生しやすくなります。

「◯◯の法則」のような、一見それらしい規則性を持ち出すパターンもよくあります。実際にデータで検証するとどうなるかについては、バヌアツの法則を24年分のデータで検証した記事で具体的に扱っていますので、あわせて読んでみてください。

予知に必要とされる三つの要素

地震予知に必要な三要素の重なりを床の光の輪で表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

もう一度、三要素に戻ります。予知が成立するには、次の3つがすべてそろっている必要があります。

地震予知の三要素

  • 時期……いつ起きるか(数日〜1週間程度の幅)
  • 場所……どこで起きるか(限定された地域)
  • 規模……どのくらいの大きさか(マグニチュード)

この物差しを持っていると、目にした情報を自分で判定できるようになります。

「近々、日本のどこかで大きな地震が」——場所も時期も限定されていないので、予知として成立していません。「◯月◯日に地震が来る」——場所と規模がないので、これも成立していません。三要素のうち一つでも欠けていたら、それは予知ではない。この判定だけでも、かなりの情報を仕分けできるはずです。

地震雲や動物の異常は前兆なのか

夕焼けの空に浮かぶ筋状の雲を見上げる人々のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

前兆とされる現象についても触れておきます。

地震雲について、気象庁は、雲は大気の現象で地震は大地の現象であり、両者が関係する科学的なメカニズムは説明できていないとしています。動物の異常行動についても、動植物は地震以外の理由でも通常と異なる行動をすることがあり、地震の前の異常行動の理由は科学的に説明できていない状況だとしています。

これらは一つひとつ見ていくと長くなるので、地震の前兆と予想の嘘ホントを検証した記事で個別に整理しています。動物の行動に絞った話は地震の前兆と動物の異常行動の記事のほうが詳しいですね。

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地震予知が難しい理由と今できる備え

なぜ地震予知は科学的に困難なのか

地下深くの複雑な岩盤構造と地表の観測を対比したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここからが「防災理科」のパートです。なぜ難しいのか、仕組みから見ていきましょう。

理由その1:地下を直接見ることができない。

天気予報が当たるようになったのは、大気を衛星やレーダーで直接観測できるからです。ところが地震が起きるのは地下十数キロから数十キロの岩盤の中。そこを直接のぞくことはできません。地表の観測から間接的に推定するしかない、というのが出発点の制約です。

理由その2:確実な前触れが見つかっていない。

地震の直前に、震源域の一部がゆっくりすべり始める「前駆すべり」という現象が理論的に想定されてきました。ところが内閣府の調査部会は、前駆すべりが観測可能な規模で発生するかどうかは分からず、大規模な地震の発生前に観測された確実な例はないと報告しています。

理由その3:モデル次第で答えが変わってしまう。

ここが個人的にいちばん腑に落ちた説明でした。断層を「一つの大きなかたまり」と考える単純なモデルでは前駆すべりが現れます。しかし、大小さまざまな破壊の単位が入り混じっている複雑なモデルでは、前駆すべりは必ずしも現れません。同じ報告書は、複雑なモデルでは確率論的な要素の影響もあり、確度の高い予測は困難だとしています。

さらに、検知限界を下回るすべりからいきなり大規模地震に発展することも、検知されたのに大規模地震が発生しないこともあり得るとされています。つまり、たとえ何かを捉えても「これは本震につながるのか」を判定する手段がない。

そして2011年です。同報告書は、東北地方太平洋沖地震について、その地域でMw9.0の地震が発生するとは考えられていなかったこと、直前に加速するような明瞭な前駆すべりは観測されなかったことを記しています。

私は2011年3月11日、福島でこの揺れを経験しました。防災士として今この報告書を読むと、あの日は「予測されていた場所で、予告されて起きた」のではないという事実の重さを、あらためて感じます。前兆を待つ備えでは間に合わない。それが福島で得た一番の実感です。

なお、確実性の高い予測に使える前兆現象は見つかっておらず、決定論的な地震発生予測は一般に困難で、予測には確率が用いられるべきだという見解は、国際的な共通認識になっています。日本だけの結論ではありません。

東海地震の予知体制が変わった経緯

地震防災の方針を検討する会議の様子をイメージした室内風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここは、この記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。日本はかつて、国策として地震予知を目指していました。

できごと
1965〜69年松代群発地震が発生し、地震予知への国民の期待が高まる
1968年地震予知研究の推進が閣議了解される
1969年地震予知の早期実用化を促進するため、地震予知連絡会が発足
1978年大規模地震対策特別措置法が制定される(背景に地震予知への期待があったとされる)
2017年8月内閣府の調査部会が、確度の高い地震の予測はできないのが実情と報告
2017年11月東海地震に限定した予知情報等の発表が行われなくなる
2019年5月南海トラフ地震臨時情報の運用が始まる

1978年の大震法が作られた背景には、当時データや知見が十分ではなかったものの、観測体制を強化すれば何らかの前兆現象を捉えられるという意見が多く、地震予知に対する大きな期待感があったと報告書は振り返っています。

そして2017年、内閣府の調査部会は、現行の地震防災応急対策が前提としている確度の高い地震の予測はできないのが実情であり、それは東海地域に限定した場合も同じだと結論づけました。これを受けて同年11月から、東海地震の予知情報等は発表されなくなっています。

これは失敗の記録ではなく、科学の実力に合わせて制度を正直に組み直した記録だと私は受け止めています。

よくある誤解として、地震予知連絡会は現在も存続しています。ただしこの組織は、大地震の直前に予報を出すためのものではなく、地震予知に関する情報交換と学術的な検討を行う場です。名前から想像されるものとは役割が違うんですね。

長期評価という確率で示す方法

確率のグラフと街の夜景が重なる展望フロアのイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

では、予知の代わりに国は何を採ったのか。それが長期評価です。

地震調査研究推進本部は、「同じ場所で同じような地震がほぼ一定の間隔で繰り返す」という仮定のもと、活断層で起きる地震と海溝型地震について、地震発生確率を含む長期評価を公表しています。過去の地震活動の記録を統計的に処理し、今後ある一定期間内に地震が発生する可能性を確率で表したものです(出典:地震調査研究推進本部『長期評価』)。

内閣府の報告書も、地震活動の統計的な経験式を用いた確率的予測が現時点での唯一の定量的予測手法であるとしています。

ここで、確率の読み方について絶対に知っておいてほしい数字があります。

確率が低い=安全、ではありません。

地震本部は、確率値が小さく見えても地震が発生しないことを意味しないとしたうえで、1995年兵庫県南部地震の発生直前の確率値は0.02%〜8%、2016年熊本地震の場合はほぼ0%〜0.9%だったと示しています。

阪神・淡路大震災も熊本地震も、直前の確率は決して高くありませんでした。低い確率は「起きない」ではなく「読み切れていない」に近いと考えたほうが実態に合います。

南海トラフについては、2025年9月の一部改訂で、令和7年(2025年)1月1日を基準日とした30年以内の発生確率として、計算モデルの違いにより60〜90%程度以上、あるいは20〜50%という2つの値が示されているとされています。幅がありますが、どちらのモデルでも最も高いランクに位置づけられている点は変わりません。数字の大小より、「幅で示すしかない」という事実そのものが科学の現在地を表していますね。

緊急地震速報は予知ではなく検知

地震波の到達に合わせて身を守る姿勢をとる人々をイメージした俯瞰図
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

もう一つ、混同されやすいものを整理しておきます。

緊急地震速報は予知ではありません。地震が起きたあとに出るものです。

地震の波には、先に伝わる速いP波と、あとから来る強い揺れのS波があります。各地の地震計がP波を捉え、S波が到達する前に知らせる。これが緊急地震速報の考え方です。つまり、地震の発生を「言い当てて」いるのではなく、すでに始まった地震を検知して、揺れの到達より先回りしているだけなんですね。

だから、直下で起きた地震では間に合わないことがあります。仕組みとスマホの設定については緊急地震速報の仕組みを解説した記事で詳しく書いていますので、設定の確認だけでも今日やっておくと安心です。

予知ができない以上、私たちが頼れるのは「起きてからの数秒」と「起きる前に済ませておいた準備」の2つだけ、ということになります。

備えの中身をどう組み立てるかで迷う方は、必要なものを用途別に整理した防災リュックの選び方と中身の考え方もご覧ください。何から手をつけるかの順番が見えてくるはずです。

地震予知に頼らない備えのまとめ

ランタンの明かりの下で家族が防災リュックの中身を確認するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

地震予知について、ここまでの内容を整理します。

この記事の要点

  • 地震予知とは、時・場所・規模の三要素を限定して予測すること
  • 気象庁は、その水準の確度の高い予測は現在の科学では難しいとしている
  • 三要素のどれかが欠けている情報は、予知として成立していない
  • 国は2017年11月に、東海地震の予知情報等の発表をとりやめている
  • 予知の代わりに採られたのが、確率で示す長期評価という方法
  • 確率が低くても安全ではない(阪神・淡路も熊本も直前の確率は低かった)
  • 緊急地震速報は予知ではなく検知の技術

不安な情報を見かけたとき、私がおすすめしたい向き合い方は一つです。

その情報に反応するエネルギーを、備えの点検に回す。

予言が当たるかどうかを心配しても、当たったときに助かるわけではありません。でも、水を1週間分に増やす、家具を固定する、懐中電灯の電池を替える——これは確実に、どの日に地震が来ても効きます。

私が福島の暗闇で痛感したのは、灯りが一つあるかないかで、心の余裕がまったく違うということでした。子どもの顔がはっきり見えないだけで、人は冷静さを失います。道具そのものより、道具がもたらす心の余裕が、正しい判断につながっていくんですね。

地震予知に頼らない備えとは、「いつ来ても大丈夫」を先に作っておくことです。それは予知よりずっと確実で、しかも今日から始められます。

今日できる3分の点検

  • 飲料水と保存食の期限を確認する
  • 懐中電灯とモバイルバッテリーが使える状態か確かめる
  • 寝室の家具が固定されているか見る
  • 家族の集合場所と連絡手段を決めておく

この4つなら、今日のうちに終わります。予言の真偽を追いかけるより、こちらのほうがずっと確実にあなたと家族を守ってくれるはずです。

よくある質問

Q. 地震予知は当たることがあるのですか?

A. 「日本のどこかで数か月以内に地震が」といった漠然とした内容なら、日本では日常的に地震が起きているため結果的に一致することがあります。ただし気象庁は、そうしたあいまいな予測に情報としての価値はあまりないとしています。時・場所・規模を限定した確度の高い地震予知は、現在の科学では難しいとされています。

Q. 地震予知と地震予言はどう違うのですか?

A. 地震予知は地震学の専門用語で、時・場所・規模の三要素を科学的手法で限定して予測することを指します。地震予言は科学的根拠を示さない予告で、外れても検証や修正が行われません。検証できるかどうかが両者の決定的な違いです。

Q. 地震予知はいつか実現するのでしょうか?

A. 研究は現在も続いていますが、実現時期を示せる段階ではありません。国際的にも、確実性の高い予測に使える前兆現象は見つかっておらず、予測には確率を用いるべきだという認識が共通のものとなっています。実現を待つのではなく、確率評価をもとに備えることが現実的な選択です。

Q. 地震の予言が話題になったとき、何をすればよいですか?

A. まず情報の発信元と、時・場所・規模の三要素がそろっているかを確認してください。三要素が欠けていれば予知として成立していません。そのうえで、不安を感じたことを備えの点検日にしてしまうのがおすすめです。水と食料の期限、電池、家具の固定を見直せば、その不安は具体的な安心に変わります。


参考情報について

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。地震の発生確率は算定基準日や計算モデルによって変わるため、最新の値は各省庁・関係機関の公式情報をご確認ください。

🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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