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防災リュックおすすめと選び方【2026年版】被災した防災士が中身・いらないものまで解説

玄関に置かれたHIHの防災リュックと、避難準備をする家族|防災リュックおすすめと選び方

防災リュックおすすめと選び方【2026年版】被災した防災士が中身・いらないものまで解説

2011年3月12日、福島第一原発の1号機が爆発した直後。私は行き先も泊まる場所も決めないまま、家族を車に乗せて福島市の自宅を出ました。チェルノブイリ事故のことを学んだ経験があり、子どもへの影響がとにかく怖かったからです。向かった先は、原発からできるだけ遠い山形県米沢市。ホテルは予約していません。飛び込みで何件も交渉し、3件目でようやく2部屋に分かれて泊まれました。余震が続く夜、結局家族全員でひと部屋に集まり、私は隣の部屋から布団を運んで床で寝ました。そして翌日、「ここにいてもどうしようもない」と、妻の説得もあって家に戻ったのです。

あの判断が正しかったのか、15年経った今もわかりません。ただひとつ確かなことがあります。事前の準備がないまま逃げると、人は「選ぶ」ことができなくなるということです。どこへ行くか、何日しのげるか、何を持っているか。備えとは、非常時に選択肢を持てるようにしておくことなのだと、私はあの夜に知りました。(この2日後、3号機の爆発を機に私たち家族は再び福島を離れることになります。その話はnoteに書きました。)

この記事では、その被災経験と防災士としての知識、そして防災セットを累計20万個お届けしてきた中で見えてきたことをもとに、防災リュックの選び方・中身・おすすめを、「実はいらないもの」まで含めて正直にお伝えします。

目次

この記事の要点

  • 防災リュックとは、災害発生直後に持って避難するための「非常用持ち出し袋」。自宅備蓄とは役割が異なる
  • 選び方の基準は「容量・重さ・防水性・背負いやすさ・夜間視認性」の5つ。重さは体重の10%前後が目安
  • 中身は「命を守る最優先10点」から揃える。全部入りを目指すと重くて持ち出せなくなる
  • 被災経験から言えば、ロウソク・刃物類・過剰な食料など「入れない方がいいもの」がある
  • 女性・高齢者は軽さを最優先。家族分を1つにまとめず、1人1つが原則

防災リュックとは?防災バッグ・防災セットとの違い

防災リュック・防災バッグ・防災セットのイメージと防災用品一式
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

防災リュックとは、災害発生直後の避難時に持ち出す物資をまとめた、背負って両手が空くタイプの非常用持ち出し袋のことです。「防災バッグ」もほぼ同じ意味で使われますが、手提げ型や肩掛け型を含む広い呼び方です。避難時は転倒に備えて両手を空けておく必要があるため、防災士としてはリュック型を強くおすすめします。

一方「防災セット」は、リュック(またはボックス)に中身の防災グッズ一式が最初から入った商品を指すことが多い言葉です。中身を自分で揃えるか、プロが選んだセットを買うか——この記事では両方の道を解説します。防災セット全体の選び方は防災セットの選び方の記事で詳しく解説しています。

呼び方意味向いている人
防災リュック背負う型の非常用持ち出し袋。中身は自分で用意する場合も含む両手を空けて安全に避難したい全ての人
防災バッグ手提げ・肩掛けも含む広い呼び方車載用・玄関置きのサブ用途
防災セットリュック+中身一式の完成品何を揃えればいいかわからない人、時間がない人

被災経験からわかった防災リュックの選び方5基準

私が米沢への「準備なき避難」で痛感したのは、道具の有無以前に「持ち出せる状態になっているか」がすべてを決めるということでした。その反省を込めて、選び方の基準は次の5つです。

防災リュックの選び方5基準(容量・重さ・防水性・背負いやすさ・夜間視認性)を解説するイメージ画像
防災セット1人用ラインナップはこちら

基準1:容量(1人あたり20〜30Lが目安)

1人分の最低限の持ち出し品を入れると、20L前後は必要になります。家族分を1つの大型リュックにまとめるのは避けてください。持てる人が1人しかいない状況(父親が不在の日中など)を想定すると、1人1リュックが原則です。子どもには子どもが背負える小さなものを。

基準2:重さ(体重の10%前後まで)

持ち出し袋の重さは、中身を入れた状態で体重の10%前後までが目安です。成人男性で6〜8kg、成人女性で5〜6kg程度。「念のため」で詰め込むと10kgを超え、避難の速度が落ちます。避難は数百メートルの徒歩とは限りません。階段、瓦礫、夜道を想定してください。

基準3:防水性

災害は地震だけではありません。水害・豪雨時の避難では、リュックの中身が濡れれば電池もラジオも書類も使い物にならなくなります。防水素材か、できれば撥水加工+中身のジップ袋分けを。

基準4:背負いやすさ

チェストベルト(胸元のベルト)の有無は、長距離避難での疲労を大きく左右します。肩紐の幅が広くクッション性のあるものを選んでください。購入したら一度、中身を全部入れて背負い、家の周りを歩いてみることをおすすめします。

基準5:夜間視認性

停電した夜の避難を想定し、反射材付き・明るい色のものを。東日本大震災の夜、街灯が消えた道の暗さは、経験した者にしかわからない不安があります。

女性向けの選び方(重さ上限とサイズ)

女性の場合、リュック自体の軽さ(本体1kg前後まで)を最優先にしてください。中身を入れて5kg前後に収まる設計が理想です。また、身長に対してリュックが大きすぎると重心が下がって歩きにくくなるため、背面長(背中に当たる部分の長さ)が短めのモデルを。中身の面では、生理用品・防犯ブザー・ホイッスルを標準装備として加えてください。避難所生活では女性特有の困りごとが多く報告されています。

防災リュックおすすめ比較【被災経験×防災士基準で評価】

HIHの防災セットは、私自身の被災経験をもとに設計し、この15年で累計20万個以上をお届けしてきました。上の5基準に沿って、用途別に自社セットを正直に比較します(自社商品ですが、向き不向きも隠さず書きます)。

タイプおすすめセット特徴向いている人
停電への備え重視ハザードリュック solarソーラーパネル搭載。電気を自分で作れる安心感スマホ充電・情報確保を最優先したい人
頭部保護重視ハザードリュック protect帽子型ヘルメット「ボウメット」付きブロック塀や落下物の多い市街地・通学路
避難所での睡眠重視ハザードリュック premiumオールシーズン対応シュラフ(寝袋)付き体育館の床で寝る事態を想定する人。冬の避難
水害リスク地域ハザードバッグ RegularIPX6完全防水バッグハザードマップで浸水想定区域に住む人
大容量・家族用ハザードスクエアリュックスクエア型で収納効率が高い2〜3人用をまとめたい家庭(+1人1つの原則も忘れずに)
帽子型防災ヘルメット「ボウメット」を被った女性とHIHハザードリュック—HIH防災
ソーラーパネル付き防災セットのバナー

正直に言えば、「どれが一番か」は住んでいる場所と家族構成で変わります。迷ったら、お住まいの地域のハザードマップを先に確認してください(ハザードマップの見方はこちら)。浸水区域なら防水優先、そうでなければ停電対策優先が私の基本的な考え方です。他社製品との詳しい比較は防災リュック徹底比較の記事にまとめています。

防災リュックの中身リスト【完全版】

20L・28Lの防災リュックと、避難時に必要な防災用品の中身一覧
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

中身は「全部」ではなく「優先順位」で考えます。私の避難経験で本当に価値があったのは、多機能な道具より「すぐ使える単純なもの」でした。

命に関わる最優先10点

  1. 飲料水(500mlペットボトル2〜4本。持てる範囲で)
  2. LEDライト(ヘッドライト型なら両手が空く)
  3. 携帯ラジオ(情報が途絶えることの恐怖は、経験者として保証します)
  4. モバイルバッテリー(できればソーラー充電対応)
  5. 常備薬・お薬手帳のコピー
  6. 現金(千円札と小銭で1〜2万円。停電時はATMもレジも止まります)
  7. 身分証・保険証のコピー
  8. ホイッスル(閉じ込められた時、声は数時間で出なくなります)
  9. 軍手・厚手の手袋
  10. 簡易トイレ(3〜5回分。災害用トイレの備え方も参照)

生活を維持する20点

非常食(そのまま食べられるもの1〜2日分)、アルミブランケット、レインコート、マスク、ウェットティッシュ、歯みがきシート、タオル、下着・靴下の替え、ビニール袋(大小10枚。用途は無限です)、ラップ、救急セット、使い捨てカイロ、耳栓・アイマスク(避難所の夜に効きます)、筆記用具とメモ、ガムテープ、携帯用充電ケーブル、家族の連絡先メモ(紙で)、眼鏡の予備・コンタクト用品、生理用品、抱っこひも等の子ども用品(子連れ避難の記事参照)。

ご家庭の人数・構成に合わせた必要量は、備蓄かんたん計算ツールで自動計算できます。チェックリストの印刷用PDFは防災チェックリストからどうぞ。

実はいらないもの・入れてはいけないもの

防災リュックに入れてはいけないものを示したイメージ画像
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここからは、売る側があまり言いたがらない話です。しかし被災経験者として、これを言わない記事は信用に値しないと思っています。

  • ロウソク・マッチ:余震が続く中での裸火は火災のもとです。阪神・淡路大震災以降、防災の専門家は一貫して非推奨です。灯りはLED一択
  • 刃物・大型工具:持ち出し袋には不要です。重く、避難所への持ち込みでトラブルの元にもなります
  • カセットコンロ・調理器具:これは「自宅備蓄」の道具です。持ち出し袋に入れると一気に5kg増えます
  • 過剰な食料(3日分以上):持ち出し袋の食料は1〜2日分まで。3日分の備蓄は自宅に置くのが正解です。持ち出しと備蓄の混同が、重すぎて持てないリュックを生みます
  • 本・アルバムなどの思い出の品:気持ちは痛いほどわかります。ただ、命の道具の場所を奪います。データ化してクラウドへ
  • 新品のまま試していない道具:「いらないもの」の隠れ筆頭です。手回しラジオも浄水器も、一度使ってみて初めて備えになります

私が米沢へ逃げた夜に痛感したのは、量の多さは安心につながらないということでした。使えるものが、使える状態で、持てる重さに収まっている。それだけが本当の備えです。

詰め方のコツ(重心と取り出し順)

防災リュックの詰め方と、重い物・軽い物・すぐ使う物の収納位置を示した画像
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

同じ中身でも、詰め方で背負いやすさと使いやすさは大きく変わります。基本は「重いものを上・背中側に、すぐ使うもの(ライト・ホイッスル・雨具)を最上部か外ポケットに」。詳しくは防災リュックの詰め方の記事で図解しています。置き場所は玄関か寝室。「取りに行く」のではなく「通り道で掴む」が原則です。

よくある質問

Q. 防災リュックは本当に必要ですか?

A. 必要です。ただし正確に言えば、必要なのは「準備してある状態」です。私は2011年、準備のないまま家族と避難し、泊まる場所を探して夜の米沢を回りました。リュックがあれば避難の質が変わります。何より「備えがある」という事実が、非常時の判断力を守ります。

Q. 防災グッズで「いらなかったもの」は何ですか?

A. 被災経験者への調査や私自身の経験から言えば、ロウソク(火災リスク)、大型の調理器具(重すぎる)、試していない多機能グッズ(使えない)が代表です。詳しくは本文の「実はいらないもの」をご覧ください。

Q. 女性は何kgまでにすべきですか?

A. 中身込みで5kg前後、多くても体重の10%までをおすすめします。実際に背負って15分歩けるかが現実的なテストです。

Q. 防災リュックと防災セットはどう違いますか?

A. 防災リュックは入れ物(または自分で中身を揃えるスタイル)、防災セットは中身入りの完成品です。時間がない方・選ぶ自信がない方はセット、こだわりたい方は自作が向いています。

Q. どこに置けばいいですか?

A. 玄関または寝室です。就寝中の被災を想定すると寝室が最有力。車移動が多い方は車載用(ハザードポーチ)の併用を。

Q. 中身の点検はどれくらいの頻度で必要ですか?

A. 年2回、3月と9月をおすすめします。水・食料・電池の期限、子どもの衣類サイズ、薬の内容を確認してください。防災の日(9月1日)と3月11日は、点検日として忘れにくい日です。

まとめ:備えとは、選択肢を持つこと

防災リュックを玄関に備え、家族で避難経路や行動計画を確認している様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

行き先を決めずに逃げた2011年3月12日の夜、私に足りなかったのは道具だけではありませんでした。「どう動くか」をあらかじめ考えておくこと——防災リュックを用意する過程は、そのまま家族の避難計画を考える過程になります。

まずは最優先10点からで構いません。今夜、玄関に置くところから始めてください。選ぶ時間がない方は、被災経験から設計したHIHの防災セット一覧をご覧ください。あなたの家族構成に必要な量は備蓄計算ツールで1分で確認できます。

この記事を書いた人

後藤秀和(株式会社ヒカリネット 代表取締役・防災士)
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

被災経験から、最後に一つだけ伝えたいこと

防災リュックに、すべての人に共通する正解はありません。

大切なのは、高価なものをそろえることではなく、 「災害が起きたときに、すぐ持ち出せる状態」を 今日からつくっておくことです。

完璧を目指して準備を先延ばしにするよりも、 まずは必要なものを一つのリュックにまとめてみる。

その小さな一歩が、いざというときに自分や家族を守る、 大きな備えになります。

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法人・団体向け防災対策として、企業が従業員に防災リュックを配布している様子を表したHIHの防災セット案内バナー

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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