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防災セットおすすめの選び方|被災防災士が5つの基準で解説

防災リュックと水・保存食・照明・携帯トイレなどの基本アイテムを床に並べて点検する家庭のイメージ

防災セットおすすめの選び方|被災防災士が5つの基準で解説

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「防災セット おすすめ」で検索すると、たくさんのランキングや比較サイトが出てきますよね。でも実際に見てみると、どれも似たような商品が並んでいて、「結局どれを選べばいいの?」と迷ってしまった方も多いのではないでしょうか。

私は2011年3月11日、福島で東日本大震災の大きな揺れを経験しました。あの日を経験したからこそ言えるのですが、防災セットは「人気ランキングの上位を買えば安心」というものではありません。本当に大切なのは、自分や家族に合ったセットを選び、自分仕様に育てていくことです。この記事では、防災士として、そして20万個を超える防災セットを世に送り出してきた立場から、後悔しない防災セットの選び方を世帯別にお伝えします。

先に結論

防災セットのおすすめは「ランキング1位」を買うことではありません。水・食料・照明・トイレの基本が揃った“軽くて背負えるセット”を土台に選び、自分や家族に必要なものを足して完成させるのが正解です。一人暮らし・家族・女性・ペット・車移動など、状況によって最適な選び方は変わります。

この記事でわかること

・防災セットの正しい位置づけと「出発点」という考え方
・市販の防災セットがどれも似てしまう理由と、その見抜き方
・1人用・家族用・女性・ペット・車載など、世帯や状況別の選び方

目次

防災セットのおすすめの選び方とは

防災セットの基本アイテムを種類別に整理して並べたテーブル上のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

まず、防災セットを選ぶ前に押さえておきたい「考え方」からお話しします。ここを飛ばして商品比較に進んでしまうと、せっかく買ったのに使えない、という失敗につながりやすいんです。

防災セットとは何か

防災セットとは、災害で自宅が被災したときに安全な避難場所へ持ち出すための、水・食料・照明・衛生用品などをひとまとめにした非常持ち出し用の備えのことです。国の防災では「持ち出し品(1次品)」と位置づけられ、避難時にすぐ持ち出せるリュックタイプが基本になります。

内閣府は家庭の備えを3段階で整理しています。外出時に常に携帯する「0次の備え」、避難時にすぐ持ち出す「1次の備え(=防災セット)」、そして自宅で数日間を生き抜く「2次の備え(備蓄品)」です。防災セットはこのうち「逃げるときに背負って持って出るもの」にあたります。ですから、自宅にとどまるための備蓄とは役割が違う、という点をまず理解しておきましょう。

市販セットの中身が似る理由

「どの防災セットも中身が似ている」と感じたことはありませんか。これは気のせいではありません。多くの防災セットは、一般的に必要とされる水・食料・ライト・衛生用品などを中心に構成されるため、どうしても内容が似やすくなるんです。

似ること自体が悪いわけではないのですが、問題は「みんなに必要な共通項」が「あなたに必要なすべて」とは限らない点です。標準的なセットは、体力のある大人が背負うことを前提に組まれていることも多く、人によっては使わないものが入っていたり、逆に本当に必要なものが足りなかったりします。比較サイトのランキングだけを見て選ぶと、この「自分との相性」を見落としてしまいます。

内閣府の広報誌でも、防災の専門家が「自分や家族に必要なもの、使いやすい、食べ慣れているといった相性を考えてほしい」と語っています。詰め込みすぎて重くて持ち出せない非常持ち出し袋では意味がない、という指摘は、まさに現場の本質を突いています。

おすすめの前に知る「出発点」発想

私が防災セットについていつもお伝えしているのは、「防災セットは完成品ではなく、出発点」という考え方です。

市販のセットは、いわば「土台」です。そこに、あなたの暮らしに合わせて必要なものを足していくことで、初めて「我が家の防災セット」が完成します。常備薬がある方は薬を、コンタクトの方は予備のメガネを、小さなお子さんがいる方はミルクやおむつを——というように、自分にしか分からない必需品を加えていく。この一手間が、いざというときの安心を大きく左右します。

逆に言えば、良い防災セットとは「自分ではなかなか思いつかない、あるいは手に入れにくい“これだ”というアイテム」がしっかり入った構成のものです。土台として優秀なものを選び、そこに自分仕様を足していく。この発想を持つだけで、セット選びの精度がぐっと上がります。具体的な中身の詳細は、防災リュックの中身リストと選び方のガイドで一覧にまとめていますので、あわせて確認してみてください。

中身で見る必要なものの基準

水・保存食・照明・携帯トイレなど備えの基本を棚に整理したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

では、土台となるセットの「中身」は何を基準に見ればいいのでしょうか。公的資料が示す目安を押さえておくと、判断がぶれません。

生き延びるための優先順位は、まず水・食料・情報(照明や通信手段)です。飲料水は1人1日3リットルが目安とされ、食料とあわせて最低3日分、大規模災害を想定するなら1週間分が望ましいとされています(出典:首相官邸『災害が起きる前にできること』)。

カテゴリ主なアイテム目安
飲料水1人1日3リットル
食料アルファ米・缶詰・栄養補助食品最低3日分(推奨1週間)
情報・照明ヘッドライト・モバイルバッテリー・ラジオ各1点+予備電池
衛生携帯トイレ・防臭袋・ウェットティッシュ3〜5日分
その他救急用品・常備薬・現金・身分証コピー各1セット

ここで「防災理科」的な話を少しだけ。なぜ水が1日3リットルなのかというと、人は尿や汗、呼気などで1日に約2.5リットルもの水分を失うからです。これを補わないと脱水につながります。なお、1人1日3リットルという目安は、主に飲料水を中心に考えた最低限の備えです。調理・手洗い・トイレなどに使う生活用水は別に必要になるため、在宅避難を想定する場合は、浴槽の水や給水袋、ポリタンクなどもあわせて考えておくと安心です。数字には、ちゃんと体のしくみに基づいた理由があるんですね。

そして「3日分」という目安にも根拠があります。大きな災害が起きると、発災からおよそ72時間は人命救助が最優先され、行政が物資を届ける体制が整うまでには時間がかかります。だからこそ、その間を自力で乗り切るための備えが必要になるわけです。

失敗しない防災セットの選び方

防災リュックを背負って背負える重さかを確認する後ろ姿のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまでを踏まえて、失敗しないためのチェックポイントを整理します。比較サイトの星の数ではなく、次の観点で見てみてください。

防災セット選びの5つの基準

1. 背負える重さか(一般的には男性15kg・女性10kgが目安。重すぎると持ち出せない)
2. 水・食料・照明・トイレの基本が揃っているか
3. 自分では思いつきにくいアイテムが入っているか(土台としての質)
4. 自分仕様に足し算できる余地があるか
5. つくり手の経験や思想が感じられるか

このなかでも、私が特に強くお伝えしたいのが「重さ」です。一般的には男性15kg・女性10kgが目安とされていますが、正直なところ、これでも重いと感じています。HIHでは男性10kg以下・女性7kg以下を、できれば男性8kg以下・女性5kg以下を推奨しています。これくらい軽ければ機敏に動けますし、長距離の避難にも対応しやすくなるからです。避難は「背負えること」がゴールではなく、「背負って安全な場所まで動き続けられること」がゴールです。重さを削るために、本当に必要なものだけを見極める——これも防災セット選びの大切な視点です。

特に最後の「つくり手の経験」は見落とされがちですが、大事なポイントです。誰かの被災体験から生まれたセットには、カタログスペックだけでは分からない知恵が詰まっていることがあります。私たちHIHの防災セットも、福島での被災経験を出発点に、本当に役立つものだけを厳選するという考え方で組み立てています。「最強ランキング」という切り口で具体的なアイテムを知りたい方は、被災した防災士が本気で選んだ防災グッズランキングも参考になると思います。

世帯別におすすめの防災セット選び

ここからは、より具体的に「あなたの状況」に合わせた選び方を見ていきます。同じ防災セットでも、一人暮らしの方と小さなお子さんがいる家庭とでは、最適な構成がまったく変わってきます。

防災セット選びで大切なのは、「何が入っているか」だけでなく、「誰が、どこで、どのように使うか」まで考えることです。同じセットでも、一人暮らし・子育て家庭・女性・高齢者・ペットのいる家庭では、必要な追加品が変わります。まずは下の早見表で、自分に近い状況の選び方をつかんでください。

状況おすすめのタイプ選ぶポイント
一人暮らし軽量な1人用リュック5〜7kg程度で背負えるか
夫婦・2人暮らし2人分を分けて持てるセット1つにまとめず分散する
小さな子どもがいる家庭家族用+子ども用ミニリュックおむつ・ミルク・安心グッズを追加
女性の一人暮らし軽量セット+衛生・防犯用品生理用品・防臭袋・防犯ブザーを追加
ペットがいる家庭人用セット+ペット用備えフード・水・リード・証明書コピーを別管理
車移動が多い人車載用防災グッズ高温に弱い食品・電池の管理に注意

それぞれの状況について、もう少し詳しく見ていきましょう。

1人用・一人暮らしの選び方

一人暮らし向けの軽量防災リュックに予備メガネや常備薬を添えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

一人暮らしの方は、自分一人で背負って動ける重さを最優先に考えましょう。誰かに荷物を分担してもらえないぶん、コンパクトさが命綱になります。先ほどお伝えしたとおり、HIHでは女性なら7kg以下、できれば5kg以下を目安にすることをおすすめしています。軽いほど、いざというときに迷わず持ち出せます。

1人用セットを選ぶときは、水・食料・携帯トイレ・照明・モバイルバッテリーという基本が揃っていれば十分な土台になります。あとは自分の生活パターンに合わせて、常備薬やコンタクト用品、メガネの予備などを足してください。特に持病がある方や、視力矯正が必要な方は、市販セットには絶対に入っていないものですから、ここを忘れないようにしましょう。

家族・2人用以上の選び方

大人用と子ども用の防災リュックを人数分に分けて玄関に並べたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

家族で備える場合のポイントは、「1つの大きなセット」ではなく「人数分の持ち出し体制」を意識することです。家族全員分の荷物を1つのリュックに詰めると、誰も背負えないほど重くなってしまいます。

2人用・3人用といったセットは、水や食料が人数分入っているぶん重くなります。これを大人それぞれが分担して背負えるよう、リュックを分けて用意するのが現実的です。お子さんには、お子さん自身の着替えやおやつ、お気に入りのおもちゃなど「軽くて本人を安心させるもの」を入れた小さなリュックを持たせると、防災教育にもなります。ただし、水や薬といった生命維持に関わるものは、必ず保護者のリュックで一括管理してください。

家族分をまとめて買うと費用がかさみ、保管場所にも困りがちです。一度に完璧を目指さず、まずは1人分ずつ揃えて、少しずつ家族全員分にしていく進め方でも十分です。「買わない理由」をどう乗り越えるかは防災リュックを買わない理由と本当に必要なものの記事でも詳しく触れています。

女性・ペット向けの追加品

女性向けの衛生・防犯用品とペット用の備えを分けて整理したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

標準的な防災セットは成人男性を基準につくられていることが多いため、女性やペットがいる家庭では「追加品」の発想が欠かせません。

女性の場合は、衛生・防犯・プライバシーの3つの視点が大切です。生理用品は本来の用途だけでなく、止血パッドの代わりにもなるので多めに。中身の見えない黒い防臭袋、防犯ブザー、着替え時の目隠しになる大判の布なども役立ちます。

ペットがいるご家庭は、フード・水・予備のリード・トイレ用品・ワクチン証明書のコピーなどを、人間の備えとは別にまとめておきましょう。避難所ではペット用品の支援はほとんど期待できないので、ここは完全に自助の世界です。「うちの子に何が必要か」は飼い主にしか分かりません。

車載用とリュックの使い分け

車のトランクに毛布や携帯トイレなど車載用の備えを積んだイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

意外と見落とされがちなのが、車の中に置いておく防災グッズです。地震や水害は、家にいるときに起きるとは限りません。通勤中や買い物中、車での移動中に被災することも十分あり得ます。

車載用は、リュック型の防災セットとは少し中身を変えるのがコツです。車中泊を想定した毛布や、薄型の携帯トイレ、防臭袋などが特に役立ちます。家用のセットを車に積みっぱなしにすると夏の高温で食品が傷むこともあるので、車載用の備えは、家用のリュックとは分けて考えるのが基本です。

私自身、防災士として300社以上の法人の防災備蓄を支援してきましたが、企業でも個人でも「家にとどまる備え」と「逃げる備え」は別物だと痛感しています。両方をバランスよく整えることが、本当の意味での安心につながります。

まとめ|防災セットのおすすめは自分仕様で完成する

自分仕様に整え玄関にすぐ持ち出せる状態で置かれた防災リュックのイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまで、防災セットのおすすめの選び方を、考え方と世帯別の2つの軸でお伝えしてきました。最後にもう一度、いちばん大切なことをお伝えします。

防災セットは、ランキング上位を買えば終わり、というものではありません。市販のセットはあくまで「出発点」であり、そこに自分仕様を足して完成させるものです。優秀な土台を選び、自分や家族に必要なものを加える。この一手間が、いざというときの「心の余裕」を生みます。

そして私が被災を通していちばん強く感じたのは、道具そのものよりも、備えがあることで生まれる心の余裕の大切さでした。停電の暗闇の中で、備えがあるかないかは、その後の判断や行動に大きな差を生みます。完璧でなくていいので、まずはあなたと家族に合った一歩を、今日から始めてみてください。

まずは、いまのご自宅の備えをチェックしてみましょう。

あなたの防災度チェック

□ 防災セットを「土台」と捉え、自分仕様の追加品を入れている
□ 水・食料は最低3日分(できれば1週間分)を確保している
□ 背負える重さか実際に背負って確認している(女性7kg以下・男性10kg以下が目安)
□ 持ち出し袋が玄関にすぐ持って出られる状態にある
□ 家族全員で避難場所・連絡方法を確認している

チェックで不足が見つかった方は、防災リュックや備蓄品を見直すきっかけにしてください。HIHの防災セットは、福島での被災経験をもとに「本当に役立つもの」を厳選して整理しています。自分仕様に育てる出発点として、よかったらのぞいてみてください。

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この記事で紹介した数量や重さは、一般的な目安です。必要な備えは、家族構成・住まいの環境・地域の災害リスク・持病や介護の有無によって変わります。最新の防災情報は、自治体や国の公式情報も確認しながら、ご家庭に合った形で見直してください。

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 防災セットのおすすめは結局どれを選べばいいですか?

A. 「人気ランキング1位」を選ぶより、自分の世帯や生活に合うかどうかで選ぶのがおすすめです。市販の防災セットは出発点と考え、水・食料・照明・トイレの基本が揃ったものを土台に選び、常備薬やメガネなど自分にしか分からない必需品を足して完成させましょう。

Q. 防災セットは何日分を備えればよいですか?

A. 国の防災情報では、水・食料ともに最低3日分、大規模災害を想定するなら1週間分が望ましいとされています。飲料水は1人1日3リットルが目安です。発災後72時間は人命救助が優先され、行政の物資が届くまで時間がかかるためです。

Q. 家族用の防災セットは1つにまとめてよいですか?

A. 1つにまとめると重くなりすぎて持ち出せなくなるため、おすすめしません。大人それぞれが背負えるようリュックを分け、水や薬など生命維持に関わるものは保護者が一括管理しましょう。子どもには軽くて本人を安心させるものを入れた小さなリュックが向いています。

Q. 市販の防災セットだけで備えは十分ですか?

A. 市販セットはあくまで土台で、それだけでは不十分な場合があります。標準的なセットは成人男性を基準につくられていることが多く、女性用品・ペット用品・常備薬・コンタクトなどは入っていません。自分や家族に必要なものを追加して、初めて備えが完成します。

🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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