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駒ヶ岳噴火とは?北海道の火山史と今すぐできる備え

北海道駒ヶ岳の山体崩壊と津波を象徴した、噴煙と入り江を描いたイメージ

駒ヶ岳噴火とは?北海道の火山史と今すぐできる備え

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「駒ヶ岳噴火」と検索されたということは、ニュースや地名で駒ヶ岳という名前を見かけて、「あの山は噴火したことがあるのかな」「今は危なくないのかな」と気になっている方が多いのかなと思います。じつは「駒ヶ岳」という名前の山は日本に複数あるのですが、噴火の歴史がもっとも色濃く残っているのが、北海道南西部にある北海道駒ヶ岳(渡島駒ヶ岳)です。

この記事では、北海道駒ヶ岳がたどってきた噴火の歴史を、公的資料をもとに振り返りながら、そこから私たちが今日できる備えを防災士の視点で解説します。過去の災害を知ることは、不安をあおるためではありません。同じ被害を繰り返さないために、今の暮らしを見直すきっかけにするためです。

この記事でわかること

・北海道駒ヶ岳がどんな火山で、過去にどんな噴火を起こしてきたか
・1640年の山体崩壊がなぜ津波を生んだのか(メカニズム)
・現在の噴火警戒レベルと、火山防災で今日できる備え

江戸時代の北海道で700人以上が犠牲になった「駒ケ岳噴火津浪」を1分で解説

1640年(江戸時代)、まだ北海道が「蝦夷地」と呼ばれていた頃に起きた大惨事「駒ヶ岳噴火津波」について1分で解説します。
大噴火による山体崩壊、そして海へ流れ込んだ土砂が引き起こした巨大津波。当時の人口規模を考えると、その被害の大きさは計り知れません。もし現代で同じことが起きたら…?防災の知識として、ぜひご覧ください。
毎週、災害知識をお届けしています。

目次

駒ヶ岳噴火とは何だったのか

海辺にそびえる火山の遠景を朝の光で捉えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

駒ヶ岳噴火とは、北海道南西部の活火山「北海道駒ヶ岳」がくり返してきた一連の火山活動のことです。なかでも1640年の噴火は、山体崩壊から津波まで引き起こした、江戸時代以降で最大規模の災害とされています。

まずは、この山がどんな火山なのかというところから見ていきましょう。

北海道駒ヶ岳という火山

海辺にそびえる火山の遠景を朝の光で捉えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

北海道駒ヶ岳は、渡島半島の森町・鹿部町・七飯町にまたがってそびえる火山です。気象庁が24時間体制で見守る「常時観測火山」のひとつに指定されています。地元では渡島駒ヶ岳とも呼ばれますね。

地質の研究によれば、この山が活動を始めたのは約10万年前とされています。マグマの性質は安山岩質で、噴煙を高く吹き上げるプリニー式噴火と呼ばれる激しい爆発を起こすタイプの火山です。今の標高はおよそ1,131メートルですが、もともとは標高約1,700メートルの美しい円錐形の山だったと考えられています。それがなぜ今のような、いくつかのピークを持つ複雑な形になったのか。そこに、この山の噴火の歴史が深く関わっています。

「駒ヶ岳」という名前の山は全国にいくつもあります。秋田駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳、会津駒ヶ岳などですね。この記事で扱うのは、噴火の記録がもっとも豊富な北海道駒ヶ岳です。秋田駒ヶ岳との違いは後ほど触れます。

1640年の大噴火と山体崩壊

山体崩壊で土砂が海へ流れ込み津波が起きる様子を象徴したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

北海道駒ヶ岳の歴史を語るうえで、絶対に外せないのが1640年(寛永17年)の噴火です。約6,000年もの長い休止期を経て、この年に火山活動が再開しました。

記録によれば、激しい山鳴りとともに噴火が始まり、その後に山頂部が大きく崩れ落ちました。これが山体崩壊です。崩れた大量の土砂は「岩屑(がんせつ)なだれ」となって東へと流れ下り、内浦湾(噴火湾)へなだれ込みました。すると、海に流れ込んだ膨大な土砂が海水を一気に押しのけ、大津波が発生したのです。

この津波による犠牲者は、古文書の記録から700人以上にのぼったとされています。津波の規模は、後年の研究で津波マグニチュード7.9〜8.2と推定されています。これは1792年の島原大変肥後迷惑(雲仙)、1741年の寛保津波(渡島大島)に次いで、日本で史上3番目に大きな火山津波災害だったとされています。

福島で東日本大震災を経験した防災士として、私はこの記録を読むたびに胸が締めつけられます。地震がなくても津波が起こりうる。海のそばに住む私たちが、絶対に忘れてはいけない事実だと思うんですね。

江戸から昭和までの噴火記録

火山から高く立ちのぼる巨大な噴煙の柱を捉えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

北海道駒ヶ岳は、1640年だけで終わったわけではありません。その後も噴火をくり返してきました。古文書に残る記録だけでも20数回にのぼるとされ、なかでも1640年・1694年・1856年・1929年の4回は、火砕流をともなう激しい軽石噴火だったと記録されています。

とくに近代でよく知られているのが、1929年(昭和4年)6月17日の大噴火です。噴煙の高さは約13,900メートルにも達したとされ、火砕流が発生しました。この噴火では、お二人の方が犠牲になり、4名が負傷されたと記録されています。家屋の損壊・焼失は約2,000棟とされていますが、被害の数字は資料によって差があります。火山爆発指数(VEI)でいえば「4」にあたる、大規模な噴火でした。

その後、1942年(昭和17年)にも中規模の噴火が起きています。詳しい噴火履歴は、気象庁が公的な記録として公開しています(出典:気象庁『北海道駒ヶ岳 有史以降の火山活動』)。火山の歴史を正確に知りたい方は、一次情報源にあたるのがいちばんですね。

噴火様式主な特徴(公的資料による)
1640年山体崩壊・プリニー式岩屑なだれが内浦湾へ流入し津波発生。溺死者700人以上とされる
1694年プリニー式火砕流をともなう軽石噴火
1856年プリニー式火砕流をともなう軽石噴火
1929年大規模マグマ噴火噴煙高度約13,900m。犠牲者2名。VEI4
1942年マグマ水蒸気噴火山頂火口原に割れ目。VEI2
1996〜2000年水蒸気噴火小規模な降灰。降雨で土石流も発生

平成の活動と現在の警戒レベル

穏やかに噴気を上げる活火山を明るい空の下で捉えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

時代が平成に入ってからも、北海道駒ヶ岳は静かではありませんでした。1996年・1998年・2000年には、いずれも小規模な水蒸気噴火が発生しています。マグマそのものを噴き上げる大噴火ではありませんでしたが、ふもとの町に火山灰が降りました。さらに1996年の噴火のあとには、降り積もった火山灰が雨で流され、土石流が発生したことも記録されています。

では、現在はどうなのか。気になりますよね。2026年時点で、北海道駒ヶ岳の噴火警戒レベルは「1」(活火山であることに留意)です。火山活動はおおむね静穏な状態で経過しているとされています。ただし「レベル1=安全」という意味ではありません。活火山である以上、火口付近では突発的な現象が起こる可能性があるため、立入規制の範囲には入らないことが大切です。

噴火警戒レベル1は「平常」ではなく「活火山であることに留意」という意味です。レベルはあくまで現時点の評価であり、火山活動の状況によって引き上げられることがあります。登山やレジャーの前には、必ず気象庁の最新情報を確認してください。

秋田駒ヶ岳との違い

山頂から穏やかに流れる溶岩を夜に捉えたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「駒ヶ岳 噴火」で調べていると、秋田駒ヶ岳の情報が混ざって出てくることがあります。名前は似ていますが、まったく別の火山なので整理しておきましょう。

秋田駒ヶ岳は、秋田県と岩手県の県境にある火山で、最高峰の男女岳(おなめだけ)は標高1,637メートルです。1970年から1971年にかけて、女岳(めだけ)の山頂からマグマが噴き出し、溶岩が流れ出る噴火が起きました。ただ、この噴火は比較的穏やかで、犠牲者の記録はなく、当時は見物人が集まるほどだったとされています。北海道駒ヶ岳のような山体崩壊や津波とは、性質がかなり違うんですね。同じ「駒ヶ岳」でも、火山ごとにリスクの種類は異なる。これも覚えておきたいポイントです。

駒ヶ岳噴火から学ぶ現代の備え

ここからは、北海道駒ヶ岳の噴火の歴史が、私たちに何を教えてくれるのかを考えていきます。火山は遠い山の話ではなく、備えの考え方そのものを教えてくれる先生のような存在だと、私は思っています。

噴火が津波を起こす仕組み

巨大な土砂が海に落ち水が押しのけられて津波が生まれる仕組みを表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

1640年の災害でいちばん驚かされるのは、地震がないのに津波が起きたという事実です。これはどういう仕組みなのでしょうか。少し「防災理科」的に見てみましょう。

津波というと、海底で起きる大地震によって海の水が持ち上げられる、というイメージが強いと思います。でも、海の水を動かす力は地震だけではありません。1640年のケースでは、崩れ落ちた巨大な山体(その量は1.20立方キロメートルを超えると推定されています)が、猛烈な勢いで海へなだれ込みました。お風呂に大きな石を勢いよく落とすと、水がザバッと縁を越えてあふれますよね。あれと同じことが、はるかに巨大なスケールで起きたわけです。押しのけられた海水が津波となって、対岸の集落を襲いました。

こうした「山が崩れて地形が変わる」現象は、火山のあちこちで見られます。北海道駒ヶ岳の山体崩壊も、その後の地形に大きな影響を残しました。火山活動がどのように湖や地形をつくるのかについては、カルデラ湖のでき方を防災士が解説した記事でくわしく触れていますので、あわせて読んでみてください。

火山灰と複合災害への備え

火山灰が降り積もり雨で流れ出す複合災害の兆しを表したイメージ
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火山の被害は、溶岩や火砕流だけではありません。むしろ広い範囲に影響を及ぼすのが火山灰です。北海道駒ヶ岳でも、噴火のたびにふもとの町へ灰が降り積もりました。

火山灰はとても細かい粒子で、吸い込むと喉や肺を傷め、目に入れば角膜を傷つけることもあります。電子機器に入り込めば故障の原因になり、積もれば停電や断水、交通マヒを引き起こします。さらに、灰が積もったところに雨が降ると、それが流されて土石流になる。1996年の駒ヶ岳でも、まさにこの土石流が起きました。噴火は「ひとつの災害」ではなく、火砕流・噴石・火山灰・土石流・津波と、いくつもの災害が連鎖する複合災害だと理解しておくことが大切です。

火山灰への備えとして、N95規格などの防塵マスクゴーグルを備えておくと安心です。火山灰は風で遠くまで運ばれるため、火山から離れた地域でも降灰の可能性があります。海外の大規模噴火が世界の気候に影響した事例は、タンボラ山噴火が世界を変えた記事でも紹介しています。

前兆を知り早めに避難する

朝の窓辺で防災情報とラジオを確認する人物の後ろ姿のイメージ
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火山防災で希望が持てるのは、火山は前兆を見せてくれることが多い、という点です。地震活動の活発化、山が膨らむ地殻変動、噴気や地熱の変化など、噴火の前にはさまざまなサインが現れることがあります。だからこそ、気象庁をはじめとする多くの機関が、地震計やGPS、カメラなどで火山を24時間見守っているわけですね。

とはいえ、前兆があったからといって被害がゼロになるわけではありません。大切なのは、「いつもと違う」と感じたら早めに動くこと、そして発表される噴火警戒レベルや避難情報に素直に従うことです。「まだ大丈夫だろう」という油断が、避難を遅らせます。これは火山にかぎらず、あらゆる災害に共通する教訓ですね。火山の前兆と避難については、セント・ヘレンズ山噴火から学ぶ記事でも詳しく触れています。

家族と職場でできる火山防災

家族でハザードマップと防災用品を確認する温かい室内のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

では、具体的に今日から何ができるでしょうか。難しく考える必要はありません。順番に確認していきましょう。

まず、自分の住む地域や、よく出かける山のハザードマップを確認すること。火山の場合、火砕流や火山灰の到達範囲があらかじめ示されています。次に、噴火警戒レベルや警報を受け取れるよう、情報の受信手段を複数用意しておくこと。スマホの防災アプリだけでなく、停電に強いラジオもあると心強いです。そして、火山灰に備えたマスク・ゴーグル、数日分の水や食料、携帯トイレといった基本的な備蓄。これは火山にかぎらず、地震や台風にもそのまま役立ちます。

2011年3月11日、私は福島であの揺れを経験しました。あのとき、備えがあった家庭とそうでなかった家庭とでは、その後の暮らしに大きな差が生まれたんですね。「あのとき備えていたら」という後悔をなくしたい。その思いが、私が防災に取り組む原点になっています。

まとめ|駒ヶ岳噴火が教える備え

玄関に整えた防災リュックと出かける準備をする家族を朝の光で捉えたイメージ
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北海道駒ヶ岳の噴火の歴史を振り返ってきました。駒ヶ岳噴火が私たちに残してくれた教訓は、大きく次の3つに整理できます。

駒ヶ岳噴火が教える3つの教訓

地震がなくても津波は起こる:1640年は崩れた山体が海へなだれ込み、津波を生みました。海のそばでは火山も津波の原因になります。
災害は連鎖する(複合災害):噴火は火砕流・火山灰・土石流・津波と次々に形を変えます。ひとつの備えだけでは足りません。
前兆を見て早めに動く:火山は前兆を見せてくれることが多い。「いつもと違う」と感じたら、警戒レベルや避難情報に素直に従うことが命を守ります。

過去の災害は、遠い昔の話ではありません。今日の備えを見直すきっかけにできます。次の章では、この3つの教訓を具体的な行動に落とし込むチェックリストをまとめました。

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

本記事は公的資料をもとに作成していますが、災害の記録は調査の進展により数値が変わることがあります。最新の正確な情報は各省庁・自治体の公式情報をご確認ください。また、掲載内容は特定の個人・団体を批判するものではなく、防災の教訓を共有することを目的としています。

駒ヶ岳噴火が教えてくれた備え

3つの教訓を、今日からの行動に変えていきましょう。下のチェックリストで、あなたの備えを確認してみてください。

あなたの防災度チェック

  • 住んでいる地域・よく行く山のハザードマップを確認している
  • 火山灰に備えた防塵マスク・ゴーグルを用意している
  • 噴火警戒レベルや警報を受け取る手段を複数持っている
  • 持ち出し袋が玄関にすぐ持って出られる状態にある
  • 家族全員で避難場所・連絡方法を確認している

駒ヶ岳噴火の教訓は「逃げる準備は、逃げる前に整える」ことを示しています。HIHの防災リュックは、その「準備」をすぐ始められるように整理しています。

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よくある質問

Q. 駒ヶ岳噴火で最も被害が大きかったのはいつですか?

A. 古文書に記録が残る江戸時代以降では、1640年の噴火が最大とされています。山体崩壊にともなう津波で、700人以上の方が犠牲になったと記録されています。近代では1929年の大噴火が知られています。

Q. 北海道駒ヶ岳は今も噴火する可能性がありますか?

A. 北海道駒ヶ岳は活火山で、2026年時点の噴火警戒レベルは1です。活動はおおむね静穏とされていますが、活火山である以上、将来的な噴火の可能性は否定できません。気象庁が常時観測を続けています。

Q. 駒ヶ岳噴火と秋田駒ヶ岳の噴火は同じですか?

A. 別の火山です。この記事で扱う北海道駒ヶ岳は渡島半島にあり、秋田駒ヶ岳は秋田・岩手県境にあります。秋田駒ヶ岳は1970〜71年に比較的穏やかな噴火を起こしましたが、北海道駒ヶ岳とは性質が異なります。

Q. 火山の噴火に対して家庭でできる備えは何ですか?

A. ハザードマップの確認、火山灰用の防塵マスク・ゴーグルの準備、噴火警戒レベルを受け取る情報手段の確保、数日分の水・食料・携帯トイレの備蓄が基本です。これらは地震や台風の備えにもそのまま役立ちます。

🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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