首都直下地震の被害想定2026|12年ぶり更新と最新の備え完全版

首都直下地震の被害想定2026|12年ぶり更新と最新の備え完全版
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
「首都直下地震って、結局いつ来るんですか」——法人向けの備蓄相談に伺うと、必ずといっていいほど聞かれる質問です。ニュースでは繰り返し取り上げられるのに、いざ自分の備えに落とし込もうとすると、何から手をつければいいのか分からない。そういう方が本当に多いなと感じています。
首都直下地震は「揺れ」よりも「火災」で亡くなる方が多いと想定されており、備えの優先順位は耐震・出火防止・在宅避難・帰宅困難対策の4つです。
実は2025年12月、政府が12年ぶりに被害想定を全面的に見直しました。ネット上に残っている「死者2万3000人」という数字は、もう古い情報です。この記事では、最新の公的資料をもとに、首都直下地震の正体と、今日から始められる備えを整理していきますね。
この記事でわかること
- 首都直下地震とは何か、なぜ「直下型」が危険なのか
- 2025年12月に更新された最新の被害想定(死者約1.8万人・経済被害約83兆円)
- 南海トラフ地震との違いと、備え方の違い
- ライフラインが復旧するまでの現実的な日数
- 対策をすれば被害が何割減るのか、という具体的な数字
首都直下地震とは何かを解説

首都直下地震とは、東京を中心とする南関東の直下で発生が想定されている、マグニチュード7クラスの地震のことです。海のプレート境界ではなく都市の真下で起きるため震源が浅く、揺れが減衰しないまま市街地を直撃します。
「首都直下型地震」と呼ばれることもありますが、内閣府や気象庁の公式な表記は「首都直下地震」です。この記事でも公式表記に合わせて進めていきます。
直下型地震と海溝型地震の違い

地震には大きく分けて2つのタイプがあります。ここを押さえておくと、首都直下地震の怖さがすっと理解できるようになります。
ひとつは海溝型地震。海のプレートが陸のプレートの下に沈み込み、引きずり込まれた陸側が跳ね上がることで起きます。震源が沖合の海底にあるため、規模はM8〜9と巨大になりやすく、津波を伴います。2011年の東北地方太平洋沖地震がこのタイプですね。
もうひとつが直下型地震、専門的には内陸地殻内地震と呼ばれるものです。陸のプレート内部にたまったひずみが、断層のずれとして解放されて起きます。震源の深さは地下数km〜20km程度と非常に浅く、真上の地域が集中的に揺さぶられます。
なぜ浅いと怖いのか
地震の揺れは、震源から遠ざかるほど地面の中で減衰していきます。震源が深ければ、地表に届くころには揺れがかなり弱まっている。ところが震源が浅いと、減衰する距離そのものがないまま、エネルギーがほぼそのまま地表に到達します。だからM7でも震度7になり得るのです。
地震が起こる仕組みそのものについては、世界の地震とプレートの仕組みをわかりやすく解説で図解も交えて説明していますので、もう少し掘り下げたい方はあわせて読んでみてください。
都心南部直下地震とはどこか

ここでひとつ、混乱しやすいポイントを整理しておきます。「首都直下地震」というのは、実はひとつの特定の地震を指す名前ではありません。南関東の直下で起こりうるM7クラスの地震群の総称です。
そのうえで、政府が対策を検討する際の代表ケースとして選んでいるのが都心南部直下地震です。2025年12月に公表された最新の被害想定でも、この地震が中心に据えられました。理由は「首都中枢機能への影響が最も大きい地震」だからとされています。
関東地方の地下は、地球上でもかなり特殊な構造をしています。陸側の北米プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に太平洋プレートが沈み込む——いわば三層構造になっているんですね。この複雑さが、関東で地震が多い理由のひとつとされています。
都心南部直下地震は「次に必ず起こる地震」ではありません。内閣府も報告書のなかで、想定に用いた地震が次に必ず発生するというものではない、とはっきり断っています。あくまで対策を立てるための代表的なシナリオとして理解しておくのが正確です。
なお、都心南部直下地震のような内陸直下型では、大きな津波は想定されていません。ただし政府は津波対策の対象として、延宝房総沖地震タイプと大正関東地震タイプの地震を別途想定しています。沿岸部にお住まいの方は、この2つも念頭に置いて自治体のハザードマップを確認しておくと安心です。
首都直下地震はいつ来るのか

おそらく最も検索されているのが、この「いつ」でしょう。
政府の地震調査研究推進本部によれば、南関東地域の直下でプレートの沈み込みに伴うM7程度の地震が発生する確率は、今後30年間で70%程度と評価されています。
ただ、この「70%」という数字、少し注意して受け取ってほしいんです。よくある誤解が2つあります。
ひとつは「30年後に来るという意味だ」という誤解。違います。今日かもしれないし、29年後かもしれない、その全期間をならした確率です。もうひとつは「残り30%は安全ということだ」という誤解。これも違って、30年を超えた先に起こる可能性が残っているだけの話です。
確率の数字は、備えるかどうかを決める材料にはなりますが、いつ備えるかを先延ばしする理由にはなりません。「70%」は「かなり高い」と受け止めて、今日できることから手をつける。それが防災士としての率直な感覚です。
最新の被害想定と震度分布

ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。2025年12月19日、政府の中央防災会議が12年ぶりに被害想定を更新しました。
政府が首都直下地震の被害想定を見直したのは、2013年12月以来12年ぶりです。この12年間に進んだ住宅の耐震化と火災対策の効果が、そのまま数字に反映される形になりました。
都心南部直下地震(M7クラス)が冬の夕方、風速8m/sの条件で発生した場合の想定は次のとおりです。
| 項目 | 最新想定(2025年12月) | 前回想定(2013年12月) |
|---|---|---|
| 死者 | 約1万8000人 | 約2万3000人 |
| 建物の全壊・焼失 | 約40万棟 | 約61万棟 |
| 避難者 | 最大約480万人 | 約720万人 |
| 帰宅困難者 | 約840万人 | 約800万人 |
| 経済的被害 | 約83兆円 | 約95兆円とされていました |
| 災害関連死 | 約1.6万〜4.1万人 | — |
数字だけ見ると、前回より減っています。これはこの10年間の耐震化や火災対策が確実に効いた結果です。ただ、政府が掲げていた「10年でおおむね半減」という減災目標には届かず、死者で3割強、建物被害で約4割の軽減にとどまりました。
震度分布については、都心南部直下地震はフィリピン海プレート内で発生するモーメントマグニチュード7.3の地震とされ、東京都江東区で震度7、埼玉県・東京都・神奈川県にまたがる範囲で震度6強、茨城県を含む1都4県で震度6弱になると想定されています。詳細な震度分布図や都県別の内訳は公的資料で公開されていますので、ご自身の地域を確認したい方はそちらをご覧ください(出典:内閣府『首都直下地震対策』)。
内閣府はこの被害想定について「マクロの被害を把握する目的で実施しており、ある程度幅をもって見る必要がある」と明記しています。地域単位の数値は、使うデータや手法によって大きく変動する可能性があるとされています。数字の一人歩きには気をつけたいところですね。
南海トラフ地震との違いを比較

「南海トラフと首都直下、どっちがヤバいんですか」——これもよく聞かれます。結論から言うと、どちらが上かではなく、性格がまったく違う災害なので、備え方も変わります。
| 比較項目 | 首都直下地震 | 南海トラフ巨大地震 |
|---|---|---|
| 地震のタイプ | 都市の直下・震源が浅い | 海溝型・震源域が広大 |
| 想定規模 | M7クラス | M8〜9クラス |
| 被害の中心 | 建物倒壊と市街地火災 | 津波と広域の長期断水 |
| 被害の範囲 | 1都3県に集中 | 東海から九州まで広域 |
| 緊急地震速報 | ほぼ間に合わない | 数十秒の猶予があり得る |
| 事前の情報 | 臨時情報の仕組みはない | 南海トラフ地震臨時情報がある |
| 備えの軸 | 耐震・家具固定・出火防止・帰宅困難 | 避難行動・長期備蓄 |
大きな違いは「逃げる時間があるかどうか」です。南海トラフのような海溝型では、揺れを感じてから津波が来るまでに動ける時間が残されている場合があります。一方、直下型は速報が鳴ったときにはもう揺れている。揺れ始めてからできることは、ほとんどありません。
つまり首都直下地震では、結果のほぼすべてが「揺れる前」に決まるということです。ここが備えの設計思想を大きく変えるポイントになります。
首都直下地震への備えと対策

首都直下地震への備えは、闇雲に物を揃えることではありません。被害想定の内訳を細かく見ていくと、どこに手を打てば最も多くの命が助かるのかが数字ではっきり示されています。
ここからは実践編です。最新の被害想定には「希望の数字」もセットで載っています。対策をどこまで進めれば被害がどれだけ減るのか。その根拠を示しながら、優先順位に沿って整理していきますね。
直下型の揺れ方と身の守り方

直下型地震の揺れは、海溝型とはまったく体感が違います。
地震波には、先に伝わるP波(初期微動)と、あとから来るS波(主要動)があります。震源が遠ければこの2つに時間差が生まれ、それが緊急地震速報の猶予になります。ところが震源が真下にあると、P波とS波がほぼ同時に到達する。
だから直下型では、多くの体験者が「下からドンと突き上げられ、その直後に激しく横に揺さぶられた」と表現するんですね。揺れ方の違いについては地震の縦揺れと横揺れどっちが危ない?仕組みと対策で詳しく解説しています。
では、この一瞬で何ができるのか。正直に言えば、できることは限られています。だからこそ効いてくるのが、事前の対策です。
| 対策 | 現状の実施率 | 実施率100%になった場合 |
|---|---|---|
| 住宅の耐震化 | 約90%/揺れによる全壊 約11.2万棟 | 全壊 約1.5万棟 |
| 家具の転倒・落下防止 | 約36%/死者 約1100人・重傷 約6700人 | 死者 約200人・重傷 約2600人 |
家具の固定だけで、屋内の落下物による死者が5分の1以下になると試算されているわけです。実施率75%の段階でも死者は約500人まで下がるとされています。全員が完璧にやらなくても、数が増えるだけで結果が変わる——この構造は知っておいて損がないと思います。
2011年3月11日、私は福島市の事務所であの揺れを経験しました。自宅に戻ると家具が倒れ、壁にはヒビが入っていました。家族は無事でしたが、あのとき固定していたかどうかで結果が変わっていた可能性は十分にあります。数字で語られる「1100人」は、そういう一つひとつの家庭の集積なんだと思っています。
火災による被害が最大の脅威

ここが、この記事でいちばん強調したい部分です。
首都直下地震というと、多くの方が「ビルや家が倒れる」イメージを持たれます。でも最新の想定を細かく見ると、死因の内訳がまったく違う顔をしていることが分かります。
| 死因 | 冬・深夜 | 夏・昼 | 冬・夕 |
|---|---|---|---|
| 建物倒壊等 | 約7300人 | 約4200人 | 約5300人 |
| 地震火災 | 約3700人 | 約600人 | 約1万2000人 |
| 屋外落下物・ブロック塀 | 約10人 | 約100人 | 約400人 |
| 合計 | 約1万1000人 | 約5000人 | 約1万8000人 |
冬の夕方——つまり暖房や調理で火を使う人が最も多い時間帯——では、死者約1万8000人のうち約1万2000人、およそ3分の2が火災によるものと想定されています。深夜だと倒壊が上回るのに、夕方になると逆転する。時間帯によって死因の主役が入れ替わるんですね。
そして、この火災に対する最も効果的な対策も、はっきり数字で示されています。
| 感震ブレーカー設置率 | 焼失棟数 | 火災による死者 |
|---|---|---|
| 20%(現状) | 約26万8000棟 | 約1万2000人 |
| 50% | 約19万3000棟 | 約8700人 |
| 100% | 約7万4000棟 | 約3400人 |
感震ブレーカーとは
一定以上の揺れを感知すると、自動的に電気を遮断する装置です。地震火災の大きな原因のひとつが「通電火災」——停電が復旧したときに、倒れた電気ストーブや傷んだコードから出火するケース。避難して家に誰もいない状態で火が出るため、初期消火ができません。感震ブレーカーは、これを断ち切るための装置です。
数千円のコンセントタイプから設置できるものもあります。首都直下地震の対策として、費用対効果という意味では最上位クラスだと思っています。
ライフライン復旧日数の目安

「何日分備えればいいですか」に答えるには、復旧までにどれだけかかるのかを知る必要があります。最新の想定では、次のように見込まれています。
| ライフライン | 被災直後 | 1週間後 | 復旧の目安 |
|---|---|---|---|
| 電力 | 約1649万軒停電(約52%) | 約69万軒(2%) | 発電所の復旧に1か月程度 |
| 上水道 | 約1381万人断水(約29%) | 約742万人(16%) | 1か月程度 |
| 都市ガス | 約141万戸停止 | 約109万戸 | 最大約5週間 |
| 固定電話・ネット | 約757万回線不通(約51%) | 約36万回線(2%) | 最大約1週間 |
| 携帯電話(停波基地局率) | 3% | 2% | 最大約1週間 |
この表で、ぜひ注目していただきたい数字があります。携帯電話の停波基地局率です。被災直後は3%なのに、1日後には51%まで跳ね上がります。
理由は単純で、基地局の非常用バッテリーが尽きるからです。つまり「地震直後はスマホが使えたのに、翌日に使えなくなる」という順序で通信が途絶える。多くの方がイメージしている「最初がいちばんひどくて、あとは良くなる一方」という復旧曲線とは、まるで違うんですね。
停電も同様です。電力そのものは1週間後には物理的な被害分だけになりますが、発電所の復旧には1か月程度を要し、その間は計画停電などの需要抑制が想定されています。「1週間で元通り」ではないということです。
私自身、東日本大震災のときは福島で停電が2〜3日、断水が2日、スーパーの再開まで1週間かかりました。ガソリンスタンドには3日連続で毎回6時間ほど並びました。当時の福島でそれです。人口が桁違いに集中している首都圏で「1か月程度」という数字が並んでいることの重さは、経験した立場からすると、かなりのものだと感じます。
食料についても、避難所避難者向けだけで発災後1週間に最大約1300万食が不足すると想定されています。さらに在宅避難者向けには、発災後3日間だけで約5600万食が要対策量として算出されました。公助だけでは埋まらない量です。だからこそ家庭備蓄が「自助」と呼ばれるのだと思います。
防災用品を一つずつ揃えるのが難しい方へ。HIHでは、福島の被災経験と防災士の視点をもとに考えた防災リュックを楽天市場で販売しています。
楽天市場でHIH防災リュックを見る →

帰宅困難者と72時間の壁

首都直下地震が他の災害と決定的に違うのが、この帰宅困難者の問題です。
平日の昼に地震が発生し、公共交通機関が全域で停止した場合、一時的にでも外出先に滞留する人は東京都市圏で約1600万人。そのうち当日中に徒歩でも帰宅できない帰宅困難者は約840万人(東京都だけで約480万人)と想定されています。
さらに深刻なのが内訳です。このうち「行き場のない人」が約160万人。職場や学校自体が被災した方、移動の途中で被災した方などです。そして行き場のない方のうち、70歳以上の高齢者が約68万人、妊婦や乳児連れの方が約9万人含まれるとされています。
ここで大切なのが「むやみに帰らない」という原則です。一斉に徒歩帰宅が始まると道路が人で埋まり、救急車や消防車が通れなくなります。倒壊した建物の下には約4.4万人の自力脱出困難者がいると想定されている状況で、救助の車が動けなくなる——これは救えるはずの命が救えなくなることを意味します。
とはいえ、頭で分かっていても実際にその場に立つと難しいものです。私も2011年3月11日、家族の安否が確認できず、車で自宅へ向かいました。普段10分の道のりに40分かかりました。「帰らない」という判断が正しいと知っていることと、その場で実行できることは別なんですよね。
だからこそ、平時のうちに家族で決めておくことが効いてきます。「その日は帰らない」「災害用伝言ダイヤルで連絡を取る」「学校には迎えに行かず待機してもらう」——こうした取り決めがあるだけで、判断の負荷が大きく下がります。
実際の場面でどう判断するかを試してみたい方は、地震シミュレーションゲーム|3日間の行動を体験で、帰宅困難のシナリオも含めて選択を体験できるようにしています。家族で同じ画面を見ながら試すと、会話のきっかけになりますよ。
首都直下地震の備えチェックリスト

ここまでの内容を、今日から動ける形に落とし込みます。首都直下地震の備えは、耐震・出火防止・在宅避難・帰宅困難対策という4つの優先順位で考えると迷いません。
【耐震】揺れる前に決まることへの対策
- 寝室と居間の背の高い家具を固定する(L字金具・突っ張り棒)
- 寝ている位置の頭上に、倒れてくるものがないか確認する
- ガラスに飛散防止フィルムを貼る
- 住宅の耐震性を確認する(1981年5月以前に建てられた旧耐震基準の建物は特に)
【出火防止】火災を出さないための対策
- 感震ブレーカーを設置する
- 消火器の期限を確認する
- 避難時にブレーカーを落とす手順を家族で共有する
- ストーブの周囲に燃えやすいものを置かない
【在宅避難】ライフライン停止への備え
- 水を1人1日3L×最低3日分、できれば1週間分
- 食料を最低3日分、できれば1週間分(ローリングストック)
- 携帯トイレを1人1日5回×日数分
- 照明(懐中電灯・ランタン)を部屋ごとに
- モバイルバッテリーを満充電で保管(1日後の通信途絶に備える)
- カセットコンロとボンベ
【帰宅困難対策】外で被災したときの備え
- 家族の集合場所と連絡手段を決めておく(災害用伝言ダイヤル171など)
- 勤務先に「3日分の備蓄があるか」を確認する
- 職場のロッカーにスニーカー・ライト・携帯トイレを置く
- 徒歩帰宅ルートを一度歩いてみる(10km未満なら現実的な選択肢に)
防災リュックの重さについても触れておきます。一般的には男性15kg・女性10kgが目安とされますが、HIHでは男性10kg以下・女性7kg以下、できれば男性8kg以下・女性5kg以下を推奨しています。理由は単純で、道路が瓦礫や人で埋まった市街地では、重い荷物は避難そのものを妨げるからです。
そしてもう一点。首都直下地震では、頭部を守ることの優先度が特に高くなります。市街地では看板やガラス、外壁の落下が想定され、屋外落下物による死者も約400人と見積もられています。折りたたんで持ち歩けるタイプもありますので、通勤鞄に入る防災ヘルメット「ボウメット」の詳細と使い方もあわせて確認してみてください。
最後に、いちばん大事なことを。今回の被害想定には、対策をすべて進めた場合の試算も載っています。感震ブレーカー設置率100%・住宅耐震化率100%・企業のBCP策定率100%を達成した場合、経済被害は82.6兆円から34.2兆円へ、およそ60%減少するとされています。
内閣府自身が報告書のなかで「今回の被害想定に何ら悲観することなく」と書いています。私はこの一文が、この報告書でいちばん大切な部分だと思っています。被害想定は絶望するための数字ではなく、減らせる余地を示した数字です。
不安を煽られて何もできなくなるより、家具を1つ固定するほうがずっと意味があります。首都直下地震への備えは、そういう地道な積み重ねでしか進みません。今日はどれかひとつ、できることから始めてみてください。
数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 首都直下地震はいつ来ると言われていますか?
A. 政府の地震調査研究推進本部は、南関東地域の直下でM7程度の地震が発生する確率を今後30年間で70%程度と評価しています。ただしこれは「30年後に来る」という意味ではなく、今日を含む30年間をならした確率です。発生時期を予知する技術は現時点で存在しません。
Q. 首都直下地震の最新の被害想定はどうなっていますか?
A. 2025年12月19日に12年ぶりに更新され、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者約1万8000人、建物の全壊・焼失約40万棟、経済被害約83兆円と想定されました。前回2013年の想定(死者約2万3000人)より減少していますが、目標としていた半減には届いていません。
Q. 首都直下地震では津波の心配はありますか?
A. 都心南部直下地震のような内陸直下型では、大きな津波は想定されていません。ただし政府は津波対策の対象として、延宝房総沖地震タイプと大正関東地震タイプの地震も別途想定しています。沿岸部にお住まいの方は自治体のハザードマップで確認してください。
Q. 首都直下地震の備えで最優先すべきことは何ですか?
A. 住宅の耐震化と家具の固定、そして感震ブレーカーの設置です。直下型は緊急地震速報が間に合わないため、揺れ始めてからできることがほとんどありません。特に感震ブレーカーは、設置率が100%になれば火災による死者が約1万2000人から約3400人に減ると試算されています。
🛡️ 防災士監修記事
後藤 秀和(ごとう ひでかず)
防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得し、防災ブランド HIH(エイチアイエイチ/Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。



