MENU

災害時の現金はいくら?1人1万円が目安の備え方【保存版】

停電の暗い玄関で、ランタンの光に照らされた防災リュックの現金と小銭

災害時の現金はいくら?1人1万円が目安の備え方【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

最近はスマホひとつで買い物ができるので、財布に現金がほとんど入っていない、という方も多いかなと思います。経済産業省の公表では、2025年のキャッシュレス決済比率(国内指標)は58.0%まで伸びています。とても便利な一方で、大きな災害が起きたときに「現金がなくて何も買えない」という状況は、実際に何度も起きてきました。

この記事では、災害時に現金をいくら用意すればいいのか、何に使うのか、どこにどう置いておくのかを、防災士の視点でまとめました。

この記事でわかること

  • 災害時に現金が必要になる理由と、キャッシュレスが止まる仕組み
  • 1人あたり・家族の人数別に見た現金の目安
  • 財布・防災ポーチ・防災リュック・自宅に分けて置く金額
  • 通帳やカードをなくしても預金を引き出す方法
目次

災害時の現金はいくら必要か目安を解説

停電の夜に、防水袋に入れた非常用の現金と小銭を確認する手元
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

災害時の現金とは、停電や通信障害でカード・電子マネー・ATMが使えなくなった時に、食料や交通費などを支払うため手元に用意しておくお金のことです。

結論からいうと、防災リュックには1人1万円前後を千円札と小銭で入れ、自宅にも別に備えておくのがHIHの目安です。

ここからは、なぜその金額なのかを順番に見ていきますね。

災害時に現金が必要になる理由

停電中の商店で電卓と小銭トレーを使って会計するレジ台のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

現金は、昔から非常持出品の定番です。消防庁も、備えておきたい非常持出品として、現金・通帳・マイナンバーカードなどを挙げています(出典:消防庁『防災危機管理eカレッジ 事前の備えチェック』)。

キャッシュレスが当たり前になった今でも、現金が必要になる理由は主に次の3つです。

  • 停電や通信障害でカード・電子マネー・コード決済が使えなくなる
  • ATMも止まり、口座にお金があっても引き出せなくなる
  • スマホの電池を、決済ではなく連絡と情報収集に回したい

支援物資は届くまでに時間がかかりますし、すべてが無料で手に入るわけでもありません。お店が再開しても、しばらくは現金のみの販売になることがあります。発災直後の数日間は、手元の現金が食料や飲み物を買えるかどうかを左右する、と考えておくといいかなと思います。

具体的には、次のような場面で現金が必要になります。

使う場面具体例あると助かるお金
食料・飲み物営業を再開したお店や自動販売機での購入千円札・100円玉
帰宅・移動電車が止まったときのタクシー・バス千円札
燃料車のガソリン、カセットボンベ千円札
連絡公衆電話10円玉・100円玉
生活用品電池・衛生用品・生理用品などの買い足し千円札・100円玉

停電でキャッシュレスが止まる仕組み

停電で画面が消えた決済端末とスマートフォンが、電気と通信が止まった状態を表すイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここは少し「防災理科」の話です。キャッシュレス決済は、お店でピッとするだけの一瞬に見えますが、実はその裏で3つのものが同時に動いています。

  1. 電気:お店のレジや読み取り端末を動かす電気
  2. 通信:カード会社や決済会社のサーバーに「この支払いをしてよいか」を確認する通信
  3. スマホの電池:コード決済やスマホのタッチ決済の場合は、利用者側のスマホの電池

このうちひとつでも止まると、決済は完了しません。ATMも同じで、電気と通信がなければお金を出せない仕組みです。つまり、大規模な停電が起きると、口座にいくらお金があっても、手元の現金しか使えない時間が生まれます。

実際に2018年の北海道胆振東部地震では、ほぼ北海道全域の約295万戸が停電しました。停電の99%が解消するまでに、約50時間かかったとされています。この間、レジや決済端末が使えず、現金のみで販売するお店もあったと伝えられています。

2011年の東日本大震災では、東北電力管内で約466万戸、東京電力管内で約405万戸が停電しました。東北電力管内は3日で約80%が解消したものの、全面復旧は6月18日と記録されています。2011年3月11日、私は福島で東日本大震災を経験しました。あの日を経験したからこそ、電気が止まると普段の「当たり前」が一気に通じなくなる、その重さを強く感じています。

停電そのものへの備えについては、停電に備える家庭の対策と必要なものでまとめているので、あわせて確認してみてください。

1人いくら必要か何日分で考える

実は、公的機関が「災害時の現金は1人いくら」と明確に示した基準はありません。ネットで調べると「1人1〜2万円」「2万円」「1人3万円」「1人5〜10万円」など、情報源によってかなりばらつきがあります。

そこでおすすめしたいのが、何日分を、何に使うのかから逆算する考え方です。家庭の食料備蓄は、以前は3日分が目安とされてきましたが、内閣府の防災情報では、広い地域が被災する災害に備えて1週間分が望ましいとされています。お金も同じように、次の2段階で考えると決めやすくなります。

期間想定する状況主な使い道
発災直後〜3日停電・通信障害で決済が止まり、避難や帰宅が必要になる食料・飲み物・移動・公衆電話
4日目〜1週間一部のお店が再開するが、停電や現金のみの販売が続く地域もある食料・燃料・生活用品の買い足し

最初の3日間は、持ち出せる現金で乗り切る期間です。4日目以降は、自宅に残しておいた現金で、停電が長引いた場合の買い物や燃料をまかなう期間と考えます。

このように分けると、「全部を防災リュックに入れる」必要はないことがわかりますね。持ち歩く分・持ち出す分・家に置く分に分けるのが、現実的な備え方かなと思います。

家族の人数別に見る現金の目安

家族の人数分の防災リュックに、それぞれ非常用の現金を入れる様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

上の考え方をもとに、HIHとしての目安を人数別にまとめました。防災リュックには避難直後の分を、自宅には1週間を見据えた分を置くイメージです。

家族の人数防災リュック(避難直後の2〜3日分)自宅保管(1週間を見据えた分)合計の目安
1人1万円前後2〜3万円3〜4万円
2人2万円前後4〜6万円6〜8万円
4人4万円前後8〜12万円12〜16万円

小さなお子さんがいる家庭は、ミルクやおむつの買い足し、車の移動が多い地域はガソリン代を多めに見ておくと安心です。逆に、自宅の備蓄品が十分にある家庭は、自宅保管の現金を少なめにしても大丈夫です。お子さんの分は大人より少なめでもかまいません。家庭の事情に合わせて調整してください。

大切なのは、金額の正解を探すことより、「わが家はいくら」と一度決めて、実際に用意しておくことです。決めずにいると、結局いつまでも用意しないまま、ということになりがちなので。

千円札と小銭の内訳と組み合わせ

千円札と500円玉・100円玉・10円玉を種類ごとに並べた非常用現金の内訳
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

災害時の現金は、金額と同じくらい内訳が大事です。停電中のお店は電卓と手書きで対応することもあり、釣り銭が足りなくなりやすいからです。1万円札だと、お釣りが出せずに使いにくい場面があります。

防災リュックに1万円を入れる場合の内訳の例は、次のとおりです。

種類枚数金額主な用途
千円札8枚8,000円食料・移動・燃料
500円玉2枚1,000円自動販売機・少額の買い物
100円玉8枚800円自動販売機・公衆電話
10円玉20枚200円公衆電話
合計10,000円―

10円玉は、消防庁のチェックシートでも公衆電話用として挙げられています。大きな災害では、NTTが公衆電話を無料にすることもあります。北海道胆振東部地震では、北海道全域の公衆電話(約5,800台)が無料で使えるようになりました。ただし、いつも無料になるとは限らないので、10円玉は少し持っておくと安心ですね。

小銭を入れすぎると、リュックや財布が重くなります。10円玉は1枚約4.5gなので、20枚で約90gです。持ち運べる量にとどめておきましょう。

災害時の現金をいくらどこに置くか

現金は、一か所にまとめて置かないのが基本です。災害はいつ、どこにいるときに起きるかわかりません。持ち歩く分・持ち出す分・家に置く分の3つに分けておくと、どの場面でも現金がゼロになるのを防げます。

置き場所HIHの目安想定する場面
財布・防災ポーチ非常用に5,000円程度+小銭外出先で被災し、帰宅するまで
防災リュック1人1万円前後自宅から避難した直後の2〜3日
自宅の保管1人2〜3万円停電が長引いたときの買い物・燃料

防災ポーチと財布に入れる金額

外出中の女性がバッグの防災ポーチに入れた非常用の小銭を確認する手元
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

通勤・通学中や買い物中に被災すると、頼りになるのは持ち歩いているお金だけです。普段キャッシュレス中心の方も、財布や防災ポーチに非常用として5,000円程度と小銭を入れておくのがおすすめです。

内訳の例は、千円札4枚、500円玉1枚、100円玉4枚、10円玉10枚で、ちょうど5,000円になります。帰宅までの飲み物や食事、公衆電話、バスやタクシーの一部に使える金額です。防災ボトルに入れて持ち歩く場合も、同じく5,000円程度と小銭が目安です。

このお金は「使わないお金」として、普段の支払いとは分けておくのがポイントです。小さなチャック付きの袋に入れて、財布やポーチの内ポケットにしまっておくと、うっかり使ってしまうのを防げます。防災ポーチにほかに何を入れるかは、防災ポーチの中身と最低限そろえたいもので詳しく紹介しています。

防災リュックに入れる現金の目安

玄関の防災リュックの内ポケットに、防水袋の現金をしまう手元
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

防災リュックには、1人1万円前後を千円札と小銭で入れておくのがHIHの目安です。家族の分をまとめて1つのリュックに入れるより、それぞれのリュックに分けて入れておくと、家族が別々に避難した場合でも困りません。現金以外の中身の選び方は、防災リュックの中身と最低限必要なものを参考にしてみてください。

あわせて、次のものも同じ袋に入れておくと、避難後の手続きがぐっと楽になります。

  • 預金通帳やキャッシュカードの番号を控えたメモ(またはコピー)
  • 運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証のコピー
  • 家族の連絡先を書いた紙

現金・身分証のコピー・連絡先をひとつの防水袋にまとめておけば、持ち出し忘れも防げます。

防災用品を一つずつ揃えるのが難しい方へ。HIHでは、福島の被災経験と防災士の視点をもとに考えた防災リュックを楽天市場で販売しています。
楽天市場でHIH防災リュックを見る →

福島の被災経験から生まれたHIH防災リュックを楽天市場で見る

現金の入れ物と盗難を防ぐ保管法

雨の日の室内で、水滴をはじく防水ケースに入れた非常用の現金
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

災害時の現金は、入れ物と置き方にも工夫が必要です。消防庁も、持出品の現金は盗難のおそれがあるので注意するよう呼びかけています。

入れ物は、次の3つを満たすものを選ぶといいかなと思います。

  • 防水:雨や浸水でお札が濡れないよう、チャック付きの袋や防水ケースに入れる
  • 目立たない:「現金」と書いた袋や財布のまま入れず、リュックの内ポケットなど外から見えない場所へ
  • 分散:1か所にまとめず、リュック・財布・自宅の複数の場所に分ける

自宅に保管する分も、玄関の持ち出し袋の近くなど、すぐに持ち出せる場所が基本です。ただし、高額を自宅に置きすぎると、火災や浸水でなくしてしまうリスクもあります。自宅に置くのは1週間を見据えた分にとどめて、それ以上は預金のままにしておくほうが安心です。

お札が破れたり燃えたりしても、すぐにあきらめる必要はありません。日本銀行では、表と裏の両面があることを条件に、残っている面積が3分の2以上なら全額、5分の2以上3分の2未満なら半額で新しいお札と引き換えています。

通帳がなくても預金を引き出す方法

窓口で身分証を提示して本人確認を受ける手元のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「家が被災して、通帳もキャッシュカードもなくしてしまったら…」と不安になる方もいるかもしれません。でも、大きな災害のときには、金融機関が特別な対応をしてくれる仕組みがあります。

災害救助法が適用された地域では、財務局と日本銀行が金融機関に「金融上の措置」を要請します。その中には、次のような内容が含まれています。

  • 通帳や預金証書をなくしても、本人であることが確認できれば払い戻しに応じる
  • 届出の印鑑がない場合は、拇印で応じる
  • 事情によっては、定期預金の期限前の払い戻しに応じる

このとき大事になるのが、本人確認ができるものです。運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証を持ち出せるようにしておきましょう。銀行名・支店名・口座番号を控えたメモがあると、手続きもスムーズになります。

払い戻しの方法や上限額は、金融機関や災害の状況によって異なります。被災したときは、各金融機関の店頭掲示やホームページで案内を確認してください。

災害時の現金はいくら備えるかのまとめ

朝日が差し込む窓辺に置いた、現金入りの防災リュック
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

災害時の現金は、防災リュックに1人1万円前後、財布や防災ポーチに5,000円程度、自宅に1人2〜3万円を目安に、千円札と小銭で分けて備えておくのがHIHの考え方です。

キャッシュレスは便利ですが、電気と通信が止まれば使えません。あの日を経験した防災士として、「お金はあるのに買えない」という状況だけは避けてほしいと思っています。

今日からできるチェックリストです。

  • 財布や防災ポーチに、非常用の5,000円と小銭が入っている
  • 防災リュックに、1人1万円前後を千円札と小銭で入れている
  • 10円玉を公衆電話用に用意している
  • 通帳・身分証のコピーや口座番号のメモを持ち出し袋に入れている
  • 現金を防水の袋に入れ、複数の場所に分けている

一つでも抜けていたら、今日のうちに用意してみてください。小さな準備ですが、いざというときの安心がまったく違います。

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 災害時に現金はいくら必要ですか?

A. 公的機関が示した明確な基準はありませんが、HIHでは防災リュックに1人1万円前後、自宅に1人2〜3万円を目安にしています。何日分を何に使うかから逆算し、千円札と小銭で用意するのがおすすめです。

Q. 防災ボトルに入れる現金はいくらが目安ですか?

A. 防災ボトルや防災ポーチなど持ち歩き用には、非常用として5,000円程度と小銭が目安です。外出先から帰宅するまでの飲み物や食事、公衆電話に使える金額を想定しています。

Q. 災害時は現金と小銭のどちらが必要ですか?

A. どちらも必要です。停電中のお店は釣り銭が不足しやすいため千円札が使いやすく、公衆電話や自動販売機には10円玉や100円玉が役立ちます。

Q. 災害時に備えて自宅に現金はいくら置けばいいですか?

A. HIHでは1人2〜3万円を目安にしています。高額を置きすぎると、盗難や火災・浸水でなくすリスクがあります。自宅には1週間を見据えた分にとどめ、残りは預金にしておくと安心です。通帳をなくしても、本人確認ができれば払い戻しに応じる仕組みがあります。


🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得し、防災ブランド HIH(エイチアイエイチ/Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

一人暮らし向けの1人用防災リュックを背負った女性と商品画像を配置したHIH防災セットのLPバナー
夫婦・カップル向けの2人用防災セットを背負った男女と「大切な人と一緒に乗り越える備え。」のバナー
法人・団体向け防災対策として、企業が従業員に防災リュックを配布している様子を表したHIHの防災セット案内バナー

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

目次