MENU

盛り土とは?危険な理由と調べ方3ステップ【保存版】

夕焼けの空の下、住宅地の高台を支える盛り土の斜面を見上げたイメージ

盛り土とは?危険な理由と調べ方3ステップ【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

2026年9月の台風25号では、千葉県で盛り土が崩れ、住宅地が水につかる被害が報じられました。ニュースを見て、「うちの近くにも盛り土ってあるのかな」と気になった方も多いのではないでしょうか。

盛り土は、あるだけで危険な土地ではなく、自宅の近くにあるかを調べて大雨の前に動けるようにしておくことが大切です。

この記事でわかること
・盛り土の意味と、切土との違い
・雨で盛り土が崩れやすくなる仕組み
・盛土規制法のポイントと、福島県・福島市の状況
・自宅周辺の盛り土を、地図で調べる手順
・大雨の前に決めておきたい避難の判断

2011年3月11日に福島で東日本大震災を経験した防災士として、「足もとの地面のことを知っておく」大切さを、できるだけやさしくお伝えしますね。

目次

盛り土とは何か危険な理由と仕組み

土を積んで平らにした宅地造成地の盛り土のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

盛り土とは、土地の高さを上げたり平らにしたりするために、ほかの場所から運んだ土を積み重ねてつくった地盤のことです。漢字は「盛土」とも書きます。法律の名前などでは「盛土」が使われますが、意味は同じです。

家を建てる土地や道路をつくるとき、日本では盛り土が広く使われてきました。きちんとつくられた盛り土は、暮らしを支える大切な土木技術です。一方で、つくり方や管理に問題があると、大雨や地震のときに崩れる危険が出てきます。まずは基本から見ていきましょう。

盛り土と切土の違いをやさしく解説

山を削った切土と土を積んだ盛り土を並べて見せた造成地のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

土地を平らにする工事には、大きく2つの方法があります。ひとつが、土を積み上げる「盛り土」。もうひとつが、山や斜面を削る「切土(きりど)」です。宅地をつくるときは、この2つを組み合わせるのが一般的とされています。

項目盛り土切土
つくり方土を運んで積み重ねる山や斜面を削って平らにする
地盤新しく積んだ土もともとの地盤が残る
安全の分かれ目締め固め・排水・土留めのり面(削った斜面)の保護・排水
注意したい点水を含んで緩むと崩れやすくなるのり面の対策が不十分だと崩れることがある

「切土と盛り土、どちらが安全ですか」という疑問もよく見かけます。ただ、どちらが絶対に安全とは言えません。盛り土でも、しっかり締め固めて水を逃がす工夫がされていれば安定しますし、切土でも、のり面の対策が足りなければ崩れることがあります。安全を左右するのは「どちらか」ではなく「どうつくられ、どう管理されているか」なんですね。

雨で盛り土が崩れやすくなる仕組み

雨水が土の粒のすき間にしみ込んでいく様子を表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここで、防災理科の話をしましょう。盛り土が崩れる大きな原因のひとつは、水です。

土は、小さな粒がお互いに引っかかり、こすれ合うことで形を保っています。砂場で山をつくるとき、少し湿らせると固まりますが、水を入れすぎるとドロッと崩れますよね。あれと同じことが、盛り土の中で起きるイメージです。

雨水が盛り土にしみ込み続けると、土の粒のすき間が水でいっぱいになります。すると、すき間の水の圧力(間隙水圧)が上がって粒同士を押し離し、こすれ合う力が弱くなります。さらに、水を含んだ土は重くなります。「支える力は弱くなり、押し下げる重さは増える」。この2つが重なると、盛り土はすべり出しやすくなると考えられています。

だからこそ、盛り土は「締め固め」と「排水」が大切です。国の「盛土等防災マニュアル」では、土をおおむね30cm以下の厚さごとに締め固めること、盛り土の中にしみ込んだ雨水や地下水を外へ逃がす排水施設を設けることが基本とされています。

熱海の盛土崩落の要因
2021年に起きた静岡県熱海市の土石流災害について、国のガイドラインは、排水対策が不十分だったこと、盛土が十分に締め固められていなかったこと、地下水が入り込みやすい場所で盛土がいつも水を多く含んだ状態だったことなどを整理しています。ひとつの原因ではなく、複数の要因が重なったとされています。

台風25号で千葉県の盛り土が崩れた

大雨で排水路に濁った水があふれそうに流れる住宅地周辺のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

2026年9月の台風25号の大雨では、千葉県内で建設残土などを積み上げた盛り土が少なくとも5か所で崩れ、住宅や道路に被害が出たとNHKが報じています。5か所とも、行政が事前に危険性を把握していたとのことです。

千葉県酒々井(しすい)町では、長年放置されていた高さ数十メートルの盛り土が崩れ、土砂が排水路をふさいだと報じられています。その結果、雨がやんだあとも水位が上がり、住宅地の冠水が長引きました。町は撤去を求めてきたものの工事は行われず、事業者側は資金難を理由に応じなかったとされています。町の資料には、約10年前にも崩落した記録が残っているそうです。

ここで押さえておきたいのは、盛り土の被害は「崩れた土砂が家を直撃する」形だけではないことです。崩れた土が水の通り道をふさぎ、水が抜けなくなる形でも被害が広がる。この点は、同じ台風25号で起きた印旛沼の決壊と、水が引かない理由を解説した記事とあわせて読むと、水の動きがつかみやすいかなと思います。

この項目は、2026年10月4日時点の報道にもとづいています。被害状況や行政の対応は、今後変わる可能性があります。なお、今回崩れた盛り土が盛土規制法の対象だったかどうかは、報道だけでは確認できていません。

盛土規制法で何が変わったのか

測量しながら盛土工事の高さと締め固めを確認する作業員の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

熱海の災害を受けて、それまでの「宅地造成等規制法」が抜本的に改正され、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)として、2023年5月26日に施行されました(出典:国土交通省『盛土規制法について』)。国土交通省と農林水産省が共同で所管する法律です。

ポイント内容
スキマのない規制宅地・農地・森林など、土地の用途に関係なく、人家に被害を及ぼすおそれのある区域を規制区域に指定する
安全性の確保地形や地質に応じた許可基準を設け、工事の途中や完了後にも確認する
責任の明確化無許可の工事には、懲役3年以下・罰金1,000万円以下(法人は最大3億円以下)の罰則がある

知っておきたい注意点
この規制は、都道府県などが規制区域を指定したあとに適用されます。許可制の中心は、これから行う盛土工事です。すでにある盛り土は、区域内であれば土地の所有者などが安全な状態に維持する必要がありますが、法律ができたからといって、すべての盛り土が安全になるわけではありません。

福島県の盛土規制法と身近な盛り土

住宅地の坂道で盛り土の斜面の脇を歩く親子の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

福島県では、2024年9月24日に県の規制区域が指定され、中核市分(2024年9月1日指定)とあわせて、県内全域が規制区域になりました。私たちの福島市でも、2024年9月1日に市内全域を規制区域に指定し、規制が始まっています。規制区域内では、すでに盛土が行われた土地でも、土地の所有者などが安全な状態に維持する必要があるとされています。

福島県内の矢祭町では、2024年に許可なく盛り土を造成した疑いで、2026年6月に関係者3人が逮捕されました。特定盛土等規制区域での無許可工事を巡る逮捕は、全国で初めてとされています。2026年10月2日の初公判では、被告が起訴内容を認めました。次回の公判は11月20日の予定です。裁判はまだ続いていますので、ここでは事実だけをお伝えします。

あの揺れを足もとで感じた一人として、盛り土は「地震のときの足もと」の問題でもあると感じています。国土交通省は、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)などで、谷や沢を埋めた造成地や、傾斜地に盛土をした造成地で、盛土が滑るように動く「滑動崩落」が起きたとしています。盛り土は、雨だけでなく地震のときにも、確認しておきたい足もとなんですね。

盛り土とはどんな土地か自宅周辺で調べる

窓辺で自宅周辺の地図を端末で確認する手元のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここからは実践編です。盛り土は、見た目だけでは判断できません。次の3ステップで進めると、無理なく確認できます。

盛り土を調べる3ステップ
ステップ1:大規模盛土造成地マップで位置を調べる
ステップ2:重ねるハザードマップで周辺のリスクと重ねる
ステップ3:現地で変化を見る(わからなければ自治体の窓口へ)

大規模盛土造成地マップで調べる

夫婦でパソコンの地図を見ながら自宅周辺の盛土造成地を調べる様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

【ステップ1】最初は、自治体が公表している「大規模盛土造成地マップ」です。これは、谷や斜面に盛土をして大規模につくられた宅地の、おおよその位置を示した地図です。次の2つのタイプのどちらかに当てはまるものが「大規模盛土造成地」とされています。

タイプ基準イメージ
谷埋め型盛土の面積が3,000㎡以上谷や沢を埋めて平らにした宅地
腹付け型もとの地盤の傾きが20度以上で、盛土の高さが5m以上傾斜地の斜面に土を足して広げた宅地

このマップは、2020年3月までに全国のすべての市町村で公表されています。全国で51,306か所、約10万ヘクタールの盛土造成地があることがわかりました。「載っているから危険」という意味ではありません。国も、直ちに危険な土地という意味ではないと説明しています。身近な土地の成り立ちを知るための地図、と考えてください。

探し方は、お住まいの自治体名に「大規模盛土造成地マップ」を足して検索するだけです。なお、このマップは宅地を対象にしているため、農地や森林の盛り土は含まれません。マップに載っていない盛り土もある、という点は覚えておいてください。谷を埋めた造成地では、地震のときに液状化が起こる場合もあります。気になる方は液状化が起こりやすい場所と地形の特徴も参考にしてみてください。

重ねるハザードマップで確認する

紙のハザードマップに印をつけながら周辺のリスクを確認する手元
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

【ステップ2】次は、国土交通省・国土地理院の「重ねるハザードマップ」です。全国の大規模盛土造成地を、ほかの災害リスクと重ねて見られるのが便利なところです。

大規模盛土造成地の表示手順
①重ねるハザードマップで自宅の住所を入力する
②「すべての情報から選択」を開く
③「土地の特徴・成り立ち」から「大規模盛土造成地」を選ぶ
④土砂災害警戒区域や浸水想定区域も重ねて、周辺のリスクをあわせて見る

洪水・土砂災害・津波のリスクをまず手軽に見たい方は、当サイトのハザードマップ検索ツールも使えます。郵便番号か現在地から、自宅周辺の危険区域を確認できます。

地図のあとは現地で変化を見る

斜面から離れた場所から擁壁や排水口の様子をスマートフォンで撮る男性の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

【ステップ3】地図で位置を確認したら、最後は現地での目視です。国のガイドラインでは、盛土の点検で次のような変化に注意するとされています。ご近所の盛り土を、遠くから目で見るときの参考にしてください。

  • のり面(斜面)の亀裂、ふくらみ、段差
  • のり面や擁壁(ようへき)からの湧き水、水が出続けている様子
  • 排水溝や水路の詰まり、壊れ
  • 道路や側溝の亀裂、陥没、ズレ

危険な場所には近づかないでください
気になる変化を見つけても、斜面の真下や擁壁のすぐそばには近づかず、離れた場所から写真を撮る程度にとどめましょう。そのうえで、市町村の担当窓口に連絡して、専門家に見てもらってください。

盛り土の上に家を建てる前の確認点

土地購入の前に専門家と地盤の資料を確認する夫婦のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

土地を買う、家を建てるときは、「盛り土の土地は避けるべきか」と悩む方も多いと思います。盛り土だからといって、すぐに避けるべき土地とは限りません。大切なのは、盛り土かどうかよりも、どんな盛り土で、どう管理されているかです。

  • 大規模盛土造成地マップや重ねるハザードマップで、その土地の位置を確認する
  • 福島県や市町村のホームページで、規制区域かどうかを確認する
  • 造成された時期、擁壁や排水設備の状態について、売主や不動産会社に説明を求める
  • 地盤調査の結果と、必要な対策について、建築や地盤の専門家に確認する

わからないことは、遠慮せず自治体の担当窓口に聞いてみてください。最終的な判断は専門家にご相談いただくのが安心です。

大雨の前に決めておく避難の判断

大雨の前に家族でハザードマップを広げ避難の目安を話し合う様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

盛り土の近くに住んでいる、あるいはよく通るという方は、大雨の前に「どうなったら動くか」を決めておきましょう。雨が強まってからでは、道路が冠水して動けなくなることもあります。報道では、酒々井町の団地で、道路が冠水して孤立状態が続いたとされています。

  • 自治体が出す避難情報や、土砂災害の危険度を知らせる防災気象情報をどこで確認するか決めておく(2026年5月から、以前の「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に名称が変わっています)
  • 警戒レベル3(高齢者等避難)の段階で動き始め、警戒レベル4(避難指示)までに危険な場所から離れる
  • 家族それぞれの避難先と、そこへ向かう経路をハザードマップで確認する
  • 夜間に雨が強まる場合を想定して、明るいうちに動く目安を話し合う

もうひとつ大切なのが、水が引くまでの時間を想定した備えです。冠水が長引くと、自宅で数日過ごすことも、避難所へ移ることもありえます。水・食料・携帯トイレ・ライト・ラジオ・モバイルバッテリーなど、停電や断水に備える基本の防災用品は、非常用持ち出し袋にまとめておくと、すぐ動けます。

防災用品を一つずつ揃えるのが難しい方へ。HIHでは、福島の被災経験と防災士の視点をもとに考えた防災リュックを楽天市場で販売しています。
楽天市場でHIH防災リュックを見る →

福島の被災経験から生まれたHIH防災リュックを楽天市場で見る

盛り土とは?まず確認して備えるまとめ

雨上がりの朝、玄関で防災リュックを背負って空を見上げる女性の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 盛り土とは、土を運んで積み重ねた地盤のこと。あるだけで危険な土地ではなく、締め固めや排水など、つくり方と管理が安全を左右する
  • 雨水がしみ込んで水の圧力が上がると、盛り土は崩れやすくなる。崩れた土が水路をふさぐ被害もある
  • 盛土規制法は、規制区域の指定後に適用される。福島県は県内全域が規制区域に指定済み
  • 調べる3ステップは、①大規模盛土造成地マップ、②重ねるハザードマップ、③現地での変化の確認(わからなければ自治体の窓口へ)
  • 大雨の前に、避難の目安と持ち出し袋を決めておく

確認は、一度やれば終わりという話ではありません。ただ、「自分の足もとを知っている」という安心感は、備えを続ける力になります。備えがあれば心に余裕が生まれ、余裕があれば、いざというときに正しい判断ができます。不安をあおられるより、淡々と確認する。それが、大切な人を守る一番の近道かなと思っています。

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 盛り土とは何ですか?「盛土」との違いはありますか?

A. 盛り土とは、ほかの場所から運んだ土を積み重ねてつくった地盤のことです。「盛土」と書く場合もありますが、意味は同じです。法律の名前などでは「盛土」が使われています。

Q. 盛り土の土地は避けた方がいいですか?

A. 盛り土であるだけで危険とは言えません。締め固めや排水などが適切に行われているかが重要です。気になる場合は、大規模盛土造成地マップなどで位置を確認し、専門家に相談してください。

Q. 自分の家が盛り土かどうかを調べる方法はありますか?

A. 自治体が公表している大規模盛土造成地マップや、国土交通省の重ねるハザードマップで、大規模な盛土造成地のおおよその位置を調べられます。ただし、農地や森林の盛り土は含まれないため、詳しくは自治体の担当窓口にご確認ください。

Q. 盛り土の近くで大雨が降ったとき、気をつけることは何ですか?

A. 自治体の避難情報や、土砂災害危険警報などの防災気象情報を確認し、早めに避難の準備を始めてください。斜面や擁壁の近くには近づかないことも大切です。亀裂や湧き水などの変化に気づいたら、市町村の窓口に連絡しましょう。

Q. 盛土規制法は、すでにある盛り土にも関係しますか?

A. 規制区域内では、すでに行われた盛土についても、土地の所有者などが安全な状態に維持する必要があるとされています。福島県は県内全域が規制区域に指定されています。詳しくは県や市町村の窓口で確認できます。


🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

一人暮らし向けの1人用防災リュックを背負った女性と商品画像を配置したHIH防災セットのLPバナー
夫婦・カップル向けの2人用防災セットを背負った男女と「大切な人と一緒に乗り越える備え。」のバナー
法人・団体向け防災対策として、企業が従業員に防災リュックを配布している様子を表したHIHの防災セット案内バナー

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

目次