液状化が起こりやすい場所とは?地形の特徴を解説

液状化が起こりやすい場所とは?地形の特徴を解説
液状化が起こりやすい場所には共通する地形の特徴があります。埋立地や旧河道、砂丘間低地など、地下水位が高く緩い砂地盤の土地が代表例です。
地震大国である日本に住む私たちにとって、液状化現象は無視できない災害リスクの一つです。「自分の住んでいる場所は大丈夫なのか」「これから住む土地を選ぶときに何を見ればいいのか」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、防災士の視点から、液状化現象とはどのような現象なのかをわかりやすく整理したうえで、液状化現象が起こりやすい場所の条件や地形の特徴を具体的に解説します。過去の被害事例や、自分の土地のリスクを調べる方法、対策の考え方についても触れていきます。
この記事を通じて、液状化現象に関する正しい知識を身につけ、安心して暮らせる住まいづくりや土地選びの参考にしてください。
- 液状化現象のメカニズムと発生条件を理解できる
- 液状化現象が起こりやすい具体的な場所とその理由がわかる
- 過去の被害事例から、リスクの実態を知ることができる
- お住まいの地域のリスクを調べる方法と、対策の進め方の概要がわかる
地震のプロが液状化現象の起こりやすい場所を徹底解説。埋立地や旧河道など、液状化現象の起こりやすい場所の具体的な土地の特徴という疑問に答え、そのメカニズムと被害事例、そして自宅でできる対策の考え方までをわかりやすくご紹介します。ハザードマップの活用法も解説し、防災意識を高めます。
液状化現象が起きる仕組みをわかりやすく解説
液状化現象とは、地下水位の高い緩い砂地盤に強い地震の揺れが加わることで、地盤が一時的に強度を失い、ドロドロの液体のような状態に変化する現象です。この章では、そのメカニズムと発生条件、起きたときの被害について整理します。
- 液状化現象とは?そのメカニズムと被害
- 液状化現象が起こりやすい条件(3つのポイント)
液状化現象とは?そのメカニズムと被害

液状化現象とは、地下水位の高い緩い砂地盤に強い地震の揺れが加わり、地盤が一時的に液体のように振る舞う現象です。砂粒同士の隙間に含まれる水(間隙水)の圧力が急上昇し、砂粒の結合が外れることで起こります。
通常、砂粒同士の隙間に含まれる水は「間隙水」として存在し、砂粒の圧力と釣り合って地盤の安定を保っています。しかし、地震の強い揺れが繰り返されると、砂粒の配列が乱れ、体積を小さくしようとする力が働きます。この体積減少に抵抗して間隙水圧が急激に上昇し、最終的に砂粒を押し上げるほどの圧力となって、地盤がまるで液体のように振る舞うのです。この現象は、地震発生からゆっくりと、数分から数十分かけて進むことがあります。
ひとたび液状化が起こると、甚大な被害が生じます。建物を支える力が失われるため、比重の大きい建物や橋梁は沈下したり傾斜したりします。一方、水よりも比重の小さい地下埋設管やマンホールなどは、液状化した土壌の浮力によって浮き上がる「抜け上がり現象」が発生します。また、地盤内の水が砂と共に地表へ噴き出す「噴砂現象」も見られ、道路の陥没や亀裂を引き起こします。
液状化による主な被害
- 建物の不同沈下や傾斜(重い構造物が沈み、住めなくなる恐れがある)
- マンホールや埋設管の浮き上がり(上下水道やガスなどのライフラインが停止する)
- 噴砂・噴水現象(地盤の体積が減少し、道路や田畑が利用不能になる)
- 地層の側方流動(護岸のはらみ出しや盛土の崩壊)
液状化が発生する詳しいメカニズムや、水と砂が分離する過程の実験的なイメージについては、「液状化現象はなぜ起こる?メカニズムを防災士がわかりやすく解説」でさらに詳しく解説しています。
液状化現象が起こりやすい条件(3つのポイント)

液状化現象が発生するには、「砂質土」「地下水位が高い」「砂がゆるい状態」の3条件が全て揃うことが必要です。これらの条件が揃った土地に、目安として震度5以上の地震の揺れが加わることで、液状化は発生しやすくなります。
1. 地層が砂質土であること
液状化は、粘着力がある粘土層や、透水性が高い砂礫層(砂と小石を含む地層)などの硬質な地質では起こりにくく、主に砂質の土が堆積している場所で起こります。特に、粒径(大きさ)が揃っている細粒・中粒の砂は、圧力によって粒子同士のかみ合わせが外れやすく、水圧が高まりやすいため、リスクが最も高いとされています。
2. 地下水位が高いこと
液状化は、その砂が地下水に浸かっている、つまり地下水位が高い場所で発生します。地盤の隙間が水で完全に満たされている「飽和状態」にあることが、間隙水圧上昇の条件となるからです。地下水位が地表から15m~20m以内の比較的浅い箇所にあると、液状化の危険性が高まります。臨海部や河川沿いなどがこれに該当しやすいです。
3. 砂がゆるい状態であること(N値が20以下)
砂の粒子が密に締まっていない、ゆるい状態であることも重要な条件です。地盤がゆるいほど、地震の揺れによって砂粒間の結合が外れ、体積を小さくしようとする傾向が強くなります。地盤調査で用いられるN値(標準貫入試験の打撃回数)という指標があり、このN値がおよそ20以下であると液状化発生の可能性があり、特にN値が10以下であれば、液状化の危険性はさらに大きくなるとされています。

液状化現象が起こりやすい場所とその土地の特徴
液状化現象が起こりやすい場所として代表的なのは、埋立地・旧河道・旧沼地・砂丘間低地・谷埋め盛土の造成地です。これらはいずれも、地下水位が高く、緩い砂質土で構成されているという共通点があります。

- 液状化現象が起こりやすい地盤の正体
- 埋立地や旧河道が起こりやすい理由
- 地形分類から見る土地の特徴
- 過去の被害事例から学ぶ教訓
- 土地選びで気をつけたいポイント
液状化現象が起こりやすい地盤の正体

液状化現象が起こりやすい地盤は、地質学的に新しく、地下水位が高く、緩い砂質土で構成されているという共通の特徴があります。これらの地盤は、主に沖積層から成り立っており、数万年前から現代にかけて河川や海によって運ばれた土砂が堆積してできた、比較的軟弱な地盤です。特に、人工的に造成された場所や、過去に水が豊富にあった場所が該当します。
具体的な地盤の条件としては、深さ約15m~20m以内の浅い層に、締まりが緩い(N値の小さい)砂質層が存在していることが挙げられます。このような地盤は、内陸部の平野部でも、液状化の条件を満たせば発生する可能性があるため、海沿いの低湿地だけに限定されるものではないことに注意が必要です。
逆に、粘土層や砂礫層のように硬質な地盤、または地下水位が低い内陸の台地などでは、液状化は起こりにくいとされています。
埋立地や旧河道が起こりやすい理由
特定の地形が液状化しやすい理由は、それぞれの成り立ちに共通する液状化の3条件が当てはまるからです。代表的な場所とその理由は以下の通りです。
埋立地・干拓地
これらの土地は、海や湖を埋め立てて人工的に作られた比較的新しい土地です。造成に使われた土が締まりの緩い砂質土であることが多く、さらに地下水位が高い場合が多いため、液状化のリスクが非常に高くなります。造成後、年月が浅いほど、地盤が緩く危険性が高い傾向があります。
旧河道・旧沼地・旧池
過去に川が流れていた場所や沼地・池だった場所を埋め立てた土地は、地下水位が高く、水分を多く含んだ緩い砂質地盤になっている傾向があります。河川によって運ばれた砂質土が堆積していることや、沼地の泥質土と埋め立てた砂質土が混在していることが、液状化の発生条件に当てはまりやすい理由です。
大河川沿岸・臨海部
大河川の沿岸部、特に下流域は三角州や自然堤防、旧河道などで構成され、全体的に地下水位が高く、地盤の締まりが緩い砂質地盤が多く見られます。川の合流部や屈曲部は、過去に氾濫が多かった地帯のため、特に注意が必要です。また、海岸近くの臨海部も地下水位が浅いため、液状化の危険性があります。
砂丘間低地
長年にわたって砂が堆積して生まれた砂丘と砂丘の間の低地は、地下水位が高くなりやすく、また砂丘の砂は粒径が揃っているため、圧力によってかみ合わせが外れやすいという特徴があります。
谷埋め盛土の造成地
一般的に液状化が起こりにくいとされる丘陵地帯でも、谷や沢を埋め立てた盛土の造成地では、地盤が緩く液状化が起こる可能性があります。東日本大震災でも、沢を埋めた盛土の造成地で噴砂が確認された事例があります。
他にも、砂鉄や砂利の採掘跡地の埋め戻し地盤のように、締め固めが不十分なまま埋め戻された緩い砂質地盤も、液状化のリスクが高い場所として挙げられます。
地形分類から見る土地の特徴
土地の地形分類(微地形区分)を知ることで、相対的な液状化リスクの傾向を把握できます。国土交通省の情報によると、地形区分に基づく液状化発生傾向は以下の表のようにまとめられています。
地形分類に基づく液状化発生傾向(国土交通省より)
| 液状化発生傾向の強弱(5が強) | 主な地形分類 |
|---|---|
| 5(強) | 埋立地、砂丘末端緩斜面、砂丘・砂州間低地、旧河道・旧池沼 |
| 4 | 干拓地、自然堤防、三角州・海岸低地 |
| 3 | 砂州・砂礫洲、後背湿地、扇状地(傾斜<1/100)、谷底低地(傾斜<1/100)、河原(傾斜<1/100) |
| 2 | 砂丘(末端緩斜面以外)、扇状地(傾斜≧1/100)、谷底低地(傾斜≧1/100)、河原(傾斜≧1/100) |
| 1(弱) | 山地、山麓地、丘陵、火山地、火山山麓地、火山性丘陵、岩石台地、砂礫質台地、火山灰台地、礫・岩礁 |
(出典:国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向」より一部改変、2026年6月確認)
この表から、埋立地や旧河道・旧池沼などが最もリスクの高い地形であることが分かります。ただし、この傾向は相対的なものであり、実際の液状化リスクの正確な評価には、地盤調査(ボーリング調査など)が必要であることも理解しておいてください。
過去の被害事例から学ぶ教訓

過去の大地震における液状化の被害事例を知ることは、リスクを具体的にイメージし、備えの重要性を再認識する上で役立ちます。代表的な2つの事例をご紹介します。
新潟地震(1964年)
この地震は、液状化現象という言葉が広く認識される契機となった地震です。特に信濃川の旧河川敷で著しい液状化被害が発生し、鉄筋コンクリート造の4階建て共同住宅が、杭を打っていない基礎ごと無傷のまま横転したり、傾いたりするなどの大きな被害が出ました。この事例は、液状化現象が建物の構造的な強度とは別に、基礎地盤の変形によって被害をもたらすことを明確に示しました。
東日本大震災(2011年)
この地震では、岩手県から神奈川県までの広範囲、特に東京湾岸の埋立地や内陸部の旧田んぼを埋め立てた土地で、過去に類を見ない規模の液状化被害が発生しました。千葉県浦安市をはじめとした湾岸地区では、戸建住宅の沈下や傾斜が多数報告され、上下水道やガス管の破損によるライフラインの停止が長期化しました。また、埼玉県久喜市のような内陸部の造成地でも噴砂が発生するなど、海沿いだけでなく内陸部でも条件を満たせば液状化が起こるという教訓を与えました。
土地選びで気をつけたいポイント
これから住まいを探す方は、地名や周辺の地形に「埋立」「新田」「沼」「池」「川」などの文字が含まれていないか確認してみることをおすすめします。これらは旧河道や旧沼地だった土地に多くつけられる地名で、必ず液状化が起こるわけではありませんが、土地の成り立ちを知るヒントになります。
また、現地の地盤を見ただけでは液状化リスクは判断できません。次にご紹介するハザードマップでの確認や、必要に応じた地盤調査と組み合わせて検討することが大切です。
自分の土地のリスクを調べるには

ご自身の住んでいる場所や、これから住まいを検討している場所の液状化リスクは、自治体が公開している液状化ハザードマップで確認できます。多くの自治体では、地形区分や地下水情報に基づき、液状化の危険度を色分けして示しています。
具体的には、国土交通省と国土地理院が運営しているハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」で、土地条件図や過去の地歴情報を一括で参照できます。
注意点として、ハザードマップで高リスクゾーンに入っていたとしても、必ずしも液状化が起こるわけではありません。例えば、新潟地震・中越地震・中越沖地震における調査では、旧河道の土地のうち実際に液状化した面積は約29.7%程度であったという報告があります(出典確認をおすすめする数値です)。マップはあくまで地形に基づいた概略的なリスクを示すものであり、正確なリスクは詳細な地盤調査を行わなければ分かりません。
ハザードマップの具体的な読み方や色分けの見方、調べた後にどう行動すればいいかについては、「ハザードマップの見方・使い方を防災士が解説」で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。また、液状化ハザードマップを踏まえた土地選びの盲点や、地盤改良・建物対策の詳細については、「液状化ハザードマップと対策|土地選びの盲点と備えを解説」で深く掘り下げています。
対策の考え方(概要)
液状化への対策は、地盤を改良する工事、建物自体の被害を軽減する工法、そして個人でできる事前の備えに分けられます。液状化を完全に防ぐことは難しいですが、被害を最小限に抑えるための対策を組み合わせることが大切です。
- 地盤改良工事:砂を締め固めたり、セメント系固化材で固めたりすることで、地盤の強度や密度を高める専門業者による工事です。
- 建物の対策:固い支持層まで杭を打つ杭基礎や、基礎を一体化させたベタ基礎により、液状化が起きても建物の傾斜・不同沈下を抑える方法です。
- 個人でできる備え:地震保険への加入や、ライフライン停止に備えた水・食料・簡易トイレなどの備蓄です。
地盤改良工事や建物対策は、新築時の選択肢としてだけでなく、既存住宅でも検討できるケースがあります。費用や工法ごとの特徴、どんな土地にどの対策が向いているかといった詳しい比較は、「液状化ハザードマップと対策|土地選びの盲点と備えを解説」でまとめていますので、対策を具体的に検討したい方はそちらをご覧ください。
一方で、地盤や建物への対策には時間や費用がかかります。すぐに始められる備えとして、液状化によるライフライン停止を想定した備蓄を見直しておくことも、現実的で効果の高い対策です。水道・電気・ガスが止まった状態が数日続くことを想定し、防災セットや備蓄品の内容を一度チェックしてみることをおすすめします。どんな人にも当てはまる完璧な備えはありませんが、まずは最低3日分、できれば1週間分の水・食料・簡易トイレなどを揃えておくと安心につながります。
水害や地震など複数の災害に備えたい方には、必要な防災グッズが一通りそろった防災セットを基準にして、ご自宅の状況に合わせて中身を見直していく方法が選びやすいです。一方で、すでに自分なりの備蓄がある方は、液状化特有のリスク(断水の長期化など)を踏まえて不足分だけを補う形でも十分です。
よくある質問
Q. 液状化はマンションのような高層建築物でも起こりますか?
A. 高層マンションの多くは固い支持層まで杭を打つ構造のため、液状化による倒壊リスクは比較的低いとされています。ただし、敷地内の駐車場や配管、周辺道路は液状化の影響を受ける可能性があります。
Q. 内陸に住んでいれば液状化は心配しなくていいですか?
A. いいえ、内陸でも条件を満たせば液状化は起こります。東日本大震災では、内陸の造成地でも噴砂が確認された事例があります。海から離れていることだけで安心はできません。
Q. 液状化対策の工事は必ず必要ですか?
A. 必須ではありませんが、ハザードマップで高リスクとされる土地や、地盤調査で危険性が指摘された場合は検討する価値があります。費用と効果のバランスを見ながら、専門家に相談することをおすすめします。
Q. 液状化が起きたら、まず何をすればいいですか?
A. 建物に大きな傾斜や亀裂がある場合は、無理に中に留まらず安全な場所へ避難してください。ライフラインの停止が想定されるため、備蓄していた水や食料、簡易トイレなどを活用しながら、自治体の情報を確認しましょう。
まとめ:液状化現象が起こりやすい場所の事前確認が防災の第一歩

液状化現象が起こりやすい場所を事前に把握し、適切な対策を講じることは、私たちの生命と財産を守る上で重要な防災活動の一つです。この記事でご紹介した要点を改めて整理します。
- 液状化現象は地下水位が高い緩い砂地盤で強い地震動が加わることで発生する
- 発生には「砂質土」「地下水位が高い」「ゆるい地盤」(N値20以下)の3条件が必須
- 被害は建物の傾斜・沈下、マンホールの浮き上がり、噴砂など多岐にわたる
- 特に起こりやすい場所は、埋立地、干拓地、旧河道、旧沼地、砂丘間低地、谷埋め盛土の造成地などである
- これらの場所が起こりやすい理由は、その成り立ちから地下水位が高く砂質土がゆるく堆積しているためである
- 新潟地震や東日本大震災では広範囲で液状化被害が確認され、内陸部での発生事例もある
- 自分の土地のリスクは、自治体のハザードマップで概略的に確認できる
- 正確なリスク把握や具体的な対策の検討には、ハザードマップの詳しい読み方・対策の比較を解説した記事も参考にしてほしい
- 液状化が起こりやすい場所にある住宅でも、適切な対策と備えで被害を最小限に抑えることは可能である
ハザードマップの具体的な見方や、土地選びで見落としやすいポイント、対策工事の比較については、「ハザードマップの見方・使い方を防災士が解説」と「液状化ハザードマップと対策|土地選びの盲点と備えを解説」で詳しく解説しています。また、水害への備えを見直したい方は洪水対策に関する記事も参考にしてください。
液状化への備えとして、まずはご自宅の防災セットや備蓄品が「断水・停電が数日続く」想定に対応できているかを見直してみてください。


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