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9月6日|北海道胆振東部地震とブラックアウト完全ガイド

9月6日の北海道胆振東部地震とブラックアウトの教訓を解説する記事のアイキャッチ画像

9月6日|北海道胆振東部地震とブラックアウト完全ガイド

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

9月6日は、過去にどのような災害が起きた日なのでしょうか。この記事では、9月6日に発生した主な災害や防災に関する出来事を振り返り、そこから私たちが今日できる備えを防災士の視点で解説します。

過去の災害を知ることは、不安をあおるためではありません。同じ被害を繰り返さないために、今の暮らしを見直すきっかけにするためです。

9月6日は、震度7の揺れと道内全域の停電が同時に起きた日です。だからこそ「電気が止まった夜」への備えを確認したい日だと言えます。

この記事でわかること

  • 9月6日に起きた北海道胆振東部地震の概要と被害
  • 日本で初めて起きたブラックアウトの仕組み
  • 停電が断水・通信途絶へと連鎖した理由
  • 今日のうちに確認しておきたい備えのチェックポイント
目次

9月6日は何の日?過去に起きた災害

9月のカレンダーと防災用品を並べて備えを見直すイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

北海道胆振東部地震とは、2018年9月6日3時7分に北海道胆振地方中東部で発生したマグニチュード6.7の内陸直下型地震です。厚真町で北海道の観測史上初となる震度7を記録しました。

この地震の最大の特徴は、揺れそのものだけでなく、地震をきっかけに道内のほぼ全域が停電したことにあります。地震の概要や被害の全体像は、気象庁が特設ページにまとめています(出典:気象庁 札幌管区気象台『平成30年北海道胆振東部地震』)。

北海道胆振東部地震とは

震源から揺れが同心円状に広がる様子を示した抽象的な地形図イラスト
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

読み方は「ほっかいどう いぶりとうぶ じしん」です。気象庁が地震発生当日の17時30分にこの名称を定めました。

項目内容
発生日時2018年9月6日 3時7分
震源胆振地方中東部 深さ37km(暫定値)
マグニチュード6.7(暫定値)
最大震度震度7(厚真町)
震度6強安平町、むかわ町
震度6弱札幌市東区、千歳市、日高町、平取町
タイプ逆断層型の内陸地殻内地震

注目したいのは、この地震がすでに知られていた活断層で起きたものではなかったという点です。震源の近くには石狩低地東縁断層帯という活断層がありますが、政府の地震調査委員会は、深さ37kmという位置関係から「この断層帯で発生したものではない」と評価しています。別の断層が最長で南北約30kmにわたってずれ動いたと考えられています。

ハザードマップに活断層が描かれていない地域でも、震度7が起こらないとは言い切れません。「うちは断層がないから大丈夫」という考え方は、いったん外しておいたほうが安全です。

9月6日に起きたその他の出来事

過去の台風災害とカレンダーを重ねて振り返るイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

9月6日は、台風の記録も残っている日です。

出来事場所特徴学べる教訓
2018年北海道胆振東部地震北海道震度7・道内全域が停電電気を前提にした暮らしの脆さ
2020年令和2年台風第10号奄美〜九州6日から7日にかけて接近。7日に長崎市で最大瞬間風速59.4mを観測数日前からの早い避難判断
2007年平成19年台風第9号伊豆諸島〜本州翌7日に伊豆半島南部へ上陸秋の台風は雨量が多くなりやすい

2020年の台風10号は、気象庁が発生直後から「特別警報級まで発達するおそれ」と異例の早期警告を出した台風でした。深夜に何の予告もなく襲ってきた胆振東部地震とは、まったく性格が違います。予告のある災害と、ない災害。9月6日はその両方を思い出せる日だと私は思っています。

北海道胆振東部地震の被害と特徴

強い揺れを記録した地震波形を表す抽象的なグラフィック
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

この地震では、44人の方が犠牲になりました。北海道の被害状況(令和3年8月1日時点・災害関連死を含む)による数値で、内閣府の資料では地震による死者を42人としており、集計の時点や区分によって表記に差があります。重軽傷を負われた方は762人とされています。

厚真町で観測した震度7の揺れ

厚真町で震度7、安平町とむかわ町で震度6強を観測しました。安平町の観測点では1505ガル(三成分合成)という非常に大きな加速度が記録されています。

住家の被害は、全壊462棟、半壊1,570棟、一部破損12,600棟にのぼりました。人口の多い札幌市でも半壊684棟、一部破損4,352棟と、震源から離れた市街地に被害が広がっているのが特徴です。

大規模な斜面崩壊と液状化

火山灰層と地下水位の関係を示した地層断面の図解イラスト
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここからは少し「防災理科」の話になります。

犠牲になった方の多くは、土砂災害によるものでした。土砂災害の発生は227件、山の中まで含めると崩れた箇所は6,000か所以上あったとされています。厚真町では山腹が大規模に崩れ、民家が巻き込まれました。

なぜあれほど広く崩れたのか
震源に近い支笏湖の周辺は、火山灰が厚く積もった土地です。火山灰の層は普通の土より軽く、隙間が多いため水を含みやすい性質があります。この「軽くてスカスカな層」が強い揺れを受けたことで、斜面が広範囲にすべり落ちたと考えられています。

一方、札幌市清田区の里塚地区では液状化が起きました。ここは谷を火山灰質の砂質土で埋め立てた盛土の造成地で、直前に通過した台風第21号の影響で地下水位が高くなっていました。そこへ揺れが加わり、地下水位より下の土が液状化して標高の低いほうへ流れ出したのです。

同じ「液状化」でも、東日本大震災のときに千葉県浦安市で起きた平地が波打つタイプとは仕組みが違う、国内でも2例目の珍しい現象だったとされています。

北海道胆振東部地震と全域停電

広い範囲で街の明かりが消えた夜の様子を表すイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

この地震を語るうえで欠かせないのが、日本で初めてエリア全域に及んだ大規模停電、いわゆるブラックアウトです。

停電は最大で約295万戸。地震発生からわずか18分後の3時25分に、北海道のほぼ全域から電気が消えました。

苫東厚真発電所への一極集中

震源に近い厚真町には、苫東厚真火力発電所がありました。道内の発電力の約4割を担う主力発電所です。地震が起きたのは深夜で、電気の需要が最も少ない時間帯。効率のよい苫東厚真を高い出力で動かし、ほかの火力は最低出力か停止という運転状態でした。

地震直後、この発電所の2号機と4号機がタービンの振動を検知して自動停止します。この時点で約116万kWの供給力が一瞬で失われました。

需給バランス崩壊が招いた連鎖

送電鉄塔とメーターで電力の需給バランス崩壊を表した図解イラスト
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

電気は、つくる量と使う量が常に釣り合っていないといけません。バランスが崩れると周波数(北海道は50Hz)がずれ、機器を守るために発電機が自動で止まってしまいます。すると供給がさらに減り、周波数がもっと下がる。この悪循環が連鎖崩壊の正体です。

電力広域的運営推進機関の検証委員会の最終報告によると、当日の流れはこうでした。

3時07分 地震発生
3時08分 苫東厚真2・4号機が停止。水力・風力も含め約176万kWの供給力が消失
同時刻 揺れで送電線4回線が事故を起こし、道東エリアが本州側の系統から切り離される
3時09分 照明やテレビをつけたことなどで需要が増え、周波数が再び低下
3時20分 苫東厚真1号機がボイラー管の損傷で出力低下
3時25分 残る発電機も設備保護のため停止し、ブラックアウトに至る

報告書では、この事象は主として苫東厚真1・2・4号機の停止と、送電線4回線の事故という複合要因によって発生したとされています。シミュレーションでは、送電線事故による水力の停止がなければブラックアウトには至らなかったと考えられる、とも記されています。ひとつの原因ではなく、悪い条件が重なった結果だったということですね。

停電がどんな仕組みで起きるのかは、停電が起きる仕組みを理科の視点で解説した記事で詳しく整理しています。あわせて読むと、この日の18分間の意味がよりはっきりすると思います。

復旧にも時間がかかりました。全部が止まった状態からの復旧は「ブラックスタート」と呼ばれ、外から電気をもらえないため、自力で起動できる発電機から少しずつ系統を育てていくしかありません。概ね全域に電気が届くまで約45時間を要しました。検証委員会は、手順どおりに進められており明らかな人為的な問題は確認できなかったと評価しています。

停電が断水と通信途絶を招く

停電から断水・通信途絶へと連鎖する様子をドミノで表した図解イラスト
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

電気が止まると、止まるのは電気だけではありません。

連鎖先何が起きたか
水道浄水やポンプの稼働に電力が必要なため、44市町村・最大約68,249戸が断水
通信スマートフォンを充電できず、情報を得る手段そのものを失った
医療消費電力の大きい医療機器が使えず、影響が広範囲に及んだ
産業搾乳機や冷却装置が止まり、全道で約2万トンの生乳が廃棄に

札幌市は、市役所本庁舎の非常用自家発電(約3日分の稼働が可能)を活用して、無料の充電サービスを市民に開放しました。1人30分の時間制限を設けるほど、充電を求める人が集まったそうです。

有識者からは、これが電力需要の高いに起きていれば被害はさらに大きくなっていた可能性が高い、という指摘も出ています。北海道の冬の暖房は、灯油ストーブでも点火や送風に電気を使うものが少なくありません。

この災害から学べる防災の教訓

午前3時の暗闇で必要になるもの

深夜の停電に備えて枕元に灯りとスリッパを用意したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

この地震が発生したのは、午前3時7分。多くの人が眠っている時間でした。強い揺れで飛び起き、そのまま真っ暗になった。この順番が、胆振東部地震の怖さだったと思っています。

私は2011年3月11日、福島で東日本大震災を経験しました。あの日の夜、停電した部屋で一番こたえたのは、寒さでも空腹でもなく、子どもの顔が見えないことでした。すぐそばにいるのに表情が分からない。声だけで「大丈夫だよ」と言い合う時間の心細さは、今でもはっきり覚えています。

だから私は、防災グッズは「命を守る道具」であると同時に「心の余裕をつくる道具」だと考えています。灯りがひとつあるだけで、人はかなり冷静になれます。夜間の停電にどう備えるかは、地震で停電した夜を乗り切るための対策にまとめていますので、寝室の環境を思い浮かべながら読んでみてください。

枕元に懐中電灯やスリッパがないと、割れたガラスの上を裸足で歩くことになります。真っ暗な中では、それも確認できません。

情報が届かない不安とデマ対策

懐中電灯やランタン、モバイルバッテリーなど停電時の明かりと電源を並べたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

もうひとつ、この災害で大きな課題になったのが情報でした。

SNSでは「数時間後に大きな地震が発生する」「広範囲で断水する」といった根拠のない情報が拡散し、自治体が問い合わせ対応に追われました。熊本県の学生ボランティア団体が、北海道地震に関する根拠のない書き込みを約40件見つけて県警に報告した、という記録も残っています。

ただ、研究報告によれば、打ち消しの情報にはきちんと拡散を抑える効果があったとされています。強い恐怖を伴うデマほど、否定情報が広がるスピードも速かったそうです。デマに強くなる方法は「疑うこと」だけではなく、「確かな情報源をあらかじめ持っておくこと」なんですね。

停電時に強いのは、やはり電池で動くラジオです。スマホが充電できず、基地局のバッテリーも尽きていく状況では、放送が最後の情報インフラになります。この仕組みについては停電時に防災ラジオが必要になる理由で解説しています。

9月6日に見直したい防災チェック

明かりと電源の備えを確認する

胆振東部地震の教訓を一言でいえば「電気が止まった状態が2日近く続くことがある」ということです。まずは灯りと電源から確認しましょう。

種類目安の持続向いている使い方注意点
懐中電灯数時間〜十数時間移動・手元の確認一点を照らすため部屋は暗いまま
ランタン十数時間〜数十時間部屋全体を明るくする持ち歩きにはやや不向き
ヘッドライト十数時間程度両手を空けたい作業・移動対面時はまぶしくなりやすい
モバイルバッテリー容量により1〜3回分程度連絡・情報収集容量表示を確認しておく。基地局が停止すると通信自体が不可
ソーラー充電天候次第停電が長引いたとき曇天・夜間は発電できない

ポイントは、種類を1つに絞らないことです。懐中電灯だけでは部屋が暗いままですし、モバイルバッテリーだけでは2日はもちません。役割の違うものを組み合わせておくと、停電が長引いても対応の幅が残ります。

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水と携帯トイレを点検する

胆振東部地震では、停電の影響で44市町村・最大約68,249戸が断水しました。電気が止まると水も止まる。この連鎖は、頭で分かっていても実際に体験すると想像以上に不便です。

断水は概ね3日でほぼ復旧しましたが、全地域で解消するまでには約1か月かかっています。

今日できる9月6日のチェックリスト

  • 懐中電灯・ランタンが点灯するか確認する
  • 電池の予備があるか、サイズが合っているか確認する
  • モバイルバッテリーを満充電にしておく
  • 飲料水の賞味期限を確認する(1人1日3リットルが目安)
  • 携帯トイレの数を数える(1人1日5回分が目安)
  • 寝室の枕元に灯りとスリッパを置く
  • 家族の集合場所と連絡方法を話し合う
  • ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する

まとめ|9月6日の災害を今日の備えに

9月6日は、震度7の揺れと日本初のブラックアウトが同じ日に起きた日です。しかも、すでに知られていた活断層の上ではなく、深夜3時という誰も身構えていない時間帯でした。

北海道胆振東部地震が教える備え

北海道胆振東部地震が私たちに残したのは、「電気を前提にした暮らしは、思っているより簡単に止まる」という事実です。水道も、通信も、暖房も、その先にぶら下がっています。

福島で東日本大震災を経験した防災士として、この教訓の重さを感じます。あのとき私が痛感したのも、まったく同じでした。道具がないことより、暗闇の中で何も分からないことのほうが、人の判断を鈍らせます。

過去の災害は、遠い昔の話ではありません。今日、懐中電灯をひとつ点けてみる。それだけでも、9月6日を「知った日」から「備え直した日」に変えられます。大切な人を守るために、まずはできることから始めていきましょう。

停電が長引いたとき、最後に効いてくるのは「電気をつくる手段を自分で持っているか」です。太陽光で充電できる備えについては、ソーラーパネル付き防災セットの詳細で内容を整理していますので、電源の選択肢を考えるときの参考にしてください。

よくある質問

Q. 北海道胆振東部地震はいつ起きた地震ですか?

A. 2018年(平成30年)9月6日の3時7分に発生しました。震源は北海道胆振地方中東部で、マグニチュードは6.7(暫定値)、最大震度は厚真町の震度7です。北海道で震度7が観測されたのは、このときが初めてでした。

Q. 北海道胆振東部地震の読み方を教えてください。

A. 「ほっかいどう いぶりとうぶ じしん」と読みます。「胆振」は北海道南西部の地域名です。気象庁が地震発生当日の17時30分に、この正式名称を定めました。

Q. ブラックアウトはなぜ起きたのですか?

A. 電力広域的運営推進機関の検証委員会は、道内の発電力の約4割を担っていた苫東厚真火力発電所の停止に加え、揺れによる送電線4回線の事故が重なった複合要因によって発生したとしています。発電量と使用量のバランスが崩れて周波数が低下し、発電機が次々と保護停止したことで全域停電に至りました。

Q. 北海道胆振東部地震から学べる備えは何ですか?

A. 最も大きな教訓は「電気が2日近く止まることがある」という点です。灯り・電源・水・携帯トイレを、種類を分けて備えておくことが有効です。特に深夜に発生したことを踏まえ、寝室の枕元に灯りを置いておくことをおすすめします。


数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

参考情報について

本記事は公的資料をもとに、過去の災害や防災に関する出来事を紹介しています。災害の記録は調査の進展や資料によって数値・表記が異なる場合があります。最新の正確な情報は、各省庁・自治体・関係機関の公式情報をご確認ください。

本記事は、特定の個人・地域・団体を批判するものではなく、過去の出来事から防災の教訓を学び、今日の備えにつなげることを目的としています。

🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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