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前震とは?本震との違いを2つの事例で解説【保存版】

地震計の波形のように前震から本震へとエネルギーが増大する様子を表したイメージ

前震とは?本震との違いを2つの事例で解説【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

大きな地震が起きたあと、「さっきの揺れは本震だったのか、それとも前震なのか」と不安になった経験はありませんか。ニュースやSNSでは「前震」「前兆地震」といった言葉が飛び交いますが、実はこの2つ、意味が混同されて使われることも多いんですね。

今回は「前震」という地震学の言葉を軸に、本震・余震との違いや、実際に前震が確認された過去の地震を振り返りながら、今日からできる備えについてお伝えしていきます。

前震かどうかは後にならないと分からないからこそ、揺れの大小に関わらず同じ備えを続けることが大切です。

この記事でわかること

  • 前震は発生した時点では判断できず、後からしかわからないこと
  • 熊本地震・東日本大震災で実際に前震だったとされる地震の記録
  • 前震かどうかにかかわらず、今日からできる備えの整え方
目次

前震とは?本震・余震との違いを解説

前震か本震かは、揺れている最中には誰にも判断できず、備えは揺れるたびに同じように整えることが大切です。

前震とは、後に発生したより規模の大きな地震(本震)よりも先に、同じ震源域で起きていたことが後から判明する地震のことです。

ここがちょっとややこしいところなのですが、「これは前震です」と発生した時点で言い切ることは、今の科学技術ではできません。気象庁の解説でも、前震・本震・余震のどれに当たるかは、その後の地震活動を振り返ったときに初めてわかるとされています。つまり、揺れているまさにその瞬間は、それが前震なのか、本震そのものなのか、誰にも判断できないということですね。

【防災理科】地震はなぜ連続して起きるのか。日本列島の地下には複数のプレートが重なり合い、常に押し合ったり沈み込んだりしています。プレート境界や活断層には「ひずみ」というエネルギーが少しずつ蓄積されていき、あるとき耐えきれなくなった部分が一気にずれ動くことで地震が発生します。ひずみが一度に全て解放されず、断層の一部だけがずれて小さな地震(前震)が起き、その後、隣接する部分もまとめてずれ動くことで、より大きな本震につながることがあります。逆に、小さなずれが本震そのものの前触れなのか、単なる単発の地震で終わるのかは、ひずみの蓄積状況が地表からは見えないため、事前に判断することができません。

前震という言葉の意味と読み方

地下の岩盤にひずみが蓄積し前震として一部が発光するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「前震」は「ぜんしん」と読みます。地震学では、一連の地震活動の中でいちばん規模が大きかった地震を「本震」と呼び、それより前に起きていた地震を「前震」、後に続く小さな地震を「余震」と呼びます。この3つの言葉はセットで使われることが多いです。

地震活動には大きく分けて3つのパターンがあるとされています。ひとつは「本震−余震型」で、突然大きな地震(本震)が起き、その後だんだん小さくなる余震が続くパターンです。もうひとつが「前震−本震−余震型」で、比較的小さな地震(前震)が先に起き、数時間から数日、時には数週間以上あとに、より大きな本震が発生するパターンです。そしてもうひとつ「群発型」というパターンもあり、これは特に際立った大きな地震がなく、同程度の規模の地震が長期間にわたって断続的に発生し続けるものです。同じ「地震の連続」でも、この3つのどれに当てはまるかは、活動が落ち着いてから振り返って初めてわかります。

本震・余震との違いを整理

本震・余震の規模の違いを光の球の大きさで表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

言葉だけだと混乱しやすいので、表で整理してみますね。

用語意味いつわかるか
前震本震より前に起きていた地震本震が起きたあとに判明
本震一連の活動の中で最も規模が大きい地震その時点までの最大規模で暫定的に判断
余震本震のあとに続く、本震より小さい地震本震発生の直後から

気象庁は2016年の熊本地震をきっかけに、防災上の呼びかけでは「余震」という言葉を使わず「地震」という表現に統一する方針に変えました。「余震」という言葉が「もう大きな地震は来ない」という誤った安心感を与えかねないためです。実際、熊本地震では最初の地震(当時は本震と発表)よりも2日後の地震のほうが規模が大きく、「余震だから小さいはず」という思い込みの危うさが浮き彫りになりました。

前震と本震の見分け方

小さな地震のエネルギーと大きな地震のエネルギー差を光の輪で表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

結論から言うと、揺れている最中に「これは前震だ」と見分ける方法は、今のところありません。過去のデータを調べた研究では、震度5弱程度の目立つ地震が起きた場合でも、それが本当に前震で、後からさらに大きな本震につながるケースは全体のごく一部にとどまるとされています(出典:気象庁「大地震後の地震活動(余震等)について」)。だからといって油断していいわけではなく、「めったにないけれど、ゼロではない」という前提で備えておくことが大切なんですね。

地震の規模を表す指標として「マグニチュード」がありますが、この数値が1大きくなるだけでエネルギーは約32倍にもなります。ですから、前震とされる地震の規模が小さく見えても、その後に発生しうる本震のエネルギーは桁違いに大きい可能性がある、ということを覚えておく必要があります。

前震から本震までの時間差

前震発生から本震発生までの時間の経過を光の帯で表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

前震から本震までの間隔は、地震によってバラバラです。数十時間後に本震が来ることもあれば、数日〜1か月以上あいてから本震が起きた例もあります。また、前震の規模も一定ではなく、体に感じないくらい小さいこともあれば、震度6〜7に達するほど大きいこともあります。「小さかったから安心」とは言い切れないのが、前震の怖さでもあります。

たとえば1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、本震が起こる半日ほど前に、震源に近い明石海峡付近でごく小さな地震が複数回観測されていた記録が残っています。ただし、この段階でそれが前震だと判断することは、当時も今も現実的にはできません。過去にさかのぼって研究することで初めて「あれは前震だったのかもしれない」とわかる、というのが実情です。

前兆地震と前震は同じ意味か

科学的に確定される前震と根拠が乏しい前兆現象の違いを対比したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここで多くの方が気になるのが「前兆地震」という言葉です。「前震」と似ているので同じ意味だと思われがちですが、実は少し性質が異なります。「前震」は地震学で使われる、後から確定する地震活動の分類です。一方で「前兆地震」という言葉は、地震雲や動物の異常行動といった、いわゆる”地震の予兆”を指す文脈で使われることが多く、科学的な裏付けが乏しいものも含まれます。この違いについては、地震の前兆と予想の嘘ホント!最新情報と防災士の備えでも詳しく整理していますので、あわせて読んでみてください。

前震から学ぶ地震への備え方

ここからは、実際に前震だったと確認されている過去の地震を振り返りながら、今日からできる備えを考えていきましょう。

熊本地震の前震と本震の記録

内陸の活断層が2度にわたってずれ動く様子を表した地震のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

2016年4月14日、熊本県で最大震度7・マグニチュード6.5の地震が発生しました。この時点では「本震」として発表されていたのですが、2日後の4月16日に、さらに規模の大きいマグニチュード7.3・最大震度7の地震が起こります。この結果、14日の地震は「前震」だったと訂正されることになりました。マグニチュードの差は0.8ですが、エネルギーとしては十数倍以上の開きがあり、規模の受け取り方には注意が必要だとよくわかる事例です。

この熊本地震では、14日の揺れのあとに「もう大きな揺れは来ないだろう」と考え、いったん避難所から自宅に戻った方も少なくなかったと言われています。その2日後により大きな本震が起きたことで、被害が拡大した一因になったとされています。「最初の揺れが一番大きいはず」という思い込みが、判断を難しくすることがあるという教訓です。マグニチュードと震度の関係についてはマグニチュードと震度の換算は不可!違いを防災士が解説でも解説していますので、ぜひご覧ください。

東日本大震災3月9日の地震

海溝でプレートが沈み込みひずみが蓄積する様子を表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

実は東日本大震災にも、前震だったとされる地震があります。本震(2011年3月11日、マグニチュード9.0)の2日前、3月9日に三陸沖でマグニチュード7.3・最大震度5弱の地震が発生していました。当時、この地震だけを見て「これから本震が来る」と判断することは誰にもできませんでした。

2011年3月11日、私自身も福島でこの本震を経験しました。当時、事務所から自宅までいつもなら10分ほどの道のりが、40分近くかかったのを覚えています。自宅に着くと、家具が倒れ壁にヒビが入っている状態でした。そこから停電が2〜3日、断水が2日ほど続き、スーパーも1週間ほど休業する状況が続きました。情報源もラジオが頼りで、しばらくインターネットもつながらない時間が続いたのを覚えています。揺れが収まったあとも、小さな揺れのたびに身構える感覚がしばらく抜けませんでした。前震かどうかは後にならないとわからない、ということを、身をもって実感した出来事でした。

前震かもと感じた時の行動

夜間、家族が防災リュックのそばで避難のタイミングを話し合う様子のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「これは前震かもしれない」と気づく方法はありませんが、大きな地震のあとしばらくは、同規模の地震に備えて過ごすことが大切です。気象庁も、大きな地震の発生後1週間程度、特に2〜3日は同規模の地震への注意を呼びかけています。この期間は、避難所から自宅に戻るタイミングや、片付けを急ぐタイミングにも慎重さが求められます。緊急地震速報が鳴った際の初動については緊急地震速報の仕組みとスマホ設定を防災士が徹底解説にまとめていますので、こちらもあわせてご確認ください。

家庭でできる地震の備え

子どもがヘルメット付き防災リュックを背負う準備をしている家庭のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

前震かどうかにかかわらず、揺れを感じたときにまず守るべきは頭です。とっさに物が落ちてくる場面で、頭部を保護できる装備があるかどうかは大きな差になります。

私が防災士として法人・ご家庭の備蓄をお手伝いする中でも、「地震のたびに落下物でヒヤッとした」というお話をよく伺います。とっさの一手として、頭を守れる装備を防災リュックに備えておくのも一つの方法です。また、停電が数日続くことを想定し、懐中電灯やモバイルバッテリー、家族の連絡手段を事前に確認しておくことも欠かせません。情報源が限られる状況では、正しい情報にアクセスできるかどうかが、その後の心の余裕を大きく左右します。

まとめ:前震を備えに生かす

前震かどうかは、揺れている瞬間には誰にも判断できません。だからこそ、「今の揺れが前震かもしれない」と身構えるより、「どんな揺れが来ても同じように備えておく」という姿勢が現実的です。熊本地震や東日本大震災の例が教えてくれるのは、揺れの大小にかかわらず、次の揺れへの備えを崩さないことの大切さです。

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今日からできる備えとして、以下を確認しておきましょう。

  • 懐中電灯やヘッドライトがすぐ使える状態か
  • 家具の転倒防止対策ができているか
  • 家族との連絡手段・避難場所を確認しているか
  • 停電・断水が数日続くことを想定した備蓄があるか
  • 地震発生後しばらくは同規模の揺れに注意する意識を持てているか

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 前震かどうかはどうすればわかりますか? A. 発生している最中に前震かどうかを判断する方法はありません。より大きな本震が後から起きた場合に、初めて「前震だった」と確認されます。 Q. 前震と前兆地震は同じ意味ですか? A. 異なります。前震は地震学上の分類で、事後に確認されるものです。前兆地震は地震雲や動物の異常行動など、いわゆる予兆現象を指す文脈で使われることが多く、科学的根拠が乏しいものも含まれます。 Q. 前震から本震までどのくらいの時間がありますか? A. 地震によって大きく異なります。数十時間後に本震が起きた例もあれば、数日から1か月以上あいて本震が起きた例もあり、一定ではありません。前震の規模も小さいものから震度6〜7に達するものまでさまざまで、時間差だけで判断することはできません。 Q. 熊本地震では何が前震・本震とされましたか? A. 2016年4月14日のマグニチュード6.5・最大震度7の地震が当初「本震」とされましたが、2日後の4月16日にマグニチュード7.3・最大震度7の地震が発生したため、14日の地震は「前震」に訂正されました。この経緯を機に、気象庁は防災上の呼びかけで「余震」という言葉を使わない方針に変更しています。

🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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