熱中症警戒アラートとは?基準33の意味と今日できる5つの対策【防災士が解説】

熱中症警戒アラートとは?基準33の意味と今日できる5つの対策【防災士が解説】
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
夏になるとテレビやスマホで毎日のように目にする「熱中症警戒アラート」。名前は知っていても、「何度になったら出るの?」「出たら部活やプールはどうなるの?」と聞かれると、意外と答えられない方が多いのではないでしょうか。
熱中症警戒アラートは暑さ指数33以上が予測された日に発表され、出た日は「運動は原則中止レベルの危険な暑さ」と考えて行動するのが基本です。
この記事では、発表基準や特別警戒アラートとの違い、そして学校・部活・家庭でどう行動すればよいかを、福島で東日本大震災を経験した防災士の視点で解説します。
熱中症警戒アラートとは?基準と仕組み

熱中症警戒アラートとは、熱中症の危険性が極めて高い暑さが予測されたときに、環境省と気象庁が共同で発表する注意喚起の情報です。
この記事でわかること:
①発表基準は暑さ指数(WBGT)33以上
②熱中症特別警戒アラートとの違い
③学校・部活・プールでの対応の目安
④今日からできる家族の備え
「気づき」を促すことが目的とされていて、発表された日は普段以上の熱中症予防行動が求められます。まずは、その仕組みから見ていきましょう。
暑さ指数WBGT33という発表基準

熱中症警戒アラートの発表基準は、気温ではなく「暑さ指数(WBGT)」です。全国を58に分けた府県予報区等の中で、いずれかの地点の日最高暑さ指数が33以上になると予測された場合に発表されます(出典:環境省『熱中症予防情報サイト』)。
ここで大事なのは「気温33度」ではないという点ですね。暑さ指数(WBGT)は気温・湿度・日射などを組み合わせた指標で、単位は同じ「度」でも気温とは別物です。暑さ指数33というのは、気温でいえば35度を超える猛暑日クラスに相当することが多い、かなり危険な暑さだと思ってください。
熱中症警戒アラートは「気温」ではなく「暑さ指数(WBGT)33以上の予測」で発表されます。湿度が高い日は気温がそれほどでなくても発表されることがあります。
いつから始まった制度なのか

熱中症警戒アラートは、2020年7月1日に関東甲信の1都8県で先行的に試行が始まり、その検証結果を踏まえて2021年4月28日から全国での運用が開始されました。
さらに2023年の気候変動適応法の改正によって、それまで運用ベースだったアラートが「熱中症警戒情報」として法律に位置づけられました。単なる「お知らせ」から、法律に基づく正式な情報へと格上げされたわけです。それだけ熱中症の被害が深刻になっている、ということでもありますね。
なお、運用期間は毎年おおむね4月下旬から10月下旬までです。令和8年度(2026年度)は4月22日から10月21日までとされています。
発表のタイミングと確認方法

熱中症警戒アラートは、前日の午後5時と当日の午前5時の2回のタイミングで発表されます。夕方のニュースと朝のニュースで報道されることを想定した時刻設定です。
確認方法は主に次のとおりです。
- テレビ・ラジオの気象情報やニュース
- 環境省「熱中症予防情報サイト」
- 環境省の熱中症警戒アラート等メール配信サービス
- 環境省LINE公式アカウント
- スマホの天気アプリの通知
おすすめは、メール配信やLINEなど「自動で届く手段」を1つ登録しておくことです。自分から見に行く方法だけだと、忙しい朝はどうしても見落としてしまいます。災害情報全般に言えることですが、「情報が向こうからやってくる仕組み」を作っておくのが備えの第一歩かなと思います。
熱中症特別警戒アラートとの違い

2024年4月からは、警戒アラートの一段上にあたる「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まりました。両者の違いを表で整理します。
| 項目 | 熱中症警戒アラート | 熱中症特別警戒アラート |
|---|---|---|
| 発表基準 | 区域内のいずれかの地点で暑さ指数33以上の予測 | 都道府県内の全地点で暑さ指数35以上の予測 |
| 発表単位 | 府県予報区等(全国58区分) | 都道府県単位 |
| 発表時刻 | 前日17時・当日5時 | 前日14時 |
| 運用開始 | 2021年(全国) | 2024年4月 |
| 位置づけ | 危険な暑さへの「気づき」を促す | 過去に例のない危険な暑さへの最大級の警戒 |
| 特徴 | 普段以上の予防行動を呼びかけ | クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)が開放される |
ざっくり言えば、警戒アラートが「危険な暑さです、気をつけて」なのに対し、特別警戒アラートは「命に関わる異常な暑さです、最大級の警戒を」というレベルの違いです。特別警戒アラートが発表された地域・対象日には、重複する警戒アラートは発表されない仕組みになっています。
特別警戒アラートの詳しい基準やクーリングシェルターの使い方については、熱中症特別警戒アラートの解説記事で詳しくまとめていますので、あわせて読んでみてください。

環境省と気象庁が共同発表する理由

ここで少しだけ「防災理科」の話をさせてください。なぜ気温ではなく暑さ指数(WBGT)を使うのか、という話です。
人間の体は、汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げています。ところが湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体に熱がこもってしまうんですね。つまり同じ気温32度でも、カラッとした日とジメジメした日では、熱中症のリスクがまったく違います。
以前は気温だけを基準にした「高温注意情報」が発表されていましたが、気温だけでは救急搬送者数との相関に課題があるとされていました。そこで、湿度・日射・気温の3要素を取り入れた暑さ指数(WBGT)を基準にした新しい情報として、気象データを持つ気象庁と、熱中症対策を所管する環境省が共同で立ち上げたのが熱中症警戒アラートです。
暑さ指数(WBGT)は湿度の影響を大きく反映するよう設計されています。「気温はそれほどでもないのにアラートが出ている日」こそ、体感以上に危険な蒸し暑さだと考えてください。
熱中症警戒アラートが出たらどうする?

ここからは、実際にアラートが発表された日にどう行動すればよいかを、場面ごとに見ていきます。基本の予防行動は「エアコン等で涼しい環境で過ごす」「こまめな休憩と水分・塩分補給」「高齢者や子どもへの声かけ」の3つです。
学校や部活はどう対応するのか

保護者の方からよくいただく質問が「アラートが出たら学校は休みになるの?」というものです。結論から言うと、アラートの発表だけで自動的に休校になる全国一律のルールはありません。対応は自治体や学校ごとの判断になります。
ただし、運動については明確な目安があります。日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」では、暑さ指数31以上で「運動は原則中止」、特に子どもの場合は中止すべきとされています。
ここで思い出してほしいのが、アラートの発表基準は暑さ指数33以上の予測だということです。つまりアラートが出た日は、運動原則中止ラインの31を確実に上回る暑さが予測されている日なんですね。部活動や屋外の体育は中止・変更が検討されるべき水準ですし、実際に多くの競技団体がこの指針に沿って大会の中止・時間変更を判断しています。
プールや屋外活動の中止判断

「プールなら涼しいから大丈夫でしょ?」と思われがちですが、これは要注意です。水の中でも体温は上がりますし、汗をかいている自覚が持ちにくいため、水分補給が遅れやすいんです。プールサイドの照り返しも強烈です。
学校のプール授業や屋外レジャーも、暑さ指数をもとに中止・短縮が判断されるケースが増えています。アラートが出た日の屋外活動は「やる前提」ではなく「やめる前提で、できる条件が揃ったときだけやる」くらいの発想の転換が必要かなと思います。
プール・海水浴・キャンプなどの水辺やレジャーも例外ではありません。アラート発表日は、涼しい時間帯への変更・活動時間の短縮・中止をためらわないでください。
高齢者と子どもを守る声かけ

熱中症で亡くなる方の多くは高齢者で、その多くが屋内で発症しています。高齢になると暑さやのどの渇きを感じにくくなり、「もったいないから」とエアコンを我慢してしまう方も少なくありません。
だからこそ、アラートが出た日は周囲からの声かけが命を守ります。離れて暮らす親御さんに「今日はアラートが出てるよ、エアコンつけてる?」と電話を1本入れる。子どもには「今日は外遊びはお休み。水筒を必ず持って行こうね」と伝える。それだけで防げる熱中症が本当にたくさんあります。
私は防災士として「防災グッズは心の余裕を作る道具」だとよくお話ししますが、熱中症対策の第一歩はもっとシンプルで、家族への声かけという「無料の備え」です。アラートを見たら誰かに伝える、を習慣にしてみてください。
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停電時の熱中症対策と備え
もう一つ、防災士としてどうしても伝えたいのが「真夏の停電」のリスクです。
2011年3月11日、私は福島で東日本大震災を経験しました。あのとき私の自宅は2〜3日停電し、断水も2日続きました。3月だったのでまだ寒さの問題でしたが、もしあの停電が真夏に起きていたら…と考えると、今でもぞっとします。エアコンも扇風機も冷蔵庫も、すべて止まるわけですから。
実は私が拠点にしている福島市は、盆地地形で熱がこもりやすく、「東北なのに」日本有数の暑さになる街です。2025年7月24日には隣の伊達市梁川で39.3度を記録し、京都府福知山と並んでその年の全国最高気温を更新したほどです。「東北だから涼しい」「うちの地域は大丈夫」という思い込みは、熱中症でも災害でも一番危険だと感じています。
アラートが連日出るような時期に地震や台風で停電すれば、家そのものが熱中症の危険地帯になります。冷たい水・経口補水液の備蓄、乾電池式の扇風機、モバイルバッテリーやポータブル電源といった「電気の備え」は、いまや夏の防災の必需品です。停電への備え全般は地震で停電の夜どうする?暗闇の恐怖を消す防災士の生存対策にまとめています。
特に電源が確保できているかどうかは、猛暑の停電では命の分かれ目になります。扇風機1台、冷蔵庫1台が動くだけで、家族の安心感はまったく違ってきます。
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まとめ:熱中症警戒アラートを行動に

最後に、この記事の要点を整理します。
・熱中症警戒アラートは暑さ指数(WBGT)33以上の予測で、環境省と気象庁が共同発表する
・発表は前日17時と当日5時。メールやLINEで「自動で届く」登録がおすすめ
・暑さ指数31以上は運動原則中止。アラートの日は部活・プール・屋外活動の中止や変更を検討する水準
・高齢者・子どもには周囲からの声かけを。屋内でもエアコンをためらわない
・真夏の停電は家を熱中症の危険地帯に変える。水分・電源の備えをセットで
アラートは「知って終わり」では意味がなくて、見た瞬間に行動が変わって初めて価値が出る情報です。今日の予定を変える勇気、家族への声かけ、そして電気が止まっても命を守れる備え。夏に本当に必要な防災グッズは防災グッズ最強ランキング10選|被災した防災士が本気で選んだアイテムでも紹介していますので、この機会にご家庭の備えを一度見直してみてくださいね。
数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 熱中症警戒アラートは何度から発表されますか?
A. 気温ではなく暑さ指数(WBGT)が基準で、地域内のいずれかの地点で日最高暑さ指数33以上と予測された場合に発表されます。湿度が高い日は気温が33度未満でも発表されることがあります。
Q. 熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの違いは何ですか?
A. 警戒アラートは暑さ指数33以上の予測で府県予報区単位、特別警戒アラートは都道府県内の全地点で35以上の予測という一段上の情報です。特別警戒アラートの発表時にはクーリングシェルターが開放されます。
Q. 熱中症警戒アラートが出たら学校や部活は休みになりますか?
A. アラートだけで自動的に休校となる全国一律のルールはなく、自治体や学校の判断になります。ただし暑さ指数31以上で運動は原則中止とされており、アラート発表日はそれを上回る暑さのため、部活動や屋外活動は中止・変更が検討される水準です。
Q. 熱中症警戒アラートはいつ、どこで確認できますか?
A. 前日の午後5時と当日の午前5時に発表され、テレビの気象情報や環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。環境省のメール配信サービスやLINE公式アカウントに登録すれば自動で通知を受け取れます。
🛡️ 防災士監修記事
後藤 秀和(ごとう ひでかず)
防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。



