6月18日に起きた災害|大阪府北部地震から学ぶ防災カレンダー

6月18日に起きた災害|大阪府北部地震から学ぶ防災カレンダー
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
6月18日は、過去にどのような災害が起きた日なのでしょうか。
2018年のこの日、朝の通勤・登校ラッシュのさなかに大阪府北部を揺るがした地震があります。大阪府北部地震です。震度6弱の揺れが走った時刻はわずか午前7時58分。多くの人がいつもの月曜日の朝として動き始めた瞬間でした。
この地震では6名の方が亡くなられ、462名が負傷、住家被害は一部破損を含めると6万棟を超えました。そしてこの地震を語るとき、必ずといっていいほど出てくるのが「ブロック塀」の問題です。
過去の災害を知ることは、不安をあおるためではありません。同じ被害を繰り返さないために、今の暮らしを見直すきっかけにするためです。この記事では、大阪府北部地震の記録を振り返りながら、今日の備えにつなげる教訓をお伝えします。
6月18日に起きた大阪府北部地震の記録

2018年6月18日・午前7時58分の出来事

2018年(平成30年)6月18日午前7時58分、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました(気象庁・暫定値)。震源の深さは約13km、震源は高槻駅のほぼ直下とされています(出典:内閣府防災白書「大阪府北部地震」)。
最大震度6弱を観測したのは、大阪府大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市。京都市や亀岡市などでも震度5強を観測し、近畿地方全域に揺れが広がりました。津波の心配はありませんでした。
気象庁は地震波の検知からわずか3.2秒後に緊急地震速報(警報)を発表。しかし震源が浅く、震源に近い地域では速報よりも先に揺れが到達したケースも多かったとされています(消防庁・消防白書より)。
時刻が月曜日の朝ということもあり、この地震は「都市型の朝の地震」として多くの課題を浮き彫りにしました。通勤電車が走り、子どもたちが登校しているまさにその時間帯に、震度6弱の揺れが来た。そのことが、この地震の被害の特徴を大きく形作ることになりました。
大阪府北部地震の被害状況

内閣府・消防庁の公式集計(2019年8月時点)によると、被害の全体像は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 死者 | 6名(大阪府内) |
| 負傷者 | 462名(うち重傷62名)2府5県 |
| 住家全壊 | 21棟 |
| 住家半壊 | 483棟 |
| 住家一部破損 | 61,266棟 |
| 停電 | 最大約17万戸(約2時間で復旧) |
| 都市ガス停止 | 最大約11万戸(1週間以内に復旧) |
| エレベーター閉じ込め | 5府県214基(当日中に全救助) |
| 最大避難者数 | 約2,700名(大阪・京都) |
住家の一部破損が6万棟を超えていることから、「震度6弱でもこれだけの被害が出るのか」と感じる方もいるかもしれません。直接死を引き起こすような建物全壊が少なかったのは、この地震が極短周期の地震動を多く含んでいたためとされており、建物を大きく揺さぶる1〜2秒周期の成分は比較的小さかったと考えられています。一方で、屋根瓦のずれや外壁のひび割れなど、広範囲に軽微な被害が広がりました。
地震保険の支払総額は946億円を超え、東日本大震災・熊本地震に次ぐ全国第3位となっています(2018年10月時点)。
ブロック塀倒壊が問われた教訓

この地震でもっとも深く社会に問いかけた問題が、ブロック塀の倒壊です。
大阪府高槻市の小学校で、プールのそばにあったブロック塀が倒れ、登校中の小学生が亡くなられました。そのブロック塀は、もともとあったプール基礎(高さ約1.9m)の上に、さらにブロック8段分(約1.6m)が積み上げられており、合計の高さは地面から約3.5mに達していたとされています。建築基準法施行令が定める上限(補強コンクリートブロック造の塀:2.2m以下)を大きく超えており、さらに高さ1.2mを超える塀に設置が求められている「控え壁(ひかえかべ)」もなかったことが確認されています(内閣府防災白書・国交省報道発表資料より)。
国土交通省の調査では、この地震で倒壊・傾斜した塀はいずれも現行の建築基準法の基準に適合していないものだったとされています。基準を満たしていれば、被害が防げた可能性があるという事実は、私たちにとって重く受け止めるべき教訓です。
さらに歴史的に見ると、1978年(昭和53年)の宮城県沖地震(6月12日発生)でも、ブロック塀の倒壊によって18名が亡くなっています。その教訓を受けて1981年に建築基準法が改正され、塀の高さ上限が強化されました。にもかかわらず、40年後の2018年に同じような被害が繰り返されたことは、法整備だけでなく「実際に塀を確認し、管理する」という行動が伴わなければ教訓は生きないことを示しています。
福島で東日本大震災を経験した防災士として、この「教訓が繰り返される構造」は他人事ではないと感じます。あの日を経験したからこそ、「知っていたはずなのに」という後悔の重さが分かります。
直下型地震のメカニズムと断層の関係

「防災理科」的な話になりますが、この地震のメカニズムを理解しておくことは、日本全国どこでも起こりうるリスクを知るうえで重要です。
大阪府北部地震は、内陸直下型の逆断層型地震に分類されます。防災科学技術研究所の解析によると、西北西〜東南東方向を圧縮軸とする逆断層型の破壊が起きたとされています。震源の周辺には有馬−高槻断層帯・生駒断層帯・上町断層帯など複数の活断層が知られていますが、地震調査委員会は「これらの既知の活断層が動いた証拠はない」との見解を示しています(2018年7月10日)。
つまり、既存の地図にない断層(未知断層)が動いた可能性がある、ということです。日本には現在確認されているだけで2,000以上の活断層がありますが、すべてが把握されているわけではありません。「活断層の地図に自分の家が載っていないから安心」という考え方は、必ずしも正確ではないことをこの地震は示しています。
また、この地震は地震調査研究推進本部が指摘する「新潟−神戸歪集中帯」の南西部で発生しています。この帯状の地帯は、日本海側から内陸にかけて地殻の変形が集中している領域であり、過去にも多くの内陸型地震を生んできた地域です。大阪・京都・神戸などの大都市を含む近畿地方の直下には、このような地殻活動の「素地」があることを、改めて認識しておく必要があります。
通勤・通学時間帯に起きた都市型地震の特徴

午前7時58分という時刻は、多くの人がすでに「外」にいる時間帯です。この地震が示した都市型地震の課題を整理しておきましょう。
- 鉄道の広域停止:JR・私鉄・地下鉄など近畿圏の多くの路線で運転が停止。運転再開が深夜に及んだ路線もあり、帰宅困難者が大量に発生しました。
- エレベーターの停止:5府県214基でエレベーター閉じ込めが発生。ビル設備管理大手2社が把握しているだけでも約3万4,000基のエレベーターが停止しました。
- ライフラインへの広域影響:最大約17万戸の停電(約2時間で復旧)、約11万戸のガス供給停止(1週間以内に復旧)、広域での断水・濁水が発生。
- 学校の休校:近畿地方で1,552校が休校となりました。
都市部の地震では「揺れが収まった後」にも課題が続きます。交通機関が止まれば職場や学校から帰れなくなる。エレベーターが止まれば高層階に閉じ込められる。「揺れさえ乗り切れば大丈夫」という発想から、「揺れた後の数時間・数日をどう過ごすか」まで想定しておくことが都市型防災の核心です。
6月18日の教訓を大阪府北部地震から学ぶ

エレベーター閉じ込めと鉄道停止への備え

この地震で多くの方が直面したのが、「通勤・通学途中で動けなくなる」という状況です。
エレベーターに乗っている最中に地震が来たらどうすれば良いのか、改めて確認しておきましょう。現在の多くのエレベーターには「地震感知器」が設置されており、揺れを検知すると自動的に最寄り階に停止するよう設計されています。ただし、揺れが大きかった場合は手動解放まで時間がかかることがあります。
エレベーターに閉じ込められたときの基本行動:①非常ボタンを押してインターフォンで連絡する、②扉をこじ開けようとしない(閉じ込め時間が長くなる可能性があります)、③水・非常食・懐中電灯を携帯しておく習慣が命綱になることがあります。
また、鉄道が止まった場合の帰宅については、「徒歩帰宅」を現実的な選択肢として考えておくことが大切です。自宅まで徒歩でどのくらいかかるか、途中に立ち寄れる場所はあるか、歩きやすい靴を職場に置いておくかどうか。このような事前の想定が、いざというときの行動を変えます。
職場での備えについては、地震が起きた時に取るべき行動(場所別マニュアル)の記事も合わせてご覧ください。
停電・ライフライン停止に備える方法

大阪府北部地震では、約17万戸の停電が当日午前中に復旧しましたが、都市ガスは最大約11万戸で1週間の供給停止が続きました。阪神・淡路大震災ではガスの復旧に94日、東日本大震災では54日かかったことと比べると、大阪府北部地震の復旧は相対的に早かったといえます。それでも、1週間ガスが使えない生活は決して楽ではありません。
ライフライン停止への備えとして、最低限押さえておきたいことを確認しましょう。
- 水:飲料水は1人あたり1日3リットルを目安に、最低3日分(できれば1週間分)を備蓄しておく
- 食料:カセットコンロとガスボンベがあればガス停止時にも温かい食事が取れる。カセットガスは予備を数本常備する
- 照明:停電時のために懐中電灯・ヘッドライト・モバイルバッテリーを充電しておく
- 情報収集:停電中でもラジオやスマートフォンで情報を取れるよう、乾電池式ラジオを備えておく
停電時の具体的な対策については、停電はなぜ起きる?台風・地震の仕組みと対策の記事もあわせてご参照ください。
登下校・通勤時間帯の地震行動を確認する

大阪府北部地震は「朝の地震」でした。自宅にいたら、学校の途中だったら、職場についたばかりだったら。それぞれの状況で取るべき行動は少し違います。
特に子どもたちの安全について、家庭でもう一度確認しておきたいのが以下の点です。
- 登下校中に地震が来たら:すぐにブロック塀・自動販売機・電柱から離れ、かばんで頭を守りながらしゃがむ
- 学校にいる間に地震が来たら:先生の指示に従いながら、机の下に身を守る
- 親が迎えに行けないケースも想定して:学校のお迎えルールや引き渡しカードの運用を確認しておく
- 子どもが帰宅する時間に大人がいない場合:自宅の鍵の場所、避難場所、連絡先を事前に伝えておく
「もし通学中に地震が来たら」という想定を、一度お子さんと一緒にやってみることをおすすめします。
家の外の危険を見直すブロック塀点検

大阪府北部地震が全国に問いかけたことのひとつが、「自分の家や通学路にある塀は大丈夫か」という問いです。
国土交通省が示しているブロック塀の点検ポイントを、分かりやすく整理すると以下のようになります。
| チェック項目 | 基準 |
|---|---|
| 高さは適切か | 補強コンクリートブロック造は2.2m以下、組積造は1.2m以下 |
| 厚さは十分か | 10cm以上(高さ2m超は15cm以上) |
| 控え壁はあるか | 高さ1.2m超の場合、3.4m以下ごとに必要 |
| 基礎はあるか | コンクリートの基礎があり、根入れ深さ30cm以上 |
| 外観に異常はないか | 傾き・ひび割れ・ぐらつきがないか目視確認 |
| 擁壁の上に塀を載せていないか | 擁壁+塀の合計高さが基準を超えていないか確認 |
自宅の周囲や、子どもの通学路を歩いて確認してみてください。古くて黒ずんでいる塀、ひびが入っている塀、根元がぐらついているように見える塀には注意が必要です。疑問があれば、自治体の建築指導担当窓口や建築士に相談することができます。また、危険なブロック塀の撤去・改修に補助制度を設けている自治体も多くありますので、お住まいの市区町村に確認してみてください。
「ブロック塀は他人の家のもの」という意識が安全点検を遅らせる一因になっています。通学路沿いの塀に不安を感じたら、学校や自治会を通じて所有者に点検を促すことも、地域の防災活動のひとつです。
今日見直したい大阪府北部地震の教訓

6月18日という日を、大阪府北部地震の記録から学ぶ一日にしていただきたいと思います。この地震が残してくれた教訓は、大阪だけのものではありません。日本のどこに住んでいても、直下型地震が起きうる可能性がある以上、ここで確認したことは「自分ごと」です。
今日の防災チェックリストとして、以下をぜひ確認してみてください。
- ☑ 自宅周辺・通学路のブロック塀を目視で確認したことがある
- ☑ 家族の通勤・通学時間帯に地震が来たときの行動を話し合ったことがある
- ☑ エレベーター内での地震行動を知っている
- ☑ 飲料水・非常食・カセットコンロが揃っている
- ☑ モバイルバッテリー・懐中電灯・ヘッドライトを充電・点検している
- ☑ 職場・学校に歩きやすい靴や簡単な備蓄がある
- ☑ 家族の緊急連絡先・避難場所を全員が把握している
防災は、大きなことを一気にやろうとしなくていいんです。「今日、ブロック塀を見てみる」という一歩が、大切な人を守る準備の始まりになります。
大阪府北部地震の教訓から学べることは、「安全だと思っていたものが危険だった」という事実の重さです。自分の家の周りを、今日改めて歩いてみてください。
備えは、今日からできます。
防災リュックの中身や家庭備蓄の見直しについては、地震に備えるものリスト完全版の記事も参考にしてください。
大阪府北部地震が教えてくれた備え
大阪府北部地震から私たちが学べることは、「知識と行動」が命を左右するという事実です。
あなたの備えを今すぐ確認してください。
あなたの防災度チェック
- ☑ 通学路・自宅周辺のブロック塀を点検したことがある
- ☑ 通勤・通学時間帯の地震行動を家族で確認している
- ☑ 停電・ガス停止に備えた備蓄がある(水・食料・カセットコンロ)
- ☑ 持ち出し袋が玄関にすぐ持って出られる状態にある
- ☑ 家族全員で避難場所・連絡方法を確認している
大阪府北部地震の教訓は「日常の中にある危険を見逃さない」ことを示しています。HIHの防災リュックは、その「準備」をすぐ始められるように設計されています。
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参考情報について
本記事は公的資料をもとに、過去の災害や防災に関する出来事を紹介しています。災害の記録は調査の進展や資料によって数値・表記が異なる場合があります。最新の正確な情報は、各省庁・自治体・関係機関の公式情報をご確認ください。
本記事は、特定の個人・地域・団体を批判するものではなく、過去の出来事から防災の教訓を学び、今日の備えにつなげることを目的としています。
数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
🛡️ 防災士監修記事
後藤 秀和(ごとう ひでかず)
防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。




