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オフィスの防災備蓄リスト|1人3日分の内訳と数量【保存版】

オフィスのフロア模型に水・保存食・簡易トイレの備蓄棚が並ぶイメージ

オフィスの防災備蓄リスト|1人3日分の内訳と数量【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「会社の防災備蓄として、何をどれだけ用意すればいいんでしょうか」——法人のご担当者からよくいただく質問がこれです。必要なのは分かっている。でも稟議書に「水を買います」とだけ書いても通らない。なぜその品目で、なぜその数量なのか、根拠を示せないと社内で止まってしまうんですよね。

オフィスの防災備蓄とは、災害で公共交通機関が止まった際に、従業員を施設内に待機させるために企業が用意しておく水・食料・衛生用品などの物資のことです。

結論から言うと、オフィスの防災備蓄は「従業員1人あたり3日分」を基準に、品目ごとに公的資料の数値を根拠として積み上げて計算します。

この記事でわかること

  • なぜ「3日分」なのか、稟議書にそのまま書ける根拠
  • 水・食料・簡易トイレの1人あたり必要数と計算式
  • 10名〜100名の人数別・必要数量の早見表
  • 備蓄リストに載りにくいのに現場で不足する品目
  • 保管場所の決め方と、期限管理を属人化させない方法
法人・団体向け防災対策として、企業が従業員に防災リュックを配布している様子を表したHIHの防災セット案内バナー
目次

オフィスの防災備蓄リストと3日分の根拠

ビル断面の各フロアに備蓄品が配置されているイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

まず押さえておきたいのは、「3日分」という数字が精神論ではなく、行政の応急活動スケジュールから逆算された数字だということです。ここを理解しておくと、社内説明の説得力がまったく変わります。

なぜ3日分の備蓄が必要なのか

3日間の待機を3つのブロックで表し4日目に帰路が開くイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

企業備蓄の基準となっているのは、内閣府(防災担当)が示しているガイドラインです。2026年1月に改定され、名称も「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」に変わりました。地震だけでなく、遠地津波・暴風・大規模事故など、地震以外の理由で交通が止まった場合も対象に含まれています。

このガイドラインでは、大都市圏で大規模地震が起きた場合の前提として、次のように整理されています。

  • 鉄道・地下鉄は少なくとも3日間は運行停止が見込まれる
  • 行政機関等は発災後3日目までは救命救助活動・消火活動を中心に対応し、おおむね4日目以降に帰宅支援の体制へ移行する

つまり「3日分」とは、行政が助けに来られない72時間を、企業が自力で埋めるための量なんですね。東日本大震災では首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生したとされ、首都直下地震等では1都4県で最大約840万人、うち約250万人が高齢者や障害者などの要配慮者と推計されています(出典:内閣府『災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン』)。

備蓄の対象者を間違えると数量が足りません。ガイドラインでは対象となる従業員等を「雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員」と定義しています。派遣社員・パート・アルバイトも母数に含めてください。加えて、来客者など外部の帰宅困難者のために10%程度を余分に備蓄することが例として示されています。

水は1人1日3リットルで計算

1人3日分9リットルの保存水が階段状に並ぶイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

水の基準は明確です。1人当たり1日3リットル、3日分で計9リットル。従業員30名なら270リットル、2リットルボトルで135本になります。

ここで社内から必ず出るのが「飲むだけなら1日1.5リットルで足りるのでは?」という指摘です。防災理科的に整理しておきましょう。

なぜ3リットルなのか
成人が1日に失う水分は、尿・便・汗・不感蒸泄(皮膚や呼気から自然に蒸発する分)を合わせておよそ2.5リットル前後とされています。このうち食事に含まれる水分と、体内で栄養素が分解されるときにできる代謝水で一定量が補われるため、飲料として必要なのは概ね1.2〜1.5リットルとされています。残りは調理・口腔ケア・手指や体の清拭といった「飲む以外の水」です。災害時は食事も水分量の少ない保存食に偏るため、食事から得られる水分が減ります。3リットルは「多め」ではなく、飲む以外の用途まで含めた現実的な数字なんですね。

保存水は5年・7年・10年と保存期間の選択肢があり、期限管理の手間と単価が変わります。オフィス備蓄では入替作業の負担が直接コストになるので、保存水の5年・7年・10年の違いと選び方を踏まえて決めると、稟議の段階で「なぜ7年を選んだか」まで書けます。

食料は3日分で9食が基本

3食×3日分の保存食9食と副食の缶詰を並べたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

主食は1人当たり1日3食、3日分で計9食が目安です。品目例としてアルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺が挙げられています。

ただし実務上、注意点が2つあります。

1つめは調理条件です。カップ麺はお湯が必要で、停電・断水下では使えないことがあります。アルファ化米も水またはお湯が要ります。オフィス備蓄では「そのまま食べられるもの」を一定割合入れておくのが安全です。

2つめは副食です。ガイドラインの9食はあくまで主食の数で、おかずは「事業継続等の要素も加味し、企業ごとに必要な備蓄品を検討していくことが望ましい」として、副食(缶詰等)が例示されているにとどまります。主食だけ9食並べても、3日間それだけで過ごすのは現実的ではありません。缶詰やレトルトの副食を主食とは別枠で計上してください。なお、ガイドラインには水や食料の選択にあたって賞味期限に留意する必要があると明記されています。選択肢の幅を広げたい場合は、スーパーで買える非常食になるものも参考になります。

簡易トイレは1日5回で計算

1人15回分の簡易トイレが高く積まれ量の多さが伝わるイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここが、オフィスの防災備蓄でもっとも見落とされやすく、もっとも不足しやすい品目です。

実は内閣府のガイドラインは、簡易トイレについて「その他の物資(特に必要性が高いもの)」と位置づけてはいるものの、具体的な数量は示していません。「その他の品目については、物資ごとに必要量を算定」とされているだけです。だから多くの企業で計上が漏れるんですね。

数量の根拠には、内閣府の防災広報資料にある排泄回数の考え方を使います。成人の1日の平均排泄回数は1人あたり5回とされており、経済産業省は備蓄目安として1週間分=1人35回分を推奨しています。

簡易トイレの必要数=5回 × 3日 × 人数
1人あたり15回分。従業員30名なら450回分になります。

水と食料に比べて桁が大きく感じますが、これが実態です。人は食事を我慢できても排泄は我慢できません。そして断水や停電でビルの給排水設備が止まれば、水洗トイレは使えなくなります。トイレットペーパー・手指消毒・中身が見えない廃棄袋も、セットで数量を出しておいてください。

人数別の必要数量一覧表

人数に比例して備蓄量が増えていくことを表したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまでの計算式を人数別に当てはめたものが次の表です。そのまま稟議資料の別表として使える形にしています。いずれも3日分・従業員数ぶんの数量で、来客用の10%上乗せは含んでいません。

従業員数水(3L×3日)2Lボトル換算主食(3食×3日)簡易トイレ(5回×3日)毛布(1人1枚)
10名90L45本90食150回分10枚
30名270L135本270食450回分30枚
50名450L225本450食750回分50枚
100名900L450本900食1,500回分100枚

来客の多いオフィスや店舗併設の事業所では、この数字に10%を上乗せしてください。100名の事業所なら水990リットル、主食990食という計算になります。人数や日数を変えて試算したい場合は、防災備蓄かんたん計算ツールで自動計算できます。

被災時に実際に足りなかった物

停電のオフィスで照明・電源・防寒・衛生用品を用意するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

2011年3月11日、私は福島で東日本大震災を経験しました。停電で調理ができない中、本当にありがたかったのは火もお湯も使わずに、すぐ口にできる食料でした。お湯を注ぐだけのカップ麺も、電気もガスも止まればただの箱です。オフィスの主食を選ぶときは、調理不要ですぐ食べられるものを必ず一定数入れてください。

もう一つ、防災士として300社以上の法人備蓄に関わってきて感じるのは、そもそも社内にほとんど食料を置いていない会社が多いということです。帰宅困難者対策は、何から手をつけるか迷って止まってしまいがちです。迷ったら、まずは保存食と保存水から始めてください。この2つがあるだけで、従業員が社内にとどまれる時間が大きく変わります。

そのうえで、公的資料の品目リストは「命をつなぐ最低限」を示したものなので、そこに載っていないのに現場で足りなくなりやすいものもあります。

  • 照明/停電した屋内は昼でも想像以上に暗くなります。特に窓のない会議室・トイレ・階段室。懐中電灯は「人数分」ではなく「区画ごと」に配置する発想が要ります。
  • 電源/情報も安否確認もスマートフォン頼みですが、充電手段がなければ数時間で使えなくなります。モバイルバッテリーは満充電で保管し、点検日を決めて充電し直してください。
  • 防寒/暖房が止まった建物は急速に冷えます。福島の3月は、暖房があることを前提にした服装では寒さをしのげません。毛布1人1枚に加え、保温シートを足しておくと軽量で場所を取りません。
  • 衛生用品/生理用品、ウェットティッシュ、中身が見えないごみ袋。ストレス下では生理が予定外に始まることもあり、日常のストックとは別に備蓄として確保する必要があります。
  • 履き慣れた靴と軍手/4日目以降に徒歩帰宅する前提の物資です。ガラス片や瓦礫のある路面をビジネスシューズで歩くのは現実的ではありません。

順番は、保存食と保存水 → 簡易トイレ → ここに挙げた品目。数量の根拠は公的資料で固めつつ、こうした「現場で足りなかったもの」を最後に足す——これがオフィスの防災備蓄リストを実用品にする工程だと思っています。

オフィス防災備蓄リストの管理と稟議

数量が決まったら、次は「どこに置くか」「どう入れ替えるか」、そして「どう社内に通すか」です。ここを決めずに発注すると、段ボールが会議室の隅で数年放置され、気づいたら全部期限切れ——という結末になりがちです。

保管場所は分散備蓄が基本

各フロアの階段付近に備蓄棚を分散配置したオフィスのイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ガイドラインには、備蓄品の保管場所の分散や従業員等への配布を検討すると明記されています。1か所にまとめると、その部屋が損壊したり、扉が歪んで開かなくなったりした時点で備蓄がゼロになるためです。高層階の事業所では、エレベーターが停止すれば地下倉庫の物資は事実上運べなくなります。

保管方式は大きく3つ。自社に合うものを選んでください。

方式向いているケースメリット注意点
集中保管平屋・1フロアの事業所期限管理が一元化できるその一室が使えないと全滅する
分散保管複数フロア・複数拠点被災時に到達できる可能性が高いフロアごとの在庫把握が必要
個人配布座席が固定している職場各自の手元にあり確実。防災意識も上がる個人管理になり期限点検が甘くなりやすい

消防法令違反にならない置き方を。東京都の帰宅困難者対策ハンドブックでも、備蓄品の保管で消防法令違反となる例として挙げられているのが、避難通路を段ボールで塞ぐ、スプリンクラー設備の放水ヘッドを塞ぐ、自動火災報知設備の感知器の設置条件を崩す、といった状態です。備えたつもりが避難の妨げになっては本末転倒なので、設置前に防火管理者と配置を確認してください。重量物(水・缶詰)は必ず棚の下段へ。頭の高さに水の箱を積むのは危険です。

期限管理表で属人化を防ぐ

社員2人がタブレットで備蓄品の期限を確認しているイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

法人のご相談でよく伺うのが、数量ミスではなく期限切れの放置です。担当者が異動した瞬間に誰も期限を知らなくなる、という状態を避けるために、管理表を1枚つくります。

項目はこれだけで十分です。

  • 品目/数量/保管場所(フロア・部屋名まで)
  • 賞味期限・使用期限
  • 入替予定年月(期限の半年前を記入)
  • 点検日と点検者名

ポイントは期限そのものではなく「入替予定年月」で管理することです。期限当日に気づいても発注が間に合いません。半年前を入替予定日として共有フォルダのカレンダーに登録し、総務部門の年間業務として組み込んでおけば、担当者が代わっても引き継がれます。

食料と水は、賞味期限が近づいたものを防災訓練の試食や社内配布で消費し、その分を買い足すローリングストックにすると廃棄が出ません。ただし企業規模では入替数量が大きくなるため、5年・7年保存品を選んで入替回数そのものを減らすほうが、結果的に管理コストは下がります。

稟議書に使える根拠の書き方

会議室で備蓄計画の書類と棚の模型を前に話し合うイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまでの内容を、そのまま稟議書の骨子にできる形で整理します。数量の妥当性を問われたときに答えられる構成です。

稟議書の骨子(4点)

  1. 必要性:大規模災害時、行政は発災後3日目まで救命救助を優先し、帰宅支援は4日目以降。その間、従業員を施設内に待機させる必要がある(内閣府ガイドライン)
  2. 対象者:雇用形態を問わず事業所内で勤務する全従業員○名+来客分10%=○名分
  3. 数量根拠:水9L/主食9食/毛布1枚(内閣府ガイドライン)、簡易トイレ15回分(1日5回×3日)を人数分
  4. 管理計画:保管方式と保管場所、期限管理表による年1回の点検、入替予定年月の設定

社内で「法的義務なのか」「罰則はあるのか」を問われることも多いはずです。条例上の位置づけや安全配慮義務との関係は企業の災害備蓄完全ガイド|法的義務・必要量・管理方法で整理していますので、稟議書の「必要性」欄を補強したい場合はそちらをご覧ください。

まとめ|オフィス防災備蓄リストの次の一歩

オフィスの防災備蓄リストは、次の順番で固めれば完成します。

  1. 対象人数を確定する(非正規含む全従業員+来客10%)
  2. 水9L・主食9食・毛布1枚・簡易トイレ15回分を人数分で計算する
  3. 副食・照明・電源・防寒・衛生用品を上乗せする
  4. 保管方式を決め、消防法令に触れない配置にする
  5. 期限管理表をつくり、入替予定年月を年間業務に組み込む

ここまで決まれば、あとは品目と数量を業者に渡して見積を取るだけです。HIHでは、稟議書に添付できる見積書・商品仕様書・数量算出表・会社概要の4点資料を無料で作成しています。従業員数と拠点数をお知らせいただければ必要数量の算出からご提案できますので、法人向け非常食・保存水の備蓄見積ページからご相談ください。品目構成のご相談だけでも承っています。

備蓄は買った日ではなく、使える状態で置かれ続けている日数に意味があります。まずはリストを1枚つくるところから始めてみてください。

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. オフィスの防災備蓄リストは何日分を用意すればよいですか?

A. 内閣府のガイドラインでは3日分が目安とされ、3日分以上の備蓄についても検討することが示されています。大規模災害時は行政の帰宅支援がおおむね4日目以降になるためです。保管スペースに余裕がある場合は7日分を目標にすると、より安心です。

Q. オフィスの防災備蓄は派遣社員やアルバイトも人数に含めますか?

A. 含めます。ガイドラインでは対象を「雇用の形態を問わず、事業所内で勤務する全従業員」と定義しています。さらに来客者など外部の帰宅困難者のため、10%程度を余分に備蓄することが例として示されています。

Q. オフィスの防災備蓄で簡易トイレは何回分必要ですか?

A. 1人あたり15回分が目安です。成人の1日の平均排泄回数は1人5回とされており、これを3日分で計算します。従業員30名なら450回分です。断水や停電で水洗トイレが使えなくなることを前提に、人数分を確保してください。

Q. オフィスの防災備蓄品はどこに保管すべきですか?

A. 1か所への集中は避け、フロアごとの分散保管や従業員への個人配布を検討することが推奨されています。避難通路やスプリンクラーヘッドを塞がない配置とし、水や缶詰などの重量物は棚の下段に置いてください。


🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得し、防災ブランド HIH(エイチアイエイチ/Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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