災害用の段ボールベッド|3つの基準と値段・購入先【保存版】

災害用の段ボールベッド|3つの基準と値段・購入先【保存版】
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
「避難所用に段ボールベッドをそろえたいけれど、どれを、何台、どこで買えばいいのかわからない」。町内会や自主防災組織、企業の防災担当の方で、こんなふうに迷っている方は多いのではないでしょうか。家具店やホームセンターでも見かけるようになりましたが、災害用として数十台単位でそろえるとなると、選び方も買い方も変わってきます。
この記事では、国の方針や専門家の指摘をもとに、災害用の段ボールベッドの役割としくみ、デメリット、選び方と購入先までを整理しました。
この記事でわかること
- 避難所で雑魚寝が問題になる理由と、段ボールベッドの効果
- 段ボールが体を支えて温めるしくみ(防災理科)
- デメリットと保管の注意点
- 耐荷重・高さ・仕切りの選び方と、値段の目安
- 店舗・通販・カタログの違いと、必要な台数の考え方
災害用の段ボールベッドとは何か

災害用の段ボールベッドとは、避難所などで床に直接寝ずに済むよう、段ボールを組み立てて使う簡易ベッドのことです。
結論から言うと、災害用の段ボールベッドは「耐荷重・高さ・仕切りの有無」で選び、避難所の運営単位で台数を決めてまとめて備えるのが基本です。
軽くてたためるので保管しやすく、組み立ても簡単です。使い終わったら資源ごみとして処分しやすいのも、段ボールならではの特長ですね。最近は、避難所の環境を良くするための基本的な備えとして、自治体だけでなく町内会や企業でも備蓄が広がっています。
2011年3月11日、私は福島でこの揺れを経験しました。あの日を経験したからこそ、「命が助かったあと、どう過ごすか」まで備えることが大切だと感じています。防災士として、法人導入実績300社以上の防災備蓄をお手伝いしてきた視点から、現場で役立つ選び方をお伝えします。
避難所で雑魚寝が問題になる理由

日本の避難所では、体育館の床にマットや毛布を敷いて寝る「雑魚寝」が長く続いてきました。しかし、雑魚寝には健康上のリスクがあることがわかっています。
避難所の健康問題にくわしい医師は、床に直接寝ると背中が冷えて血のめぐりが悪くなり、血栓(血のかたまり)ができやすい状態が続くと指摘しています。いわゆるエコノミークラス症候群につながるおそれがあるということです。さらに、床の近くにはほこりがたまりやすいため、寝る高さを確保してほしいとも呼びかけています。
高齢の方にとっては、床から立ち上がる動作そのものが大きな負担です。起き上がるのがおっくうになると、トイレに行く回数を減らそうとして水分を控えてしまい、それがまた体に悪影響を与える、という悪循環も起こりやすくなります。
ベッドで寝ると、床から離れることで冷えとほこりを避けられ、腰かけた姿勢から立ち上がれるので体への負担も軽くなります。段ボールベッドは、この「床から離れる」を手軽に実現できる道具なんです。
段ボールが体を支えて温めるしくみ

ここで少し「防災理科」のお話です。「段ボールで人の体重を支えられるの?」と不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
段ボールの断面を見ると、2枚の板紙のあいだに波形の紙(中しん)がはさまっています。この波形が小さなアーチの柱のように働き、上からの力を分散して受け止めます。段ボールベッドは、こうした段ボールの箱やブロックを縦向きにすき間なく並べ、面全体で体重を支える構造になっています。1本の柱では弱くても、たくさんの柱で支えれば大きな重さに耐えられる、というわけですね。製品によっては、耐荷重が数百kgとされているものもあります。
もうひとつのポイントが、断熱です。段ボールの中には、波形のすき間に空気の層がたくさんあります。空気は熱を伝えにくい性質があるため、床の冷たさが体に伝わりにくくなります。冬の体育館の床は想像以上に冷えるので、この断熱効果は大きな意味を持ちます。
段ボール業界の団体が紹介している利用者アンケートでも、体が楽になった、立ち上がりやすくなった、よく眠れるようになった、布団の湿気が減った、といった声が寄せられているそうです。
段ボールベッドのデメリットと注意点

便利な段ボールベッドですが、もちろん弱点もあります。導入前に知っておきたい点を正直にまとめておきますね。
- 水と湿気に弱い:濡れると強度が落ちます。浸水のおそれがある場所や、湿気の多い倉庫での保管には注意が必要です
- 虫が寄りやすい:段ボールのすき間は虫のすみかになりやすいとされています。保管中は密閉や定期的な点検を心がけましょう
- 長期使用には向かない:避難生活が長引くと、へたりや汚れが出てきます。あくまで一時的な寝床と考え、状況に応じて入れ替えを検討します
- 寝心地は硬め:天板が硬いため、マットや毛布を重ねて使うのが前提です
- 保管スペースが要る:1台分でも、たたんだ状態でそれなりの大きさになります。数十台となると、置き場所の確保が最初の課題です
こうした弱点はありますが、雑魚寝と比べたときの健康面のメリットは大きいものです。弱点を知ったうえで、保管方法や使い方で補っていくのが現実的かなと思います。
国も避難所の簡易ベッドを重視

避難所の環境改善は、国の方針としても強く打ち出されています。2024年6月の防災基本計画の修正では、市町村に対して、避難所の開設当初から簡易ベッドや間仕切りの設置に努めるよう求めました。能登半島地震で、段ボールベッドがあっても使われなかった例があったことを踏まえたものです。
さらに2024年12月には、内閣府の『避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針』などが、被災者支援の国際的な最低基準である「スフィア基準」を踏まえて改定されました。その中で、パーティションや段ボールベッドを避難所の開設時に設置することなどが盛り込まれています。その後、被災地の自治体に向けて出された事務連絡でも、整備するものとして簡易ベッド(段ボールベッドなど)や間仕切り用のテントが挙げられています。
つまり、段ボールベッドは「あれば便利なもの」から「最初から用意しておくもの」へと位置づけが変わってきているんですね。いざというときに自治体の備蓄だけでは足りない地域もあるため、地域や企業で備えておく意味は大きいと思います。
災害用の段ボールベッドの選び方と購入先

ここからは、実際に購入するときの選び方と、どこで買うかを見ていきます。避難所用・職場用として複数台をそろえる前提でお話しします。避難所で使う資機材全体の考え方は、自主防災組織の防災資機材リストと選び方もあわせてご覧ください。
災害用の段ボールベッドを選ぶ3つの基準
- 耐荷重:腰かけや立ち上がりの衝撃も考え、余裕のある数値か
- 高さ:床のほこりと冷えを避け、立ち上がりやすい30〜40cm程度か
- 仕切りの有無:プライバシーと飛まつ対策が必要な台数を確保できるか
あわせて、サイズと組み立てにかかる時間も確認しておくと安心です。
耐荷重と高さとサイズで選ぶ

3つの基準のうち、耐荷重と高さは数字で比べられます。サイズとあわせて、次の点を確認しましょう。
- 耐荷重:大人が腰かけたり、勢いよく座ったりすることも考えて、余裕のある数値を選びます。製品によって100kg台から数百kg以上まで大きな幅があるので、必ず数値を確認しましょう
- 高さ:床からのほこりを避け、立ち上がりやすくするには、ある程度の高さが必要です。段ボール業界の団体が紹介しているベッドは、床面からの高さが約35cmです。30〜40cm程度をひとつの目安にするとよいでしょう
- サイズ:一般的には幅80〜90cm、長さ190cm前後のシングルサイズが多いです。体育館に何台並べられるかにも関わるので、通路の幅も含めて考えます
もうひとつ見落としがちなのが、組み立てにかかる時間です。避難所の開設直後は人手が足りません。箱から出して30秒ほどで設置できるものもあれば、数分かかるものもあります。高齢の方が多い地域では、組み立てが簡単なものを選ぶと安心です。
仕切りやパーテーション付きを選ぶ

避難所では、ベッドだけでなく「プライバシー」も大きな課題になります。周りの視線が気になって眠れない、着替えができない、という声は少なくありません。
最近は、ベッドの三方向に段ボールのパーテーション(仕切り)がついたタイプもあります。ベッドと仕切りが一体なら、別々に用意する手間が省けますし、せきやくしゃみの飛まつ対策にもなります。授乳や着替えのための空間を確保したい場合は、テント型の間仕切りを組み合わせる方法もあります。
町内会の避難所運営マニュアルを作るときは、「何台をベッドだけ、何台を仕切り付きにするか」まで決めておくと、発災時の配置がスムーズになりますね。
段ボールベッドの値段の目安

段ボールベッドの値段は、仕切りの有無やつくりによって幅があります。販売サイトを見ると、1台あたり数千円台から2万円前後までが多い印象です。タイプ別の目安を表にまとめました。
| タイプ | 値段の目安(1台) | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| シンプルな段ボールベッド | 数千円台〜1万円台 | ベッドのみ。組み立てが早い | 多くの台数をそろえたい避難所 |
| 仕切り付き段ボールベッド | 1万円台〜2万円前後 | 三方向のパーテーション付き | プライバシーを重視したい場合 |
| 金属フレームの折りたたみベッド | 1万円前後〜 | 湿気に強く繰り返し使える | 職場の仮眠用や長期の備え |
| テント型の間仕切り | 2万円台〜 | 天井まで覆える個室空間 | 授乳・着替え・要配慮者向け |
たとえば、ある防災用品カタログに載っている段ボールベッド(耐荷重約300kg・高さ約30cm)は、参考上代が1台14,400円(税別)でした。ただし、段ボールベッドは大きくて重い商品なので、本体価格とは別に送料がかかることが多い点に注意が必要です。送料は注文数や納品場所によって変わるため、複数台を買うときは送料込みの総額で比べましょう。
店舗と通販とカタログの違い

段ボールベッドは、家具店や生活雑貨店、ホームセンター、ネット通販などで買えます。1〜2台なら近くのお店や通販で十分ですが、避難所用に数十台そろえる場合は、買い方を変えたほうがうまくいきます。
| 購入先 | 向いている台数 | よい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| 家具店・ホームセンター | 1〜数台 | 実物を見て選べる。すぐ持ち帰れる | 在庫が少なく、まとまった台数は取り寄せになることが多い |
| ネット通販 | 1〜十数台 | 種類が多く、価格を比べやすい | 送料や納期がまちまち。請求書払いや見積書に対応していない店もある |
| 防災用品カタログ(法人・団体向け) | 数十台〜 | 品番で指定して一括で見積もりが取れる。毛布や間仕切りなど関連品もまとめて頼める | 実物は見られないため、仕様の確認が大切 |
町内会や企業での購入は、見積書や請求書が必要になったり、補助金の申請に使う資料が求められたりすることがあります。そんなときは、品番と数量で一括見積もりが取れる防災用品カタログが便利です。ベッドだけでなく、毛布や簡易トイレ、間仕切りもまとめて相談できます。
HIHでは、取引先の電子カタログから商品を選んで、そのまま見積もりを依頼できる窓口を用意しています。町内会・自主防災組織向けの防災用品カタログと見積もり依頼ページから、品番と台数をお送りいただければ、防災士の目線で内容を確認してお見積もりします。
必要な台数と保管場所の考え方

避難してくる人全員分の段ボールベッドを用意するのは、現実的には難しいことが多いです。そこで、優先して使う人を決めて台数を出すのがおすすめです。
- 優先する人を決める:高齢の方、体の不自由な方、妊娠中の方、持病のある方など、床で寝ることの負担が大きい人
- 地域の人数を確認する:町内会の名簿や避難行動要支援者名簿をもとに、優先する人の人数を数える
- 保管できる台数を確認する:防災倉庫や集会所の空きスペースに、何台入るかを測る
台数が決まったら、次は保管場所です。段ボールベッドは湿気に弱いので、床に直接置かず、すのこや棚の上で保管すると安心です。防災倉庫にどれくらい入るかは、ほかの備蓄品との兼ね合いもあります。倉庫に何を入れておくべきかは自治会の防災倉庫の中身リストで整理しています。
また、そもそも避難所と避難場所の違いがあいまいな方は、避難所と避難場所の違いと使い分けを先に読んでおくと、どこにベッドを置くべきかがイメージしやすくなります。
年に一度は、防災訓練で実際に組み立ててみるのもおすすめです。「箱はあるけれど誰も組み立て方を知らない」という状態では、いざというときに使われないまま終わってしまうかもしれません。能登半島地震で段ボールベッドが使われなかった例があったことを、教訓として生かしたいですね。
まとめ災害用の段ボールベッドは台数で選ぶ

災害用の段ボールベッドは、避難所での冷えやほこり、立ち上がりの負担を減らし、命と健康を守るための備えです。耐荷重・高さ・仕切りの3つの基準で選び、優先して使う人の数から台数を決める。これが基本です。最後に、選ぶときのポイントをチェックリストにまとめます。
災害用の段ボールベッド選びのチェックリスト
- □ 優先して使う人(高齢者・要配慮者など)の人数を確認した
- □ 防災倉庫や集会所に保管できる台数を測った
- □ 耐荷重に余裕がある製品を選んだ
- □ 高さは30〜40cm程度を目安にした
- □ 仕切り付きにする台数を決めた
- □ 送料込みの総額で見積もりを比べた
- □ 湿気を避けた保管方法を決めた
- □ 防災訓練で組み立てを練習する予定を立てた
段ボールベッドは、たくさんあるほど安心ですが、まずは優先する人の分からで十分です。少しずつでも、避難所で「床に寝なくていい人」を増やしていきましょう。大切な人を、死なせない。絶望させない。そのための備えを、一緒に考えていけたらうれしいです。
(出典:内閣府 防災情報のページ『避難所の生活環境対策』)
数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 災害用の段ボールベッドは何年くらい使えますか?
A. 段ボールは湿気や虫に弱いため、保管環境によって持ちが大きく変わります。湿気の少ない場所で、床に直接置かずに保管するのが基本です。保管年数の目安や保証の有無はメーカーごとに異なるので、購入時に確認しておきましょう。年に1回は箱を開けて、へこみやカビ、虫の跡がないかを点検すると安心です。
Q. 災害用の段ボールベッドのデメリットは何ですか?
A. 水や湿気に弱く、濡れると強度が落ちること、虫が寄りやすいこと、長期間の使用には向かないことが主なデメリットです。天板が硬めなので、マットや毛布を重ねて使うのが前提になります。保管スペースの確保も最初の課題です。
Q. 災害用の段ボールベッドの値段はいくらくらいですか?
A. 販売サイトを見ると、1台あたり数千円台から2万円前後までが多く、仕切り付きのタイプは高めになります。大きくて重い商品のため、本体とは別に送料がかかることが多いです。複数台を買うときは、送料込みの総額で比べましょう。
Q. 段ボールベッドはホームセンターで買えますか?
A. 家具店やホームセンター、ネット通販などで取り扱いがあります。ただ、店頭の在庫は少ないことが多く、避難所用に数十台そろえる場合は取り寄せになりがちです。まとまった台数なら、品番で一括見積もりが取れる防災用品カタログを使う方法もあります。
Q. 避難所用の段ボールベッドは何台必要ですか?
A. 全員分をそろえるのが難しい場合は、高齢の方や体の不自由な方など、床で寝る負担が大きい人の人数から台数を決めるのがおすすめです。あわせて、防災倉庫に保管できる台数も確認しておきましょう。
🛡️ 防災士監修記事
後藤 秀和(ごとう ひでかず)
防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役
2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。



