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介護施設の備蓄品リスト|3日分の数量と計算式【保存版】

介護施設の備蓄庫に水・介護食・おむつ・簡易トイレを並べ職員が数量を確認するイメージ

介護施設の備蓄品リスト|3日分の数量と計算式【保存版】

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

介護施設の備蓄担当になったものの、「何を、どれだけ、どこに置けばいいのか」で手が止まってしまう方は多いのではないでしょうか。一般家庭向けの防災リストは山ほどありますが、介護食やおむつ、医療機器の電源まで含めたリストは意外と見つかりません。

この記事では、厚生労働省の業務継続ガイドラインをもとに、介護施設の備蓄品リストを「品目」と「数量の出し方」に絞って整理しました。BCPそのものの考え方はBCP(事業継続計画)の基本と企業の備蓄の考え方で解説していますので、この記事では実際の買い出しや発注に使える中身に集中しますね。

この記事でわかること

  • 介護施設の備蓄は何日分が目安か(厚労省ガイドラインの考え方)
  • 入所者と職員の人数から必要量を計算する方法
  • 食料・介護食・排泄ケア・停電対策の品目と数量の目安
  • 保管場所の分け方と、カタログでまとめて揃える手順
目次

介護施設の備蓄品リストとは何か

介護施設の備蓄品を一覧表にまとめるため机の上に品目を並べたイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

介護施設の備蓄品リストとは、災害でライフラインが止まっても入所者のケアを続けられるよう、施設が備える食料・水・介護用品・電源などを品目と数量でまとめた一覧のことです。

結論から言うと、介護施設の備蓄は「入所者と職員の人数×最低3日分」で量を出し、介護食・排泄ケア・電源を家庭用リストに上乗せするのが基本です。

一般家庭の備蓄と大きく違うのは、「普通の非常食が食べられない人がいる」「排泄の介助が止められない」「電気で動く機器に命を預けている人がいる」という3点です。家庭用の防災セットを人数分そろえただけでは、介護の現場は回りません。

2011年3月11日、私は福島でこの揺れを経験しました。あの日を経験したからこそ、備えは「量」だけでなく「その人が実際に使えるか」で考えるべきだと強く感じています。防災士として、法人導入実績300社以上の防災備蓄をお手伝いしてきた視点から、現場で使えるリストをお伝えします。

介護施設の備蓄は何日分が目安か

数日分ごとに分けて保管した水と保存食のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

厚生労働省の介護施設向け業務継続ガイドラインでは、「行政支援開始の目安である被災後3日目まで、自力で業務継続するため備蓄を行う」という考え方が示されています。つまり、最低ラインは3日分です。

ただし、大規模災害では道路の寸断や物流の混乱で、支援物資が3日で届かないこともあります。東日本大震災でも、東北の広い範囲で物流が止まり、燃料不足が長引いたとされています。余裕がある施設は、水や介護食など代わりがききにくいものから順に、できれば1週間分を目指すと安心かなと思います。

なお、令和6年4月からは、すべての介護サービス事業者に業務継続計画(BCP)の策定が義務づけられています。備蓄品リストは、そのBCPの中身を支える実務の部分にあたります。

必要量は入所者と職員の数で決まる

介護職員が入所者と職員の人数から備蓄量を計算するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ガイドラインでは「利用者分だけではなく職員分の備蓄を揃える」ことも重要とされています。災害時は職員が帰宅できず、施設に泊まり込むケースが出てくるためです。

必要量の基本の計算式は次のとおりです。

必要量=(入所者数+職員数)×1人1日あたりの量×日数

例:入所者50人+職員20人の施設で水を3日分備える場合
(50人+20人)×3リットル×3日=630リットル(2リットルペットボトルで315本)

職員数は、夜勤帯ではなく「日中の最大人数」で計算しておくのがおすすめです。発災が日中だった場合、その人数が施設に残る可能性があるからですね。家族の人数ベースでざっくり計算したいときは、人数と日数から必要量がわかる備蓄計算ツールも使えます。施設の場合は、出た数字を「入所者分」「職員分」に分けて記録しておくと管理が楽になります。

停電で止まる介護設備のしくみ

停電時にポータブル電源で介護用エアマットを動かすイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここで少し「防災理科」のお話です。停電で困るのは照明だけではありません。介護施設では、エアマット(床ずれ防止マット)、吸引器、電動ベッド、ナースコールなど、多くの設備が電気で動いています。

どれだけ電源を備えればいいかは、「消費電力(W)×使う時間(h)=必要な電力量(Wh)」という式で考えます。たとえば消費電力20Wのエアマットを使う場合、容量600Whのポータブル電源なら、理論上は600÷20=約30時間動かせる計算です。

ただし実際には、電池の直流を家庭用の交流に変えるときにロス(変換損失)が出るため、使えるのは容量の7〜8割程度とされています。この例だと、現実的な目安は約21〜24時間です。機器の消費電力は製品ごとに異なるので、本体の銘板や取扱説明書で確認しておきましょう。

ガイドラインでも、自家発電機の稼働時間と範囲を踏まえて「どの設備を優先して動かすか」を決めておくことが求められています。止まると命に関わる機器から順に優先順位をつけ、その合計Whで電源の容量を選ぶのが確実です。

断水でトイレが足りなくなる理由

施設のトイレに非常用トイレをセットして断水に備えるイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

災害時に最も早く困るのがトイレです。水洗トイレは、1回流すのに数リットル単位の水を使う構造になっています。断水すると流せなくなるだけでなく、受水槽からポンプで水を送っている建物では、停電でポンプが止まると水道本管が無事でも水が出なくなることがあります。さらに、揺れで排水管が傷んでいる場合は、無理に流すと階下で汚水があふれるおそれもあります。

『避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン』では、1人1日のトイレ回数を約5回としています。入所者50人+職員20人なら、1日で350回、3日で1,050回分の処理が必要になる計算です。家庭の感覚とは桁が違いますね。

厚労省のガイドラインでも、電気や水道が止まったら速やかに簡易トイレを設置すること、消臭固化剤を使えば汚物を燃えるごみとして処理できることが示されています。トイレの種類や選び方は非常用トイレの種類と必要な回数の計算方法で詳しくまとめています。

介護施設の備蓄品リストと数量の決め方

介護職員が備蓄庫の棚で品目と数量を指差し確認するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここからは、実際の品目と数量の目安を見ていきます。数量は「入所者50人+職員20人・3日分」を例にしています。施設の人数に合わせて読み替えてください。

食料と水と介護食の品目と数量

介護食やとろみ飲料・水など介護施設向けの備蓄食のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ガイドラインでは、水は1人1日3リットル、食料は1人1日3食が目安とされています。介護施設で特に注意したいのは、入所者の食形態に合わせた食料を用意することです。普通食の非常食(乾パンやアルファ米)だけでは、嚥下に不安のある方が食べられません。

品目1人1日の目安50人+20人・3日分の例介護施設での注意点
飲料水3リットル630リットルとろみ剤を使う人の分も含めて計算
主食(無洗米・アルファ米など)3食(普通食の入所者+職員)×9食介護食の人は含めない
介護食(やわらか食・ペースト食)3食対象者数×9食食形態ごとに分けて数える
とろみ剤普段の使用量普段の使用量×3日使い慣れた製品を選ぶ
経管栄養食・高カロリー食普段の使用量対象者数×3日分医師・看護職と品目を確認
カセットコンロ・ボンベ—調理・湯わかしをする場所の数に合わせる火力が弱く大量調理には不向き

主食と介護食は、人数を分けて数えるのがポイントです。全員分を主食で計算したうえで介護食を足すと、介護食の人の分を二重に数えてしまいます。介護食は、食形態(常食・軟食・ペースト・ゼリー)ごとに対象人数を出しておくと、発注のときに迷いません。また、紙皿・紙コップ・スプーン・ラップなど、食器を洗わずに済む日用品もセットで用意しておきましょう。断水中は食器を洗う水がないためです。

排泄ケアと衛生用品の品目と数量

おむつ・からだふき・手袋・消毒液を整理した衛生用品の備蓄棚のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

おむつや尿とりパッドは、利用者によって使う量が大きく違います。決まった数字で揃えるより、「普段の1日の使用量×日数」で出すのが一番確実です。日々の記録から、施設全体の1日の使用量を出しておくとよいですね。

品目数量の出し方ポイント
簡易トイレ・凝固剤人数×5回×日数職員用も別に確保する
おむつ・尿とりパッド普段の1日使用量×日数サイズ別に在庫を分ける
からだふき・清拭タオル人数×1日数枚×日数入浴できない期間をカバー
水のいらないシャンプー人数分髪と頭皮の清潔を保つ
口腔ケア用品人数×日数水を使わないシートタイプが便利
消毒液・手袋・マスク職員数×1日の交換回数×日数感染症対策を止めない
ごみ袋・ポリ袋多めに汚物処理に大量に使う

断水中は入浴も手洗いも制限されるため、清潔を保てないことが感染症や皮膚トラブルにつながりやすくなります。口の中の汚れは誤嚥性肺炎の原因のひとつになるとされているので、口腔ケア用品は意外と大事な備えです。女性職員のための生理用品も、ガイドラインで備蓄が求められている品目のひとつです。

停電対策と医療的ケアの備え

停電した夜の廊下でランタンと毛布・救急箱を備えて見回る介護職員のイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

停電対策では、先ほどの「Wh」の考え方で、優先して動かす機器の電源を確保します。あわせて、夜間に備えた照明と、冬場の寒さ対策も欠かせません。

  • ポータブル電源・発電機の燃料:優先機器の合計Whから容量を選ぶ
  • ランタン・停電時に自動点灯するライト:廊下・トイレ・階段など転倒リスクのある場所に
  • 乾電池:ライトやラジオの電池の型番をそろえておく
  • 毛布・アルミシート・カイロ:毛布は1人1枚が目安。暖房が止まる冬の停電に備える
  • 救急箱・衛生材料:消毒薬、絆創膏、包帯、三角巾など

常備薬については、入所者ごとの服薬情報をすぐ確認できるよう、紙のリストでも保管しておくと安心です。停電でパソコンが使えなくなると、電子記録が見られなくなるためです。医薬品の備蓄量や管理方法は、医師・看護職・薬剤師と相談して決めてください。

保管場所とローリングストックの工夫

備蓄棚を壁に固定し重い水を下段に置いて保管するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

備蓄品は「どこに置くか」で使いやすさが大きく変わります。一か所にまとめると、その場所が被害を受けたときにすべて使えなくなってしまいます。

  • フロアごとに分散する:エレベーターが止まっても各階で使えるように
  • 水害のおそれがある施設は上の階へ:浸水想定区域ならなおさら
  • 重いものは低い位置に:揺れで落ちてけがをしないように
  • 棚は固定する:転倒防止金具で壁に留める

管理面では、ガイドラインでも「備蓄品をリスト化し、担当者を決めて定期的に点検する」ことが求められています。賞味期限の近い介護食や水を、普段の食事やおやつで使って補充する「ローリングストック」を取り入れると、期限切れのロスも減らせます。

もうひとつ大事なのが、夜間や休日に発災した場合への備えです。職員が少ない時間帯は、備蓄担当者がその場にいないこともあります。棚や箱に「品目・数量・使う場面」を書いたラベルを貼り、どの職員が見てもすぐ取り出せるようにしておきましょう。年に1回は訓練の中で実際に簡易トイレを組み立てたり、ポータブル電源から機器に給電したりしてみると、「箱はあるのに使い方がわからない」という事態を防げます。使ってみて足りないものに気づけるのも、訓練の大きな効果ですね。

点検用の表は介護施設向けもある防災チェックリストPDFを印刷して使うと便利です。

カタログで備蓄品を選ぶ手順

防災用品カタログに付箋を貼って備蓄品を選び見積もりを準備するイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

品目と数量が決まったら、次は調達です。介護施設の備蓄は品目が多いので、あちこちの店で一つずつ買うと、見積もりも在庫管理も大変になります。おすすめは、防災用品カタログで品目と品番を決めて、まとめて見積もりを取る方法です。

  1. この記事の表をもとに品目と数量を書き出す(入所者分と職員分を分ける)
  2. カタログで該当する商品を探し、品番を控える(簡易トイレ、からだふき、アルミシート、ポータブル電源など)
  3. 品番と数量をまとめて見積もりを依頼する
  4. 見積書を稟議や予算申請に使う

カタログで品番まで決めておくと、「思っていたものと違う提案が来た」というずれが起きにくくなります。選んだ理由を品番つきで説明できるので、施設内の稟議も通しやすくなるかなと思います。

HIHでは、取引先の電子カタログから商品を選んで、そのまま見積もりを依頼できる窓口を用意しています。品目選びから相談したい場合も、お気軽にどうぞ。電子カタログから選べる法人・施設向け備蓄の見積もり窓口から、品番と数量をお送りいただければ、防災士の目線で内容を確認してお見積もりします。

法人・町内会・自治会向け防災用品カタログを見る。保存食・保存水・トイレ・防寒用品などを選んで、HIHへ見積もり相談できます。

まとめ介護施設の備蓄品リストは人数で作る

備えを整えた介護施設で職員と入所者が朝日を眺めるイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

介護施設の備蓄品リストは、「入所者と職員の人数×最低3日分」で量を出し、介護食・排泄ケア・電源を上乗せするのが基本です。最後に、要点をチェックリストにまとめておきます。

介護施設の備蓄チェックリスト

  • □ 入所者数と職員数(日中最大)を確認した
  • □ 水は1人1日3リットル×人数×3日分以上ある
  • □ 介護食を食形態ごとに対象人数分そろえた
  • □ とろみ剤・経管栄養食を普段の使用量×日数分確保した
  • □ 簡易トイレを「人数×5回×日数」分用意した
  • □ おむつ・パッドを普段の使用量×日数分確保した
  • □ 優先機器の消費電力(W)を確認し、電源容量(Wh)を決めた
  • □ 毛布を1人1枚、照明をフロアごとに用意した
  • □ 備蓄品をフロアごとに分散し、棚を固定した
  • □ 点検担当者と点検日を決めた

備えは一度に完璧にしなくても大丈夫です。代わりのきかない介護食・トイレ・電源から順に、少しずつ整えていきましょう。大切な人を、死なせない。絶望させない。そのための備えを、一緒に考えていけたらうれしいです。

(出典:厚生労働省『介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画』)

数値データはあくまで一般的な目安です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 介護施設の備蓄品は何日分用意すればよいですか?

A. 厚生労働省の業務継続ガイドラインでは、行政支援が始まる目安である被災後3日目まで自力で業務を続けられるよう備蓄する考え方が示されています。最低3日分を基本に、物流の停止に備えて、水や介護食など代わりのききにくいものはできれば1週間分あると安心です。

Q. BCPで介護施設が備えるべき備蓄品は何ですか?

A. 飲料水、主食、介護食、とろみ剤、経管栄養食、簡易トイレ、おむつ、衛生用品、毛布、照明、電源などが基本です。一般家庭の備蓄に加えて、入所者の食形態や排泄ケア、医療機器の電源まで含めて考えるのが介護施設の特徴です。

Q. 介護施設の備蓄品リストの量はどうやって決めればよいですか?

A. 「(入所者数+職員数)×1人1日あたりの量×日数」で計算します。水は1人1日3リットル、食料は1日3食、トイレは1日約5回が目安です。おむつやとろみ剤のように個人差が大きいものは、普段の1日の使用量に日数をかけて出します。

Q. 介護施設の備蓄は職員の分も必要ですか?

A. 必要です。ガイドラインでも利用者分だけでなく職員分の備蓄をそろえることが重要とされています。災害時は職員が帰宅できず施設に泊まり込むこともあるため、日中の最大人数で計算しておくと安心です。

Q. 介護施設の備蓄は義務ですか?

A. 令和6年4月から、すべての介護サービス事業者に業務継続計画(BCP)の策定が義務づけられています。備蓄品の量そのものが一律に決められているわけではありませんが、BCPの中で必要な備蓄を計画し、管理することが求められます。詳しくは所管の自治体にご確認ください。


🛡️ 防災士監修記事

後藤 秀和(ごとう ひでかず)

防災士/株式会社ヒカリネット 代表取締役

2011年3月11日、東日本大震災を福島で経験。「あのとき備えていたら」という後悔をなくすため、防災士資格を取得しHIH(Hope is Here)を設立。防災セット累計出荷20万個超、法人導入実績300社以上。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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