地震の震度と感じ方の違いは?マグニチュードとの関係も解説

地震の震度と感じ方の違いは?マグニチュードとの関係も解説
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
地震大国日本に住んでいる私たちにとって、緊急地震速報の不協和音や、突然襲ってくる地面の揺れは、何度経験しても心臓が止まるような思いをするものです。私自身、ここ福島で震度6弱の激しい揺れを3度も経験しました。そのたびに、「今回はどれくらい大きいのか」「家は持ちこたえるのか」「家族は無事か」と、頭の中が真っ白になるような強烈な不安に襲われたことを鮮明に覚えています。
今このページをご覧になっている皆さんも、「地震の震度や感じ方の違いって、具体的にどう違うの?」「マグニチュードが大きいと、必ず揺れもひどくなるの?」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
ニュースでよく耳にする「震度5強」や「震度6弱」という言葉。実はこの「弱」と「強」というわずかな言葉の違いが、私たちの命運を分ける決定的な境界線になることがあります。また、近年増えているタワーマンションの高層階で感じる独特の揺れや、突き上げるような直下型地震の恐怖など、一口に地震といってもその感じ方は千差万別です。正しい知識がなければ、いざという時に体がすくんで動けなくなってしまいます。
- マグニチュードと震度の違いを「電球」の例え話でスッキリ理解できる
- 震度ごとの揺れの感じ方や、室内で起こる被害を具体的にイメージできる
- マンション高層階の長周期地震動や、直下型地震特有の揺れの特徴がわかる
- 自分と家族の命を守るために、今すぐやるべき具体的な対策がわかる
震度5弱=安心?実は危険な理由をそなぷーが解説


地震の震度とマグニチュードの違いや感じ方の基礎

まずは、地震のニュースで必ず出てくるけれど、意外と混同しやすい「マグニチュード」と「震度」の決定的な違いについて解説します。また、震度ごとの基本的な揺れの感じ方、さらには長周期地震動や直下型地震といった、シチュエーションによって異なる特殊な揺れの特徴についても、防災士の視点からわかりやすく紐解いていきます。
マグニチュードと震度の違いを例えで解説

地震が発生すると、「マグニチュードはM7.0でした」「最大震度は5強でした」といった速報が流れます。この時、「マグニチュードは大きかったのに、震度は意外と小さかったな」あるいはその逆のケースを見かけることがあると思います。「マグニチュード」と「震度」。この2つは地震という一つの現象を表していますが、見ている視点が全く異なります。
専門用語を使わずに、これらを「電球(光源)」と「机の上の明るさ」に例えてイメージしてみましょう。
マグニチュード=電球のワット数(地震そのものの規模)
電球そのものが持つ明るさのパワーです。これは、あなたがどこにいても変わりません。一つの地震に対して、マグニチュードという数値は一つだけです。
震度=机の上の明るさ(ある場所での揺れの強さ)
いくら明るい電球でも、離れれば机の上は暗くなりますよね。逆に、ワット数が小さくても至近距離なら眩しいほど明るくなります。このように、震源からの距離や地盤によって、場所ごとに変わる数値が震度です。
つまり、いくら電球のワット数(マグニチュード)が巨大でも、はるか遠くの海で発生すれば、私たちのいる場所(机の上)はそれほど揺れません(明るくなりません)。逆に、マグニチュードが小さくても、私たちの足元(直下)で発生すれば、強烈な揺れに見舞われることになります。
この関係性を理解しておくと、「マグニチュードが大きいからといって、必ずしも自宅が激しく揺れるわけではない」という事実と、逆に「マグニチュードが小さくても、直下であれば局所的に壊滅的な被害を受ける可能性がある」というリスクの両方を、正しく認識できるようになります。
マグニチュードの数字のマジック
マグニチュードが「1」増えると、地震のエネルギーは約32倍になります。では「2」増えるとどうなるでしょう?単純に64倍ではありません。なんと約1000倍(32×32)ものエネルギー差になります。M6の地震1000回分のエネルギーが、M8の巨大地震たった1回で放出される計算です。数字の見た目以上に、その破壊力の差は凄まじいのです。
さらに詳しい解説や、マグニチュードの計算式などに興味がある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
【防災士解説】マグニチュードに何段階ある?震度との違いを徹底解説
震度1でも揺れを感じないケースはあるのか

気象庁の震度階級は、実は「震度0」からスタートします。震度0は「人は揺れを感じないが、高性能な地震計には記録される」というレベルです。ニュースで「震度1以上」と報道されるのは、ここから人間が関知しうる領域に入るからです。
では、震度1なら必ず揺れを感じるのでしょうか?定義としては「屋内にいる人の一部が、わずかな揺れを感じる」とされています。しかし実際には、家事をしていたり、歩いていたり、あるいは何かに集中して作業をしていたりすると、震度1どころか震度2でも気づかないことが多々あります。「え?さっき揺れたの?」と家族に言われて初めて気づく、なんてこともよくありますよね。
逆に、深夜に静かに寝ている時や、じっと座ってテレビを見ている時など、感覚が鋭敏になっている状態だと「あれ?今グラッときた?」と敏感に気づくことができます。私が住む福島では、震災後に余震が日常的だった時期がありましたが、そのような環境に長くいると体が揺れに対して過敏になり、震度1のような微震でも即座に反応してしまう「地震酔い」のような感覚になることがありました。
震度3や震度4の揺れの感じ方と恐怖心

震度3になると、屋内にいるほとんどの人が揺れを感じます。私が特に「嫌だな」と感じるのは、食器棚にあるお皿やグラスが「カチャカチャ」と接触して音を立て始めることです。この無機質な音は、視覚的な揺れ以上に「何かが起きている」という心理的な不安を強烈に煽ります。
そして、震度4は明確な「恐怖」と「日常の境界線」です。
- 体感:多くの人が驚き、恐怖を感じます。歩いている人でも明確に揺れを感じ、立ち止まるレベルです。
- 環境:電灯の紐が大きく振り子のように揺れ、座りの悪い置物が倒れることもあります。
- 心理:就寝中の人の多くが飛び起きます。「これはただ事ではない」「逃げたほうがいいのか?」と、本能的に警戒レベルを最大まで引き上げるのが、この震度4というラインです。
震度3までは「驚き」や「不安」で済みますが、震度4からは「自分や家族の命の危険」が現実味を帯びてきます。この段階で、いかに冷静に行動できるかが重要になってきます。
マンション高層階での長周期地震動の感じ方

「震度 感じ方」と検索される方の中には、高層マンションやオフィスビルで、地上とは全く違う「気持ちの悪い揺れ」を体験した方も多いのではないでしょうか。これが、近年都市部で問題となっている「長周期地震動」です。
一般的な地上の揺れが「ガタガタ」「ドンドン」という小刻みな振動であるのに対し、高層階での長周期地震動は「ユラ〜、ユラ〜」と、まるでゆっくりと大きな船に乗っているような揺れ方をします。この揺れは減衰しにくく、数分から時には十数分も続くことがあります。
高層階特有のリスク:家具の暴走
ゆっくりとした大きな揺れにより、キャスター付きの家具(コピー機、ピアノ、ベッドなど)が部屋の端から端まで移動し、壁や人に激突する「家具の暴走」が起こりやすくなります。勢いがついたピアノが突っ込んでくる恐怖を想像してみてください。これは高層階ならではの非常に危険な現象です。
また、長時間ゆっくりと揺れ続けることで三半規管が刺激され、船酔いのような吐き気やめまいを感じる「地震酔い」を起こす人も少なくありません。エレベーターも長期間停止するリスクがあるため、高層階の住民は「揺れ」だけでなく「その後の生活」への備えも必要です。
ドスンと来る直下型地震の揺れ方の特徴

阪神・淡路大震災のような直下型地震では、揺れの始まり方が、海溝型地震(東日本大震災のようなタイプ)とは全く異なります。
多くの体験者が口を揃えて語るのは、いきなり下から突き上げられるような「ドスン!」「ズドン!」という強烈な衝撃です。これは地震の初期微動(P波)が、縦方向の振動としてダイレクトに伝わってくるためです。そして、その直後に破壊的な横揺れ(S波)が襲ってきます。
恐ろしいのは、震源が近すぎるため「緊急地震速報が間に合わない」ケースが多いことです。スマホが鳴る前に、あるいは鳴った瞬間に激震が来ます。猶予時間はほぼゼロです。このタイプの地震では、火を消しに行く余裕などありません。揺れを感じた瞬間に、反射的に頭を守り、安全なスペース(机の下など)に飛び込む反射神経が、生死を分けることになります。
縦揺れと横揺れのリスクやメカニズムについては、以下の記事でさらに詳しく図解しています。
地震の縦揺れと横揺れどっちが危ない?仕組みと対策を防災士が解説
地震の震度ごとの感じ方の違いと生死を分ける対策

ここからは、被害が本格化し、命の危険が直結する「震度5」以上の世界について解説します。特に「5弱と5強」「6弱と6強」の違いは、単なる数値の差ではなく、私たちが自力で行動できるかどうかの決定的な分岐点となります。
震度5弱と震度5強の決定的な違いとは

ニュースで「震度5弱」と聞くと「かなり大きかったな」と思いますが、そこに「強」がつくと、状況は一変します。この2つの最大の違いは、「自力で歩行できるか」と「家具が凶器になる確率」です。
以下の表で、その違いを確認してみてください。
| 震度 | 人の体感・行動能力 | 屋内の状況 |
|---|---|---|
| 震度5弱 | 大半の人が恐怖を覚え、何かに掴まりたいと感じる。 歩行は支障をきたすが、何とか移動は可能。 | 棚の食器や本が落ちる。 固定していない不安定な家具が移動・転倒することがある。 |
| 震度5強 | 【行動不能の入口】 物につかまらないと歩くことが困難。 自分の意思でのスムーズな避難行動が阻害される。 | タンスなど重い家具が倒れてくる。 テレビが台から落下する。 食器棚の扉が開き、中身が散乱する。 |
(出典:気象庁『気象庁震度階級関連解説表』)
震度5強になると、タンスや冷蔵庫といった「重い家具」が倒れてくるリスクが急激に高まります。つまり、事前の固定をしていない場合、リラックスしていた室内が一瞬にして危険地帯へと変わります。5弱までは「物が落ちる」程度で済むことも多いですが、5強からは「家具の下敷きになる」リスクが跳ね上がるのです。
震度6弱と震度6強の被害の違いと行動

震度6の世界は、個人の身体能力や気合いではどうにもならない領域です。私は福島で震度6弱を3回経験しましたが、あの感覚は「揺れている」というより「空間そのものが歪んで襲ってくる」ような、暴力的な恐怖でした。
震度6弱(直立不能)
立っていることが困難になります。何かにつかまっていないと立っていられません。固定していない家具の大半が移動し、倒れます。ドアが歪んで開かなくなり、室内に閉じ込められるリスクも発生します。「立って逃げる」ことが難しくなるため、その場での安全確保(ダンゴムシのポーズなど)が最優先になります。
震度6強(這うことしかできない)
もはや立つことは不可能です。這わないと動くことができませんが、四方八方からの激しい揺れに翻弄されて、自分が意図した方向へ進むことすらままなりません。体が宙に浮くような感覚や、壁に叩きつけられるような衝撃を受けます。
屋内では、固定していない家具のほとんどが転倒するか移動します。時には家具が「飛ぶ」現象も起きます。耐震性の低い木造住宅では、倒壊するものが多くなります。
私の実体験に基づいた、震度6弱の現場のリアルな様子と、そこから得た教訓については、こちらで生々しく綴っています。ぜひ読んでみてください。
震度6弱の揺れはどれくらい?実際に3回経験した防災士の体験談と教訓
震度7の激しい揺れと生存率を高める備え

震度7は、気象庁が定める震度階級の最大値です。これ以上の数値(震度8など)は存在しません。これは「計測不能」という意味ではなく、もはや被害の様相を区別する必要がないほど、あらゆるものが破壊されるレベルであることを意味しています。
震度7の揺れの中では、「揺れている最中に身を守る行動」をとること自体が物理的に不可能です。
意識があっても体は動きません。家具が飛んでくるのを避けることもできません。つまり、震度7クラスの地震において、揺れが始まってから生存率を高める魔法はありません。あなたの生存率は、揺れが始まる前の「建物の耐震化(家が潰れないか)」と「家具の固定(家具に殺されないか)」で100%決まります。
家具が固定されていなければ、それらは「収納用具」ではなく、家族を襲う「質量を持った凶器」となって部屋中を飛び交います。
地盤による揺れやすさや感じ方の違い

「同じ市内なのに、数キロ離れた実家の方が揺れがひどかった」「あそこの地域だけ被害が大きい」というニュースを見たことはありませんか?これは「地盤」の違いが大きく影響しています。
地震波は、固い岩盤から柔らかい地盤(埋立地、旧河道、低地など)に入ると、波が増幅される性質があります。これを「表層地盤増幅率」と言います。硬い皿の上にあるプリンを揺らすと、皿以上にプリンがプルプルと大きく揺れますよね。柔らかい地盤の上にある家は、このプリンと同じ状態になります。
あなたの家の地盤は大丈夫?
ご自身の住んでいる場所の地盤リスクを知るには、自治体のホームページなどで公開されている「ハザードマップ」や「揺れやすさマップ」を確認するのが一番です。「揺れやすい地盤」に住んでいる場合は、想定される震度よりもワンランク上の対策(家具固定の強化、ガラス飛散防止フィルムなど)をしておく必要があります。
気象庁震度階級とマグニチュードの早見表

最後に、ここまで解説した震度階級と、その時に起こりうる被害の目安を一覧表にまとめました。スクリーンショットを撮ったり、ご家族で防災会議をする際などに活用してください。
| 震度 | 主な体感・状況 | 必要なアクション |
|---|---|---|
| 0〜2 | 静止していれば感じる程度。 電灯がわずかに揺れる。 | 特になし(情報確認のみ) |
| 3〜4 | 多くの人が恐怖を感じる。 食器が音を立てる。 座りの悪い置物が倒れる。 | 火の元の確認(揺れが収まってから) 玄関ドアを開けて出口の確保 |
| 5弱 | 歩行に支障が出る。 本や食器が落ちる。 窓ガラスが割れることも。 | 身の安全確保が最優先 ガラス片から足を守る(スリッパ等を履く) |
| 5強 | 【行動不能の分岐点】 物につかまらないと歩けない。 タンスが倒れる。 | 家具固定をしていないと負傷リスク大 無理に動かず頭を守る |
| 6弱〜7 | 立っていられない。這うのがやっと。 家屋倒壊、家具が飛ぶ。 | 事前の備えが生死を決める 揺れが収まったら直ちに避難 |
地震の震度や感じ方の違いに関するまとめ

今回は「地震 震度 感じ方 違い」というテーマで、マグニチュードとの関係や、震度ごとの具体的な状況について、私の体験も交えてお話ししてきました。
大切なのは、これらの知識を「へぇ、そうなんだ」という雑学で終わらせないことです。この記事を読んで、震度5強や6弱の揺れが来た時の自宅の様子を想像できましたか?あなたの寝ているその場所にあるタンスは、倒れてきませんか?キッチンにある食器棚の扉は、ロックされていますか?
震度という数字は、ただのニュース記号ではありません。私たちに対する「備えのレベル」を問う警告でもあります。自然の力である災害自体は防げませんが、その被害は私たちの手で、事前の準備によって劇的に減らすことができます。
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