【防災士監修】非常食長持ちランキングを徹底解説

【防災士監修】非常食長持ちランキングを徹底解説

災害への備えとして、防災のために長持ちする食べ物は?と考えたとき、多くの人が非常食を思い浮かべるでしょう。一言で非常食と言っても、非常食になるものは多岐にわたります。例えば、非常食で長持ちするパンや、いざという時の心の支えになる長持ちするお菓子も非常食として重要です。では、非常食が長持ちする理由は何なのでしょうか。また、非常食で長持ちするものの中でも、最強と言えるのは一体どれなのか。この非常食長持ちランキングの記事では、非常食におすすめのお菓子も含め、本当に長持ちする食品を防災士の視点から解説します。

  • 非常食が長持ちする科学的な理由
  • 防災士が選ぶ長持ちする非常食のジャンル別ランキング
  • 日常の食品を非常食にするローリングストックのコツ
  • 災害時に本当に役立つ非常食の選び方と注意点

目次

防災士が選ぶ非常食長持ちランキング

ひかりBOSAI・イメージ
  • 非常食が長持ちする理由とは?
  • そもそも非常食になるものって何?
  • 防災のために長持ちする食べ物は?
  • 結局、非常食で最強なのはコレ!
  • 非常食は本当に長持ちするの?

非常食が長持ちする理由とは?

非常食がなぜ何年もの間、長持ちするのか不思議に思ったことはありませんか。その理由は、食品が劣化する主な原因である「微生物の繁殖」と「酸化」を徹底的に防ぐ技術にあります。

言ってしまえば、食品を腐らせる微生物は、活動するために水分を必要とします。このため、多くの長期保存食では、食品から水分を極限まで取り除く工夫がされているのです。代表的な技術が「フリーズドライ(凍結乾燥)」です。

フリーズドライとは?

食品を一度凍らせた後、真空状態で水分を昇華(固体から直接気体に変化)させる技術です。これにより、食品の組織や栄養素、風味を損なうことなく、水分だけを効率的に除去できます。水分がほとんどない状態では、微生物は繁殖できません。

もう一つの大きな要因は、空気中の酸素による酸化です。酸素は食品の風味を損ない、油分を劣化させる原因となります。これを防ぐために、食品はアルミパウチやスチール缶などの酸素を通しにくい容器に密封されます。さらに、容器の中には「脱酸素剤」が一緒に入れられており、残った酸素を吸収して酸化を強力に防いでいます。

このように、「水分の除去」「酸素の遮断」「光の遮断」という3つの要素を高度な技術でコントロールすることで、非常食は5年、10年、中には25年という驚異的な長期間の保存が可能になっているのです。

そもそも非常食になるものって何?

ひかりBOSAI・イメージ

非常食というと、乾パンや缶詰といった特別な食品をイメージするかもしれません。もちろんそれらも立派な非常食ですが、もっと広く「長期的に常温保存が可能で、調理に手間がかからない食品」全般が非常食になると考えられます。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • アルファ米(お湯や水で戻せる乾燥米)
  • レトルト食品(カレー、ごはん、おかずなど)
  • 缶詰(魚、肉、果物など)
  • 乾麺(パスタ、うどん、カップ麺など)
  • フリーズドライ食品(味噌汁、スープ、雑炊など)
  • 長期保存可能なパンやお菓子
  • 栄養補助食品(カロリーメイト、ゼリー飲料など)

日常の食料を備蓄する「ローリングストック」

特別な非常食だけを備えるのではなく、普段から食べているレトルト食品や缶詰などを少し多めに買っておき、賞味期限の古いものから消費し、食べた分だけ買い足していく「ローリングストック」という方法が推奨されています。これなら、いざという時にも食べ慣れた味で安心でき、食品ロスも防げるため非常におすすめです。

このように考えると、スーパーやコンビニで手に入る多くの食品が、工夫次第で非常食になりうるのです。大切なのは、特別なものを準備する意識だけでなく、日常の延長線上で備えを習慣化することです。

防災のために長持ちする食べ物は?

防災のために備蓄するなら、やはり賞味期限が長い食べ物を選ぶのが基本です。賞味期限が短いと、定期的な買い替えの手間やコストがかかり、管理が煩雑になってしまいます。

一つの目安として、5年以上の賞味期限があるものを選ぶと、管理が格段に楽になります。最近では技術の進歩により、非常に長期間保存できる食品が増えています。

保存期間の目安代表的な非常食特徴
3年~5年レトルト食品、缶詰パン、多くのアルファ米、お菓子最も一般的な非常食の保存期間。種類が豊富で選びやすい。
7年一部のアルファ米(レスキューライスなど)、クッキー5年保存のものより買い替え頻度を減らせる。
10年一部のフリーズドライ食品、クッキー長期的な備蓄を考えている場合に適している。
25年サバイバルフーズ(フリーズドライシチューなど)買い替えの手間がほぼ不要。コストは高いが、トータルで考えると経済的な場合も。

私の場合、基本は5年保存のもので揃えつつ、25年保存のものをいくつか備えておくことで、管理の手間と安心感のバランスを取っています。ご自身のライフスタイルや備蓄計画に合わせて、最適な保存期間の食品を選んでみてください。

賞味期限の長さも重要ですが、自分が「食べたい」と思える味であることも同じくらい大切です。災害時のストレス下では、食事が唯一の楽しみになることもあります。気になる非常食があれば、一度試食してみることをおすすめします。

結局、非常食で最強なのはコレ!

ひかりBOSAI・イメージ

「最強の非常食は何か?」と聞かれると、防災士として少し悩みます。なぜなら、最強の定義は「個人の状況や好み、備蓄計画によって変わる」からです。ただ、あえて独断で「総合力」という観点から一つ選ぶとすれば、私は「サバイバルフーズ」を挙げます。

その理由は、以下の3点です。

  1. 圧倒的な保存期間(25年):一度備えれば、買い替えの手間や賞味期限を気にするストレスからほぼ解放されます。これは管理面で非常に大きなメリットです。
  2. 味のクオリティ:フリーズドライ技術により、素材の味や風味がしっかり残っています。特にシチューや雑炊は、非常食とは思えないほど本格的で美味しいと評判です。
  3. 調理の手軽さ:お湯や水を加えるだけで、温かく美味しい食事が完成します。水が貴重な状況でも、そのまま食べることも可能です。

サバイバルフーズの注意点

最強候補のサバイバルフーズですが、デメリットもあります。それは価格が高いことです。一般的な非常食に比べて初期投資は大きくなります。ただ、25年間買い替え不要と考えると、5年保存のものを5回買い替える手間とコストと比較すれば、一概に高いとは言えないかもしれません。

もちろん、最強の選択肢はこれだけではありません。手軽さやコストを重視するならアルファ米のセットが最強かもしれませんし、子どもがいる家庭なら美味しいパンの缶詰が最強かもしれません。

最終的には、ご自身の家庭にとっての「最強」を見つけることが最も重要な防災対策と言えるでしょう。

非常食は本当に長持ちするの?

「賞味期限が5年と書いてあるけど、本当にそんなに持つの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。結論から言うと、「適切な環境で保管すれば、表示された賞味期限まで品質は十分に保たれます」

前述の通り、長期保存食は科学的根拠に基づいた高度な技術で作られています。そのため、メーカーが定めた賞味期限は、安全に美味しく食べられる期間として信頼できるものです。

ただし、その性能を最大限に発揮させるためには、保管場所が非常に重要になります。

非常食の適切な保管場所

  • 直射日光が当たらない場所:光は食品の劣化を早めます。
  • 高温多湿にならない場所:温度変化が少なく、風通しの良い場所が理想です。床下収納や押し入れの天袋などが適しています。
  • すぐ取り出せる場所:いざという時にすぐ持ち出せるよう、玄関近くの収納やキッチンパントリーなどもおすすめです。

車内での保管には注意!

車の中は夏場に非常に高温になるため、一般的な非常食の保管には適していません。車載用として備蓄する場合は、耐熱性が考慮された専用の製品を選びましょう。

また、「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解しておくことも大切です。農林水産省によると、賞味期限は「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」、消費期限は「安全に食べられる期限」とされています。非常食に表示されているのは基本的に賞味期限であり、期限を少し過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。(参照:農林水産省「子どもの食育」

とはいえ、万が一の時に最高の状態で食べられるよう、定期的に賞味期限を確認し、ローリングストック法などを活用して管理することが重要です。


ジャンル別!非常食長持ちランキング

ひかりBOSAI・イメージ
  • 非常食で長持ちするものの特徴
  • 非常食で長持ちするパンはある?
  • 長持ちするお菓子は非常食になる
  • 非常食でおすすめのお菓子を紹介
  • 私が考える非常食長持ちランキング

非常食で長持ちするものの特徴

長持ちする非常食を選ぶ際には、ただ賞味期限が長いだけでなく、災害時に本当に役立つ特徴を備えているかを確認することが重要です。私が考える、優れた長期保存食に共通する特徴は以下の3つです。

1. 調理が不要、または最小限の手間で済むこと

災害直後は、電気・ガス・水道といったライフラインが止まっている可能性が高いです。そのため、火や水をほとんど使わずに食べられることは絶対条件と言えます。開封してすぐ食べられるレトルト食品や缶詰、水やお湯を注ぐだけで完成するアルファ米やフリーズドライ食品が理想的です。

2. 常温で保存できること

停電になれば冷蔵庫や冷凍庫は使えません。したがって、すべての非常食は常温で長期間保存できるものでなければなりません。購入時には必ず保存方法を確認しましょう。

3. 栄養バランスが考慮されていること

災害時の食事は、おにぎりやパンなど炭水化物に偏りがちです。体力や免疫力を維持するためには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも意識して摂取する必要があります。肉や魚の缶詰、野菜ジュース、栄養補助食品などを組み合わせることで、栄養バランスを整えることができます。

特に見落としがちなのが野菜です。野菜が不足すると体調を崩しやすくなります。カゴメの「野菜一日これ一本 長期保存用」のような、5.5年の長期保存が可能な野菜ジュースを備蓄に加えておくと、手軽にビタミンや食物繊維を補給できて安心ですよ。

非常食で長持ちするパンはある?

「災害時でも、ふっくらと美味しいパンが食べたい」という声は非常に多いです。乾パンも伝統的な非常食ですが、硬くて食べにくいと感じる方も少なくありません。しかし、現在の技術では、しっとりとして美味しいパンを3年~7年という長期間保存することが可能です。

長期保存できるパンには、主に「缶詰タイプ」と「パウチ(レトルト)タイプ」があります。

種類代表的な商品保存期間の目安特徴
缶詰パンパン・アキモト「PANCAN」、ボローニャ「缶deボローニャ」3年~5年衝撃に強く、長期保存に適している。プルトップ式で開けやすいものが多い。デニッシュなどリッチな味わいのものも。
パウチタイプThe Next Dekade「7年保存レトルトパン」、アルファフーズ「スティックバウムクーヘン」5年~7年軽くてかさばらないため、持ち出し袋に入れやすい。ゴミ処理が簡単なのもメリット。

中でも、京都発祥のデニッシュパンで有名なボローニャが開発した「缶deボローニャ」は、非常食とは思えないしっとりとした食感と美味しさで人気があります。公式サイトによると賞味期限は3年で、水もお湯も使わずに、開けてすぐに食べられる手軽さが魅力です。(参照:ボローニャ公式オンラインストア

パンはご飯に比べて腹持ちが少し劣るという側面もあります。そのため、パンだけでなくアルファ米などのお米もバランス良く備蓄しておくことが大切です。

災害という非日常の中で、食べ慣れた美味しいパンを口にすることは、大きな安心感と元気を与えてくれるはずです。

長持ちするお菓子は非常食になる

ひかりBOSAI・イメージ

結論から言うと、長持ちするお菓子は非常に重要な非常食になります。その理由は、単なるエネルギー補給に留まらないからです。

災害時の避難生活では、先の見えない不安やストレスが心に重くのしかかります。そのような状況で、甘いものや食べ慣れたお菓子を口にすることは、心を落ち着かせ、精神的な安らぎを得るための大切な行為なのです。特に、小さなお子さんがいるご家庭では、お菓子があるかないかで、子どもの機嫌や精神状態が大きく変わることもあります。

お菓子を非常食として備えるメリット

  • 手軽なエネルギー補給:調理不要で、すぐにカロリーを摂取できます。
  • ストレスの緩和:甘いものは脳のエネルギー源となり、精神を安定させる効果が期待できます。
  • コミュニケーションのきっかけ:お菓子を分け合うことで、周囲の人とのコミュニケーションが生まれることもあります。

もちろん、お菓子だけで栄養が偏らないように注意は必要ですが、ビスケットやようかん、チョコレート、キャンディなど、日持ちする好きなお菓子を防災リュックや備蓄ボックスにいくつか入れておくことを強く推奨します。物流が止まると、お菓子のような嗜好品は手に入りにくくなるため、日常からの備えが大切です。

非常食でおすすめのお菓子を紹介

ここでは、防災士の視点から「これは備えておきたい」と思う、長持ちして美味しいおすすめのお菓子をいくつかご紹介します。

井村屋「えいようかん」

非常食ようかんの定番中の定番です。1本(60g)でご飯一杯分に相当するカロリー(公式サイトによると171kcal)を手軽に補給できます。賞味期限が5年6ヶ月と非常に長く、アレルギー物質(特定原材料等28品目)不使用なのも嬉しいポイントです。フィルムを剥くだけで食べられる手軽さと、コンパクトさで持ち運びにも最適です。(参照:井村屋公式サイト

グリコ「ビスコ保存缶」

おなじみのビスコにも、5年5ヶ月保存可能な缶タイプがあります。食べ慣れた味が災害時のストレスを和らげてくれます。クリームサンドビスケットなので、子どもからお年寄りまで食べやすいのが特徴です。5枚ずつの分包になっているため、分けやすく衛生的です。

ブルボン「缶入ミルクビスケット」

こちらも5年6ヶ月の長期保存が可能なビスケットです。素朴でやさしいミルクの風味が特徴で、飽きのこない味わいです。キャップ付きなので、一度に食べきれなくても湿気を防ぎながら保存できます。

商品名保存期間(目安)特徴
井村屋 えいようかん5年6ヶ月高カロリー、コンパクト、アレルギー対応。
グリコ ビスコ保存缶5年5ヶ月食べ慣れた味で安心感。分包で衛生的。
ブルボン 缶入ミルクビスケット5年6ヶ月素朴なミルク風味。キャップ付きで保存に便利。
大塚製薬 カロリーメイト ロングライフ3年栄養バランスが良く、食事代わりにもなる。

これらの商品は、非常時だけでなく、登山やアウトドア、忙しい時の軽食としても活用できます。ローリングストック法で普段から消費し、常に新しいものを備蓄しておくのが賢い方法ですね。

私が考える非常食長持ちランキング

  • 非常食の長持ちの秘訣は水分と酸素の遮断
  • 最低でも3日分、理想は1週間分の備蓄を
  • 賞味期限は5年以上のものを選ぶと管理が楽
  • 25年保存のサバイバルフーズは最強の選択肢の一つ
  • 日常の食品もローリングストックで非常食になる
  • 美味しい缶詰パンは心の支えになる
  • お菓子は心の栄養として必ず備えたい
  • ようかんは高カロリーで持ち運びやすい
  • 保管場所は直射日光と高温多湿を避ける
  • 賞味期限と消費期限の違いを理解する
  • 調理不要で食べられるものが災害直後は活躍
  • 栄養バランスも考慮して選ぶことが大切
  • アレルギー対応の非常食も事前に確認しよう
  • ジャンル別にバランス良く揃えるのがおすすめ
  • この記事の非常食長持ちランキングを参考に備えよう

防災士の経験から生まれた、信頼できる備え。
経験が語るHIHの「本当に必要な防災セット」。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

コメント

コメントする

目次