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過去の大雪災害事例から学ぶ!歴史的被害と今後の対策を解説

大雪の災害の様子

過去の大雪災害事例から学ぶ!歴史的被害と今後の対策を解説

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「今年の冬は大雪になるのかな?」「昔の豪雪ってどれくらい凄かったんだろう?」

ふとそんな疑問を持って、過去の大雪災害やランキング、発生した年について調べている方も多いのではないでしょうか。特に近年は、予期せぬ場所での立ち往生や、一晩で景色が一変するような記録的なドカ雪のニュースを目にする機会が増え、「明日は我が身かも」と改めて自然の脅威を感じている方もいるはずです。

過去の事例を振り返ることは、単なる歴史の勉強やデータの確認ではありません。それは、私たちが住む日本の気候特性を知り、自分自身や大切な家族を守るための「未来への備え」そのものなのです。

この記事では、昭和から平成、令和に至るまでの主要な雪害事例を紐解きながら、なぜ被害が拡大したのか、そして私たちはどう備えるべきなのかを、防災士の視点でわかりやすく解説します。

  • 歴代の積雪深ランキングや過去の主要な豪雪災害の全貌がわかる
  • 時代とともに変化してきた雪害の特徴と社会への影響を把握できる
  • 命を守るための「立ち往生」対策や除雪作業の注意点を学べる
  • JPCZなどの気象メカニズムを知り、ニュースの情報を防災に活かせるようになる

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目次

過去の大雪災害の事例と歴史

過去の大雪災害を想起させる雪に覆われた日本の町並みの様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

日本は世界有数の豪雪地帯を持つ国です。国土の約半分が豪雪地帯に指定されている事実をご存知でしたか?

ここでは、過去に発生した印象的な大雪災害を振り返りながら、それぞれの時代でどのような被害が生じ、社会にどのような影響を与えたのかを見ていきましょう。単なるデータの羅列ではなく、その背景にある「災害の質」の変化に注目すると、現代の私たちに必要な対策が見えてきます。

歴代の積雪深ランキングTOP5

日本の山間部と平野部で非常に深く積もった雪の様子を比較できる風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

まずは、日本で記録された積雪の深さがどれほど凄まじいものか、気象庁等の過去の観測データに基づいたランキングを見てみましょう。これらの数字は、日本の冬がいかに厳しいポテンシャルを秘めているかを物語っています。

順位積雪深観測地点観測年月日備考
1位1182cm滋賀県 伊吹山1927年2月14日世界山岳気象観測史上1位
2位566cm青森県 酸ヶ湯2013年2月26日アメダス観測所の国内最高
3位463cm新潟県 守門1981年2月9日五六豪雪時の記録
4位419cm新潟県 津南2022年2月24日近年の記録
5位377cm新潟県 高田1945年2月26日昭和20年の記録

(出典:気象庁『歴代全国ランキング』

驚くべきことに、1位の伊吹山の記録は11メートルを超えています。これは一般的なマンションの3〜4階部分がすっぽりと雪に埋まるほどの高さです。

また、注目すべきは2位の酸ヶ湯(2013年)や4位の津南(2022年)のように、2000年代に入ってからも記録的な積雪が観測されている点です。「昔は雪が多かったけど、最近は温暖化で減った」とは一概に言えません。むしろ、海水温の上昇によって空気中の水蒸気量が増え、一度に降る量が増える「ドカ雪」のパワーは、現代でも全く衰えていないことがわかります。

昭和の豪雪における孤立と倒壊

豪雪によって道路が塞がれ住宅が孤立した日本の雪国の集落風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

昭和の時代、特に「三八豪雪(昭和38年)」や「五六豪雪(昭和56年)」と呼ばれた災害では、物理的な雪の重みと交通網の途絶による「生存の危機」が深刻な問題でした。

昭和38年1月豪雪(三八豪雪)

北陸地方を中心に、平野部でも2メートルを超える積雪を記録しました。当時は現在のように鉄骨造の建物は少なく、多くの木造住宅が雪の重みに耐えきれずに倒壊しました。また、除雪体制が不十分だったため、鉄道や道路が完全に埋没し、多くの集落が長期間にわたり「陸の孤島」となりました。食料や燃料が底をつき、自衛隊がヘリコプターで救援物資を空輸したり、最終手段として火炎放射器で雪を溶かそうと試みたりしたという記録も残っています。

昭和56年豪雪(五六豪雪)

この豪雪は期間の長さが特徴で、年末から春先まで断続的に寒波が襲来しました。雪が解ける間もなく降り積もるため、生活道路の除雪が追いつかず、市民生活が麻痺しました。これらを教訓に、消雪パイプの整備や信号機の縦型化など、雪国特有のインフラ整備が進むきっかけとなりました。

平成以降の事例に見る被害の変遷

平成以降の豪雪で除雪作業に追われる日本の住宅街の様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

平成に入ると、豪雪地帯の社会構造の変化に伴い、被害の形が大きく変わってきました。その象徴とも言えるのが、2006年(平成18年)の豪雪です。

この災害では150名以上の方が亡くなりましたが、その死因の内訳に大きな特徴がありました。かつてのような家屋倒壊による圧死ではなく、その多くが除雪作業中の事故だったのです。

高齢化社会の悲劇:除雪中の事故死

地方の過疎化と高齢化が進み、かつては家族総出で行っていた雪下ろしを、高齢者夫婦や独居の高齢者が一人で行わざるを得ない状況が生まれました。

  • 屋根からの転落
  • 屋根から落ちてきた雪の下敷きになる
  • 除雪機に巻き込まれる
  • 水路へ転落して流される

こうした事故が多発し、「雪そのもの」よりも「雪を処理する人間の限界」が浮き彫りになったのが平成の豪雪の特徴です。

史上最大級の被害と経済損失

大雪によって物流や交通が停滞した日本の幹線道路周辺の風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

2014年(平成26年)2月、関東甲信地方を襲った大雪は、雪に不慣れな地域がいかに脆いかを露呈させました。普段雪の少ない山梨県甲府市などで1メートルを超える積雪を記録し、物流の大動脈が完全に寸断されました。

この時の雪は、気温が比較的高かったために水分を多く含んだ「湿った重い雪」でした。その結果、以下のような甚大な被害が発生しました。

  • 農業被害:群馬県や埼玉県などで、農業用ビニールハウスや畜舎が雪の重みで潰れ、地域の農業基盤が大打撃を受けました。
  • 構造物の倒壊:一般家庭のカーポート(駐車場屋根)が次々と倒壊し、車が下敷きになる被害が相次ぎました。
  • 物流の麻痺:高速道路や国道が通行止めとなり、スーパーやコンビニから食料品が消え、工場への部品供給が止まり操業停止に追い込まれました。

日本損害保険協会のデータによると、この雪害による保険金支払額は数千億円規模に達し、雪害としては過去最大級の経済損失となりました。現代社会の高度なサプライチェーン(供給網)の弱点が突かれた災害と言えます。

東京など都市部が抱える脆弱性

少量の積雪でも影響を受けやすい都市部の雪の日の街並み
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

私たちにとって身近なリスクが、首都圏などの都市部での降雪です。東京23区などでは、豪雪地帯のようにメートル単位の雪が降ることは稀ですが、わずか5cm〜10cmの積雪で都市機能が麻痺し、大混乱に陥ります。

「たかが数センチ」と侮ってはいけません。都市部には以下のような脆弱性があります。

都市型雪害のリスク要因

  • ノーマルタイヤ車の立ち往生:一台が坂道でスタックすると、後続車がすべて動けなくなり、大規模な渋滞を引き起こします。
  • 歩行者の転倒事故:革靴やヒールで雪道を歩く人が多く、救急搬送が急増します。
  • 鉄道の運休と帰宅困難者:安全確認のための徐行や運休により、駅に入場規制がかかり、多くの人が帰宅できなくなります。

停電のリスクも忘れずに

湿った重い雪は電線に着雪しやすく、断線による停電を引き起こします。オール電化住宅などでは、暖房も調理もできなくなる可能性があるため、電気を使わない備えが重要です。

なぜ懐中電灯は必要?光の反射と電気エネルギーのしくみ【防災士が解説】の記事では、停電時に役立つ灯りの工夫についても紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

過去の大雪災害から学ぶ防災対策

大雪に備えて家庭で準備を進める日本の家族の様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

過去の悲劇を繰り返さないために、私たちは何を知り、どう行動すべきでしょうか。ここでは、最近話題になる気象用語の解説や、具体的なサバイバル術について解説します。

発生メカニズムとJPCZの正体

日本海側で雪をもたらす雲の流れを表現した冬の空と海の風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

近年の冬のニュースでよく耳にするようになった「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」という言葉。これは、いわば「雪のベルトコンベア」や「大気の川」のような恐ろしい現象です。

シベリア大陸から吹き出す冷たく乾燥した季節風が、朝鮮半島の付け根にある高い山々にぶつかって二手に分かれます。分かれた風は日本海上で再び合流(収束)するのですが、この時、対馬暖流が流れる比較的暖かい日本海からたっぷりと水蒸気と熱を吸収します。

こうして発達した積乱雲の帯が、風向きによって日本列島の特定の場所に掛かり続けることで、短時間に集中的な「ドカ雪」をもたらします。「温暖化しているのに大雪?」と不思議に思うかもしれませんが、実は海水温が上がってエネルギー(水蒸気)が増しているからこそ、一度発生すると極端な現象になりやすくなっているのです。

立ち往生発生時の生存対策

大雪で車が動けなくなった際に落ち着いて状況を確認する日本人家族
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

大雪で車が動かなくなる「スタック」や、前の車が詰まって進めなくなる「立ち往生」。もしこれに巻き込まれた時、生死を分けるのは寒さそのものよりも、一酸化炭素(CO)中毒への対策です。

マフラー周りの除雪が最優先

車のマフラー(排気口)が雪で埋まると、行き場を失った排気ガスが車体の隙間から車内に逆流します。COは無色無臭なため、気づかないうちに意識を失い、そのまま亡くなるケースが後を絶ちません。

【鉄則】原則はエンジンを切る。

しかし、極寒の中で暖房なしでは命に関わる場合もあります。やむを得ずエンジンをかける際は、以下の点に注意してください。

  • 風下側にマフラーが向かないように車の向きを調整できればベストですが、難しい場合は頻繁に確認する。
  • 定期的に車外に出て、スコップでマフラー周りの雪を取り除く。
  • 窓を少し(数センチ)開けて、常に新鮮な空気を入れる換気を行う。

また、電気自動車(EV)の場合は排ガスの心配はありませんが、バッテリー切れ=暖房停止に直結します。シートヒーターを活用するなどして電力消費を抑える工夫が必要です。

長時間車内に閉じ込められた場合、温かい食事がとれないことは精神的にも肉体的にも大きなストレスになります。火を使わずに食べられる非常食の知識などを持っておくと、いざという時に役立ちます。

火を使わない非常食の簡単レシピ10選!いざという時に備えようの記事もぜひ参考にしてみてください。

死者数統計から見る除雪の危険

複数人で安全に除雪作業を行う日本の冬の生活風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

先ほども触れましたが、雪害による死者の多くは「除雪作業中」に発生しています。屋根からの転落だけでなく、軒下での作業中に屋根から落ちてきた雪に埋まる事故も非常に多いです。

「自分は昔からやっているし、慣れているから大丈夫」という過信が一番の敵です。以下の安全対策を徹底してください。

  • 必ず二人以上で作業する:万が一埋まっても、誰かが見ていればすぐに救助を呼べます。一人の時は家族や近所に声をかけてから行いましょう。
  • 命綱とヘルメットの着用:面倒くさがらずに、自分の命を守る装備を身につけてください。
  • 携帯電話を身につける:万が一動けなくなった時に助けを呼べるようにしておきます。
  • 晴れた日は特に注意:気温が上がると雪が緩み、屋根から一気に滑り落ちてくる危険性が高まります。

顕著な大雪に関する気象情報とは

大雪の中で天候情報を確認し行動判断をする日本人の様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

気象庁は2019年から、「顕著な大雪に関する気象情報」という新しい情報の運用を始めています。これは、「今まさに、これまでにないような猛烈な雪が特定の場所で降り続いています!このままだと大規模な立ち往生が起きますよ!」という、非常に切迫したアラートです。

具体的には、「6時間降雪量が観測史上1位を更新するような状況」などで発表されます。この情報が出たエリアでは、すでに交通障害が発生する直前か、あるいはすでに発生している可能性が高いです。

もし運転中にラジオやスマホで進行方向のエリアにこの情報が出たことを知ったら、絶対に無理に進もうとしないでください。最寄りの道の駅やコンビニの駐車場など安全な場所に退避するか、勇気を持って予定を変更し、引き返す判断をしてください。

過去の大雪災害を教訓に備える

大雪に備えて事前準備を整え安心して冬を迎える日本の家庭風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

過去の事例を見てきましたが、最終的に私たちの命を守るのは「事前の備え」と「情報の活用」です。雪の予報が出たら、以下のポイントをチェックしてみてください。

車の備えスコップ(金属製推奨)、防寒着、長靴、毛布、使い捨てカイロ、非常食、水、簡易トイレ、牽引ロープ、ブースターケーブル
家の備え停電に備えたカセットコンロとガスボンベ、石油ストーブ(電源不要タイプ)、懐中電灯、モバイルバッテリー、数日分の食料と水
情報の備え天気予報をこまめにチェックし、大雪警報や不要不急の外出自粛要請が出た日は「出かけない」という選択をする勇気を持つ

特に停電時の情報収集には、スマホのバッテリーを温存するためにも、電池で動く防災ラジオが非常に有効です。大雪で電波塔がトラブルに見舞われた際も、ラジオ波は届きやすい場合があります。

防災ラジオはいらない?必要か?災害時の重要性を解説の記事では、選び方のポイントを詳しく紹介しています。

過去の大雪災害を教訓に未来へ

過去の大雪災害は、私たちに多くの教訓を残してくれました。自然の力は強大で、完全にコントロールすることはできません。しかし、過去を知り、正しい知識と備えを持つことで、被害を最小限に抑えることは可能です。

「自分は大丈夫」「この辺はそんなに降らない」と思わず、この機会にぜひ冬の備えを見直してみてくださいね。備えあれば憂いなし、です。

防災士の経験から生まれた、信頼できる備え。
経験が語るHIHの「本当に必要な防災セット」。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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