巨大地震注意とは?南海トラフ地震臨時情報の期間や備えを解説

巨大地震注意とは?南海トラフ地震臨時情報の期間や備えを解説
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
テレビやスマホのニュース速報で「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」という文字を目にすると、心臓が跳ね上がるような不安を感じてしまいますよね。「巨大地震注意」という言葉自体が持つインパクトが強すぎて、「これからすぐに大地震が来るの?」「避難しなきゃいけないの?」と混乱してしまう方も多いはずです。
実際、この情報が発表された時に「いつまで警戒が続くのか」という期間の問題や、「新幹線は止まるのか」「予約していた旅行はどうなるのか」といった生活への影響、そして「具体的に何を準備すればいいのか」という行動指針について、正確な情報を把握できている人は意外と少ないのが現状です。ネット上には不安を煽るような情報も溢れており、何が正しいのか判断に迷うこともあるでしょう。
- 巨大地震注意が発表された場合にいつまで警戒が続くのか、具体的な期間と解除の仕組みを理解できる
- 発表時の新幹線の速度制限や運行状況、旅行のキャンセル料に関する法的な考え方と業界の対応を知ることができる
- 自分の住む地域が対象地域に含まれているかの確認方法や、学校・職場の対応基準を把握できる
- 発表直後から1週間で実行すべき具体的なアクションプランや、デマ情報の見分け方を学び、冷静な行動ができるようになる
南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意とは?影響を解説

まず、「巨大地震注意」という情報が持つ本当の意味を正しく理解しましょう。これは「地震予知」のように「〇月〇日に必ず地震が来る」と告げるものではありません。科学的な観点から言うと、「平常時と比べて、巨大地震が発生する確率が数倍から百倍程度高まっている」という状態を知らせるものです。
確率が高まっているとはいえ、必ずしも地震が発生するわけではありません。しかし、万が一発生した時の被害が甚大であるため、「空振り」を許容した上で、最大限の警戒を呼びかける仕組みなのです。では、この情報が出た時、私たちの生活には具体的にどのような影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
巨大地震注意の期間はいつまで続くのか

最も気になるのは「いつまでこの緊張状態が続くのか」という点かと思います。
結論から申し上げますと、国が定めた防災対応を呼びかける期間は、原則として「発表から1週間」です。なぜ1週間なのかというと、過去の世界中の地震データを分析した結果、モーメントマグニチュード(Mw)7.0以上の地震が発生した後、隣接する領域で大規模な地震が続発する場合、その多くが7日以内に起きているという統計的な根拠があるからです。
期間終了後は「解除」される?
ここが誤解しやすいポイントですが、1週間が経過しても大規模な地震が発生しなかった場合、「警報解除!」のように安全宣言が出されるわけではありません。政府からは「特別な注意の呼びかけを終了する」というアナウンスがなされます。
これは「もう地震は来ないから安心してください」という意味ではなく、「切迫した状態から、いつ地震が起きてもおかしくない日常レベルのリスクに戻った」ことを意味します。ですので、呼びかけが終了しても、防災グッズを片付けてしまうのではなく、そのまま日常の備えとして維持することが重要です。
ゆっくりすべり(SSE)の場合
地震そのものではなく、プレート境界の「ゆっくりすべり」という異常現象が原因で発表された場合は、そのすべりの変化が収まるまで注意期間が延長されるなど、状況に応じて期間が柔軟に変更されることがあります。
対象地域や市町村一覧の確認方法

次に確認すべきは、自分が今いる場所、あるいは家族が住んでいる場所が「対象地域」に入っているかどうかです。「南海トラフ地震防災対策推進地域」として指定されているのは、茨城県から沖縄県に至るまでの29都府県、合計707市町村という非常に広範なエリアです。
「自分は海沿いじゃないから関係ない」と思っていませんか?実は、津波の被害が想定される沿岸部だけでなく、激しい揺れによる倒壊や土砂災害が懸念される内陸部(例えば長野県や岐阜県、滋賀県など)も指定地域に含まれています。
正確な対象地域については、内閣府が公表している以下の一次情報で必ず確認してください。
(出典:内閣府『南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村一覧』)
特に「津波避難対策特別強化地域」に指定されている沿岸部の市町村では、より迅速な避難行動が求められます。ご自身の地域が該当するかどうか、ハザードマップと合わせて今すぐチェックしておきましょう。
新幹線や電車の運行状況と遅延リスク

通勤や通学、出張などで鉄道を利用する方にとって、運行状況は死活問題です。「巨大地震注意」が発表された場合、鉄道各社は「利用者の命を守る」ことを最優先に行動します。
新幹線は「減速運転」が基本
東海道新幹線や山陽新幹線などの主要な路線では、原則として運休にはなりませんが、「速度を落として運転する」という措置が取られます。具体的には、地震の揺れ(S波)が到達する前に列車を停止させやすくするため、通常の最高速度よりも遅い速度で走行します。
これにより、以下のような影響が確実に出ます。
- 目的地への到着時間が通常より大幅に遅れる(数十分〜1時間単位)
- 駅での乗り継ぎがスムーズにいかなくなる
- ダイヤの乱れにより、駅構内が非常に混雑する
「電車は動いているから大丈夫」と過信せず、重要なアポイントがある場合は、普段よりも1時間以上余裕を持って家を出るか、可能であればリモート会議に切り替えるなどの対策が必要です。
旅行のキャンセル料や宿泊施設の対応

楽しみにしていた旅行の直前に「巨大地震注意」が出たら、どうすべきでしょうか。SNSなどでも「キャンセル料がかかるなんておかしい!」といった声が上がることがありますが、冷静に仕組みを理解しておく必要があります。
原則は「キャンセル料が発生する」
非常に心苦しい話ですが、巨大地震注意は政府による「旅行禁止命令」や「退避勧告」ではありません。あくまで「注意喚起」です。そのため、交通機関が動いており、宿泊施設が安全に営業できる状態であれば、利用者側の都合によるキャンセル(=自己都合キャンセル)とみなされ、規定通りのキャンセル料が発生するのが一般的です。
事業者の判断による特例対応
ただし、2024年の日向灘地震の際の事例を見てもわかるように、一部のホテルや旅館では「お客様の不安に寄り添う」という経営判断で、特例としてキャンセル料を免除するケースもありました。
重要なのは、これを「当たり前」と思わないことです。施設側も甚大な経済的ダメージを受けています。「政府が発表したんだから無料にしろ」と強要するのではなく、まずは予約サイトや施設の公式サイトで最新の対応方針を確認し、相談ベースで問い合わせるのがマナーと言えるでしょう。
学校や仕事は休みに?教育現場の対応

お子さんを持つ親御さんにとって、学校の対応は最大の懸念事項です。
学校は原則「通常通り」
文部科学省のガイドラインや多くの自治体の方針では、「巨大地震注意」の段階では一斉休校措置は取らないことが一般的です。基本的には通常通りの授業が行われます。
しかし、いつも通りとはいかない部分もあります。
- 部活動や行事:遠征や合宿、修学旅行などは延期や中止になる可能性が高いです。
- 登下校:「保護者への引き渡し」が必要になるケースや、集団下校などの措置が取られる場合があります。
企業活動においても同様で、基本は通常業務ですが、製造業などでは部品在庫の積み増しを行ったり、海沿いの事業所では避難ルートの確認を行ったりと、水面下でBCP(事業継続計画)に基づいた動きが活発化します。個人の判断で会社を休むことは難しいかもしれませんが、「帰宅困難になった時のためにスニーカーで出社する」「デスクの下に水を置いておく」といった個人の防衛策は徹底しましょう。
南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意で取るべき備え

この情報が発表された時、最もやってはいけないことは「パニックになること」です。逆に、最も賢い行動は「与えられた猶予期間を最大限に活用すること」です。地震が発生する前に準備ができる時間は、神様がくれたボーナスタイムだと思ってください。
発表直後から1週間の具体的行動計画

1週間という期間をただ怯えて過ごすのではなく、フェーズごとにやるべきことを明確にしておくと、心が落ち着きます。
【フェーズ1:発表から24時間】情報の把握と連絡
まずはテレビやラジオで正確な情報を入手します。そして、家族全員と連絡を取り、「今どこにいるか」「地震が起きたらどこの避難所に集まるか」を確認します。災害用伝言ダイヤル(171)やLINEの安否確認機能の使い方も、このタイミングでテストしておきましょう。
【フェーズ2:2〜3日目】備蓄の点検と補強
家にある食料や水を確認します。足りないものがあれば買い足しますが、スーパーに殺到して買い占めるのはNGです。物流が一時的に乱れる可能性を考慮し、最低限必要な量を静かに確保します。また、家具の転倒防止器具が緩んでいないか、ドライバーで締め直すなどの物理的な対策を行います。
【フェーズ3:1週間】「防災モード」での生活
日常生活を送りながらも、常に「今揺れたらどうする?」をシミュレーションします。入浴中はドアを少し開けておく、寝る時はスマホを枕元に置くなど、いつでも避難できる態勢(Ready posture)を維持して生活します。
備蓄品リストと防災グッズの準備

巨大地震注意の期間中は、いつ物流が止まっても数日間は自力で生き延びられるだけの物資が必要です。以下のリストを参考に、不足しているものがないかチェックしてください。
| カテゴリ | 必要なもの | 目安の量(1人あたり) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 生命維持 | 飲料水 | 1日3リットル × 7日分 | 飲用以外に手洗いや歯磨き用も考慮 |
| 食料 | レトルト、缶詰、アルファ米 | 最低3日〜1週間分 | カセットコンロとボンベもセットで! |
| 衛生・排泄 | 簡易トイレ | 1日5回〜7回 × 7日分 | 最重要アイテム。水洗トイレは使用禁止になる可能性大 |
| 衛生用品 | ウェットティッシュ、生理用品 | 1パック多めに | お風呂に入れない時の体拭きとしても重要 |
| 情報・電源 | バッテリー・ラジオ・電池 | 複数個(予備乾電池含む) | 乾電池式の充電器があると安心 |

特に強調したいのが「簡易トイレ」の重要性です。過去の震災では、食料よりもトイレの問題で精神的・肉体的に追い詰められる人が続出しました。水洗トイレは断水時や配管破損時に使うと逆流のリスクがあるため、凝固剤と処理袋がセットになった簡易トイレは絶対に用意してください。
備蓄品についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
防災トイレは何日分・何回分が必要?備蓄の目安と選び方
【2025年版】地震に備えるものリスト完全版
寝るときに枕元へ置くべき避難用品

地震は昼間に来るとは限りません。私が経験した東日本大震災の余震も、真夜中に発生することが多々ありました。真っ暗闇の中で、割れたガラスや倒れた家具が散乱する部屋から脱出するのは至難の業です。
就寝時の生存率を上げるために、以下の「枕元3点セット」を袋に入れて、必ず手の届く位置に置いて寝てください。
【命を守る枕元3点セット】
- 底の厚いスニーカー:
家の中でも靴?と思うかもしれませんが、ガラス片から足を守り、即座に屋外へ避難するために不可欠です。スリッパでは脱げてしまいます。 - 懐中電灯(LEDライト):
停電した瞬間、部屋は完全な闇になります。スマホのライトだけでなく、手持ちの強力なライトが必要です。 - ホイッスル(笛):
もし家屋が倒壊したり、家具の下敷きになって閉じ込められたりした場合、大声を出し続けると体力を消耗します。笛の音は人の声より遠くまで届き、救助隊に居場所を知らせる生命線になります。
また、この期間中はパジャマではなく、そのまま外に出ても恥ずかしくないジャージやスウェットで寝ることを強くおすすめします。冬場であれば、防寒着も枕元に置いておきましょう。
日付指定の予知やデマ情報への対策

「巨大地震注意」が発表されると、SNS(XやTikTokなど)で必ずと言っていいほど拡散されるのが、「〇月〇日に地震が来るらしい」「〇〇先生が予言している」といった情報です。
はっきり申し上げますが、現代の科学技術では、地震が発生する日時をピンポイントで予測することは100%不可能です。
人間は不安になると、明確な答えを求めたくなる生き物です。「いつ来るか分からない」という曖昧な恐怖より、「〇日に来る」という嘘でもいいから断定された情報にすがりたくなる心理(確証バイアス)が働きます。デマを流す人は、そういった心の隙間に入り込んできます。
「日付指定の情報は全てデマ」と断定して無視してください。そして、善意であっても不確かな情報を拡散しないこと。情報の真偽は、必ず気象庁や首相官邸の公式アカウントで確認する癖をつけましょう。
南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意を正しく恐れる

「巨大地震注意」は、私たちにとって「不吉な予言」ではなく、「生き延びるための準備期間」です。確率は上がっているとはいえ、数百回に1回程度。何事もなく1週間が過ぎる可能性の方が高いかもしれません。
しかし、もし何事もなく終わったとしても、そのために費やした時間やお金は決して無駄にはなりません。買い揃えた水や食料は、いつか必ず来る災害への備えとして残ります。家族で「どこに逃げるか」を話し合った時間は、家族の絆を深めるきっかけになります。
「どうせ来ないだろう」と高を括る(正常性バイアス)のでもなく、「もう終わりだ」とパニックになるのでもなく、「正しく恐れ、淡々と備える」。
この情報が出た時こそ、深呼吸をして、自分と大切な人の命を守るための具体的なアクションを一つずつ起こしていきましょう。防災士として、皆さんが賢明な準備を進められることを心から願っています。
