防災トイレは何日分・何回分が必要?備蓄の目安と選び方

防災トイレは何日分・何回分が必要?備蓄の目安と選び方

災害はいつ起こるかわかりません。水や食料の備えは万全でも、「トイレ」の準備は見落としていませんか?いざという時、防災トイレが何日分、そして何回分あれば安心できるのか、具体的な数字がわからず不安に感じている方も多いでしょう。災害用トイレは何日分必要ですか?という疑問から、防災トイレは一日何回使うのか、簡易トイレの備蓄目安、さらにトイレ100回分は何日かかりますか?といった具体的な計算まで、知りたいことはたくさんあるはずです。この記事では、災害用トイレは1人何個備蓄すればいいですか?という基本的な問いに答えつつ、防災トイレを4人家族で備えるケースや、防災リュックに入れるべきトイレの回数、さらには防災トイレで女性におすすめの備え方まで、あらゆる角度から徹底解説します。あなたの防災計画の最後のピースを埋める、トイレ備蓄の決定版です。

  • 災害用トイレの基本的な必要数がわかる
  • 家族構成や状況に応じた具体的な備蓄量が計算できる
  • 「自宅備蓄用」と「携帯用」の最適な使い分けが理解できる
  • 衛生面やプライバシーを考慮したトイレの選び方が身につく

目次

防災トイレは何日分・何回分?基本の備蓄数を解説

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  • 災害用トイレは何日分必要ですか?
  • そもそも防災トイレは一日何回使う?
  • 災害用トイレは1人何個備蓄すれば良い?
  • 防災トイレは4人家族でどれくらい必要?
  • トイレ100回分は何日かかりますか?

災害用トイレは何日分必要ですか?

結論から言うと、災害用トイレは最低でも3日分、推奨されるのは7日分(1週間分)です。

これは、大規模な災害が発生した際、人命救助が最優先されるため、ライフラインの復旧や支援物資の到着には時間がかかることが想定されているためです。内閣府のガイドラインでも、家庭での備蓄は「1週間分」が推奨されています。

実際に、過去の災害事例を見てみましょう。

過去の災害におけるトイレ問題

東日本大震災では、仮設トイレが3日以内に避難所へ行き渡った自治体はわずか34%でした。1ヶ月以上設置されなかったケースもあり、トイレ問題の深刻さが浮き彫りになりました。また、熊本地震では、下水道管の損傷により、水が流せるようになった後も長期間トイレが使えない住宅が多く発生しています。このように、水洗トイレが使えなくなる期間は、想像以上に長引く可能性があるのです。

「3日分あれば何とかなるだろう」と考えるのではなく、在宅避難が長期化する可能性を考慮し、1週間分の備えを目指すことが、あなたと家族の健康と尊厳を守る上で非常に重要になります。

そもそも防災トイレは一日何回使う?

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災害用トイレの必要量を計算する上で基本となるのが、「1日に何回トイレに行くか」という点です。

一般的に、健康な成人が1日にトイレを利用する平均回数は5回から7回と言われています。もちろん、これは年齢、性別、体質、季節、水分摂取量などによって個人差があります。

備蓄計算の基本は「1人1日5回」

防災備蓄の計画を立てる際には、様々な状況を考慮し、少し余裕を持たせた計算が求められます。そのため、多くの自治体や防災ガイドラインでは、計算しやすい基準値として「1人あたり1日5回」という回数を採用しています。この「5回」という数字を基準に、家族の人数や備える日数を掛け合わせることで、必要なトイレの総量を算出できます。

ただし、これはあくまで最低限の目安です。家族に高齢の方や小さなお子さんがいる場合、あるいはトイレが近くなる持病をお持ちの方がいるご家庭では、この回数を6回や7回に増やして計算すると、より安心して備えることができるでしょう。

普段から自分や家族が1日に何回くらいトイレに行っているか、少し意識してみるのも良いかもしれません。実態に即した備蓄計画が、いざという時の安心につながります。

災害用トイレは1人何個備蓄すれば良い?

1人あたりの具体的な備蓄数を計算してみましょう。前述の通り、「1日に使う回数」と「備える日数」を掛け合わせることで、必要な個数が明確になります。

計算式は非常にシンプルです。

1日の平均使用回数 × 備蓄日数 = 1人あたりの必要備蓄数

この計算式に、推奨される日数を当てはめてみましょう。

最低限の備蓄数(3日分)

まずは最低限備えておきたい量です。
5回 × 3日間 = 15回分
これが、1人あたり最低限必要となる備蓄量です。

推奨される備蓄数(7日分)

より安心して在宅避難を続けるために推奨される量です。
5回 × 7日間 = 35回分
災害関連死のリスクを減らし、衛生的な環境を保つためには、この35回分を目標に準備することを強くおすすめします。

「回数」と「個数」の考え方

市販の災害用トイレは「10回分セット」「50回分セット」のように販売されています。ここで言う「1回分」が、1人あたりの「1個」に相当します。つまり、1人あたり35回分を備えるなら、35個の凝固剤と汚物袋のセットが必要になるということです。

防災トイレは4人家族でどれくらい必要?

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では、家族の人数が増えると、必要なトイレの量はどれくらいになるのでしょうか。ここではモデルケースとして「4人家族」の場合で計算してみます。

計算式は、先ほどのものに家族の人数を掛け合わせるだけです。

1日の平均使用回数 × 家族の人数 × 備蓄日数 = 家族全員分の必要備蓄数

推奨される備蓄数(7日分)の場合

4人家族で、推奨される7日分を備える場合、必要なトイレの総数は以下のようになります。

5回 × 4人 × 7日間 = 140回分

140回分と聞くと非常に多く感じるかもしれませんが、これは家族4人が1週間、健康と衛生を維持するために不可欠な量です。この量を備えておくことで、避難所の劣悪なトイレ環境に頼ることなく、自宅で安心して過ごすことができます。

【早見表】人数別・日数別の必要備蓄回数

ご自身の家族構成に合わせて確認してみましょう。

人数最低限(3日分)推奨(7日分)さらに安心(10日分)
1人15回35回50回
2人30回70回100回
3人45回105回150回
4人60回140回200回
5人75回175回250回

この表を参考に、ご家庭に合った備蓄目標を設定してみてください。

トイレ100回分は何日かかりますか?

市販の災害用トイレには「100回分」という大容量セットがよくあります。この100回分が、実際に何日もつのかを知っておくことは、商品を選ぶ上で非常に参考になります。

これも簡単な割り算で算出できます。

備蓄総数 ÷ (1日の平均使用回数 × 人数) = 対応可能な日数

この式を使って、100回分のトイレが各世帯で何日分に相当するのかを見てみましょう。

人数計算式100回分で対応できる日数
1人100回 ÷ (5回 × 1人)20日間
2人100回 ÷ (5回 × 2人)10日間
3人100回 ÷ (5回 × 3人)約6.6日間
4人100回 ÷ (5回 × 4人)5日間

この結果から分かるように、4人家族の場合、100回分のセットでは推奨される7日分には少し足りないことがわかります。100回分セットを1つ購入し、さらに50回分などを追加で購入して、合計で140回以上を目指すのが賢明な備え方と言えるでしょう。

大容量セットはコストパフォーマンスが良い場合が多いですが、ご家庭の必要量と照らし合わせて、過不足なく準備することが大切ですね。


防災トイレは何日分・何回分を使い分ける備え方

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  • 自宅用の簡易トイレ備蓄目安とは?
  • 防災リュックのトイレは何回分が適切?
  • 持ち歩く防災トイレは何回分が安心?
  • 防災トイレで女性におすすめの備え方は?
  • 結論:防災トイレは何日分・何回分を目的別に備えよう

自宅用の簡易トイレ備蓄目安とは?

ここからは、より実践的な備え方について解説します。防災トイレは、「自宅に備蓄しておく長期戦用のトイレ」「避難時や外出時に使う携帯用のトイレ」の2種類を想定して準備することが非常に重要です。

まず、在宅避難を前提とした自宅用の簡易トイレについてです。

前述の通り、自宅での備蓄は家族全員が7日分以上を安心して使える量を目安とします。つまり、4人家族であれば140回分以上です。

自宅用トイレに求められるポイント

  • 十分な回数: 1週間分以上の備え。
  • 防臭性能: 使用後のゴミを長期間保管するため、臭いをしっかり防げるものが必須。防臭袋がセットになっていると安心です。
  • 使いやすさ: 自宅の洋式便器にセットするタイプが、普段と変わらない感覚で使えるためストレスが少ないです。
  • 保管のしやすさ: 100回分以上のセットは箱が大きくなるため、押し入れやクローゼット、ベッド下などの保管スペースを確保しておく必要があります。

また、万が一自宅のトイレが破損して使えないケースも想定し、段ボールなどで組み立てる簡易便座がセットになったものを1つ用意しておくと、さらに安心感が高まります。

防災リュックのトイレは何回分が適切?

次に、避難所に移動する場合や、車中泊を余儀なくされた場合を想定した「防災リュック(非常用持ち出し袋)」に入れる携帯トイレです。

防災リュックは、命を守るために最低限必要なものを入れて避難するためのものです。そのため、スペースや重さには限りがあります。

結論として、防災リュックに入れるトイレは1人あたり1日〜2日分、回数にして5回〜10回分程度が現実的で適切な量と言えるでしょう。

防災リュックのトイレは「つなぎ」

リュックに入れるトイレは、あくまで避難所に着くまでや、安全な場所で支援が始まるまでの「つなぎ」としての役割です。7日分すべてをリュックに入れるのは不可能なため、自宅備蓄との役割分担を明確に意識することが大切です。

選ぶ際は、個包装になっていてコンパクトなものがリュックの隙間に入れやすく、かさばらないためにおすすめです。

持ち歩く防災トイレは何回分が安心?

災害は、自宅にいる時だけに起こるとは限りません。外出中、例えば電車やエレベーターの中、勤務先などで被災し、身動きが取れなくなる可能性もあります。

そこで推奨したいのが、防災リュックとは別に、普段使っているカバンや会社のデスクに数回分の携帯トイレを常備しておくことです。

日常の「お守り」としての携帯トイレ

普段から持ち歩くトイレは、1〜3回分程度の非常にコンパクトなもので十分です。薄いシート状のものや、ポケットティッシュのようなサイズの製品も市販されています。これらをバッグのポケットに一つ入れておくだけで、予期せぬ事態に遭遇した際の安心感が大きく変わります。

災害時だけでなく、高速道路での渋滞や、登山の際など、トイレが見つからずに困る日常のシーンでも役立つため、無駄になることはありません。これを機に、日常的な備えとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

防災トイレで女性におすすめの備え方は?

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災害時のトイレ問題は、特に女性にとって切実です。プライバシーの確保が難しく、衛生面での不安も大きいため、精神的なストレスにつながりやすくなります。

ここでは、女性ならではの視点で備えておきたいポイントを解説します。

1. 防臭性能が極めて高いものを選ぶ

使用済みトイレの処理や保管は、臭いが大きなストレスになります。医療向けに開発されたような高性能な防臭袋がセットになっている製品や、凝固剤に消臭成分が強力に配合されているものを選ぶと良いでしょう。

2. 目隠し用のポンチョをセットで備える

やむを得ず屋外や車内でトイレを使わなければならない状況も考えられます。体をすっぽり覆うことができる目隠し用のポンチョが1つあるだけで、プライバシーが守られ、安心して用を足すことができます。トイレセットに同梱されている製品もありますし、単体で用意して防災リュックに入れておくのもおすすめです。

3. 衛生用品をひとまとめにしておく

断水時には手洗いができません。携帯トイレと一緒に、以下のアイテムをポーチなどにまとめておくと非常に便利です。

  • 除菌ウェットティッシュ
  • アルコール手指消毒剤
  • トイレットペーパー(芯を抜いて潰すとコンパクトに)
  • 生理用品

特に生理用品は支援物資として届きにくい場合があるため、多めに備蓄しておくと安心です。

安心して使える環境を自分で作る、という視点が大切です。少しの工夫で、災害時のストレスを大きく軽減できますよ。

結論:防災トイレは何日分・何回分を目的別に備えよう

この記事で解説してきた、防災トイレの備えに関する要点を最後にまとめます。

  • 災害用トイレの備蓄は最低3日分、推奨は7日分(1週間)
  • 計算の基本は健康な成人1人あたり1日5回の使用を想定する
  • 1人あたりの推奨備蓄数は35回分(5回×7日)が目標
  • 4人家族なら140回分(4人×5回×7日)の備蓄が理想
  • 100回分セットは4人家族では5日分にしかならないため追加購入を検討する
  • 防災トイレは「自宅用」と「携帯用」の2種類で備えるのが基本
  • 自宅用は在宅避難を想定し、1週間分以上の大容量で防臭性が高いものを選ぶ
  • 簡易便座も1つ備えておくと自宅トイレが破損しても安心
  • 防災リュックに入れる携帯トイレは1〜2日分(5〜10回)が現実的
  • 防災リュック用はあくまで避難所までの「つなぎ」と考える
  • 普段のバッグにも1〜3回分のコンパクトなトイレを常備すると外出時も安心
  • 女性は特に防臭性能を重視し、目隠しポンチョや衛生用品もセットで備える
  • 自分や家族の生活スタイルに合わせて回数を調整し、最適な備蓄計画を立てる
  • 備えは量だけでなく、質(防臭性・使いやすさ)も考慮して選ぶ
  • 定期的に使用期限を確認し、必要に応じて買い替えることも忘れない

トイレの備えは、災害時の生活の質、そして健康と尊厳を守るための最も重要な防災対策の一つです。この機会にぜひ、ご家庭のトイレ備蓄を見直してみてください。

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この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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