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防災グッズを買わない5つの理由と解決策|代用できるものと本当に必要な備え

防災グッズを買わない5つの理由と解決策|代用できるものと本当に必要な備え

「何を買えばいいかわからない」「お金がかかる」「保管場所がない」「準備が面倒」——防災グッズを買わない理由を抱えながら、どこか後ろめたさを感じているあなたへ。

防災グッズを用意している家庭の割合は、近年の調査でも全体の4割前後にとどまっているという報告があります(内閣府防災情報ページ等、最新年度は公式サイトでご確認ください)。必要性は感じているのに動けない。その背景には、明確な「買わない理由」があります。

この記事では、防災グッズを買わない理由を一つずつ解きほぐし、「代用できるもの」と「代用が難しく専用品が必要なもの」を整理します。完璧な備えよりも、まず「備えがない状態を脱すること」が大切だと、2011年の東日本大震災を福島で経験した防災士・後藤秀和は考えています。

この記事を読むとわかること

  • 多くの人が防災グッズを買わない理由と、その心理的背景
  • 備えがないと実際にどうなるか、そのリスクの実態
  • 日用品で代用できるものと、代用できないもの・すべきでないものの判断基準
  • 「防災セットは意味がない」と感じている人が、備えを無理なくスタートするための具体的な方法
目次

なぜ多くの人が防災グッズを買わないのか

防災グッズを買わない最大の理由は、「何から始めればよいかわからない」という情報の多さと、「今すぐ必要な気がしない」という正常性バイアスにあります。この2つが重なると、準備は永遠に後回しになります。

防災グッズを買わない理由を考えるイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

防災グッズを用意している家庭はまだ少ない

日本は地震・台風・豪雨など、世界でも有数の自然災害大国です。しかしそれでも、家庭で防災グッズを用意している割合は全体の4割前後にとどまるという調査結果があります。「十分に準備できている」という家庭はそのうちのごくわずかで、多くは「多少は準備している」という段階です。

特に20代では他の年代より準備率が低い傾向があります。引越しが多く「どうせ持ち運べない」と考えやすいこと、賃貸で収納が限られることなどが背景にあるようです。

「買わない理由」の実態——4つの主なハードル

防災グッズを買わない理由のイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

防災グッズを買わない理由として、よく挙げられるのは次の4つです。

  • 何を買えばいいかわからない:情報が多すぎて、何を優先すべきか判断できない。
  • お金がかかる:一式揃えると高額になるイメージがあり、費用が踏み出す壁になっている。
  • 保管場所がない:特に賃貸・集合住宅では収納スペースが限られる。
  • 準備・管理が面倒:中身の入れ替えや賞味期限管理など、継続的な手間がかかる。

これらのハードルは、考え方と方法を少し変えるだけでほとんどが解消できます。以降で一つずつ整理していきます。

「まだ大丈夫」という心理が備えを遠ざける

「自分の地域では大きな災害は起きないだろう」という思い込みを、心理学では正常性バイアスと呼びます。このバイアスは、人間が日常の安心感を保つための自然な働きですが、防災の場面では「備えを後回しにする理由」として機能してしまいます。

2011年3月11日、私(後藤)は福島市の事務所で震度6弱の揺れを経験しました。あの日まで、福島市内であれほどの揺れが来るとは正直思っていませんでした。災害は「来るかもしれない」ではなく、「いつか必ず来る」という前提で準備するものだと、あの経験から強く確信しています。

備えがないと実際にどうなるか

備えがない状態で大規模災害が起きると、最初に直面するのは「食料・水・情報・トイレ」の4つの不足です。公的支援が届くまでの最初の72時間(3日間)を自力で乗り越えられるかどうかが、生存と生活の質を大きく左右します。

非常食がないと困る状況のイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

非常食がないと、最初の3日間が最大の危機になる

ライフラインが止まると、スーパーやコンビニも機能を失います。棚はあっという間に空になり、発災直後は食料の入手が極めて困難な状態になります。

2011年の震災後、私の地域ではガソリンの確保に1日あたり6時間の行列を3日間続けなければなりませんでした。食料や水も同様の状況です。「無駄になるのが嫌だ」という気持ちはよくわかりますが、普段の食品を少し多めに買い回して消費する「ローリングストック法」なら、無駄を出さずに食べ慣れた食料を備蓄できます。

ただし、ローリングストックだけでは長期保存用の水や調理器具が抜け落ちがちです。最低でも1人あたり飲料水3リットル×3日分と、カセットコンロ・ガスボンベの備えは別途必要です。

情報・衛生・精神面の備えも同じくらい重要

停電下では、スマートフォンもテレビも使えなくなります。2011年の震災直後、停電の中で私が最も困ったのは「ラジオと明かりがない」ことでした。正確な情報が得られないと、デマに翻弄されたり、避難の判断を誤ったりするリスクが高まります。

また、断水が続くとトイレ問題は想像以上に深刻になります。水洗トイレは断水すると使用できず、避難所でも長蛇の列が続きます。衛生状態の悪化は感染症リスクにも直結します。

こうした状況への備えは、モノを揃えるだけでなく「心の余裕」にもつながります。準備があれば、有事のとき落ち着いて判断できる——これが、私が防災士として一番大切にしているメッセージです。

代用できるものと、代用できないものの判断基準

防災グッズの「買わない理由」を解消するもっとも現実的な方法は、「代用できるものは日用品で賄い、代用が難しいものだけ専用品を揃える」という考え方です。ただし、何でも代用できるわけではなく、命に直結するアイテムには専用品が必要です。

防災グッズの代用品を考えるイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

日用品で代用できるもの

以下のアイテムは、日常的に使っているものや、ローリングストックで管理できるものを活用できます。

アイテム代替品・代用方法ポイント
三角巾大判のハンカチや風呂敷普段使いできるため管理しやすい
大量の非常食レトルト食品・缶詰(ローリングストック)賞味期限切れの無駄を防げる
電池式モバイルバッテリーUSB充電式モバイルバッテリー(日常使い)日常充電に使えてコスパが高い
電池式ハンディファン充電式コンパクトハンディファン(日常使い)日頃から使い慣れたものが役立つ
大型テントアルミブランケット+軽量寝袋コンパクトで収納しやすい

代用品の最大のメリットは、普段から使っているため「使い慣れている」こと。有事のパニック状態でも操作に迷わず動けます。

「いらなかったもの」になりやすいアイテムの共通点

防災グッズでいらなかったものを確認するイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

災害後に「これは使わなかった」と振り返られるアイテムには、共通の特徴があります。「重くてかさばる」「使い方を考えないと使えない」「日常では使わない特殊品」の3つです。

たとえば、高価なサバイバルナイフは、梱包を切る程度の用途なら小型ナイフやハサミで十分です。大きすぎるリュックは詰め込みすぎて背負えなくなる原因になります。低品質な懐中電灯は、いざというときに光量不足や電池切れで役に立たないケースがあります。

地震時の避難では、機能性・携帯性・信頼性の3つを軸にアイテムを選ぶと、後悔が少なくなります。両手が使えるヘッドライトや、コンパクトな防災ラジオは、この3つを高い水準で満たしています。

「いらなかったもの」の詳しいリストと選び方の基準については、防災グッズでいらなかったものを防災士が解説の記事で詳しく解説しています。

代用できない・専用品を準備すべきアイテム

一方で、日用品での代用が難しく、専用品を準備しておくべきアイテムもあります。特に「情報収集」と「トイレ・衛生管理」に関するものは、有事に代替手段がなくなりがちです。

  • 手回し・ソーラー充電対応の防災ラジオ:停電・電池切れの状況でも情報を得られる唯一の手段になりうる。スマートフォンはネットワーク障害・電池切れで使えなくなる。
  • 簡易トイレ(携帯トイレ):断水時に水洗トイレは使えない。家族の人数×1日5〜8回×最低3日分が目安。
  • ヘッドライト:暗闇の中で両手を使いながら行動するために必要。懐中電灯では代替できない場面がある。
  • 持ち出し専用リュック:有事に何を入れるか迷わないための「まとめる器」。日用品のバッグでは代替しにくい。

「防災セットは意味ない」と感じる人へ——市販セットの正しい使い方

市販の防災セットには「自分の家庭には不要なものが入っている」と感じる方もいます。確かに、市販品は万人向けに作られているため、住環境や家族構成によっては合わないアイテムが含まれることもあります。

防災セットの意味を考えるイメージ
ひかりBOSAI・イメージ

ただし、市販の防災セットには「準備の入口として最低限がまとまっている」という大きな価値があります。何から始めるかわからない人にとって、「まずセットを買って、不要なものを抜き、必要なものを足す」という使い方は非常に合理的です。完璧なセットを自分で組み上げようとして準備が止まるより、不完全でも「備えのある状態」に早くなることの方がはるかに重要です。

「自分で揃える人」と「セットを活用する人」の判断基準

どちらが合っているかは、次の基準で判断できます。

  • 自分で揃えて管理できる人:ローリングストックを日常的に実践でき、アイテムを定期的に見直せる。時間と意欲がある方に向いています。
  • セットを活用した方がよい人:準備が面倒と感じる、仕事や育児で管理が難しい、何を買えばいいかまだわからない。「備えがない状態」を一刻も早く脱したい人に向いています。

防災セットを専用品として購入した場合、中身を一度広げて「これは何に使うか」を家族で確認しておくことが重要です。買って満足して終わりでは、有事に使えない可能性があります。

防災リュック(防災セット)を買わない理由の解消と、必要なアイテムの詳細については、【防災リュックを買わない理由】本当に必要なものリスト公開も参考にしてください。

「買わない理由」を解消して、今日から一歩踏み出すために

防災グッズを買わない理由のほとんどは、「完璧に揃えなければいけない」というハードルの高さから来ています。でも、防災の目的は「完璧な準備」ではなく「備えがない状態を脱すること」です。

最初の一歩として、今日できることを3つ挙げます。

  • ローリングストックを始める:次の買い物でレトルト食品や缶詰を2〜3個多めに買い、古いものから使い切るサイクルを作る。
  • 手回し対応のラジオとヘッドライトを準備する:この2点は代用が難しく、停電時の情報収集・行動に直結する。
  • 簡易トイレを家族人数分×3日分用意する:断水時の最大の困りごとを先に解消しておく。

この3点を揃えるだけで、「備えがゼロ」から「最低限の備えがある状態」に大きく前進できます。

防災グッズを買わない理由を乗り越えた先に

備えを整えた人が口を揃えて言うのは、「安心感が違う」という一言です。有事に落ち着いて行動できるかどうかは、事前の準備量に大きく左右されます。防災グッズは「お金を使う」行為ではなく、「心の余裕を買う」投資だと私は思っています。

完璧でなくていいのです。まず今日、一つだけ始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 防災グッズはどこから始めればいいですか?

A. まず「手回し対応ラジオ・ヘッドライト・簡易トイレ」の3点を揃えることをおすすめします。この3点は代用が難しく、どの家庭でも必要な基本アイテムです。食料・水はローリングストックで徐々に増やしていく方法が無駄なく続けやすいです。

Q. 防災セットは買わなくても、日用品で代用できますか?

A. 三角巾・非常食・モバイルバッテリーなど、多くのアイテムは日用品で代用できます。ただし、防災ラジオ・簡易トイレ・ヘッドライトは専用品が推奨されます。「何が代用できて、何は専用品が必要か」を把握したうえで、自分に合った揃え方を選びましょう。

Q. 保管場所がないときはどうすればいいですか?

A. 「分散備蓄」という考え方が有効です。玄関・寝室・車の中など複数の場所に少量ずつ分けて置くことで、収納スペースの問題を解消しながら、被災場所がどこであっても備えにアクセスできる状態を作れます。

Q. ローリングストックとはどんな方法ですか?

A. 普段から食べている缶詰やレトルト食品を多めに買い置きし、古いものから消費して、使った分だけを補充するサイクルのことです。特別な備蓄食品を別に用意しなくても、食べ慣れた食料を無駄なく備蓄できます。賞味期限切れの心配も減り、コストも抑えられます。

Q. 防災グッズを準備していなかった場合、災害時にどうすればいいですか?

A. まず近隣の避難所の場所と、自治体のハザードマップを確認してください。避難所には一定の食料・水・簡易トイレが備えられていますが、数量に限りがあります。何も準備がない状態でも、情報収集と避難行動を最優先にすることで生存率を高めることができます。そのうえで、落ち着いたら少しずつ自宅備蓄を始めましょう。

防災士の経験から生まれた、信頼できる備え。
経験が語るHIHの「本当に必要な防災セット」。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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