山火事なぜ起こる?発生原因、大規模化の仕組みを防災士が解説

山火事なぜ起こる?発生原因、大規模化の仕組みを防災士が解説
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
「山火事 なぜ起こる」というキーワードで検索されているということは、ニュースなどで大規模な山火事の報道を見て、その恐ろしさや、自分の身の回りで山火事の原因は何なのか、山火事の現状はどうなっているのかと不安に感じている方もいるかもしれませんね。特に春や冬の乾燥した季節になると、山火事に関する注意喚起が増えます。火災が起こるメカニズムや、どうして山火事が一度起こると手のつけられない大規模な災害になってしまうのか、気象や森林の状況など複合的な要因について、中学生でもわかるように簡単に知りたいのではないでしょうか。この記事では、私たちが普段の生活で注意すべき人為的な原因から、フェーン現象のような気象学的な加速器、そして里山管理の衰退といった日本の山火事における構造的な問題まで、山火事の予防に必要な知識を防災士の視点から誠実に解説します。
この記事を読むことで、読者が具体的に何について理解を深められるか
- 山火事の発生に必要な「火災の三要素」と火災の3つの類型がわかる
- 日本の山火事の約8割を占める人為的な主原因と具体的な事例を理解できる
- 乾燥・強風・フェーン現象など大規模化を加速させる気象条件を知れる
- 現代の森林が抱える「燃料負荷」の増加という構造的なリスクについて理解できる
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山火事なぜ起こる?火災発生の3要素と日本の主原因を解説!


まず、「山火事とはどういうものなのか」という基本的なところから見ていきましょう。火が燃え広がるための条件と、火災のタイプ、そして日本で山火事の原因のほとんどを占めているのは何なのかを解説していきますね。ここを知るだけでも、予防のポイントが明確になりますよ。
火災発生に必須の三要素とは:燃料、火源、酸素

ものが燃える現象、つまり火災が発生し、それが持続するためには、物理的に次の三つの要素が必ず必要になります。これは林野火災(山火事)でも例外ではありません。
火災の三要素(山火事の場合)
- 火源(着火源):たき火の残り火、タバコの吸い殻、落雷など、火を付けるきっかけ。
- 燃料(燃焼物):森林内の落ち葉、枯れ草、木、低木など、燃えるための材料。
- 酸素(助燃性物質):主に大気中の酸素。特に風が強いと大量に供給されます。
この三要素のうち、山火事の規模や延焼速度を決定づけるうえで最も重要になるのが、森林内の燃料の質と量なんです。たとえば、乾燥している落ち葉や枯れ木は「良質な燃料」ということになります。燃料が十分な乾燥度と量を持っていれば、たとえ小さな火源でもあっという間に制御不能な火災に発展してしまいます。逆に、燃料に水分が多く湿っていれば、火源があってもなかなか燃え広がらず、小規模で収束することが多いです。
山火事のタイプ:地表火、地中火、樹冠火の違い

林野火災は、その燃える場所や形態によって、主に三つの類型に分類されます。それぞれの火災タイプを知ることは、消火の難易度やリスクを理解する上でとても大切です。火災がどの層で起きているかによって、危険度が大きく変わってくるんですよ。
- 地表火(表層火) 地表に堆積した落ち葉、枯れ草、小枝、または低木などが燃焼する、最も発生件数が多い形態です。火の勢いは比較的弱く、人がアクセスできれば初期消火が最も容易であるとされています。しかし、この地表火が、後述する樹冠火や地中火の引き金となる可能性があるため、安易に見てはいけません。特に乾燥が進むと、一瞬で燃え広がる危険性を秘めています。
- 地中火(泥炭火災) 地表の堆積層の下、主に有機物が豊富な腐植土や泥炭(ピート)層が燃焼する、最も厄介で発見が難しい火災形態です。酸素が少ない地中でゆっくり、しかし確実に燃え続けるのが特徴です。煙が少なく、長期間地下で潜伏するため、表面の火を消しても再燃のリスクが残ります。特に乾燥した季節には、地下でくすぶっていた火が地表に広がり、突発的に大規模火災の引き金となることがあるので要注意。地中火は、表面だけでなく土壌を掘り起こして完全に消火する必要があるため、最も消火が難しい火災の一つと言われています。
- 樹冠火 樹木の葉や枝が繁茂している上部(林冠)が燃える、最も危険な火災です。このタイプの火災は、火の勢いが非常に強く、延焼速度が速いため、消火活動は極めて困難を極めます。地表の火が低木や下枝を伝って樹冠へと火が伝達する「はしご状燃料」があるかどうかで、この樹冠火へ移行するかどうかが大きく左右されます。ひとたび樹冠火が発生すると、風に乗って火の粉(飛び火)が遠くまで飛び、被害が大規模化してしまいます。
日本の山火事原因の約8割は人為的要因

「山火事なぜ起こる」という問いに対する日本の統計的な答えは、非常に明確です。日本の林野火災の発生原因のほとんど、なんと約8割が、私たち人間の不注意や不始末といった人為的な要因によるものなんです。
日本の山火事の主因は「人間による不注意」
海外では落雷による大規模火災も多いですが、日本では火気の取り扱いに関する人災が圧倒的に多くなっています。この事実は、日本の山火事対策の最優先事項が、人間行動の管理と教育にあることを強く示唆しています。(出典:総務省消防庁 令和5年版 消防白書)
この統計が示すように、私たちが普段の生活やアウトドア活動で火の取り扱いを徹底するだけで、山火事の発生件数は大幅に減らせるはずです。山火事を防ぐカギは、私たち一人ひとりの火の管理責任にあると言っても過言ではありません。
最も多い火源はたき火の不始末や飛び火

人為的な火源の中で、最も高い割合を占めているのが「たき火」です。総出火件数の約3割(約29%)がこのたき火に起因するとされています。
#### 不完全な消火が残り火となるメカニズム
これは、キャンプやバーベキューなどの野外活動、あるいは個人の敷地内での野焼きにおける火の取り扱いの不注意や、不完全な消火が主な原因です。特に危険なのは、火を消したと思い込んでも、高温の灰や残り火が地表の乾燥した落ち葉や土の中に残り、それが長時間くすぶり続けることです。
残り火が乾燥した落ち葉の中に残っていると、数時間後、あるいは翌日になってから強風にあおられて再び燃え上がり、周囲の林野に引火することで火災へと発展するケースが非常に多いんです。たき火をする際は、火を使い終わったら水をたっぷりかけ、完全に鎮火したことを触って確認するくらいの徹底が必要です。
火災の初期対応に関する知識を深めるために、消化器の選び方と種類別の特徴を知っておくことも、もしもの初期消火に役立つかもしれません。
火入れの失敗とたばこの不始末が招く火災

たき火の次に多いのが、火入れの管理失敗です。火入れとは、農業や林業の現場で、害虫駆除や草地の更新などのために計画的に火を使う行為です。これは許可が必要な行為ですが、計画的であるにもかかわらず、その管理失敗が全体の2割近くを占めています。
#### 火入れのリスク:気象条件の急変
火入れの失敗の多くは、風向きの急変や予期せぬ突風など、気象条件の急変によって制御を失うことで、容易に林野へと延焼してしまうケースです。火入れを行う際は、事前の気象条件の厳格な判断と、急な変化に対応できるだけの十分な人手と消火設備を準備するといった、徹底したリスク管理が求められます。
また、たばこの不始末による火災も、小さな火種が大きな災害につながる典型例です。乾燥した季節においては、わずか数センチの吸い殻の火種であっても、着火点に達した燃料があれば瞬時に燃え広がる危険性があります。吸い殻は確実に消火し、指定された場所で処理するという基本的なマナーが、山を守ることに直結していることを改めて認識しましょう。
意図的な放火や放火の疑いも無視できない原因

林野火災の原因として、火気の使用不注意とは異なり、意図的な犯罪行為である放火および放火の疑いによるものも無視できません。これらを合わせると、全体の8.5%を占める無視できない原因となります。
放火火災は、出火場所が特定されにくい山間部で起こると、早期発見が遅れ、より大規模な火災に発展しやすいという特徴もあります。地域全体での不審者への警戒や、放火を誘発するような環境を作らない(燃えやすいゴミや枯れ木などを放置しない)ことも、大切な予防策です。もし不審な人物を見かけた場合は、警察や消防への通報をためらわないでください。
山火事なぜ起こる?大規模化を加速させる3つの条件

火源があったとしても、火災が小規模で終わるか、それともニュースになるような大規模な災害になるかは、ここから解説する気象条件と森林の構造によって大きく左右されます。これらは火災の「加速器」と「規模決定要因」として機能します。
季節と気象条件:乾燥、高温、強風が揃う時期

山火事の発生件数は、統計的にも冬から春(1月~5月)にかけて集中的に発生する傾向が確認されています。これは、この時期に火災を加速させる気象条件が揃いやすいからです。
#### 乾燥・高温・強風のトリプルパンチが燃料に着火しやすくする
この時期は、大陸からの移動性高気圧の影響で空気が乾燥しやすく、さらに春先にかけて強風が吹きやすい時期と重なります。この環境下では、地表の枯れ葉や枯れ木といった燃料の含水率が極端に低下し、非常に燃えやすい状態(着火性の向上)になります。加えて、強風が大量の酸素を供給することで、一度火が付くと火の勢いが衰えず、急速に延焼してしまう環境が整ってしまうのです。
乾燥注意報をチェック!
気象庁が発表する乾燥注意報が出ているときは、それだけ山火事のリスクが高まっている証拠です。特に湿度が極端に低い場合は、火気の取り扱いは普段以上に厳重な注意が必要です。スマホで簡単に確認できるので、日々の防災習慣として取り入れてみてください。
フェーン現象による延焼の劇的な加速メカニズム

数ある気象条件の中でも、山火事の発生と拡大に対して最も決定的な役割を果たすのが「フェーン現象」です。これは、火災を劇的に加速させる複合的な気象学的プロセスです。
#### フェーン現象が火災を加速させる仕組み:断熱昇温による最強の加速器
フェーン現象は、湿った暖かい風が山脈にぶつかって上昇する際に水分を失い(雨や雪を降らせ)、乾燥した状態で山脈の風下側に吹き下りることで、断熱圧縮によって急激に温度が上昇する現象です。この結果、風下側には非常に乾いた高温の風が吹き下ろされ、これが火災リスクを極限まで高めます。
この現象によってもたらされる乾燥した高温の風は、以下の要素を同時に提供し、火災リスクを極限まで高めます。特にこの高温と強風が、燃料の着火点に達するまでの時間を大幅に短縮させてしまうのです。
| 要素 | 現象 | 火災への影響 |
|---|---|---|
| 高温・乾燥 | 断熱昇温と水分の凝結・放出 | 燃料の表面温度を上げ、含水率を極限まで下げ、着火しやすくする。 |
| 強風 | 山脈越えによる風速増加 | 燃焼に必要な酸素を大量に供給し、延焼速度を劇的に加速。飛び火を引き起こす。 |
特定の地理的条件を持つ日本では、この現象によって過去にも大火が引き起こされてきました。正確な情報は気象庁の公式サイトをご確認ください。
飛び火で予測不能な拡大!強風が火災を運ぶ

強風は、単に燃焼に必要な酸素を供給するだけでなく、火災の範囲を飛躍的に拡大させる「飛び火」という現象を引き起こします。強風にあおられた炎は、燃えている木片や火の粉(火の玉)を遠く離れた場所まで運びます。
#### 飛び火による「飛び地火災」の発生メカニズム
飛び火の恐ろしいところは、本来火災が到達不可能なはずの河川や道路、防火帯を越えた場所で新たな火災(飛び地火災)を次々と発生させる点です。これにより、火災の範囲は瞬く間に拡大し、消火活動は火の発生源を追うだけでなく、広範囲にわたる新たな火源に対処する必要が出てくるため、極めて困難になります。乾燥して高温の風であれば、着火した火の粉が地面に到達してもすぐに燃え移ってしまうため、この飛び火による延焼の危険性はさらに高まります。
放置された里山:燃料負荷の増加が規模を決定

人為的な火源と気象条件が「なぜ起こるか」を決定するのに対し、森林内に蓄積された「燃える材料(燃料負荷)」は火災の規模や激しさを決定づけます。現代の日本の山火事の深刻化は、この燃料負荷の増加という構造的な問題と深く関連しています。
#### 里山管理の衰退と「はしご状燃料」の形成
かつての里山は、落ち葉や枯れ木が生活の資源として定期的に持ち出され、林内は常に手入れされ、「燃え種」が少ない状態に保たれていました。人が頻繁に火を扱っていたにもかかわらず大規模火災が少なかったのは、この低燃料負荷の状態が維持されていたからだと考えられます。
しかし、エネルギー源の変化に伴い里山利用が廃れると、枯れ木や落ち葉の堆積が放置され、燃料が劇的に増加しました。この燃料の堆積が、地表の火を樹冠へと伝える「はしご状燃料(Ladder Fuel)」を形成します。地表火が低木や下枝を伝って容易に樹冠(林冠)へ到達できる構造になっているため、現代の森林は、ひとたび火災が発生すると制御不能な樹冠火へ移行するリスクが極めて高くなっているのです。
地中火の隠れた危険性:消えにくい泥炭火災のリスク

地中火、特に泥炭火災は、地表火や樹冠火のように目に見えて燃え上がるわけではないため、その危険性が見過ごされがちです。泥炭(ピート)は、植物が完全に分解されずに堆積した有機物で、水分を失うと非常に燃えやすくなります。
この泥炭層が燃焼すると、酸素が少ない環境でゆっくりと燃え続けるため、非常に消火が困難です。表面に水をかけても火が消えず、長期間地下でくすぶり続け、乾燥した季節に再び地表へと燃焼が広がり、突発的に大規模な森林火災につながることがあります。泥炭質の土壌を持つ地域では、この地中火による再燃リスクに特に警戒が必要です。地中火の完全消火には、大量の水を注入したり、燃焼している土壌を掘り起こしたりといった、大がかりな作業が必要になります。
地球温暖化が将来の山火事の自然発火リスクを高める

現在の日本の山火事構造は人為的な火源が主ですが、世界的に見ると、地球温暖化は山火事の発生メカニズムを根本から変えようとしています。温暖化によって引き起こされる異常な高温や長期的な乾燥期間は、日本においても将来的なリスクを劇的に高める可能性があります。
#### 温暖化による燃料の着火性向上と自然発火リスク
温暖化によって気温が上昇し、乾燥期間が長期化すれば、落ち葉や泥炭の含水率が極限まで低下します。これにより、微生物の分解熱や化学的酸化反応による内部熱の蓄積が促進され、外部からの火源がなくても自然発火する頻度が顕著に増加することが懸念されます。
これは、山火事の原因構造が「人為的なローカルな問題」から「気候変動によって制御不能なグローバルな問題」へと変質する可能性を示唆しており、私たちは既存の人為的な火源対策に加え、この自然発火リスク増大への備えも考える必要がありますね。温暖化は、既存の人為的な火源が発生した際にも、燃料がより乾燥しているため、大規模火災へ移行するリスクを同時に高めることになります。
防災士が解説!山火事なぜ起こるのか?複合原因と予防策まとめ

この記事では、山火事なぜ起こるのかについて、その発生メカニズムと大規模化の要因を複合的な視点から解説しました。山火事は、単一の原因で起こるのではなく、複数の要因が悪い形で重なり合うことによって、制御不能な複合災害へと発展します。
山火事発生・拡大の3層構造(複合的要因)
- 火源層(主因):たき火の不始末や放火など、日本の火災のほとんどは人為的なミスが引き金。
- 条件層(加速器):乾燥、強風、フェーン現象といった気象条件が火を育て、延焼を加速させる。
- 燃料層(規模決定要因):里山管理の衰退による落ち葉・枯れ木の堆積(燃料負荷)が、火災を制御不能な樹冠火へと移行させる。
私たちにできる最も重要な山火事の予防策は、統計で圧倒的に多い人為的な火源を徹底的に管理することです。キャンプや野外でのたき火、たばこの吸い殻、火入れなど、火の取り扱いには「完全に消したか」を何度も確認し、強風時の火気使用は控えるようにしましょう。
もし、山火事が発生した場合の避難や準備についてより詳しく知りたい方は、防災リュックの中身に関する記事も参考にしてみてください。万が一の事態に備えて、初期の行動計画を立てておくことが大切です。

また、もし山火事を目撃したり、不審な火気の使用を見かけたりした場合は、すぐに119番通報してください。山火事予防は、防災士だけでなく、私たち地域住民一人ひとりの意識にかかっています。最終的な判断は専門家にご相談ください。
