砂漠がなぜできる?原因を簡単にわかりやすく

中学生が砂漠がなぜできるか勉強している様子

砂漠がなぜできる?原因を簡単にわかりやすく

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

「砂漠って、どうしてできるんだろう?」「砂漠がなぜできるのか、その原因を簡単に知りたい」と思って、今これを読んでくれているのかもしれませんね。

学校の授業で習ったかもしれないけれど、地球上には広大な砂漠が広がっています。テレビで見ると広大で、なんだかロマンを感じるかもしれませんが、実は「砂漠化」という言葉があるように、私たちの生活にも関係する問題でもあるんです。

砂漠ができる場所には特定の気候条件が関係していて、例えば「中緯度高圧帯」なんかが大きな要因だったりします。でも、それだけじゃなく、最近では人間の活動が原因で砂漠化が進んでいる地域もあって、その影響や対策も気になるところですよね。黄砂の問題なんかも、実は無関係ではありません。

この記事では、砂漠がなぜできるのか、その主な原因を中学生にも分かりやすく、簡単に解説していきます。日本との関係なんかも少し触れてみますね。

  • 砂漠ができる主な自然の原因(気候など)
  • 世界に砂漠が多い場所とその理由
  • 「砂漠化」と人間の活動の関係
  • 砂漠化による影響と私たちにできる対策
目次

砂漠がなぜできるか、その原因を簡単に解説

砂漠がなぜできるかを地球全体で説明するイメージ|大気循環と乾燥地帯の関係
【HIH】ヒカリネット・イメージ

まずは、地球上に「砂漠」が自然にできてしまう、その主な原因を見ていきましょう。砂漠と聞くと「暑い場所」というイメージが強いかもしれませんが、実は南極や北極のような「寒い砂漠」もあるんですよ。

砂漠とは?その種類と気候の特徴

砂漠の種類と特徴を表すイメージ|熱帯砂漠と寒冷砂漠の比較
【HIH】ヒカリネット・イメージ

まず「砂漠」の定義ですが、これは単純に「砂だらけの場所」という意味じゃないんですね。

一番のポイントは「雨が極端に少ないこと」です。国際的な定義はいろいろありますが、一般的には年間の降水量が250mm以下の地域や、降水量よりも蒸発する水分の方が多い(つまり、どんどん乾いていってしまう)地域を「砂漠」と呼ぶことが多いです。

だから、南極や北極も、上空は乾燥していて雨(雪)がすごく少ないので「氷雪砂漠(寒冷砂漠)」なんて呼ばれたりします。ちょっと意外ですよね。

気候や場所によって、砂漠にはいくつか種類があります。

【主な砂漠の種類】

種類主な場所特徴具体例
熱帯砂漠緯度20~30度付近いわゆる「暑い砂漠」。寒暖差が激しい。サハラ砂漠、アラビア砂漠
温帯砂漠中緯度の大陸内部夏は暑いが冬はかなり寒くなる。ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠
寒冷砂漠高緯度地域気温が低く、降水(雪)量が少ない。南極大陸、グリーンランド内陸部
海岸砂漠大陸の西側・寒流沿い霧は発生するが雨は降らない。アタカマ砂漠(チリ)

砂漠の気候で一番特徴的なのは、とにかく乾燥していることと、昼と夜の寒暖差(日較差)がものすごく激しいことです。

これは、空気中に水分(水蒸気)が少ないため。水分は熱を蓄える「毛布」のような役割をしますが、それがないので、日中は太陽の熱で地面がガンガン熱せられ、夜は熱が宇宙にどんどん逃げて(放射冷却)、気温が急降下します。日中は50℃近くなるのに、夜は氷点下になる、なんて場所も珍しくありません。

砂漠ができる場所はどこが多い?

砂漠ができやすい中緯度地帯を示す地球イメージ|世界の砂漠分布
【HIH】ヒカリネット・イメージ

砂漠は、地球上のどこにでもできるわけじゃなくて、できやすい場所が決まっています。

世界地図で砂漠の分布を見ると、ある共通点に気づくかもしれません。 一番多いのは、北緯・南緯ともに20度~30度くらいの「中緯度」と呼ばれる地域です。アフリカのサハラ砂漠やオーストラリアの砂漠など、世界の大砂漠の多くがこのエリアに集中しています。

それ以外だと、

  • 大陸のど真ん中(海から遠い場所)
  • 大きな山脈のふもと(風下側)

といった場所にも砂漠はできやすいんです。これには、次のセクションで説明する「地球規模の空気の流れ」や「地形」が、ちゃんと理由として関係しているんですよ。

雨が降らない「中緯度高圧帯」とは

中緯度高圧帯のしくみを表すイメージ|下降気流で雲ができない地域
【HIH】ヒカリネット・イメージ

砂漠ができる一番大きな原因が、この「中緯度高圧帯(ちゅういどこうあつたい)」(別名:亜熱帯高圧帯)の存在です。

ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、これは地球の「大気の大きな流れ(大気大循環)」が関係しています。「ハドレー循環」と呼ばれる、赤道と中緯度地域との間の空気のループ運動がカギなんです。

【中緯度高圧帯で雨が降らない理由(簡単ステップ)】

  1. 赤道付近:太陽に強く熱せられた空気は軽くなり、上昇します(上昇気流)。
  2. 雲の発生:上昇した空気は冷えて、たくさんの雲を作り、激しい雨(スコール)を降らせます。熱帯雨林が多いのはこのためです。
  3. 上空を移動:雨を降らせてすっかり乾燥した空気は、上空を北や南に移動していきます。
  4. 中緯度で下降:緯度20~30度あたりで、その乾いた空気が重くなって地上に向かって下降してきます。(これが下降気流
  5. 高気圧の発生:空気が上から押さえつけられる場所(下降気流)は「高気圧」になります。高気圧に覆われると、雲ができにくく、晴天が続きます。

この「常に乾燥した空気が下降してきて、高気圧に覆われているため、年間を通して雨がまったく降らない地域」が、中緯度高圧帯です。

世界最大のサハラ砂漠や、オーストラリア大陸の大部分を占める砂漠は、まさにこの影響でできています。砂漠は「作られる」べくして、その場所にできているんですね。

大陸の内部や山のふもとにできる訳

山脈の雨影で乾燥する地域のイメージ|風上と風下の気候差
【HIH】ヒカリネット・イメージ

中緯度高圧帯以外にも、砂漠ができる原因があります。大きく分けて2つ、「海からの距離」と「山の存在」です。

大陸内部にできる砂漠(隔海度)

一つは、海からすごく遠い「大陸の内部」であること。専門用語では「隔海度(かくかいど)が大きい」なんて言ったりします。

雨のもとになる水蒸気は、主に海の水が蒸発してできます。その湿った空気は風に乗って陸地に運ばれますが、海から遠ければ遠いほど、途中で雨や雪として降ってしまい、大陸のど真ん中に着くころにはすっかり乾燥してしまうんです。

中国のタクラマカン砂漠や、モンゴルから中国にかけて広がるゴビ砂漠など、中央アジアの砂漠の多くがこのタイプにあたります。

山脈のふもとにできる砂漠(雨影砂漠)

もう一つは、「高い山脈のふもと」です。これは「雨影(あめかげ)」効果と呼ばれます。

海からの湿った空気は、アンデス山脈やロッキー山脈のような高い山にぶつかると、強制的に上昇させられます。すると空気は冷えて雲を作り、山の斜面(風上側)にたくさんの雨や雪を降らせます。

そして、山を越えた空気はすっかり乾燥したものになり、山の反対側(風下側)では乾いた風が吹き下ろします(フェーン現象に近いですね)。このため、風下側は極端に雨が降らない「雨影」となり、砂漠ができてしまうんです。

南米アルゼンチンのパタゴニア砂漠(アンデス山脈の東側)などが、この代表例ですね。

世界の有名な砂漠と日本の砂丘

世界の砂漠と鳥取砂丘の違いを表すイメージ|砂漠と砂丘の比較
【HIH】ヒカリネット・イメージ

世界には、ここまで説明してきた原因でできた有名な砂漠がたくさんあります。

  • サハラ砂漠(アフリカ):世界最大の熱帯砂漠。中緯度高圧帯の影響。
  • ゴビ砂漠(アジア):モンゴルから中国。大陸内部にある温帯砂漠。
  • グレートビクトリア砂漠(オーストラリア):大陸の大部分が中緯度高圧帯。
  • アタカマ砂漠(南米チリ):海岸砂漠。寒流(ペルー海流)の影響で大気が冷やされ、上昇気流が起きにくく雨が降らない。

ところで、日本にも「鳥取砂丘」がありますけど、あれは砂漠なんでしょうか?

【豆知識】鳥取砂丘は「砂漠」じゃない?

結論から言うと、鳥取砂丘は「砂漠」ではありません。

砂漠の定義は「雨が極端に少ないこと」でしたよね。鳥取(山陰地方)は、「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい、むしろ雨や雪が多い地域です。

鳥取砂丘は、近くを流れる千代川(せんだいがわ)が中国山地から運んできた砂が海に流れ出し、それが沿岸の波と、冬の日本海の強い北西の風によって内陸に吹き上げられて、一か所に集められてできた「砂丘(さきゅう)」なんです。

自然の力でできた地形ですが、雨が多いので、放っておくとどんどん草が生えてきてしまいます。あの美しい砂丘の風景は、実は地元の人々の除草活動によって守られている部分もあるんですよ。

「砂漠化」がなぜできるか、その原因も簡単に知ろう

砂漠化が進行するイメージ|草原が乾燥して砂地になる過程
【HIH】ヒカリネット・イメージ

ここまで説明してきたのは、主に「自然現象として、なぜそこに砂漠があるのか」という原因でした。地球の気候システムの中で、必然的に生まれる地形というわけですね。

でも、最近もっと深刻な問題になっているのが「砂漠化(さばくか)」です。 これは、もともと砂漠じゃなかった土地(畑や草原、森林など)が、だんだん砂漠のように荒れてしまい、植物が育たなくなってしまう現象のこと。この「砂漠化」がなぜできるのか、その原因は、私たち人間にも大いに関係があるんです。

砂漠化の主な原因は人間の活動?

人間の活動による砂漠化のイメージ|過放牧や耕作の影響
【HIH】ヒカリネット・イメージ

自然の砂漠と違って、「砂漠化」の大きな原因は、その土地の許容量(環境収容力)を超えた人間の活動にあると言われています。これらを「人為的要因」と呼びます。

主な原因は以下の3つです。

  1. 過放牧(かほうぼく) その土地の草が生える力以上に、家畜(牛やヤギ、羊など)をたくさん飼いすぎてしまうこと。特にヤギなどは草の根っこまで食べてしまうため、一度食べられると植物が再生できなくなります。草がなくなると、土がむき出しになって太陽にさらされ、カチカチに乾燥してしまいます。
  2. 過耕作(かこうさく) 土地を休ませる期間(休閑期)をとらずに、農作物を無理やり作り続けること。土地の栄養(地力)がなくなり、作物が育たない荒れた土地になってしまいます。また、水をまきすぎた結果、土の中の塩分が地表に上がってきて作物が育たなくなる「塩類集積」も深刻な問題です。
  3. 森林伐採(しんりんばっさい) 生活の燃料(まきや炭)にするためや、農地・放牧地を広げるために、木を必要以上に切りすぎること。木がなくなると、木の根が土を支えられなくなり、雨や風で土地の表面にある栄養豊かな土が流されて(侵食され)、岩だらけの荒れ地になってしまいます。

【貧困との悪循環】

こうした活動は、その地域の人々が「目先の利益のために自然を破壊しよう」と思ってやっているわけではないケースがほとんどです。背景には、人口の急増や貧困といった、もっと複雑な社会問題があります。

生活していくために、今日食べるために、やむを得ず土地に負担をかけすぎてしまい、その結果ますます土地が荒れて生活が苦しくなる…という悪循環に陥っていることが多いんです。

砂漠化と気候変動の深刻な関係

気候変動と砂漠化の関係を示すイメージ|乾いた地球と熱波
【HIH】ヒカリネット・イメージ

人間の活動が原因なのは、もう一つあります。それが「気候変動(地球温暖化)」です。

地球全体の気温が上がると、大気の動きが変わり、これまで雨が降っていた場所で降らなくなったり、逆に降るときは短時間に集中したり、あるいは「干ばつ」が起きる頻度や強さが増したりします。

もともと乾燥気味でギリギリのバランスで成り立っていた土地(半乾燥地域など)は、こうした気候変動の影響を真っ先に受けてしまいます。少しの干ばつでも、一気に乾燥が進んで砂漠化しやすくなってしまうんです。

さらに、砂漠化して植物がなくなると、空気中の二酸化炭素(温暖化の原因)を吸収してくれるものが減るので、さらに温暖化が進むという悪循環にもなってしまいます。これは本当に深刻な問題ですね。

【防災士から見ても他人事ではない】

気候変動は、砂漠化だけでなく、台風の巨大化や豪雨の増加など、福島県に住む私たちの防災にも直結する問題です。

遠い国の砂漠化の問題も、私たちが直面している台風や豪雨の問題も、根本では「気候変動」という同じ原因につながっているかもしれないんですね。

砂漠化による問題点(黄砂など)

黄砂が飛来する日本の街並みイメージ|砂漠化の影響を示す風景
【HIH】ヒカリネット・イメージ

砂漠化が進むと、その土地だけでなく、地球規模でいろいろな問題が起きます。

  • 食糧不足:作物が育たなくなり、家畜も飼えなくなり、世界的な食糧不足(食糧危機)につながります。
  • 水不足:雨が減り、井戸水なども枯れてしまい、安全な飲み水の確保が難しくなります。
  • 貧困と紛争:農業や牧畜で生計を立てていた人々が土地を追われ、「環境難民」となったり、残されたわずかな水や土地をめぐって紛争が起きたりする原因にもなります。
  • 黄砂(こうさ):砂漠化でむき出しになった土や砂(細かい鉱物粒子)が、強い風で上空高くに巻き上げられ、遠くまで飛ばされる現象です。

防災士の視点から特に気になるのが、この「黄砂」ですね。 春になると、福島でも空が黄色っぽくかすんだり、車やベランダの洗濯物がザラザラになったりすることがあると思います。あれは、まさにゴビ砂漠など、砂漠化が進んだ地域から偏西風に乗って飛んできている砂なんです。

黄砂は、ただ空が汚れるだけでなく、健康への影響(アレルギーや呼吸器系の疾患など)も心配されています。(出典:環境省 黄砂ポータルサイト) 遠い場所の砂漠化が、こうして私たちの生活にも直接影響を与えている証拠なんですね。

私たちにできる砂漠化の対策

砂漠化防止のためにできる行動を表すイメージ|植林や省エネ活動
【HIH】ヒカリネット・イメージ

「じゃあ、私たちに何ができるの?」と思いますよね。すごく大きな問題なので、自分にできることはないように感じてしまうかもしれませんが、小さなことでもできることはあります。

一番は、砂漠化の大きな引き金の一つである「気候変動」の対策に協力することです。

  • 電気や水を大切に使う(省エネ、節水) 使わない部屋の電気は消す、エアコンの設定温度を見直す、シャワーを出しっぱなしにしないなど、日々の小さな心がけが大きな力になります。
  • 無駄なゴミを減らす(リデュース・リユース・リサイクル) マイバッグやマイボトルを持ち歩く、ゴミの分別をしっかりするなど、ゴミを燃やす際に出るCO2を減らす努力ですね。
  • 食べ残しをしない(フードロス削減) 食べ物を生産し、運び、捨てるのにも多くのエネルギーが使われています。食べ残しをしないことも立派な温暖化対策です。

こうした地球温暖化を防ぐ行動が、めぐりめぐって砂漠化のスピードを緩めることにもつながります。

また、砂漠化の防止に取り組むNPOやNGOに寄付をしたり、植林活動に参加したりするのも、直接的な支援になります。あるいは、その地域の産品を適正な価格で購入する「フェアトレード商品」を選ぶことも、現地の人の生活を支え、持続可能な土地利用につながるかもしれませんね。

砂漠がなぜできるか、その原因を簡単に総まとめ

砂漠ができる原因のまとめイメージ|地球の気候循環と乾燥地帯の関係
【HIH】ヒカリネット・イメージ

今回は、「砂漠がなぜできるか、その原因を簡単に」というテーマでお話ししてきました。

ポイントをまとめると、

  1. 自然にできる砂漠は、「中緯度高圧帯」のように地球の大気の流れ(下降気流)が主な原因で、雨が降らないためにできています。大陸内部や山の風下にもできます。
  2. 「砂漠化」は、もともと砂漠でなかった土地が荒れてしまう現象で、過放牧や森林伐採といった人間の活動や、気候変動が原因で引き起こされています。

ということですね。

遠い国のことのように感じる砂漠や砂漠化の問題ですが、黄砂や気候変動を通じて、私たちの生活とも深く、そして密接につながっています。まずは「知ること」、そして「自分にできる小さなことから行動してみること」が、未来を変える第一歩になるかなと私は思います。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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