月について小学生向けに解説!ふしぎガイド

小学生が月について学んでいるところ

月について小学生向けに解説!ふしぎガイド

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

夜空を見上げると、いつもそこにいる月。でも、「月はなぜ光るの?」とか、「月の模様はうさぎに見えるけど、あれって何?」、「月の満ち欠けはどうして起こるの?」って、ふしぎに思ったことはありませんか?

私も子どものころ、月の裏側はなぜ見えないんだろうとか、月の大きさや、月のでき方まで、たくさんの「なぜ?」を持っていました。この記事は、そんな月についての疑問を、小学生向けにわかりやすく解説するページです。

防災とは少しちがうテーマかもしれませんが、空を見上げて「なぜ?」と考えることは、私たちが住む地球という星のすごさや、自然の仕組みを知る大切な第一歩かなと思います。一緒に月のひみつを見ていきましょう!

  • 月が自分で光っていない本当の理由
  • 月の「うさぎ」もようの正体
  • 月の形が変わって見える「満ち欠け」の仕組み
  • 日食や月食が起こる特別な条件
HIHそなぷー 月の不思議
目次

月について学ぶ、小学生向けふしぎ教室

夜空を見上げて月を観察する小学生の様子|月について学ぶイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

まずは、みんなが一番ふしぎに思っているかもしれない「なぜ?」から解決していきましょう。月がどうして光って見えたり、形が変わったりするのか。その基本的なひみつを、じっくりと解き明かしていきます。一緒に「どうしてそうなるんだろう?」と考えてみてくださいね。

月はなぜ光るの?太陽の光がカギ

太陽光が反射して月が光る仕組みを表した実写風イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

夜空でいちばん明るくかがやいている月。でも、この記事の一番大切なポイントですが、じつは月は自分自身で光っているわけではないんです。これ、ちょっとビックリしますよね。

夜空で光る星には、大きく分けて2種類あります。

  • 恒星(こうせい): 太陽のように、自分自身がものすごいエネルギーで燃えて、まぶしい光をはなつ星。
  • 惑星(わくせい)や衛星(えいせい): 地球や月のように、恒星(太陽)のまわりを回っていて、自分では光らない星。

月は、地球のまわりを回る「衛星」というグループなので、自分では光ることができません。夜空で見える金星(きんせい)や火星(かせい)といった「惑星」も同じで、自分で光っているわけではないんですね。

じゃあ、どうしてあんなに明るいのかというと、答えは「太陽の光を反射(はんしゃ)しているから」なんです。

月は、宇宙にうかぶ大きな「かがみ」や「レフ板(はんしゃ板)」のようなもの。太陽から届いた強い光を上手にキャッチして、それを地球に向かってはね返しているんです。私たちが「月明かり」として見ているのは、じつは太陽の光だったんですね。

【豆知識】地球明かり(ちきゅうあかり)

三日月のような細い月を見たとき、光っている細い部分だけでなく、本当は光っていないはずの「暗い部分」が、うっすらと、ぼんやりと見えることはありませんか?

これは「地球照(ちきゅうしょう)」や「地球明かり(ちきゅうあかり)」とよばれる現象です。

私たちが地球から「月明かり」に照らされるのと同じように、月の上に立つと、今度は「地球明かり」に照らされるんです。地球も月と同じように、太陽の光を反射して宇宙でかがやいています。

とくに新月や三日月のころ、月から見上げた地球は、まん丸に近い「満地球(まんちきゅう)」に見えます。地球は月よりもずっと大きくて、光をはね返す力も強い(雲が多いため)ので、月の夜をとても明るく照らすんですよ。

月の模様、うさぎの正体はなに?

月の表面の明るさの違いが模様に見える様子|月のうさぎの由来イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

満月をよーく見つめると、なんだか模様がありますよね。日本では昔から「うさぎがモチつきをしている」姿に見立てられてきました。みなさんにも、うさぎの形、見えますか?

この「うさぎ」の正体、それは水や草ではなく、「地形(ちけい)のちがい」なんです。月の表面にある「明るい部分」と「暗い部分」が、うまいぐあいに組み合わさって、うさぎの形を作っているんですね。

暗い部分:「海(うみ)」

うさぎの体や顔に見える黒っぽい部分は、昔の人が「あそこは水で満たされた海にちがいない」と考えたことから、「海(うみ)」とよばれています。「晴れの海」や「雨の海」、「静かの海」なんてステキな名前がついていますが、もちろん本当に水があるわけではありません。

この「海」の正体は、「玄武岩(げんぶがん)」という黒っぽい色の岩石でできた、とっても広くて平ら(たいら)な土地(平野)です。

これは、月がまだ若かった大昔、巨大なクレーター(いん石がぶつかった大きなくぼみ)に、月の内部からあふれ出たドロドロの溶岩(ようがん)が流れこみ、そのまま冷えて固まってできた地形なんです。地球でいうと、ハワイの火山で流れる溶岩と似たような成分だそうですよ。

明るい部分:「高地(こうち)」

月のもようの、白っぽく明るく見える部分は、「高地(こうち)」または「陸(りく)」とよばれる地形です。こちらは「斜長岩(しゃちょうがん)」という、比較的白っぽい岩石でできています。

「海」が平らなのにくらべて、「高地」はたくさんのクレーターや山脈(さんみゃく)でボコボコしています。

なぜこんなにちがうのかというと、それは「できた順番」が関係しています。

  1. まず月ができたばかりのころ、たくさんのいん石がぶつかって、月全体がボコボコになりました(これが「高地」のもと)。
  2. その「あと」で、月の内部から溶岩があふれ出し、とくに大きないくつかのクレーター(くぼみ)を「塗りつぶし」ました。
  3. こうして、あとから塗りつぶされた部分が「海」になり、塗りつぶされなかった部分が「高地」として残ったのです。

だから、あとからできた「海」の表面は比較的ツルツル(クレーターが少ない)で、昔のままの「高地」はボコボコ(クレーターが多い)なんですね。月の「うさぎ」の模様は、月の表面に書かれた「歴史書」のようなものなんです。

【豆知識】世界ではどう見える?

日本では「うさぎ」ですが、世界に目を向けると、見え方がぜんぜんちがいます。国や地域の文化によって、同じ模様からちがうものを想像(そうぞう)しているのがおもしろいですね。

地域(ちいき)見えるもの
日本もちをつくウサギ
中国ウサギ、ガマガエル
アラビア半島ほえているライオン
南ヨーロッパカニ
北ヨーロッパ本を読むおばあさん
ドイツまき(たきぎ)をかつぐ人
北アメリカ女性(じょせい)の横顔
南アメリカロバ

これほど見え方がちがうのは、文化のちがいだけでなく、もう一つ理由があります。それは、「月を見る角度(かくど)がちがうから」です。

ためしに、月が東の空にのぼってきたばかりの時と、真夜中に空高くのぼった時で、うさぎの傾きをくらべてみてください。傾きが変わって見えるはずです。

これと同じように、日本(北半球)から見る月と、たとえば南半球(みなみはんきゅう)のオーストラリアから見る月は、うさぎの模様が上下さかさまに近くなります。地球が丸い証拠(しょうこ)でもありますね。

月の満ち欠け、その理由を解説

新月から満月までの月の満ち欠けが連続でわかる実写風イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

月は、毎晩のように形を変えて見えます。まったく見えない「新月(しんげつ)」から、細い「三日月(みかづき)」、半分の「上弦の月(じょうげんのつき)」、そしてまん丸な「満月(まんげつ)」。満月をすぎると、今度はだんだん細くなり、逆側が半分の「下弦の月(かげんのつき)」をへて、また新月にもどります。

この「月の満ち欠け(みちかけ)」、もちろん月がゴムボールみたいに「しぼんだり、ふくらんだり」しているわけではありません。月はいつでも、ボールのようにまん丸い形(球:きゅう)をしています。

では、なぜ形が変わって見えるのでしょうか?

その理由は、「月が地球のまわりを回っている(公転している)から」です。

これを理解するには、2つのポイントが大切です。

  1. 月は自分で光っておらず、太陽の光を反射(はんしゃ)している。
  2. 月にも太陽の光が当たっている「昼」の部分と、当たっていない「夜」の部分が、いつでも半分ずつある。

月が地球のまわりをグルグルと回る(公転する)につれて、太陽、月、地球の3つの「位置関係(いちかんけい)」が変わっていきます。地球から見る「角度(かくど)」が変わっていく、と言ってもいいですね。

そのため、太陽の光が当たっている月の「昼」の部分が、地球からどれくらいの広さ(ひろさ)で見えるかが、日によって変わっていくんです。

  • 新月(しんげつ)
    位置:太陽 → 月 → 地球 の順番にならんだ時。
    見え方:月の「夜」の部分を、まっすぐ正面から見ているすがた。太陽の光が当たっている「昼」の部分は、裏側に行ってしまっているため、地球からは見ることができません。
  • 満月(まんげつ)
    位置:太陽 → 地球 → 月 の順番にならんだ時。
    見え方:月の「昼」の部分を、まっすぐ正面から見ているすがた。太陽の光を全身に浴びて、まん丸にかがやいて見えます。
  • 三日月や半月
    位置:上の2つの、中間の位置にいる時。
    見え方:月の「昼」の部分を、ななめ横から見ているすがた。だから、光っている部分が細く見えたり、半分に見えたりするんですね。

私たちが「欠けている」と思っている暗い部分は、何かの「かげ」にかくされているのではなく、月の「夜」の部分を、そのまま見ていたというわけなんです。

【豆知識】月の名前と見える時間

月の「形」と、その月が「見える時間・方角(ほうがく)」には、決まった関係(かんけい)があります。これを知っていると、月の動きがもっとよくわかりますよ。

月の名前位置関係(上から見た図)見える時間・方角
新月(しんげつ)太陽と同じ方向昼間、太陽とほぼ同じ動き。(見えない)
三日月(みかづき)新月のすぐあと夕方、太陽がしずんだあとの西の空に、すぐしずむ。
上弦の月(じょうげん)太陽から90度東(右半分が光る)お昼ごろ東からのぼり、夕方に南の空高く、真夜中に西にしずむ。
満月(まんげつ)太陽と反対側夕方、太陽がしずむころ東からのぼり、真夜中に南の空、朝方西にしずむ。
下弦の月(かげん)太陽から90度西(左半分が光る)真夜中に東からのぼり、朝方に南の空高く、お昼ごろ西にしずむ。

この表からわかるように、「月は夜にしか見えない」というのは、かんちがいです。「上弦の月」は夕方の明るい空に、「下弦の月」は朝や昼の青空に見えています。ほぼ一晩中見えるのは、太陽と反対の動きをする「満月」だけなんですね。

地球との関係は?いつも同じ顔のひみつ

月が地球に同じ面を向け続ける仕組みを楽しそうに学ぶ親子のイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

月の「うさぎ」の模様。満月のときも、三日月のときも、いつでも同じ模様が見えますよね。どんなに細く欠けていても、うさぎの模様の一部が見えています。ふしぎに思ったことはありませんか?

これは、月がいつも「同じ顔(おもて側)」を地球に向けているからです。私たちは、月の「裏側」を地球から見ることは、けっしてできないんです。

「え、月も地球みたいに回っている(自転している)んじゃないの?」と思いますよね。その通り、月もコマのように自分で回っています(自転)。

では、なぜ裏側が見えないのか。そのひみつは、月の「2つの動き」のスピードにあります。

  • 公転(こうてん): 月が地球のまわりを1周する動き
  • 自転(じてん): 月が自分自身で1回転する動き

じつは月は、この「公転」にかかる時間と、「自転」にかかる時間が、まったく同じ「約27.3日」なんです。

「地球のまわりを1周(公転)するあいだ」に、自分自身も「ちょうど1回転(自転)」する。この2つのスピードがピッタリと合っている(これを「同期(どうき)している」と言います)ため、月はいつも同じ顔を地球に向けつづけているんですね。

【実験してみよう!】

お父さんやお母さん、おうちの人に「地球」になってもらい、その場に立ってもらいます。あなたが「月」になって、そのまわりを1周(公転)してみましょう。

  1. 実験1:月と同じ動き
    あなた(月)の顔(おなか)を、かならず地球役の人に向けたまま、地球役の人のまわりを1周してみてください。
    → 1周しおわったとき、あなた自身も「1回転(自転)」していることに気づくはずです。これが月の動きです。
  2. 実験2:もし自転しなかったら?
    今度は、あなた(月)の顔を、地球役の人に向けず、ずっと「同じ方向」を向いたまま、地球役の人のまわりを1周してみてください。
    → これだと、地球役の人は、あなたの「顔(おもて側)」も「背中(うらがわ)」も見ることができますよね。

この実験から、月が「自転」と「公転」を同じスピードで行っているからこそ、いつも同じ顔を地球に向けていることがわかりますね。

ちなみに、なぜこんなふうにスピードがピッタリ合ったのかというと、地球が月を引っぱる力(潮汐力:ちょうせきりょく)が、とてつもなく長い時間をかけて、月の自転にブレーキをかけ、今の状態(潮汐ロック)にしたと考えられています。

月の裏側は、なぜ見えないの?

月の裏側の様子を抽象的に表した実写風イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

前の見出しで説明したとおり、月の「自転」と「公転」のスピードがピッタリ同じ「同期(どうき)」という状態になっているため、私たちは地球から月の裏側(うらがわ)を直接(ちょくせつ)見ることはできません。

じゃあ、見えない月の裏側は、いったいどうなっているんでしょうか?

「裏側は、ずっと太陽が当たらないから真っ暗で寒い」と思っている人もいるかもしれませんが、それはかんちがいです。

月の裏側にも、おもて側と同じように太陽の光が当たります。月の「1日」は約29.5日なので、裏側にも「約15日間の昼」と「約15日間の夜」がちゃんとあるんですよ。私たちが「新月」とよんでいる時は、太陽の光が月の裏側をまっすぐ照らしている(裏側が「満裏」の状態?)時なんですね。

昔はだれも見たことがありませんでしたが、1959年にソ連の「ルナ3号」という探査機(たんさき)が初めて裏側の写真を撮ってきてくれました。今では、日本の「かぐや」やアメリカの探査機など、たくさんの宇宙探査機が裏側をくわしく調べてくれています。

そしてわかったことは、月の裏側は、私たちがいつも見ている「おもて側」と、ぜんぜんちがう顔をしているということでした。

【月の裏側のとくちょう】

  • 「海」がほとんどない: おもて側にたくさんある、黒っぽくて平らな「海」(溶岩が固まった場所)が、裏側にはごくわずかしかありません。
  • 「高地」だらけ: 表面のほとんどが、白っぽくてボコボコした「高地」でおおわれています。
  • クレーターがものすごく多い: おもて側とくらべて、大小たくさんのクレーター(くぼみ)で埋めつくされています。

なぜ、おもて側と裏側でこんなにちがうのか、そのはっきりとした理由は、まだ研究が続けられています。「裏側のほうが、おもて側よりも地面(地殻:ちかく)がぶ厚かったから、溶岩があふれ出しにくかったのではないか」などの説がありますが、月のふしぎは、まだまだたくさん残されているんですね。

もっと知りたい月について!小学生向けQ&A

月について調べる子どもの手元と望遠鏡のイメージ|もっと知りたい月
【HIH】ヒカリネット・イメージ

月の基本的なふしぎがわかったところで、次はもう一歩ふみこんだQ&Aコーナーです。日食や月食といった特別なイベントや、月の大きさ、温度など、月の「すごい」ところ、そして「きびしい」ところを見ていきましょう!知れば知るほど、月がもっとおもしろくなりますよ。

日食と月食はどうして起こる?

皆既月食と部分日食の違いを表した実写風イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

月と太陽、そして地球が、宇宙空間で特別な「ならび方」をしたときにだけ見られる、すごい天文ショーが「日食(にっしょく)」と「月食(げっしょく)」です。

「あれ? 新月のときは『太陽 – 月 – 地球』、満月のときは『太陽 – 地球 – 月』って一直線にならぶんじゃないの? なんで毎月、日食や月食が起きないの?」

いいところに気がつきましたね。じつは、月が地球のまわりを回る道(軌道:きどう)は、地球が太陽のまわりを回る道に対して、すこし「傾(かたむ)いて」いるんです。そのため、新月や満月のときでも、たいていは地球や月の「影(かげ)」から、すこしだけ「上」や「下」にズレてしまうんですね。

日食や月食は、その傾きがちょうどピッタリ合わさって、3つの星が本当に「一直線」にならんだときにだけ起こる、めずらしい現象(げんしょう)なんです。

月食(げっしょく)とは?

月食は、月が地球の「影(かげ)」の中に入ってしまう現象です。

ならび順は「太陽 — 地球 — 月」(満月のとき)。この順番で一直線にならんだとき、太陽の光が地球にさえぎられ、そのうしろにできる「地球の影」の中に、月が飛びこんでいきます。すると、月に当たる太陽の光がなくなり、月が欠けて見えたり、見えなくなったりします。

月食は、その時間に月が出ている場所(つまり、地球の夜側)であれば、広いエリアで同時に見ることができるのがとくちょうです。

【ふしぎ】皆既月食はなぜ「赤く」なる?

月が完全に地球の影(本影:ほんえい)に入ってしまうことを「皆既月食(かいきげっしょく)」といいます。このとき、月は真っ暗になって見えなくなるのではなく、ふつう、「赤黒い」色や「赤かっ色」に見えます。

これは、地球に「大気(たいき)」があるおかげです。太陽の光が地球の大気をかすめるように通りぬけるとき、光のうち「青い光」は空気のつぶによって散らばってしまいます(散乱)。

しかし、「赤い光」は散乱されにくく、大気を通りぬけることができます。そして、大気を通りぬけた赤い光はわずかに「屈折(くっせつ)」し、この曲げられた赤い光が、地球の影の内側にいる月を、ぼんやりと照らすのです。

つまり、皆既月食のときに月を照らしている赤い光は、その瞬間に「地球のフチ」で起こっている、世界中の「朝日」と「夕日」の光なんですよ。

日食(にっしょく)とは?

日食は、月が太陽を「かくして」しまう現象です。

ならび順は「太陽 — 月 — 地球」(新月のとき)。月が太陽と地球の間に入りこみ、太陽をかくします。このとき、月の「影(かげ)」が地球の表面に落ちます。月の影は、地球にくらべてとても小さいため、地球上でも、その影が通る「ごく一部」の場所でしか見ることができません。

日食には、太陽が月によって完全にかくされる「皆既日食」と、月が太陽をかくしきれず、太陽が「金の指輪」のように見える「金環日食」があります。

このちがいが生まれる理由は、2つの「宇宙の奇跡」が関係しています。

  1. 奇跡その1:「400倍」という、ぐうぜん
    太陽は、月の直径の約400倍も大きい星です。しかし、地球から太陽までの距離も、地球から月までの距離の約400倍も遠いのです。「大きさ」と「距離」がどちらも400倍ちがうため、地球から見上げると、太陽と月は「見た目の大きさ」がほぼ同じに見えます。
  2. 奇跡その2:月は地球に「近づいたり」「遠ざかったり」している
    月の軌道は、少しつぶれた「だ円形」をしています。そのため、月は地球に「近いとき」(=月が大きく見える)と「遠いとき」(=月が小さく見える)があるのです。
  • 月が地球に近いときに日食がおこると、月は太陽を完全にかくすことができます。これが皆既日食です。
  • 月が地球から遠いときに日食がおこると、月は太陽をかくしきれず、まわりがはみ出してしまいます。これが金環日食です。

【防災士からのお願い:観察の注意(最重要)】

日食のときに、太陽を直接自分の目で見てはいけません! たとえ少し欠けているときでも、太陽の光はとても強く、目を痛めてしまい、最悪の場合、失明するおそれもあります。

  • 専用の「日食グラス」を正しく使う: 必ず太陽観察専用の道具を使ってください。
  • 日食グラスでも見つづけない: 専用のグラスを使っていても、太陽をじっと見つづけてはいけません。ときどき休けいを入れてください。
  • ぜったいダメな方法: 普通のサングラス、色のついた下じき、CD、すすをつけたガラスなどは、目に見えない有害な光を通してしまうため、絶対に使ってはいけません。
  • 望遠鏡や双眼鏡は絶対にダメ: 望遠鏡や双眼鏡で太陽を直接見ると、光が集められてさらに危険です。絶対にのぞかないでください。

安全な観察のしかたは、必ずおうちの人や学校の先生、または専門家の情報を確認してくださいね。(参考:国立天文台「太陽の安全な観察方法」

月の大きさはどれくらい?

地球と月の大きさの違いを身近な物で例えたイメージ|バスケットボールとテニスボール
【HIH】ヒカリネット・イメージ

月は、地球とくらべてどれくらいの大きさなんでしょうか? 数字で見てみると、月と地球の関係がよくわかります。

項目(こうもく)月のデータ地球とくらべると…例えるなら…
直径(ちょっけい)約3,475km地球の約1/4地球がバスケットボールなら、月はテニスボールくらい。
重さ(質量:しつりょう)地球の約1/81地球の約1/80地球とくらべると、月はとても「軽い」星だといえます。
重力(じゅうりょく)地球の約1/6地球の約1/6月の上で体重をはかったら1/6に。体重30kgの人ならたった5kg! 6倍も高くジャンプできます。
距離(きょり)平均 約38万km(近い時:約36万km / 遠い時:約41万km)新幹線(時速200kmと仮定)でノンストップでも、約80日かかります。

地球のような「惑星(わくせい)」と、そのまわりを回る「衛星(えいせい)」のペアでくらべたとき、月は、惑星(地球)の大きさに対して、ものすごく大きい、めずらしい衛星なんだそうです。

こんなに大きな月が地球のそばにいてくれるおかげで、地球の自転の軸が安定し、急にたおれたりしないようになっています。もし月がなかったら、地球の気候はもっとメチャクチャになっていて、私たちのような生き物は生まれていなかったかもしれない、と言われているんですよ。

月の温度は熱い?それとも寒い?

月の昼は高温で夜は極寒になる温度差を表したイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

もし宇宙服なしで月に立ったら、どうなってしまうんでしょうか。月の表面の温度は、私たちの想像をこえるほど、きびしい世界です。

  • 昼(太陽が当たっている場所)100°C 以上
  • 夜(太陽が当たらない場所)-170°C 以下

なぜ、地球とちがって、こんなに温度が変わってしまうのでしょうか? それには、2つの大きな理由があります。

理由1:月に「大気(たいき)」がほとんどないから

最大の理由は、月に「大気(たいき)=空気」がほとんどないからです。

地球には、空気のぶ厚い層である「大気」があります。この大気は、まるで「ふとん」のような役目をしてくれています。

  • 地球の昼: 強すぎる太陽の光をやわらげ、地球が熱くなりすぎるのを防ぎます。
  • 地球の夜: 地球の熱が宇宙に逃げてしまうのを防ぎ、冷えすぎるのを守ってくれます(保温)。

しかし、月にはこの「ふとん」(大気)がありません。そのため、昼は太陽の熱が直接地面をあたためて温度が上がり、夜は地面の熱が宇宙に逃げてしまうため、温度が下がりやすくなるのです。

理由2:月の「1日」がとても長いから

月の温度がこれほどきびしくなる理由は、もう一つあります。それは、月の「1日の長さ」です。

月の1日(太陽がのぼって、次にまた太陽がのぼってくるまでの時間)は、約29.5地球日。これは、月の満ち欠けのサイクルと同じです。

  • 昼: 約15日間(地球の2週間)つづく
  • 夜: 約15日間(地球の2週間)つづく

太陽がのぼると、そこから約15日間ずっと「昼」。そして太陽がしずむと、そこから約15日間ずっと「夜」。このため、昼は極端に熱く、夜は極端に寒くなるのです。

月のでき方をやさしく紹介

巨大衝突で月が誕生したとされるジャイアントインパクト説のイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

私たちがいつも見上げている月は、いったい「いつ」「どうやって」できたのでしょうか。その誕生のひみつにせまります。

月ができたのは、今からおよそ46億年前。地球や火星など、太陽系の星々が生まれたのと、ほぼ同じ時期に誕生しました。

月がどうやってできたのかについては、昔からいくつかの説がありました。

  • 兄弟説: 地球と月が、となりどうしで同時にできた。
  • 他人説: どこか別の場所でできた月が、地球の近くを通りかかったときに、地球の重力につかまった。
  • 親子説: ものすごいスピードで自転していた地球から、一部がちぎれて月になった。

しかし、アメリカのアポロ計画などで宇宙飛行士が月から持ち帰った「月の石」をくわしく調べた結果、これらの説では説明がつかないことがわかってきました。

そして今、もっとも有力だと考えられているのが「ジャイアント・インパクト説(巨大衝突説)」です。

【ジャイアント・インパクト説って?】

これは、月が「巨大な衝突=ジャイアント・インパクト」によって生まれた、という考え方です。そのストーリーは、次のようなものです。

  1. 今から約46億年前、まだ「大昔の地球(げんしちきゅう)」ができたばかりのころ。
  2. そのころの地球に、なんと火星くらいの大きさだったと考えられている星(テイア)が、ななめから衝突しました。
  3. この「大衝突」はすさまじく、ぶつかった星はこわれ、さらに大昔の地球の表面(マントル)の一部が、けずり取られて宇宙空間に飛び散りました。
  4. 飛び散った「地球のかけら」と「ぶつかった星のかけら」が、地球のまわりを回る「わっか」のようになりました。
  5. この「わっか」のかけらたちが重力で集まり、ぶつかって合体し、やがて一つの大きなかたまりになりました。

これが、「月」の誕生です。

アポロ計画で持ち帰った月の石の成分が、地球の表面(マントル)の岩石ととてもよく似ていたことが、この説を強くあとおししています。もしこの説が本当なら、月は、もともと地球の一部だったということになります。

月について、小学生向け知識のまとめ

家族で夜空の月を観察する様子|学んだことを振り返るイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

今回は、月について、小学生向けに、いろいろな「ふしぎ」や「ひみつ」を解説してきました。盛りだくさんでしたが、月のこと、どれくらいわかりましたか?

最後に、学んだことをおさらいしてみましょう。

  • 月は自分では光っておらず、太陽の光を反射してかがやいている。
  • 月の「うさぎ」の模様は、黒っぽい(溶岩が固まった平野)と、白っぽい高地(クレーターだらけの土地)という地形のちがい。
  • 月の満ち欠けは、月が地球のまわりを回ることで、太陽の光が当たっている「昼」の部分の見え方(角度)が変わるから。
  • 月がいつも同じ顔を向けているのは、公転と自転の周期が同じ(約27.3日)だから。
  • 日食と月食は、太陽・月・地球が「一直線」にならんだときにだけ起こる特別なイベント。
  • 月の温度は、大気がなくて、1日の昼夜がとても長いため、昼は約100°C以上、夜は約-170°C以下にもなる。
  • 月は、大昔の地球に巨大な星がぶつかって(ジャイアント・インパクト)、飛び散った地球のかけらからできたと考えられている。

知れば知るほど、おもしろいですよね。

防災の仕事をしていると、地震や台風など、地球という星のすごさや、自然の力の大きさを毎日感じています。でも、宇宙に目を向けると、さらにスケールの大きな世界が広がっていて、地球がいかに特別な、守られた星であるかを感じます。

みなさんも、ぜひ今夜、夜空を見上げて、月の「ふしぎ」を自分の目で確かめてみてください。そこから新しい発見や、「もっと知りたい!」という気持ちが生まれるかもしれません。もしかしたら、夏休みの自由研究のテーマにも、ピッタリかもしれませんね。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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