浄水場の仕組みを小学生にわかりやすく解説!水の防災

小学生が浄水場について学んでいる様子

浄水場の仕組みを小学生にわかりやすく解説!水の防災

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

夏休みが近づくと、お子さんの自由研究や調べ学習のテーマに悩むご家庭も多いかもしれませんね。特に「水」は身近なテーマですが、いざ「浄水場の仕組み」について調べるとなると、どうやって小学生にわかりやすく説明したらいいか、困ってしまうこともあるかと思います。

「浄水場の仕組みを小学生にわかりやすく解説したいけど、専門用語が難しくて…」「水がきれいになる簡単な流れは?」「ペットボトルで実験できるって本当?」「川の水を飲めない理由や、塩素の役割ってどう教えたらいいの?」

そんなお父さん、お母さんの疑問や悩みに寄り添いながら、この記事では、浄水場の仕組みの基本から、少し専門的な「急速ろ過」や「緩速ろ過」の違い、そして実際の見学情報まで、小学生のお子さんにも「なるほど!」と思ってもらえるように、かみ砕いて解説していきます。防災士の視点も交えながら、水の「仕組み」と「大切さ」を一緒に学んでいきましょう。

  • 浄水場の仕組みと水がきれいになる簡単な流れ
  • 水が安全になる各ステップ(沈殿・ろ過・塩素)
  • ペットボトルを使った自由研究の方法と注意点
  • 防災士から見た「水」の大切さと備え
目次

浄水場の仕組みを小学生へわかりやすく解説

浄水場の全体風景と子どもの見学シーン|水の流れの仕組みを学ぶ様子
【HIH】ヒカリネット・イメージ

私たちが毎日、当たり前のように蛇口をひねって使っている、きれいで安全な水。この水が、もともとは川やダムの水だということは、ご存知でしたか?

もちろん、川の水がそのまま水道管を通って、私たちの家に届いているわけではありません。その間には「浄水場(じょうすいじょう)」という、まさに「水の工場」と呼べる場所があります。

浄水場は、川やダムから運んできた「原水(げんすい)」を、私たちが安心して飲める「水道水」に変えるための、とても大切な施設なんです。ここでは、その浄水場の仕組み、つまり汚れた水がピカピカの飲み水になるまでの「大冒険」を、ステップバイステップで詳しく見ていきましょう。

川の水をそのまま飲めないのはなぜ?

川の水を観察する小学生|見た目はきれいでも飲めない理由のイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

すべてのスタート地点であり、一番大事な疑問です。「川の水って、見た目は透き通っていてきれいそうなのに、どうしてそのまま飲んじゃいけないの?」と、お子さんに聞かれたことがあるかもしれません。

その理由は、私たちの目には見えないけれど、体にとっては良くないものが、水の中にたくさん隠れているからです。大きく分けると、3つの理由があります。

  • 目に見えるゴミ: これは分かりやすいですね。落ち葉や木の枝、砂や泥、小さな魚や虫、そして残念ながら人間が捨てた空きカンやビニール袋などです。これらが混じっていたら、とても飲む気にはなれません。
  • 目に見えない小さなよごれ: 水をニゴらせる、とても小さな土や粘土(ねんど)のつぶです。これらは小さすぎて、網(あみ)ですくうこともできませんし、じっと待っていてもなかなか底に沈んでくれません。
  • 目に見えない生き物(病原菌): これが一番こわい理由です。お腹をこわす原因になる「細菌(さいきん)」や「ウイルス」(例えば、大腸菌やO-157など)が含まれている可能性があります。これらは目に見えないので、水が透明でも安心できないんです。

浄水場の「仕組み」というのは、これら大小さまざまな3種類のよごれを、順番に、そして確実に、ひとつ残らず取りのぞいていくための、すごい工夫と技術の集まりなんですね。

水がきれいになる仕組みの簡単な流れ

濁った水が透明な水に変わる浄水過程のイメージ|水がきれいになる流れ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

では、水の工場「浄水場」では、具体的にどんな順番で水がキレイになっていくのでしょうか?

浄水場にはいくつかの方法がありますが、日本の多くの浄水場で採用されている「急速ろ過(きゅうそくろか)」という方法を例に、水がきれいになるまでの簡単な流れを4つのステップに分けて紹介します。

1. 取水(しゅすい)と大きなゴミの除去

まず、川やダムから水を取り入れる「取水口(しゅすいこう)」という場所から、浄水場に水を運びます。ここには「スクリーン」と呼ばれる大きな網や機械があって、水にまじった落ち葉や魚、空きカンといった目に見える大きなゴミを、最初の関門としてキャッチします。

2. 汚れを合体させて沈める(凝集・沈殿)

次に、水にまじった「目に見えない小さなよごれ(泥のつぶなど)」を取りのぞきます。この小さなよごれは、そのままでは軽すぎて水に浮いたままになってしまうんです。

そこで、「凝集剤(ぎょうしゅうざい)」という魔法の薬を使います。この薬が、よごれ同士をくっつけて、重い「かたまり」にします。重くなったかたまり(フロックと呼びます)は、広いプールの底に自然に沈んでいきます。これを「沈殿(ちんでん)」と言います。

3. さらに細かく、こしとる(ろ過)

よごれが沈んで、上澄み(うわずみ)はかなりキレイになりました。しかし、まだ沈みきらなかった、もっともっと小さなよごれが残っています。

これを「砂(すな)」や「砂利(じゃり)」が何層にも敷きつめられた「ろ過池(ろかち)」というフィルターに通します。砂と砂の小さな隙間(すきま)を水が通ることで、小さなよごれも根こそぎキャッチします。このステップで、水はピカピカの透明になります。

4. 安全な水にする(消毒)

見た目が透明になっても、まだ安心はできません。目に見えない「病原菌」が残っているかもしれませんからね。

最後に「塩素(えんそ)」という薬品を使って、バイ菌をしっかりやっつけます。これを「消毒(しょうどく)」と言います。これで、お腹をこわす心配のない、本当に安全な「飲み水」が完成します。

【浄水場の4ステップ】

  1. 取水(しゅすい): 大きなゴミを取る
  2. 凝集・沈殿(ぎょうしゅう・ちんでん): 小さなよごれを集めて沈める
  3. ろ過(ろか): もっと小さなよごれを砂でこしとる
  4. 消毒(しょうどく): バイ菌を塩素でやっつける

この4つのステップで、川の水が「安全な飲み水」に生まれ変わるんですね。では、それぞれのステップを、もう少しだけ詳しく見てみましょう。

汚れを固める凝集剤の役割

水の中で汚れが集まる凝集剤の働き|フロック形成のイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

ステップ2の「汚れを合体させる」部分は、浄水場の仕組みの中でも特に面白いポイントです。

水の中の小さなよごれ(泥のつぶなど)は、電気の力(マイナスの電気)を持っていて、お互いに反発(はんぱつ)しあっているため、自然にはくっつかないんです。ぷかぷか浮いたままなんですね。

そこで「着水井(ちゃくすいせい)」という最初の池で、「凝集剤(ぎょうしゅうざい)」という薬(プラスの電気を持っています)を入れます。この薬が、よごれ同士をくっつける「のり」や「磁石」のような役割を果たします。マイナスとプラスが引き合って、小さなかたまりになるイメージです。

薬を入れた水は、次に「フロック形成池(けいせいち)」という場所に移されます。ここでは、大きな羽(はね)のような機械(かくはん機)で、「ゆっくり、やさしく」かき混ぜられます。

なぜ「ゆっくり」混ぜるの?

もし、ここで洗濯機のように激しくかき混ぜてしまうと、せっかくくっつき始めたよごれが、バラバラに壊れてしまいます。

わたあめを作る時、ゆっくりザラメ(砂糖)が綿(わた)になっていくのを集めますよね。あんなイメージで、ゆっくり混ぜることで、小さなよごれのつぶ同士がやさしくぶつかり合い、だんだんと大きく、重い「かたまり」へと成長していきます。

この、よごれが集まってできた「かたまり」のことを、「フロック」と呼びます。このフロックをいかに上手に大きく育てるかが、水をきれいにするための重要なカギなんです。

よごれを沈める沈殿の仕組み

沈でん池で汚れが沈む仕組み|フロックが底に沈む様子
【HIH】ヒカリネット・イメージ

フロックになって、大きく重くなったよごれは、次のステップ「沈でん池(ちんでんち)」へと運ばれます。

「沈でん池」は、とても広くて、水の流れが非常にゆっくりな、巨大なプールです。流れをゆっくりにすることで、重くなったフロックが、雪が静かに降り積もるように、プールの底にゆっくりと沈(しず)んでいきます。

水とよごれの大部分が、ここでキレイに分かれます。上の方には透明な水(上澄み水)が残り、底にはよごれ(フロック)が泥のように溜まっていきます。(溜まった泥は、別の方法できちんと処理されます)

浄水場見学に行くと、この沈でん池の巨大さと、水がみるみる透明になっていく様子に驚く小学生も多いみたいです。まさに「仕組み」が目に見える瞬間ですね。

水をこす「ろ過」の仕組み

砂と砂利の層で水をこすろ過の仕組み|きれいな水を作る工程
【HIH】ヒカリネット・イメージ

沈でん池を通った水(上澄み水)は、見た目はかなり透明になっています。でも、まだフロックになりきれなかった、とても小さなよごれや、沈みきらなかった軽いフロックが残っている可能性があります。

最後の仕上げが「ろ過池(ろかち)」です。ここでは、水が「砂(すな)」や「砂利(じゃり)」が何層にも敷きつめられた層を、上から下へとゆっくり通過します。

一番上の層が細かい「砂」、その下に少し大きな「砂」、一番下が「砂利(じゃり)」という順番になっています。この砂と砂のあいだの小さな隙間(すきま)が、まるで高性能なフィルターのように働き、沈でん池でも取りきれなかった、さらに小さなよごれを根こそぎキャッチしてくれるんです。

家庭用の浄水器も、基本的にはこれと似た仕組み(活性炭などを使っていますが)で水をきれいにしています。浄水場では、それをとてつもなく大きな規模でやっているんですね。

このステップを終えると、水は物理的なよごれがほぼ無くなり、本当にピカピカの透明な水になります。

安全を守る塩素の力とは?

蛇口から出る透明な水と塩素の安全イメージ|安心な水道水の象徴
【HIH】ヒカリネット・イメージ

さあ、いよいよ最後のステップ「消毒(しょうどく)」です。物理的に透明になっても、まだ安心はできません。なぜなら、一番こわい「病原菌」(細菌やウイルス)は、小さすぎて「ろ過池」の砂の隙間を通り抜けてしまうかもしれないからです。

そこで、「塩素(えんそ)」という薬品を入れます。塩素には、バイ菌をやっつけて無力化する「殺菌(さっきん)」という非常に強い力があります。

プールの水が、少しツンとしたニオイ(カルキ臭とも言います)がすることがありますよね。あれこそが、塩素が働いている証拠、「安全のしるし」なんです。日本の水道法では、蛇口から出る水に一定の塩素が残っていることが義務付けられています。これは、水が安全であることの証拠でもあるんですね。

塩素は「水のガードマン」

塩素には、実はもう一つ、とても大事な役割があります。それは「水のガードマン」です。

浄水場できれいになった水は、「浄水池(じょうすいち)」というプールに一度ためられ、そこから「送水(そうすい)ポンプ」によって、町中に張り巡らされた長い長い水道管(すいどうかん)を通って、みんなの家に届けられます。

もし、この長い旅の途中で、水道管のわずかな隙間からバイ菌が入ってしまったら大変ですよね。塩素は、浄水場からみんなの家の蛇口までの間、水の中に残っていて、万が一バイ菌が入ってきても、すぐにやっつけてくれる「ガードマン」の役目も果たしているんです。

防災の観点からも、この「蛇口から安全な水が出る」という仕組みが、いかに重要でありがたいことかを実感しますね。

浄水場の仕組みが小学生にわかりやすい自由研究

ノートにメモを取る小学生|浄水場の仕組みを学ぶ自由研究の様子
【HIH】ヒカリネット・イメージ

浄水場の仕組みがだんだんわかってきたら、次は夏休みの自由研究や社会科見学で、もっと深く学んでみるのはどうでしょう?

「百聞は一見にしかず」と言いますが、実際に目で見たり、実験したりすると、理解がグッと深まります。小学生のお子さんにもわかりやすい、ペットボトルを使った簡単な実験も紹介しますね。

浄水場の仕組み、2つの種類

急速ろ過と緩速ろ過の違いを対比したイメージ|2種類の浄水方式
【HIH】ヒカリネット・イメージ

実は、水がきれいになる仕組み(特に「ろ過」の方法)には、大きく分けて2つの種類があることを知っていますか?

私たちがここまで学んできたのは、薬品(凝集剤)の力を使って、比較的短時間で、スピード重視でたくさんの水を作る「急速ろ過(きゅうそくろか)」という方法です。

でも、もう一つ、昔からある方法で「緩速ろ過(かんそくろか)」というものもあります。

  1. 急速ろ過(きゅうそくろか): 薬品(かがく)の力で、汚れを無理やり固めて沈め、砂で「速く」こす方法。台風などで原水がとてもニゴっても対応できるパワー型です。
  2. 緩速ろ過(かんそくろか): 薬品をあまり使わず、ろ過池の砂の表面に住み着いた「微生物(びせいぶつ)」など、「生き物の力」を借りて、汚れを食べてもらいながら「ゆっくり」こす方法。自然の力を利用したエコ型です。

日本の多くの浄水場は、都市部などでたくさんの水を安定して作る必要があるため、「急速ろ過」を採用しています。一方、原水が比較的きれいで、広い土地が確保できる場所では「緩速ろ過」が使われていることもあります。

急速ろ過と緩速ろ過の違い

2つの方法の違いを、もう少し詳しく、簡単な表にまとめてみますね。どちらが良い・悪いではなく、それぞれの特徴に合わせて使い分けられています。

比較ポイント急速ろ過(きゅうそくろか)緩速ろ過(かんそくろか)
スピード速い(1日に4〜5mくらいの速さで水を通す)ゆっくり(1日に120〜150mくらいの速さで水を通す)
使う力薬品(かがく)の力(凝集剤)微生物(いきもの)の力(ろ過膜)
得意なことどんなにニゴった水でもOK水のニオイや味を良くする
必要な土地狭くてもOK(処理が速いから)広い土地が必要(処理がゆっくりだから)
薬品(凝集剤)必要原則不要

「緩速ろ過」は、生き物の力で水の中のニオイの原因物質なども分解してくれるので、水が「おいしくなる」とも言われています。ただし、広い土地が必要ですし、微生物のフィルター(ろ過膜)が育つまでに時間がかかる、という特徴もあります。

お住まいの地域の浄水場がどちらの方法を使っているか、調べてみるのも面白い自由研究になりますよ。

ペットボトルでろ過の自由研究

ペットボトルろ過装置の自由研究|親子で水をきれいにする実験
【HIH】ヒカリネット・イメージ

浄水場の「ろ過」の仕組みは、身近なもので簡単に再現できます。ステップ3の「ろ過池」を、ペットボトルで手作りしてみましょう。汚れた水がキレイになっていく様子が目に見えて、とても面白い実験です。

用意するもの

  • 空のペットボトル(500mlや1.5Lなど、透明なもの)
  • 脱脂綿(だっしめん)やガーゼ、ティッシュペーパーでもOK
  • 小石(こいし)(よく洗っておく)
  • 砂利(じゃり)(よく洗っておく)
  • 活性炭(かっせいたん)(バーベキュー用を砕いたものや観賞魚用、冷蔵庫の脱臭剤の中身でもOK)
  • 砂(すな)(公園の砂場のものではなく、園芸用や観賞魚用のものが望ましいです。よく洗って乾かしておく)
  • 汚れた水(例:園芸用の土をまぜた水、絵の具を少し溶かした水など)
  • カッターやハサミ(※必ず大人の人と一緒に使うこと)
  • 水をうけるコップ(透明なもの)

作り方(層を重ねる順番)

  1. ペットボトルの底を、大人の人にカッターやハサミで切り取ってもらいます。(ここが水の入れ口になります)
  2. ペットボトルの飲み口(下側)に、脱脂綿やガーゼをしっかりつめます。(中の砂利や砂が落ちないようにするため)
  3. ペットボトルを逆さにして(飲み口を下に)、切り取った底から、順番に材料を入れていきます。順番が大事です!
  4. 【層1】小石(一番下、飲み口のすぐ上)
  5. 【層2】砂利(小石の上)
  6. 【層3】活性炭(砂利の上) 活性炭には、目に見えない小さな穴がたくさん開いていて、水のニオイや色、ろ過池の砂でも取りきれないような細かいよごれを「吸い付かせて」キャッチする力があります。
  7. 【層4】砂(一番上)
  8. 最後に、一番上の砂が舞い上がらないよう、ガーゼなどをかぶせると、水を注ぎやすいです。
  9. コップの上で装置を支え、上から汚れた水をゆっくりと注ぎます。下(飲み口)から出てくる水がどれくらいキレイになるか、元の水と色やニオイを比べて観察してみましょう。

【最重要】実験の注意(おうちの人と必ず読んでね)

  • カッターやハサミを使うときは、必ず大人の人と一緒に作業してください。手を切らないよう、十分注意してください。
  • この実験で作った水は、絶対に、絶対に飲めないでください。
  • 見た目はきれいになっても、お腹をこわす原因になる「病原菌」をやっつける「塩素」のステップがありません。安全な飲み水ではありませんので、絶対に飲んではいけません。観察が終わったら、きちんと捨ててください。

浄水場の見学で仕組みを学ぼう

浄水場を見学する小学生たち|施設見学で学ぶ水の仕組み
【HIH】ヒカリネット・イメージ

もしお住まいの地域の近くに浄水場があり、見学を受け入れているなら、実際に行ってみるのが一番の勉強になります。小学校4年生の社会科見学などで、訪れる機会があるかもしれませんね。

教科書やインターネットの写真で学んだ「沈でん池」や「ろ過池」が、実際にはどれだけ巨大か、自分の目で見る迫力はすごいです。プールの何十倍もの大きさがあることも!水が「ゴーッ」と音を立てて流れていたり、逆に沈でん池が静まり返っていたり、五感で「仕組み」を体感できます。

水がだんだんキレイになっていく様子を順番に追うと、「水って、こんなに大変な思いをして作られてるんだ!」と、水のありがたみを実感できるはずです。

バーチャル浄水場見学もおすすめ

「浄水場が遠い」「予約が取れない」という場合は、インターネットで探検できる「バーチャル浄水場見学」もおすすめです。最近では、多くの自治体(水道局)が、小学生向けにゲームやクイズ形式で浄水場の仕組みを学べるウェブページを公開しています。

お住まいの地域の「〇〇市 水道局 小学生」などで検索してみると、面白いコンテンツが見つかるかもしれませんよ。

防災士が教える水の備え

防災用に備蓄された水のストック|家庭でできる水の備え
【HIH】ヒカリネット・イメージ

ここで少し、防災士としての話をさせてください。ここまで浄水場の「仕組み」を学んできて、皆さんはどう感じたでしょうか?

「すごい技術だな」「たくさんの人が働いているんだな」と同時に、「もし、この浄水場が止まったらどうなるんだろう?」という疑問も湧いてきませんか?

地震や台風、大雨などの大きな災害が起こると、浄水場も被害を受けることがあります。

  • 停電: 浄水場はたくさんのポンプや機械を電気で動かしています。大規模な停電が起きれば、水を作れなくなります。
  • 水道管の破損: 地震で浄水場から家までの水道管が壊れてしまえば、水は届きません。
  • 原水のニゴリすぎ: 台風や大雨で川の水がニゴりすぎると、浄水場の処理能力を超えてしまい、一時的に水作りを止めざるを得ないこともあります。

そうなると、蛇口をひねっても水は一滴も出ません。これを「断水(だんすい)」と言います。水が止まると、飲み水はもちろん、トイレも流せず、手も洗えず、料理もできず、本当に困ってしまいます。

災害時は「給水車(きゅうすいしゃ)」が来てくれることもありますが、家のすぐ近くまで来てくれるとは限りません。真夏や真冬に、重いポリタンクを持って、何時間も長い列に並ばなくてはならないかもしれないんです。

だからこそ、日頃からの「水の備蓄(びちく)」が本当に、本当に大切なんです。

防災士からのお願い:水の備蓄をしよう

安全な水が蛇口から出るのは「当たり前」ではありません。その当たり前が失われた時のために、「飲み水」と「生活用水(トイレや手洗い用)」を備えておきましょう。

具体的にどれくらいの水を備蓄すればいいか、どうやって備蓄するかの詳しくは「水の備蓄、一人当たり必要な量」で詳しく解説しています。

浄水場の仕組みを小学生がわかりやすく学ぶ総括

安全な水と学びを象徴するイメージ|浄水場の仕組みを学んだ小学生の笑顔
【HIH】ヒカリネット・イメージ

今回は、浄水場の仕組みについて、小学生のお子さんにもわかりやすく解説してみたつもりですが、いかがでしたでしょうか?

川の水が、たくさんのステップと、そこで働く人たちの努力、そしてすごい技術によって、安全な飲み水に生まれ変わる「大冒険」を感じてもらえたなら嬉しいです。

水がきれいになる簡単な流れから、凝集剤や塩素の役割、ペットボトルでの自由研究の方法、そして防災の視点まで、いろいろとお話ししました。私たちが当たり前に使っている安全な水は、決して「当たり前」ではないんですね。

浄水場の仕組みを小学生のうちからわかりやすく学ぶことは、単に知識が増えるだけではありません。水を大切に使う心を育て、そして「もしも水が止まったらどうしよう?」と考える「防災意識」にも繋がっていくと、私は強く思っています。

この夏、ぜひ、この記事をきっかけにお子さんと一緒に「水」について話し合ったり、自由研究に取り組んでみたりしてくださいね。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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