防災士解説!水の備蓄、一人当たり必要な量

水の備蓄 一人当たりの量を分かりやすく解説する防災イメージ写真

防災士解説!水の備蓄、一人当たり必要な量

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

災害に備えて、「水の備蓄、一人当たりどれくらい?」というのは、皆さん一度は悩むポイントですよね。一体、何リットル必要なのか、よく聞く「3日分」で本当にいいのか、いや「7日分」は必要という話も聞きます。

それに、飲料水としての飲用だけでなく、トイレなどの生活用水はどう計算するのか。赤ちゃんや高齢者、ペットがいる家庭では特別な配慮がいるのか。また、水道水は使えるのか、保存期間やローリングストックの方法は…など、疑問が多すぎますよね。

結局どれだけ用意すれば安心なのか、分からなくなりがちかなと思います。この記事では、そうした水の備蓄に関する様々な疑問を一つひとつ整理して、ご家庭に合った「ちょうどいい備え方」が見つかるよう、防災士の視点から詳しく解説していきますね。

  • 一人当たり本当に必要な水の量が分かる
  • 飲料水と生活用水(トイレ)の大きな違いが分かる
  • 赤ちゃんや高齢者など家族構成別の注意点が分かる
  • 備蓄を無理なく続けるローリングストックのコツが分かる
目次

水の備蓄「一人当たり」の結論【防災士解説】

災害時の水の備蓄量を家族で確認する日本の家庭の様子 一人当たり必要量を考えるイメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

まずは結論から。災害時の水の備蓄について、防災士の視点で「これだけは押さえてほしい」という基本の量と、その理由を解説しますね。このセクションで、備蓄を考える上で全ての基本になる「数字」と「最大の盲点」をしっかり押さえていきましょう。

1人1日3L・最低7日分が結論

1人1日3リットル7日分の水をテーブルに並べた災害備蓄の目安イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

私たちが推奨している基本の量は、「1人1日3リットル」です。

そして、備蓄しておく日数は、最低でも3日分、より安全を考えるなら「7日分(1週間)」です。

つまり、計算すると 1人 × 3リットル × 7日間 = 合計21リットル。これが、ご家庭で備蓄する際の一つの大きな目安になりますね。

この「1人1日3L」という数字は、農林水産省などが提示しているガイドラインに基づいています。(出典:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」

ただし、この「3リットル」は、あくまで「飲料水」と「調理用水(食事用)」の合計だということを、まず覚えておいてください。内訳としては、「飲料用1リットル」(体水分の維持、脱水症状の予防)と「調理用2リットル」(非常食の復元、レトルトの湯煎、服薬、乳幼児の調乳など)とされています。

3日分では不足?7日分必要な理由

3日分と7日分の水の備蓄量を比較しながら検討する家族の防災イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

「3日分」という数字もよく聞きますよね。これは、決して間違いではありません。災害発生から公的な支援(給水車など)が被災地に届き始めるまでの目安とされる日数なんです。

でも、私は「7日分」を強くおすすめしています。なぜなら、支援が来ても「自宅の水道がすぐに直る」わけではないからです。

ここを混同してしまうと、「3日分あれば安心」という誤解につながってしまいます。

「支援の到着(3日)」と「ライフラインの復旧(7日以上)」は別物

  • 最低3日分(1人9L): 公的支援が届き始めるまでの「つなぎ」の量。
  • 推奨7日分(1人21L): ライフライン(特に水道)が復旧せず、物流も停止し、お店から水が消える状況下で、自力で生活を維持するための量。

過去の大規模な地震のデータを見ると、水道の復旧には1週間以上、場合によっては数週間から1ヶ月かかることも珍しくありません。例えば、震度6強の地震で水道の復旧に15日、震度7では30日を要するという想定データもあります。

だからこそ、公的な支援に依存せず、自分たちの力で生活を維持するためには、「7日分」の備えが合理的で安全な基準になると、私は考えています。

飲料水3Lと「生活用水」は別計算

飲料水と生活用水の容器を分けて管理する災害時の水備蓄イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

ここが、水の備蓄における最大の「盲点」かもしれません。

先ほどお伝えした「1人1日3L」には、トイレの洗浄、手洗いや身体の清拭、洗濯といった「生活用水」は一切含まれていません。

もし「3Lあれば大丈夫」と思って備蓄した貴重なペットボトルの水でトイレを流したら、どうなるでしょうか。一般的な水洗トイレは、1回流すのに3~4リットル以上の水を消費します。7日分の備蓄(21L)も、トイレをわずか数回流しただけで枯渇してしまう計算になりますよね。

備蓄した貴重な飲料水は、絶対にトイレを流すために使ってはいけません。それは文字通り「命の水」です。

災害時の水は、「飲む・食べるための水(飲料水)」と「それ以外で使う水(生活用水)」は、完全に分けて考える必要があります。

一部の資料で「1人・3日分で30~60L必要」といった桁違いの数字が示されることがありますが、それこそが「生活用水(主にトイレ)」を含んだ総量なんです。ですが、それだけの量を家庭で備蓄するのは現実的ではありませんよね。

最重要のトイレ対策は「簡易トイレ」

断水対策として簡易トイレと凝固剤を準備する防災トイレ備蓄イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

では、生活用水、特に一番困る「トイレ」はどうすればいいのでしょうか。

「お風呂の残り湯を使えばいい」と考える方もいますが、それも万全ではありません。排水管が破損していることに気づかずに流してしまうと、汚水が逆流したり、下階の住居へ漏水したりする二次災害を引き起こす重大なリスクがあります。

その答えは、「水をどう確保して流すか」ではなく、「水を使わずにどう処理するか」という発想の転換です。

災害時のトイレ問題の最適な解決策は、「携帯トイレ(簡易トイレ)」を備蓄することです。

凝固剤で汚物を固めて、袋で処理するタイプですね。これなら水は一切不要ですし、衛生的にも管理がしやすいです。断水時の精神的負担を大きく減らしてくれますよ。

大人は1日に平均5回はトイレに行くと言われていますから、目安として、1人 × 1日5回分 × 最低3日分(できれば7日分)。これを人数分用意しておくだけで、断水時の安心感が全く違います。

簡易トイレの詳しい選び方や備蓄の考え方については、「防災トイレは何日分・何回分が必要」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

家族の人数で見る備蓄量早見表

世帯人数に合わせてペットボトルの水を並べて確認する家族の備蓄量イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

「1人1日3L」を基本に、ご家庭の人数ごとに必要な「飲料水・調理用水」の備蓄量目安を一覧にしてみました。ぜひ、ご自宅の備蓄量を確認する参考にしてみてください。

世帯人数最低3日分(支援到着目安)推奨7日分(ライフライン復旧目安)
1人9 リットル (2L×5本)21 リットル (2L×11本)
2人18 リットル (2L×9本)42 リットル (2L×21本)
3人27 リットル (2L×14本)63 リットル (2L×32本)
4人36 リットル (2L×18本)84 リットル (2L×42本)

(※あくまで「飲料水・調理用水」の目安です。トイレなどに使う生活用水は含まれていません。)

4人家族で84リットルというと、2Lのペットボトル42本分。かなりの量に感じますが、これが「自力で1週間生き抜く」ための現実的な量なんですね。

家族構成別「水の備蓄 一人当たり」の注意点

赤ちゃんや高齢者など家族構成に合わせて水の備蓄計画を立てる日本の家庭イメージ
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1人1日3Lという基本量は、あくまで「健康な成人」を基準にした平均値です。ご家庭によっては、量や「水の種類」について、もっと特別な配慮が必要な場合もあります。ここでは家族構成別の注意点を見ていきましょう。ご自身の家庭に当てはまる部分をチェックしてみてください。

赤ちゃんのミルクには軟水と熱源を

赤ちゃんのミルク用に軟水とカセットコンロを備える育児家庭の防災備蓄イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

赤ちゃん、特に粉ミルクが必要な乳幼児がいるご家庭は、「水の種類」と「温度」が極めて重要です。大人の「3L」とは別に、専用の備えが必要だと考えてください。

ミルク用の水は必ず「軟水」を

粉ミルクの調乳には、ミネラル含有量の多い「硬水」(多くの海外産ミネラルウォーターがこれにあたりますね)は使えません。赤ちゃんの未発達な腎臓に負担をかける可能性があるためです。

備蓄水は必ず、国産の「軟水」または「純水(ピュアウォーター)」と表記されているものを選んでください。ペットボトルのラベルに「硬度」が記載されているので、硬度の低いもの(目安として100mg/L以下)を選ぶと安心ですね。

お湯を沸かす「熱源」もセットで

また、粉ミルクは衛生上、製品に微量に含まれる可能性のある菌を殺菌するため、70℃以上のお湯で溶かすことが世界保健機関(WHO)や日本のガイドラインで強く推奨されています。

つまり、停電してもお湯を沸かせる手段=「カセットコンロ」と「カセットボンベ」も、軟水の備蓄と必ずセットで用意しておく必要があります。水だけあっても、お湯にできなければミルクが作れないんですね。カセットボンベも、1週間に7本程度を目安に備蓄しておくと安心です。

赤ちゃんの命に直結する部分ですので、水の種類や熱源の確保は特に慎重にお願いします。アレルギーや健康状態に関する最終的な判断は、かかりつけの医師や専門家にご相談くださいね。

高齢者世帯の備蓄は分散保管が鍵

高齢者が取り出しやすい場所に水を分散保管している災害備蓄イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

高齢の方がいるご家庭では、「量」に加えて「管理」の視点がとても大切になります。

常備薬を飲むためにも水は欠かせませんし、食べ慣れた介護食(おかゆ、やわらかい食品)を調理するのにも水を使います。飲料水3Lでは少し多めに見積もった方が安心かもしれません。

それ以上に問題となるのが「重さ」と「アクセシビリティ(取り出しやすさ)」です。

重量の問題と対策

2Lのペットボトルが6本入った段ボール箱は、約12kgにもなります。これを非常時にクローゼットの奥から運び出すのは、高齢の方にとってはかなりの重労働ですよね。下手をすると、重すぎて持ち出せず、備蓄が「ない」のと同じことになってしまいます。

対策として、備蓄の構成を「2Lペットボトル(長期保管用)」と「500mlペットボトル(即時利用・持ち運び用)」に分け、両方を併用することをおすすめします。500mlなら、ベッドサイドやテーブルの近くにも置いておきやすいですよね。

アクセシビリティ(分散保管)

もう一つの重要な配慮が「分散保管」です。例えば、備蓄の全てを「納戸」に集中保管していた場合、地震で家が歪んでドアが開かなくなったり、家具が倒れてアクセスできなくなったりしたら、どうしようもありません。

このリスクを回避するため、備蓄は必ず「家庭内の複数箇所に分散」させることが鉄則です。

  • 長期保管用(7割):クローゼットの奥、床下収納、ベッド下など
  • 即時利用・ローリングストック用(3割):キッチン、リビング、寝室など

このように、すぐに手の届く場所にも数本「分散保管」しておく配慮が、いざという時に本当に役立ちますよ。

ペット用の水は人間用と分ける

犬や猫のためにペット専用の水を人間用と分けて備蓄している災害対策イメージ
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ペットも大切な家族の一員です。ですが、災害時の公的な支援(避難所や支援物資)は、残念ながら人間が最優先となります。ペットフードやペット用の水が届くのは、かなり後回しになるか、届かない可能性も高いです。

ペットの命を守る備蓄は、飼い主さんが責任をもって確保するしかありません。

水の種類(硬水のリスク)

注意点として、人間用のミネラルウォーター、特にミネラル(マグネシウムやカルシウム)を多く含む「硬水」は、ペットの体調不良(特に犬や猫の尿路系の疾患)を引き起こす可能性があります。

必要日数(人間より長く)

必要日数も、人間用の「3〜7日分」という基準より少し長く、「5日分以上」のフードと水が推奨されています。

備蓄水は、「ペット専用の保存水」または「硬度0の純水」を、人間用とは別に用意してあげることが推奨されます。

ペットの健康状態や必要な水分量は個体差が大きいため、普段からどれくらい飲むかを確認し、余裕を持った量を準備してあげてくださいね。この点も、不安な場合はかかりつけの獣医師にご相談ください。

長期保存水と水道水の保存期間

「1人21L」を備蓄すると決めた次に、「どの水を買えばよいか」も悩みどころですね。大きく分けて「市販の保存水」と「水道水の汲み置き」という選択肢があります。

「長期保存水」と「一般的な水」の違い

お店には「5年保存水」や「7年保存水」、中には10年といった長期保存水が売られています。

これと一般的なミネラルウォーター(賞味期限1〜2年)の違いは、水そのものの品質や殺菌処理の差では無い場合が多いです。最大の差は「容器」にあります。長期保存水は、長期間の保存や過酷な環境に耐えるため、「より分厚く丈夫なペットボトル容器」と「頑丈な段ボール箱」が使用されているんですね。

コスト vs 管理の手間

長期保存水は割高ですが、一度購入すれば5年~10年間、賞味期限の管理や入れ替えの手間から解放されるのが最大のメリットです。

一方、安価な通常のミネラルウォーターは、賞味期限(1~2年)が切れる前に消費し、買い足す「ローリングストック」を厳格に実践することが必須となります。

「水道水」の汲み置きも有効

最も安価に実行できるのが、自宅の「水道水」を汲み置きする方法です。日本の水道水は、世界トップレベルの品質であり、殺菌作用を持つ「残留塩素」が含まれているため、適切に保存すれば飲料水として備蓄が可能です。

【水道水の正しい保存方法】

  1. フタがしっかり閉まる清潔な容器(ポリタンクや清潔なペットボトルなど)を用意します。容器はよく洗って乾かしておきましょう。
  2. 蛇口から直接水道水を注ぎます。この際、容器内に空気が残らないよう、容器の口元いっぱいまで水を満たすのがコツです。
  3. フタを固く閉め、直射日光のあたらない涼しい場所(冷暗所)で保管します。

保存期間の目安は、保存条件によって異なりますが、一般的に常温(冷暗所)で「3日程度」、冷蔵庫で「7日(1週間)程度」と言われています。

【汲み置きの禁止事項】

以下の水は、殺菌用の塩素が除去されているため、雑菌が繁殖しやすく、備蓄水には絶対に向きません。

  • 浄水器を通した水(残留塩素が除去されてしまうため)
  • 一度沸騰させた水(湯冷まし)(沸騰によって塩素が蒸発してしまうため)

汲み置きは手軽ですが、保存期間が短いので、日常的に入れ替える習慣が必要ですね。

ローリングストックの管理術

水と非常食を日常的に使いながら補充するローリングストック実践イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

水の備蓄は、「一度買ったら終わり」ではありません。備蓄で最も困難な課題は「購入」することではなく、「管理・継続」することです。いざという時に「賞味期限が切れていた!」となっては元も子もないですよね。

そうならないために、ぜひ実践してほしいのが「ローリングストック」という管理方法です。

【ローリングストックの実践方法】

  1. 日常的に使う水や食品(缶詰、レトルト食品など)を、備蓄したい量より「少し多めに」購入します。(例:7日分備蓄したいなら、10日分くらい買う)
  2. 保管場所の手前にあるもの(=賞味期限が古いもの)から順番に、普段の食事や飲料水として消費します。
  3. 消費して減った分を買い足し、保管場所の奥(=賞味期限が新しい)に補充します。

このサイクルを繰り返すことで、常に一定量の「新しい」備蓄が家庭内に確保されている状態を維持する方法です。「非常用」としてしまい込むのではなく、「日常用」として使い回すのがポイントですね。

水と食料をセットで管理するコツ

水だけを意識的に消費するのは難しいので、カセットコンロを使い、「月に一度は備蓄しているレトルト食品とアルファ米を食べる日」などを設けるのがおすすめです。

そうすることで、食料と、それを調理するための水(調理用水)の消費・補充サイクルを自然に確立できます。防災訓練も兼ねられて一石二鳥ですよ。

ウォーターサーバーは停電時に注意

停電時にウォーターサーバーが使えるか確認し非常用コック付きボトルも準備する家庭の様子
【HIH】ヒカリネット・イメージ

最近はウォーターサーバーを契約しているご家庭も多いですよね。「サーバーがあるから、自動的にローリングストックできているし備蓄は大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。

日常的に新鮮な水が自宅にストックされるため、ローリングストックの「自動化」ツールとして非常に有効なのは間違いありません。

しかし、そこに大きな落とし穴がある場合があります。

それは、「停電したら水が出なくなる機種」が想像以上に多いことです。これを「備蓄」と誤解していると、いざという時に水が取り出せず、深刻な事態を招く可能性があります。

【災害時に使えない可能性のあるサーバー】

  • プッシュボタン式(電磁弁): 注水に電力(電磁弁)を使うため、停電すると水が出ません。
  • ボトル下置きタイプ: ボトルから水を上部の蛇口まで汲み上げるために電動ポンプを使用するため、停電するとポンプが止まり水が出ません。
  • 水道直結型サーバー: 水道管から直接水を引くため、水道が断水した時点で機能しません。

【災害時に使える可能性のあるサーバー】

  • ボトル上置きタイプ(レバー式・コック式): 重力を利用して水を落とす昔ながらのアナログなタイプは、電源がなくても水が出せるものが多いです。
  • 非常用キット対応タイプ: メーカーが停電時用の「非常用コック」などを提供している場合があります。

ご自宅のウォーターサーバーが、停電・断水時に「本当に使える機種か」を、平時に必ず契約メーカーの公式サイトなどで確認しておくことを強くおすすめします。「使えると思っていたのに使えなかった」というのが一番怖いパターンですからね。

総括:水の備蓄「一人当たり」の最適解

飲料水と簡易トイレなどをバランスよく備えた家庭の防災備蓄全体イメージ
【HIH】ヒカリネット・イメージ

最後に、水の備蓄「一人当たり」の考え方について、防災士としての私の考えをまとめますね。

基本は「1人1日3L × 7日分」の飲料水・調理用水です。これは、防災計画のスタートラインです。

でも、本当に大切なのは、その数字を覚えることよりも、ご家庭の状況に合わせて「最適化」することかなと思います。1人21Lという数字は、あくまで平均的な目安に過ぎません。

ご家庭の「最適解」を見つけるための5ステップ

  1. 基本の確保:まず「7日分(1人21L)」の飲料水・調理用水を確保する。
  2. トイレ対策:「水で流す」ことを諦め、「水を使わず処理する」方針に切り替える。「簡易トイレ」を(1人15回分以上)備える。
  3. 世帯別カスタマイズ:赤ちゃん(軟水+熱源)、高齢者(分散保管)、ペット(専用水)など、家族構成に合わせた+αを考慮する。
  4. 管理・運用計画:「長期保存水」で管理コストを下げるか、「ローリングストック」で鮮度とコストのバランスを取るか、ご家庭の性格に合った方針を決定する。
  5. リスク分散:備蓄水は一箇所に集中させず、クローゼット、ベッド下、玄関など、必ず「複数箇所に分散」して保管する。

大切なのは、「どれだけあれば100%安全か」という完璧な正解探しより、「今のわが家で、現実に継続できる備えは何か」を考えることだと思います。

この記事を参考に、ぜひ「わが家」にとっての水の備蓄、今一度見直してみてくださいね。

※本記事で紹介した数値や日数は、あくまで一般的な目安です。災害の規模やご家庭の環境によって、実際に必要となる量は異なります。また、健康や安全に関する最終的な判断は、ご自身の責任において、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

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