地球温暖化の原因を簡単に解説!防災士が語る災害リスク

地球温暖化の原因を簡単に解説!防災士が語る災害リスク
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
最近、ニュースや学校で「地球温暖化」という言葉をよく聞きますよね。テレビで「観測史上初の猛暑」なんて言葉を聞くのも、珍しくなくなってきた気がします。でも、「地球温暖化の原因って、結局なに?」と聞かれると、簡単に説明するのは難しいかもしれません。
地球温暖化の仕組みとはどうなっているのか、主な原因は二酸化炭素だけなのか、よく聞くメタンガスやフロンガスも関係あるのか、気になっている方も多いと思います。また、その影響として、私たちの生活にどんな変化があるのか、そして私たちにできること、特に家庭での対策にはどんなことがあるのか、知りたいですよね。
この記事では、そんな疑問を持つ方(特に中学生くらいの方にも分かるように!)に向けて、防災士の視点も交えながら、地球温暖化の原因と、それが引き起こすかもしれない「災害への影響」について、できるだけ簡単に、そして詳しく解説していきますね。
- 地球温暖化が起こる基本的な仕組み(温室効果ガスとは)
- 温暖化の主な原因となるガスの種類(二酸化炭素やメタン)
- 温暖化が引き起こす災害などの影響
- 私たちが今すぐ家庭でできる対策
地球温暖化の原因を簡単に解説!防災士が語る危機

まずは、「なぜ地球は暖かくなっているのか?」という、根本的な原因について見ていきましょう。犯人(原因)は一つじゃないんですが、一番大きな原因はなんなのか、そしてなぜそれが私たち防災士にとっても大きな関心事なのか。分かりやすく「布団」に例えながら解説しますね。
温暖化とは?布団で例える温室効果ガス

地球温暖化の「仕組み」そのものは、実はとてもシンプルなんです。
地球は、太陽の光(日射)によって暖められています。そして、暖められた熱(赤外線)の一部は、宇宙空間に逃げていきます。もし熱が全部逃げてしまうと、地球の表面温度は計算上、なんと平均で約マイナス19℃になってしまうと言われています。これでは寒すぎて、生物が暮らしていくのは難しいですよね。
でも、そうならないのは、地球の大気中に「温室効果ガス」と呼ばれる気体が含まれているおかげです。
このガスは、宇宙に逃げようとする熱(赤外線)の一部をキャッチして、吸収・再放出する働きをします。これにより、地表を暖かく保ってくれているんです。この働きを「温室効果」と呼びます。
私はよく、これを「地球がかけている“お布団(毛布)”」に例えるんです。適度な厚さのお布団なら、私たちは快適に眠れますよね? この「適度な温室効果」のおかげで、地球の平均気温は約15℃に保たれ、私たちは快適に暮らせているわけです。
でも、もしそのお布団が、どんどん分厚くなったらどうでしょう…? そう、必要以上に熱がこもって、暑くて寝苦しくなってしまいます。地球温暖化は、まさにこの「お布団が分厚くなりすぎている状態」なんです。
豆知識:温室効果ガスがなかったら?
もし地球に温室効果ガス(水蒸気や二酸化炭素など)が全くなかったら、地球の平均気温は-19℃くらいになると言われています。温室効果ガスは、本来は地球の生命を守るために欠かせない、大切な存在なんですね。問題なのは、その「量」と「バランス」なんです。
一番の原因は二酸化炭素と化石燃料

では、なぜお布団(温室効果ガス)は、ここ数百年、特に最近の数十年で急激に分厚くなってしまったんでしょうか。
その原因はいくつかありますが、最も大きな原因は「二酸化炭素(CO2)」というガスが増えすぎたことです。これは、人間が出す温室効果ガスのうち、なんと約75%(世界)を占めています。
日本の場合はさらに顕著で、排出される温室効果ガスのうち、実に約90%が二酸化炭素(CO2)なんです。(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)「日本の温室効果ガス排出量の内訳」)
じゃあ、この大量の二酸化炭素はどこから来るのか? それは、私たちの生活に欠かせない「化石燃料(かせきねんりょう)」を燃やすときです。
化石燃料ってなに?
大昔の生物(植物やプランクトン)の死骸が、地中で長い時間をかけて変化した燃料のことです。
- 石油(ガソリン、灯油、ジェット燃料、プラスチックの原料)
- 石炭(主に発電所や工場で使われる)
- 天然ガス(都市ガス、発電所などで使われる)
これらの化石燃料は、いわば「炭素(C)」の塊です。これを燃やす(酸素(O2)と結びつける)ことで、私たちはエネルギーを取り出していますが、その時に必ず二酸化炭素(CO2)が発生します。
私たちの便利な生活が、皮肉にも地球のお布団を厚くする一番の原因になっていたんですね。
発電・産業(工場)
私たちが毎日使う電気の多くは、火力発電所で石炭や天然ガスを燃やして作られています。また、工場で製品を作ったり、鉄を溶かしたりするためにも、大量の化石燃料が使われています。
運輸(乗り物)
自動車のガソリン、トラックや船の軽油、飛行機のジェット燃料など、人やモノを運ぶためのエネルギーも、その多くを石油に頼っています。
家庭・業務(私たち自身の生活)
冬に部屋を暖める暖房器具(灯油やガス)、お湯を沸かす給湯器(ガス)、料理で使うガスコンロ。そして、それらを使うために必要な「電気」そのもの。私たちの生活は、化石燃料なしには成り立たないほど密接に結びついています。
牛のゲップ?メタンガスの発生源

二酸化炭素が一番の原因だとしても、犯人はそれだけじゃありません。次に影響が大きいとされるのが「メタン(CH4)」というガスです。
メタンは、二酸化炭素に比べると大気中の量は少ないんですが、熱を閉じ込める力(温室効果)がCO2の25倍以上も強い(※100年間で比較した場合。推定値には諸説あります)とされています。量が少なくてもパワーが強い、ちょっとやっかいな存在ですね。
メタンは、主にこんなところから発生しています。
- 農業・畜産:ニュースなどでよく聞く「牛のゲップ」です。牛のような家畜が草を消化する過程で、腸内発酵によってメタン(CH4)を発生させます。また、水田(稲作)からも、土の中の微生物の働きでメタンが発生します。
- 天然ガスの採掘:天然ガスの主成分はメタン(CH4)です。そのため、採掘したり運んだりする途中で、一部が漏れ出してしまうことがあります。
- ゴミの埋立地:生ゴミなどが埋め立てられ、地中で分解される過程でもメタンが発生します。
CO2の250倍!?フロンガスや亜酸化窒素

さらに強力なガスも紹介しておきましょう。量は少ないですが、影響力は無視できません。
一つは「亜酸化窒素(N2O)」です。「一酸化二窒素」とも呼ばれます。主に、畑で使われる「窒素肥料」が土の中で分解されるときや、化学工場などで発生します。これは、なんとCO2の約265倍も温室効果が高いとされています。
そして、もう一つが「フロンガス(代替フロン含む)」の仲間です。エアコンや冷蔵庫の冷媒(熱を運ぶガス)として使われてきましたが、このガスがオゾン層を破壊することが分かり、国際的に規制が進みました。しかし、その代わりに使われ始めた「代替フロン」も、実は種類によってCO2の数百倍から数千倍、モノによっては1万倍以上というとんでもないパワーを持っていることが分かってきました。
見落とされがちな原因:森林破壊(吸収源の減少)

これまで紹介したのは、お布団を厚くする「排出」の話でした。でも、もう一つ大きな原因があります。それは「地球が本来持っている、CO2を減らす力が弱っている(吸収)」ことです。
地球には、大気中のCO2を吸収してくれる、ありがたい仕組みが備わっています。その代表が「森林」と「海」です。
特に森林は、植物が「光合成」によってCO2を吸って、それを栄養にして成長し、炭素(C)を木の中に蓄え(これを「炭素固定」といいます)、代わりに酸素(O2)を出してくれます。「CO2の缶詰」なんて呼ばれ方もしますね。
しかし、世界中で、人間の活動(農地にする、家や道路を作る、木材として使う)のために、この大切な森林がすごいスピードで伐採・破壊されています(森林破壊)。
つまり、人間は化石燃料をガンガン燃やしてCO2を出し続ける一方で、それを吸ってくれるはずの森を壊している…この「排出の増加」と「吸収の減少」というダブルパンチが、温暖化をさらに加速させている大きな原因の一つなんですね。
地球温暖化が引き起こす災害リスク(防災士の視点)

では、お布団が厚くなりすぎると、具体的にどんな困ったことが起きるのでしょうか。世界中の科学者が集まるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)という組織の報告によると、このまま対策を取らないと、世界の平均気温は今世紀末(2100年)までに最大で約4.4℃(※最悪の場合)も上昇する可能性があるとされています。
「たった数℃?」と思うかもしれませんが、地球全体の平均気温が数℃上がるというのは、とんでもないエネルギーが地球に蓄積されることを意味します。これが、私たち防災士が最も懸念している「気象災害の激化(げきか)」に直結するんです。
① 猛暑日・熱帯夜の増加(熱中症リスク)
これは最も分かりやすい影響ですね。気温が底上げされることで、最高気温が35℃を超える「猛暑日」や、夜間の最低気温が25℃を下回らない「熱帯夜」が明らかに増えています。これにより、特に高齢者や子どもの「熱中症」のリスクが深刻になっています。停電が起きるとエアコンが使えなくなるため、災害時の熱中症対策は、防災の観点からも非常に重要です。
② 大雨・大型台風の増加(洪水・土砂災害)

温暖化は、雨の降り方や台風の強さにも影響します。
- 大雨(洪水・土砂災害):気温が上がると、空気中に含まれる水蒸気の量が増えます。つまり、雨の「もと」が増えるということです。これにより、一度に降る雨の量が極端に多くなったり、「線状降水帯」が発生しやすくなると指摘されています。
- 大型台風:台風は、暖かい海水からエネルギー(水蒸気)をもらって発達します。海水温が上昇すると、台風はより多くのエネルギーを得られるようになり、勢力が強まりやすくなります。日本近海に来ても勢力が衰えにくく、「スーパー台風」と呼ばれるような非常に強い勢力で上陸するリスクが高まります。
これらは、洪水、河川の氾濫、土砂災害といった大規模な水害に直結する、非常に危険な変化です。
③ 海水温の上昇(高潮・生態系への影響)
気温だけでなく、海水温も上昇しています。これには2つの大きな影響があります。
- 海面の上昇:水は、暖まると膨張(体積が増える)します。さらに、北極や南極、高山の氷河・氷床が溶けることで、海に流れ込む水の量も増えます。これにより、海面(海の水位)が上昇します。
- 高潮(たかしお)のリスク増大:海面がもともと高くなっているところに、②で述べたような大型台風が来るとどうなるでしょう? 台風による「高潮(風や気圧の影響で海水が陸地に吸い寄せられる現象)」の被害が、より深刻になる恐れがあります。海抜ゼロメートル地帯など、沿岸部の都市は大きな脅威にさらされます。
また、海水温が変わると、これまで獲れていた魚が獲れなくなったり、サンゴ礁が白化して死滅するなど、生態系全体にも大きな影響が出ています。
家庭でできる対策(緩和策と適応策)

原因と影響が分かってくると、「じゃあ、私たちは何をすればいいの?」という疑問が湧いてきますよね。温暖化対策には、大きく分けて2つのアプローチがあります。「緩和策」と「適応策」です。
①「緩和策」:原因(CO2)を減らす努力

これは、温暖化の「原因」そのものである温室効果ガス(特にCO2)の排出を減らしていこう、という取り組みです。いわば「ブレーキを踏む」努力ですね。
日本の家庭から出るCO2のうち、最も多いのは「電気」の使用、次いで「ガソリン(自動車)」、「都市ガス・灯油」です。つまり、エネルギーの使い方を見直すことが、一番効果的なんです。
「そんなの難しそう…」と思うかもしれませんが、簡単なことからでOKです。環境省のデータなどを基に、家庭でできる代表的な取り組みをまとめてみました。
| 対策 | 内容 | CO2削減量 (概算) |
|---|---|---|
| 節電(一番カンタン) | ・使わない部屋の電気はこまめに消す ・エアコンの設定温度を夏は1℃高く、冬は1℃低く ・テレビを見ない時は消す(つけっぱなしにしない) | 年間 約70kg削減 (エアコン+照明+テレビ) |
| 節水 | ・シャワーを流しっぱなしにしない(1日1分短縮) ・お風呂の残り湯を洗濯に使う ・歯磨き中に水を出しっぱなしにしない | 年間 約60kg削減 (主に給湯器のガス・電気代削減による) |
| 移動の工夫 | ・近所への買い物は車でなく徒歩や自転車に ・車の「ふんわりアクセル(急発進しない)」を心がける ・公共交通機関(電車・バス)を利用する | 年間 約180kg削減 (車のアイドリングストップやエコドライブなど) |
| 省エネ家電への買い替え | ・古いエアコンや冷蔵庫、照明を省エネ性能の高いものに買い替える(特にLED照明は効果大) | 年間 約1,000kg削減 (10年前の冷蔵庫・エアコン・照明を買い替えた場合) |
| 再生可能エネルギー | ・太陽光パネルを設置する ・電力会社を「再生可能エネルギー(太陽光や風力など)」中心のプランに変更する((CO2を排出しない)電力) | 効果は非常に大きい |
(出典:環境省「家庭でできる10の取り組み」などのデータを基に作成)
こうして見ると、私たちが家庭でできる「節電・節約」は、家計を助けるだけでなく、地球温暖化のブレーキを踏むことにも直結しているんですね。
特に、省エネ家電への買い替えや再生可能エネルギーの導入(太陽光パネルなど)は、CO2削減目標達成にとって、ますます重要になっていることを示しています。大きな社会の仕組みを変えるのは時間がかかりますが、家庭での行動は「今すぐ」始められますよね。「チリも積もれば山となる」です。
②「適応策」:起こりうる災害に備える努力

そして、もう一つが「適応策(てきおうさく)」です。これは、「温暖化の影響で、災害は激しくなるかもしれない」という現実を受け入れた上で、「その被害をできるだけ小さくするための備え」をすることです。これは、私たち防災士がいつもお伝えしている「防災」そのものです。
温暖化のブレーキ(緩和策)を踏みつつも、すでに始まっている気候の変化(大雨や猛暑)に備える「守りの防災」も、同時に強化する必要があるんです。
例えば、太陽光パネルと一緒に「蓄電池」や「ポータブル電源」を導入することは、CO2を減らす「緩和策」でありながら、停電時(災害時)の非常用電源を確保するという「適応策」にもなります。まさに一石二鳥ですね。
今すぐできる「適応策」=「防災」
温暖化による災害の激化に備えて、家庭でできる「適応策」を見直しましょう。
- ハザードマップの再確認 まずは、ご自宅や職場、学校が、洪水や高潮、土砂災害の危険性がある場所かどうかを再確認しましょう。温暖化で大雨が増えれば、これまで安全だと思っていた場所も危険になるかもしれません。
- 備蓄品の見直し 従来の備蓄に加えて、「猛暑」への備えも重要です。停電時でも使える冷却グッズ(ネッククーラーや塩タブレット、うちわ等)や、多めの飲料水を備蓄に加えておきましょう。
- 避難経路の確認 台風や大雨が予想される際、どのタイミングで、どこに避難するかを家族で話し合っておくことも、立派な適応策です。

地球温暖化の原因を簡単に理解し行動しよう

ここまで、地球温暖化の原因について、できるだけ簡単にお話ししてきました。
原因は、石油や石炭といった化石燃料を使うこと、森が減ること、そして私たちの「当たり前の便利な生活」そのものに深く関わっている、ということが見えてきたかなと思います。
でも、原因が分かれば、対策も見えてきます。まずは「知ること」。そして「自分ごと」として捉えること。これは、地震や台風への備え(防災)と全く同じスタートラインです。
「自分一人がやっても変わらない…」ではなく、「自分“から”まずやってみよう」。
未来の地球のため、未来の子どもたちのため、そして何より、激化するかもしれない災害から自分自身と大切な家族の命を守るため。ぜひ、今日からできる小さな一歩(節電でも、備蓄の見直しでも、ハザードマップの確認でも)を、一緒に始めてみませんか。
