断層による崖のでき方と防災の知識

断層による崖のでき方と防災の知識
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
地図や旅先、あるいはドライブ中に、山すそや台地に「なんでこんな所に?」と思うような、まっすぐな崖や不思議な段差を見かけたことはありませんか?
「断層のでき方」や「なぜ地震で崖ができるのか」って、あらためて考えると不思議ですよね。もしかしたら、その崖は地震を引き起こす「断層」と深い関係がある「断層崖(だんそうがい)」かもしれません。
では、断層崖とは一体何なのか、私たちがよく目にする川沿いの崖(河岸段丘の崖)との違いはどこにあるのでしょうか。また、断層の仕組みや地形の特徴を知ることは、私たちの防災にとって非常に重要です。「活断層」がどんな場所にあるかを知るヒントにもなりますからね。濃尾地震で出現した根尾谷断層のように、はっきりとした例も日本には残されています。
この記事では、防災士の視点から「断層と崖のでき方」について、その仕組みから見分け方のヒント、そして防災への応用まで、できるだけ分かりやすく解説していこうと思います。
- 断層で崖ができる基本的な仕組み
- 断層の種類(正断層・逆断層)による違い
- 普通の崖(段丘崖)と断層崖の見分け方
- 活断層と崖が私たちの防災にどう関係するか
断層による崖のでき方と仕組み

まずは、一番のキホンですね。そもそも「断層」とは何なのか、そしてそれがどうやって「崖」という目に見える地形を作るのか、その基本的な仕組みを見ていきましょう。地球のスケールの大きな動きをイメージしながら読んでみてくださいね。
断層崖とは?
まず、言葉の定義からしっかり押さえておきましょう。
「断層崖(だんそうがい)」とは、その漢字の通り、地下にある「断層」が動くことによって、地表に「ズレ(段差)」が生じ、その結果としてできた崖(がけ)のことを指します。
ここでの最大のポイントは、「地面の下にある断層が動いたこと」が“直接の原因”となってできた崖、という点です。川の流れが岸を削ってできる崖や、波の力で海岸が削られてできる崖とは、でき方(成因)が根本的に違うんですね。
豆知識:英語では「Fault Scarp」
断層崖は、英語では「Fault Scarp(フォールト・スカープ)」と呼ばれます。「Fault」が断層、「Scarp」が崖や急斜面を意味する地学の用語です。専門家が「スカープが…」と言っていたら、それは崖のことなんだな、と思ってもらえれば大丈夫です。
地震で崖ができる仕組み

では、どうして断層が動くと、地表にまで崖ができるのでしょうか。そのプロセスを少し詳しく見てみましょう。
プレート運動と応力の蓄積
私たちの足元にある地面、つまり地球の表面は「プレート」という何枚もの硬い岩盤で覆われています。これらのプレートは、非常にゆっくりですが、お互いにぶつかったり、すれ違ったり、離れたりしています。
このプレートの動きによって、陸のプレート内部の岩盤にも、常に巨大な力(これを応力といいます)がかかり続け、まるでバネを引き伸ばしたり縮めたりするように、ひずみが静かに蓄積されていきます。
岩盤の破壊と断層運動(地震)
岩盤も、ある程度まではその力に耐えて変形(ひずむ)のですが、やがて限界が来ます。その限界を超えた瞬間、岩盤は「バキッ!」と音を立てるように割れ、特定の面(これが断層面です)を境にして、急激にズレ動きます。
この「急激なズレの動き」こそが「地震」の正体であり、この現象を「断層運動」と呼びます。
地表への到達と崖の形成
この断層運動によるズレが、地下深くで収まらず、地表にまで達した場合。そして、そのズレに「上下方向の成分」が含まれていた場合(つまり、片方が持ち上がり、もう片方が沈み込むような動き)に、地表面にはっきりと目に見える「段差」ができます。
これが、地震によって断層崖ができる基本的な仕組みです。もしズレが主に水平方向(横ずれ)だった場合は、崖というよりは、川や道、尾根などが横にズレる「食い違い」として現れることが多くなります。
ズレの累積と地形の変化
1回の大地震でできる断層崖の高さは、多くの場合、数十cmから数m程度だと言われています。これだけでも大変なことですが、活断層の恐ろしさは「繰り返し動く」ことにあります。
同じ場所で、数千年、数万年という非常に長い時間をかけて地震(断層運動)が繰り返し起こると、そのたびに生じる数十cm〜数mの段差がどんどん積み重なっていきます。その結果、最終的には高さが数百mにもなるような巨大な崖や、さらには山地(断層山地)といった大規模な地形が作られることもあるんです。
正断層と逆断層のでき方

断層には、岩盤に加わる力の向きによって、主に3つのタイプがあります。「横ずれ断層」は先ほどお話ししたように、主に水平にズレるので、ここでは崖のでき方に大きく関わる、上下にズレる2つのタイプ、「正断層」と「逆断層」について詳しく見てみましょう。
断層の主な種類と崖のでき方
- 正断層(せいだんそう):引っ張る力 地殻が左右に「引っ張られる」力(引張応力)がかかる場所でできやすい断層です。断層面を境にして、片方の岩盤(専門用語で上盤うわばんといいます)が、もう片方(下盤かばん)に対して、斜面を滑り落ちるように動きます。その結果、落ち込んだ側(沈下した側)に崖ができます。日本では火山地域や、九州や東北の一部など、地殻が引き延ばされている場所で見られることがありますね。
- 逆断層(ぎゃくだんそう):押す力 地殻が左右から「押される」力(圧縮応力)がかかる場所でできます。これは正断層とは逆に、片方(上盤)がもう片方(下盤)に乗り上げるように動きます。その結果、持ち上がった側(隆起した側)の縁に崖ができます。四方をプレートに押されている日本列島では、この逆断層タイプ(あるいは横ずれの成分も含む「逆横ずれ断層」)の活断層が非常に多いと言われています。
- 横ずれ断層:すれ違う力 岩盤が水平方向にすれ違うように動く断層です。明確な上下動が少ないため、直接的な崖はできにくいですが、川の流路を曲げたり、尾根をズラしたりする特徴的な地形を作ります。
このように、力の加わり方によって、崖の現れ方や地形のズレ方が変わってくるんですね。
断層崖の侵食と崖錐

地震でできたばかりの断層崖は、まさに「大地の裂け目」といった感じで、非常に鋭く切り立った崖になっていることが多いです。
できたての断層崖は鋭い
地震直後は、新鮮な岩盤や土の層がむき出しになり、場合によっては崖に生えていた木々が倒れたり、宙吊りになったりしていることもあります。非常に「新鮮な」崖面が見られるわけです。
風化・侵食による変化
しかし、むき出しになった崖は、当然ながら不安定です。雨が降れば土砂が流れ、風に吹かれ、その後の小さな余震や重力によって、崖の肩(崖の上端)からガラガラと崩れ始めます。これを専門的には「風化」や「侵食」と言いますね。
崖錐(がいすい)とは
こうして崖の上部から崩れ落ちた土砂や岩石は、当然、崖のふもとに溜まっていきます。こうしてできた、崖のふもとに広がる扇状のゆるやかな斜面のことを「崖錐(がいすい)」と呼びます。「錐(きり)」という字の通り、崖を頂点にした円錐を半分に割ったような形に溜まっていくイメージです。
時間が経つにつれて、鋭かった崖の斜面はどんどん侵食されて丸みを帯び、ふもとには崖錐が発達して、崖全体の傾斜は緩やかになっていきます。
豆知識:崖錐は「活断層の履歴書」
実はこの「崖錐」は、活断層の調査において非常に重要な手がかりを握っています。
地質学の研究者の方々は、この崖錐の地層を掘って調べる(これをトレンチ調査といいます)ことで、いつごろ崖が崩れたのかを特定しようとします。崖が崩れた時期 = その直前に崖ができた時期 = つまり「断層が動いた(地震が起きた)時期」を推定できるわけです。
さらに、崖錐の地層の中に、過去に何度も崩れた証拠が見つかれば、「この断層は、だいたい何年おきに動いている」といった、活断層の活動周期(活動間隔)を知るための貴重な「履歴書」になるんですね。
根尾谷断層など断層崖の例

日本国内で、断層崖の例として最も有名で、よく教科書などでも紹介されるのが、岐阜県にある「根尾谷(ねおだに)断層」です。
濃尾地震と根尾谷断層
これは、1891年(明治24年)に発生した濃尾地震(マグニード8.0と推定される巨大地震)の際に活動した断層です。
この地震では、地表に最大で約6mもの上下のズレ(断層崖)が出現した場所があり、当時の人々に大きな衝撃を与えました。現在も岐阜県本巣市には「地震断層観察館」があり、地表に現れたズレの断面(断層崖そのもの)を、当時の状態のまま(国指定の特別天然記念物です)実際に見ることができる、世界的に見ても非常に貴重な場所になっています。
阪神淡路大震災と野島断層
もう少し最近の例では、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)の際に、淡路島に出現した「野島断層」も有名です。この断層も、地表に最大で1〜2m程度の段差(断層崖)や横ずれを伴うズレが現れ、その一部は「北淡震災記念公園」で保存・公開されていますね。
その他の例(木津川断層崖など)
ほかにも、京都府南部から奈良県にかけて延びる「木津川断層崖」のように、1回の活動ではなく、非常に長い期間にわたる断層運動の「累積」によって形成されたと考えられる、大規模で直線的な崖(断層崖)も、日本の各地に存在しています。

断層の崖の見分け方とでき方を知る防災

さて、断層崖のでき方や仕組みがなんとなくイメージできたところで、次のステップです。「じゃあ、目の前にあるこの崖は、断層崖なの? それとも違うの?」という見分け方のヒントや、その知識が私たちの防災とどう関わってくるのかについて、具体的にお話ししていきますね。このセクションを読み終わると、いつもの地図を見る目が少し変わるかもしれませんよ。
断層崖と段丘崖の違い

私たちが普段の生活で「崖」として認識している地形の多くは、実は「断層崖」ではなく、「段丘崖(だんきゅうがい)」と呼ばれるものである可能性が高いです。
「段丘崖」とは、河岸段丘(かがんだんきゅう:川沿いにある階段状の地形)や海岸段丘(かいがんだんきゅう:海沿いの階段状の地形)の、「段」と「段」の間の急斜面(崖)のことです。
これらがどうやってできたかというと、その主な原因は、川の流れや波の力によって地面が「削られた」こと(侵食作用)や、あるいは土地そのものの隆起と海面の高さの変動が組み合わさったりしてできたものです。
つまり、断層崖が「地殻のズレ」という内的要因(地球内部の力)でできるのに対し、段丘崖は「水による侵食」という外的要因(地球表面の力)が主な原因、という点で大きな違いがあります。
見分け方の最大のヒントは、やはり「形」かなと思います。
| 断層崖 | 段丘崖(河岸段丘など) | |
|---|---|---|
| でき方(主因) | 断層運動(地殻のズレ) | 河川や波による侵食、地盤隆起 |
| 崖の形状 | 直線的に長く続くことが多い | 曲線的(川の流れなどに沿って曲がる) |
| 連続性 | 数km~数十km続くことがある | 川沿いや海岸線に沿う |
なぜ断層崖が直線的になりやすいかというと、地下の岩盤が割れる「断層面」という「面」が、地表と交わって「線」として現れるためです。一方で、段丘崖は川の流れや海岸線に沿って削られてできるため、自然と曲線的な(蛇行した)形になりやすいんですね。
注意点:実際には見分けが難しいことも
これはあくまで典型的な特徴の比較です。実際には、「断層運動で土地が隆起し、そこを川が削って段丘ができた」というように、両方の作用が組み合わさっている(複合的な)地形も非常に多いです。
また、断層でできた崖が、その後に川によって削られて形が変わったり、一部が段丘崖のようになっていたりすることも多く、専門家でも判断が難しい場合があります。「直線的だから絶対に断層崖だ!」と、単純に決めつけるのは難しい、ということは覚えておいてくださいね。

崖の種類と断層の見分け方

断層崖、段丘崖のほかにも、崖にはいろいろな種類があります。
- 海食崖(かいしょくがい):波の侵食で削られた、海岸沿いの崖。
- 地すべり崖(じすべりがけ):地すべりが起きた時、滑り落ちた土砂の上端(頭部)にできる、馬蹄形(U字型)や円弧状になりやすい崖。
こうした様々な崖の中で、「これは断層による崖(あるいは断層の影響を強く受けた崖)かも?」と見分けるための最大のヒントは、やはり「直線性」とその「長さ(連続性)」です。
川の侵食や地すべりでできる崖が、数km、数十kmにわたって、まるで定規で引いたかのように「まっすぐ」であり続けることは、地形のでき方として非常に不自然です。
もし、地図や航空写真を見て、山すそや丘陵地、あるいは平野の中に、不自然なほどまっすぐな崖や斜面のラインが長く続いている場所があれば、それは地下に断層(あるいは活断層)が存在する可能性を示す、重要なサインかもしれません。
地図や航空写真で見てみよう
最近は、国土地理院が提供している「地理院地図」などで、誰でも簡単に詳細な地形図や航空写真、さらには土地の凹凸が非常によくわかる「陰影起伏図」や「赤色立体地図」などを見ることができます。
ご自身の住んでいる地域や、気になっている場所を拡大して、こうした「直線的な地形」がないか探してみるのも、防災意識を高める一つの方法かなと思いますよ。
断層崖の地形的な特徴

「直線的」という全体的な特徴以外にも、断層(特に活断層)が繰り返し動くことによって作られる、特徴的な地形の「クセ」のようなものがあります。これらも断層を見分けるヒントになります。
谷や尾根のズレ(水平変位)
特に「横ずれ断層」が卓越する場所では、断層をまたいで、谷や山の尾根が「カクッ」と折れ曲がったり、お互いに食い違ったりしているように見えることがあります。これは、断層運動によって文字通り地形が水平方向にズラされた証拠です。「系統的なズレ」と呼ばれることもありますね。
川の流路の異常(屈曲・流路変更)
川の流れが、断層のラインにぶつかって不自然に直角に曲がったり(屈曲)、断層に沿ってまっすぐ流れるようになったり(断層線谷)、あるいは断層運動による隆起に阻まれて、昔と流れが変わってしまったり(流路変更)することがあります。
土地利用の境界や集落の立地
断層崖は、はっきりとした「高低差」を生みます。この高低差は、水はけ(崖の上は水はけが良く、下は悪い)、日当たり、あるいは防御(昔のお城や集落の立地)といった観点から、昔から人間活動に大きな影響を与えてきました。
そのため、古い地図を見ると、断層崖のラインがそのまま田んぼと畑の境界、あるいは集落の縁(ふち)になっていることも少なくありません。これは、先人たちが無意識のうちに(あるいは経験的に)地形の違いを認識し、土地を利用してきた結果とも言えるかもしれませんね。
活断層崖とリニアメント

さて、ここまで「断層崖」という言葉を使ってきましたが、防災の観点から私たちが特に注意すべきなのは、その中でも「活断層」によってできた崖、すなわち「活断層崖」です。
「生きている」断層=活断層
「活断層」とは、断層の中でも特に「最近の地質時代(おおむね過去数十万年以内)に繰り返し活動した証拠があり、今後も活動する可能性が高い」と判断された断層のことを指します。まさに「生きている」断層ですね。
日本列島のような変動帯では、過去に一度だけ動いた「古い断層(非活断層)」も無数にありますが、防災上、私たちが警戒すべきは、この「活断層」です。
活断層崖(低断層崖)
そして、この活断層が動いてできた崖が「活断層崖」です。特に、比較的最近の活動(例えば数千年前~数万年前)によってできた、高さが数m程度の比較的新しい崖は「低断層崖」と呼ばれることがあります。
こうした低断層崖は、その活断層が「ごく最近まで活動していた」という動かぬ証拠であり、活断層の活動度(どれくらいの頻度で動くか)を評価する上で、非常に重要な手がかりになります。
リニアメントとは?(地形の直線模様)
活断層崖や、活断層に沿ってできた直線的な谷(断層線谷)などは、航空写真や地形図で見ると、「リニアメント(Lineament)」として認識されることが多いです。
リニアメントとは、地表に見られる「直線的な模様や地形の並び」の総称です。これがすべて活断層というわけでは、もちろんありません(人工的な造成地や、地層の違いが直線的に見える場合もあります)。
しかし、活断層の多くはリニアメントとして現れるため、専門家は航空写真や、最近では航空レーザー測量(木々の下まで地表の凹凸がわかる技術)のデータを使って、このリニアメントを丹念に探し出し、それが本当に活断層なのかどうかを現地で調査しているんです。
活断層とはどんな場所か

では、その警戒すべき活断層は、具体的にどんな場所にあるのでしょうか。
結論から言うと、残念ながら日本は地震大国であり、活断層は北海道から沖縄まで、全国各地に分布しています。専門機関の調査によると、日本国内でわかっている(名前がついている)主要な活断層だけでも約100あり、わかっている活断層の総数は約2,000にもなるとされています。
活断層の真上で大地震(M7クラス以上)が起きた場合、私たちが経験する「揺れ」による被害(家屋の倒壊や火災など)に加えて、「地表地震断層」と呼ばれる、地面そのものが突然数十cm~数mもズレ動く現象が発生する可能性があります。
もし、そのズレ(断層崖や地割れ)の直上に建物や道路、ライフライン(水道・ガス管)があったらどうなるか…それは想像に難くありませんよね。建物は引きちぎられるように破壊されてしまいます。
だからこそ、自分たちの住む地域や、これから住もうと考えている場所に、活断層があるか、あるとすればどこを通っているかを事前に知っておくことは、防災の第一歩として非常に重要なことなんです。
ハザードマップや国のデータベースで活断層を確認しましょう
「じゃあ、どこで調べればいいの?」と思いますよね。
まずは、お住まいの自治体(都道府県や市町村)が公開している「地震ハザードマップ」を見てみてください。そこには、想定される震度(揺れの強さ)と共に、被害を及ぼす可能性のある活断層の位置が示されている場合があります。
また、より専門的な情報として、国の機関である「地震調査研究推進本部」が、日本全国の活断層の場所や性質、危険度(長期評価)を調査し、その成果をインターネットで公開しています。こうした一次情報を確認することも非常に重要です。(出典:地震調査研究推進本部『活断層の長期評価』)
ハザードマップの見方や、いざという時のための備えについては、当サイトの他の記事でも詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にしてみてくださいね。

防災と断層、崖のでき方まとめ

今回は、「断層と崖のでき方」という、少し地学的なテーマでお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか。
断層による崖のでき方を知ることは、単なる雑学や「へぇ~」という知識にとどまらない、と私は考えています。
それは、私たちが暮らすこの大地が、決して不変のものではなく、地球内部の巨大なエネルギーによって常に動いている「生きている」場所であることの証拠に他なりません。
そして、その「動き」の証拠として刻まれた地形(断層崖やリニアメント)は、過去にそこで大きな地震が起こったことを示し、同時に、未来もそこで地震が起こりうる可能性を示唆している、私たちへの「警告」でもあるんです。
もちろん、すべての崖が危険というわけでは決してありません。しかし、旅行先やご自身の生活圏で「不自然な直線的な崖」や「不思議な段差」を見かけたら、「もしかしたらここは、大地の“クセ”がある場所なのかもな」と、少しだけ防災意識のアンテナを立ててみる。
地形を知ることは、その土地の成り立ち(歴史)と、そこに潜むリスクを知ること。それが、防災士として私がお伝えしたい一番のメッセージかもしれませんね。
土地の安全性に関するご注意
この記事で紹介した内容は、あくまで一般的な地形の特徴や防災に関する知識の解説です。特定の土地の安全性を保証したり、逆に危険性を断定したりするものでは一切ありません。
ご自宅の耐震性、あるいは土地の購入や大規模な建築などを計画・検討される際に、地盤や活断層に関する具体的な不安や確認事項がある場合は、自己判断せず、必ず国土地理院や自治体が公表している最新のハザードマップや詳細な地質図を確認するとともに、信頼できる地盤の専門家や建築士にご相談ください。
