MENU

3月は過去に災害が多い?事例と教訓を防災士が解説

震災で崩れたコンクリートの防波堤の隙間に咲く黄色い水仙とピンクの花。残雪がある海岸の向こうには、復興した住宅地と雲間から光が差す海が広がっている。

3月は過去に災害が多い?事例と教訓を防災士が解説

こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。

日差しの中に春の温もりを感じる日が増えてくる3月。卒業や転勤、進学など、新しい生活に向けた準備で街全体が少しそわそわする時期ですよね。厳しい冬を越えてホッとする季節でもありますが、過去の災害史のページをめくってみると、実は3月は日本にとって「試練の月」と言っても過言ではないほど、記憶に刻まれる大きな災害が集中している特異な時期なんです。「3月 過去 災害」と検索されたあなたは、きっと「なぜこの時期に?」という疑問や、「もしものために備えたい」という高い防災意識をお持ちのことでしょう。

この記事では、3月に発生した過去の巨大地震や、春特有の気象条件が引き起こす災害のメカニズムを詳しく解説し、過去の事例から私たちが学ぶべき「現代の防災術」について、防災士の視点からわかりやすく紐解いていきます。

  • 3月に発生した過去の主な災害や地震の事例と、その傾向がわかります
  • 「爆弾低気圧」や「融雪」など、春先特有の気象リスクを詳しく学べます
  • 東日本大震災など過去の教訓から、今必要な「複合災害」への備えが見えてきます
  • 新生活や年度末の忙しい時期でも実践できる、具体的な防災アクションがわかります
目次

3月に起きた過去の災害とその特徴

早春の街で空を見上げながら防災について考える日本人の親子の様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「災害は忘れた頃にやってくる」と言いますが、3月の災害史を振り返ると、季節の変わり目であるがゆえの必然性も見えてきます。まずは、実際に過去の3月にどのような災害が起きているのか、具体的な事例とその特徴を見ていきましょう。

日本で3月に多い過去の災害一覧

日本列島模型と自然現象のミニチュアを並べて災害の種類を学ぶ家庭学習の風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

過去に3月に発生した主要な災害を時系列で整理しました。地震だけでなく、気象条件や社会的な要因が絡み合った災害も多く、この時期のリスクがいかに多岐にわたるかがわかります。

発生年月日災害名主な特徴・教訓
2017年3月27日那須雪崩事故表層雪崩、春山リスク、正常性バイアス
2011年3月11日東日本大震災M9.0巨大地震、巨大津波、原子力災害の複合
2005年3月20日福岡県西方沖地震都市直下型、未知の断層リスク、ガラス被害
1997年3月11日動燃東海事業所火災化学工場火災、放射能漏洩、管理体制の不備
1945年3月10日東京大空襲大規模火災、強風下の火災旋風、都市の脆弱性
1933年3月3日昭和三陸地震大津波、「津波てんでんこ」、高台移転の課題
1927年3月7日北丹後地震直下型地震、厳冬期の避難、夕食時の火災併発

こうして一覧にしてみると、3月は単なる「冬の終わり」ではなく、気象学的にも地質学的にもエネルギーが解放されやすい不安定な時期であることがうかがえます。特に、地震と雪害、そして火災のリスクが混在している点が、他の季節とは異なる3月の大きな特徴です。

3月に発生した過去の大きい地震

地震発生を想定してテーブルの下で身を守る日本人家族の訓練風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

日本の災害史において、3月は巨大地震が頻発している月として強く記憶されています。単なる偶然かもしれませんが、プレート境界での圧力の解放がこの時期に重なることが過去に多かった事実は無視できません。

最も衝撃的だったのは、やはり2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)です。3月11日14時46分に発生したこの地震は、マグニチュード9.0という国内観測史上最大のエネルギーを放出しました。揺れそのものによる被害に加え、最大遡上高40mを超える巨大津波、そして原子力発電所の事故が連鎖し、近代日本の防災体制の想定を根本から覆しました。

また、歴史を遡れば、1933年の昭和三陸地震も3月3日に発生しています。この地震もM8.1という巨大なエネルギーを持ち、大津波によって三陸沿岸に壊滅的な被害をもたらしました。さらに、2005年の福岡県西方沖地震(3月20日)や、1927年の北丹後地震(3月7日)のように、海溝型だけでなく内陸や沿岸部の活断層による直下型地震も3月に発生しています。

「安全な場所」は存在しない

福岡県西方沖地震が発生するまで、福岡周辺は「地震が少ない地域」と言われていました。しかし、過去の事例は「日本に地震の空白地帯はない」という事実を私たちに突きつけています。3月は特に、自分の住む地域の活断層リスクを再確認する良い機会かもしれません。

過去の3月は火事などの災害も発生

乾燥した春の住宅街で火災に注意する様子を表現したイメージ
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

「3月は火の用心」と言われるのには、明確な気象学的な理由があります。この時期は、大陸からの乾いた高気圧の影響で空気が極端に乾燥しやすく、さらに春特有の強い風が吹くためです。

歴史的な大火の事例を見ると、この傾向は顕著です。1700年3月27日に発生した名古屋元禄の大火では、強風にあおられて火の手が広がり、城下町の西半分近くが焼失しました。また、1945年3月10日の東京大空襲は戦争による惨禍ですが、被害を拡大させた要因の一つとして、この時期特有の「季節風(強い北西風)」が挙げられます。この風が火災を煽り、巨大な「火災旋風」を引き起こしたのです。

現代においても、日本海側を中心に発生するフェーン現象などで、3月に異常乾燥注意報が発令されることは珍しくありません。湿度が低く風が強い日は、小さな火種があっという間に広域火災につながる恐れがあるため、屋外での火の取り扱いはもちろん、コンセント周りのトラッキング現象などにも十分な警戒が必要です。

3月の爆弾低気圧や気象災害のリスク

強風が吹く中でベランダの物を片付ける日本人親子の様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

3月の天気予報でよく耳にする「春一番」ですが、これは防災の観点からは「災害級の暴風への警告」と捉えるべきです。3月は、冬の冷たい空気と春の暖かい空気が日本付近で激しくぶつかり合う時期です。この温度差がエネルギーとなり、温帯低気圧が台風並みに急速に発達することがあります。これが、いわゆる「爆弾低気圧(春の嵐)」です。

爆弾低気圧の特徴は、台風とは異なり、強風の範囲が非常に広いことです。2012年4月(3月末からの気圧配置の影響)に発生した爆弾低気圧の事例では、日本全国で暴風が吹き荒れ、建物の損壊やトラックの横転、交通機関の完全麻痺など、甚大な被害が発生しました。「台風じゃないから大丈夫」という油断は禁物です。看板が飛ぶ、屋根が剥がれるといった風害のリスクは、台風シーズンと同等かそれ以上になることもあるのです。

雪崩や事故など3月の災害事例

春山で雪面の状態を確認しながら安全に行動する登山者
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

雪国にお住まいの方や、春スキーを楽しむ方にとって、3月は「雪の脅威」が形を変えて襲ってくる時期でもあります。気温の上昇に伴い、積もっていた雪の結合が緩むことで、雪崩融雪洪水のリスクが急激に高まるからです。

特に恐ろしいのが「表層雪崩」です。2017年3月27日、栃木県那須町で高校生らが巻き込まれた那須雪崩事故は、まだ記憶に新しい悲劇です。この事故では、古く硬くなった雪の層の上に、春の湿った重い新雪が降り積もり、その新雪部分が一気に滑り落ちることで発生しました。3月の雪山は、天候が急変しやすく、一見穏やかに見えても足元の雪の状態は極めて不安定であることを忘れてはいけません。

融雪型火山泥流のリスクも

もし積雪期に火山が噴火すると、熱で大量の雪が一気に溶け、「融雪型火山泥流」となって麓の街を襲う可能性があります。過去には1410年の那須岳噴火などで被害が出ており、火山周辺地域ではハザードマップで「泥流到達予想範囲」を確認しておくことが重要です。

3月の過去の災害をわかりやすく解説

リビングで防災について話し合う日本人家族の団らん風景
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまで、3月に潜む様々なリスクを概観してきました。ここからは、特に私たちに大きな教訓を残した災害や、3月という時期ならではの社会的な背景について、もう少し深く掘り下げて解説していきます。

東日本大震災の甚大な災害被害

海を見下ろす高台から復興した街並みを見つめる家族の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

福島県で活動する防災士として、3月11日の東日本大震災については、改めてその特異性を強くお伝えしなければなりません。この災害が私たちに突きつけた最大の課題は、「広域複合災害」への対応の難しさでした。

地震発生直後、激しい揺れによって建物が損壊し、同時に大津波が沿岸部を襲いました。さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生したことで、被災地への救助ルートが制限され、本来行われるべき支援活動が困難を極めました。ガソリン不足、通信の途絶、食料の枯渇、そして放射能への不安。これらが同時に、しかも広範囲で発生したのです。

消防庁の記録によれば、この震災による死者・行方不明者は2万人を超えています(出典:総務省消防庁『平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について』)。この数字の向こう側には、一つ一つの生活があり、未来がありました。この災害は、想定外の事態が重なったとき、既存の社会システムがいかに脆いかということを如実に示しました。

複合災害への備えとは?

「避難所に行けばなんとかなる」という考えだけでは、複合災害は乗り越えられないかもしれません。自宅避難の可能性も視野に入れ、電気・ガス・水道が止まった状態で1週間以上生活できる備え(水、食料、簡易トイレ、カセットコンロなど)を、今のうちに本気で見直してみましょう。

昭和三陸地震に見る津波の脅威

高台から海を見渡し津波避難を意識する日本人親子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

1933年(昭和8年)3月3日の昭和三陸地震もまた、私たちに重要なメッセージを残しています。この地域は1896年(明治29年)にも大津波に襲われており、わずか37年という、一人の人間が生きている間に二度の壊滅的な被害を受けたことになります。

この地震の後、多くの集落で高台移転が進められましたが、時が経つにつれ、生活の利便性から再び低地に家が建ち始めた地域もありました。その結果、後の東日本大震災で再び被害を受けてしまった場所もあります。一方で、「津波てんでんこ(津波が来たら、肉親にも構わず各自てんでばらばらに高台へ逃げろ)」という教訓を徹底し、犠牲者を最小限に抑えた地域もありました。

この歴史が教えてくれるのは、「ハード(防潮堤など)の対策には限界があり、最後はソフト(避難行動や伝承)が命を守る」ということです。3月という節目の時期に、家族で「もし今ここで揺れたらどこに逃げるか」を話し合うことこそが、最も確実な防災対策になります。

3月特有の社会的な災害要因

引っ越し直後の部屋で家具固定作業を行う日本人夫婦
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

3月が災害リスクを高める要因は、自然現象だけではありません。私たち人間の社会活動、つまり「年度末」というタイミングも大きく関係しています。

3月は、企業の決算、学校の卒業、進学、就職に伴う引越しなど、日本社会全体が最も慌ただしく動く時期です。過去の産業事故の事例を見ても、こうした繁忙期特有の焦りや、人の入れ替わりによる引継ぎミス、管理体制の隙が、重大な事故の背景要因になったケースが指摘されています。

また、防災の観点から特に懸念されるのが「新生活に伴う災害弱者(地理不案内者)の増加」です。引越したばかりの土地で被災すると、避難所がどこにあるかわからないだけでなく、近所に頼れる知り合いもいないため、孤立してしまうリスクが非常に高くなります。新生活のスタート地点は、実は防災的には最も無防備になりやすいタイミングなのです。

3月の災害に備える防災対策

防災リュックの中身を家族で点検している様子
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

では、こうした3月特有の複合的なリスクに対して、私たちは具体的にどう行動すればよいのでしょうか。今の時期だからこそやっておきたい、実践的な対策をご紹介します。

1. 「春一番」予報をトリガーに行動する

天気予報で「春一番」という言葉を聞いたら、それを単なる季節の便りではなく「警報」と捉えてください。ベランダの物干し竿を下ろす、自転車を固定するなど、風害への対策を即座に行いましょう。

2. 引越し当日の「家具固定」が命を守る

新居に入居したその日が勝負です。荷物を解く前に、まずは寝室の家具の転倒防止対策を行ってください。家具の中に物が入っていない状態なら作業も楽ですし、何より「最初の夜」から安心して眠ることができます。

3. 3.11を「防災点検の日」にする

年に一度、3月11日を「備蓄を見直す日」と決めてしまうのもおすすめです。冬用の防寒グッズを少し減らして春・夏仕様に入れ替えたり、非常食の賞味期限をチェックしたりするローリングストックのサイクルを作りましょう。

特に、災害発生直後の行動が生死を分けます。やってはいけない行動を知っておくことも立派な備えです。ぜひ以下の記事も参考にしてください。

地震発生時やってはいけないこと10選!命を守るNG行動とは

3月の過去の災害から学ぶまとめ

夕暮れの公園を防災リュックを背負って歩く家族の後ろ姿
ふくしまの防災 HIH ヒカリネット・イメージ

ここまで、3月に起きた過去の災害事例やそのリスクについて、詳しくお話ししてきました。最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。

  • 3月は東日本大震災をはじめ、歴史的に見ても巨大災害が集中しやすい「特異日」のような側面があります。
  • 爆弾低気圧による暴風や、融雪による雪崩など、春特有の気象変化がリスクを増幅させます。
  • 年度末や新生活の繁忙期は、社会的な隙や防災の空白期間が生まれやすいため、意識的な備えが必要です。
  • 過去の悲しい記憶を単なる知識に留めず、現代の生活に合わせた具体的なアクションに変えていくことが大切です。

暖かな春の陽気を感じると、つい警戒心も緩みがちになります。しかし、3月は自然界にとっても社会にとっても「大きな変化のとき」であり、それは同時に「不安定さ」を内包しているということでもあります。

過去の事例をただ怖がるのではなく、「そういえば、3月はこんなリスクがあったな」と思い出すきっかけにしてください。そして、もしもの時に自分と大切な人の命を守れるよう、できることから一つずつ備えを始めてみましょう。

「何から揃えればいいかわからない」という方は、まずは普段のバッグに入れて持ち歩ける「0次防災」から始めてみるのがおすすめです。

0次防災グッズ|防災ポーチで始める日頃の備え

正しく知り、正しく恐れ、そして賢く備える。そんな3月を過ごして、素晴らしい春を迎えていただければと思います。

この記事を書いた人

後藤 秀和(ごとう ひでかず)|防災士・株式会社ヒカリネット 代表
福島県で東日本大震災を経験したことをきっかけに、防災士の資格を取得。
被災経験と専門知識をもとに、本当に役立つ防災用品の企画・販売を行っています。
運営するブランド「HIH」は、個人家庭だけでなく企業・団体・学校にも多数導入され、全国の防災力向上に貢献しています。
被災経験者としてのリアルな視点と防災士としての専門性を活かし、安心・安全な備えを提案しています。

目次