虹ができる仕組みを小学生向けに解説!光と水の秘密

🌈 虹ができる仕組みを小学生向けに解説!光と水の秘密
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
雨が上がったあとに、空に大きな虹がかかっているのを見つけると、なんだか嬉しくなりますよね。でも、お子さんから「虹ってどうしてできるの?」「なんで7色なの?」と聞かれたら、どう説明しますか?
虹がなぜできるのか、その理由や色の順番、なぜ丸い形をしているのか、不思議に思うかもしれません。中には、二重の虹(ダブルレインボー)を見つけたり、虹に近づけないのはなぜか、という疑問もあるかも。おうちでできる簡単な実験や作り方で、その秘密を探ってみたいですよね。
この記事では、虹ができる仕組みについて、小学生にもわかりやすいよう、光と水の秘密を一緒に見ていきたいと思います。虹のふしぎを、科学の目で解き明かしていきましょう。
- 虹がなぜ7色に見えるのかがわかる
- 虹ができるために必要な条件がわかる
- おうちでできる簡単な虹の実験方法
- 虹に関するふしぎな雑学
虹ができる仕組みを小学生向けに解説

まずは、虹ができる「仕組み」の基本を見ていきましょう。虹は、まるで魔法のように見えますが、実は太陽の光と空気中の水のつぶが協力して作り出す、自然の科学ショーなんですね。
虹はなぜできるの?

とってもかんたんに言うと、虹は「太陽の光が、空気の中にあるたくさんの小さな水のつぶに当たって、色が分かれて見える」現象です。
雨が降ったあとには、まだ空気中に目に見えないくらいの小さな水のつぶ(水滴)がたくさん浮かんでいます。そこに太陽の光が当たると、その一つ一つの水のつぶが、理科の実験で使う「プリズム(光を分けるガラスの三角形)」のような働きをします。
太陽の光がこの「水のプリズム」を通り抜けるときに、光が分解されてきれいな色が見えるんですね。
だから、虹を見るためには「太陽の光」と「水のつぶ」の両方が必要なんです。どちらか一つでも欠けると、虹は現れてくれません。
太陽の光と水のつぶがカギ

ふだん、私たちが「白い光」と感じている太陽の光。実は、あの白い光には、虹の7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)が全部混ざっているんです。
絵の具は色を混ぜると黒っぽくなりますが、光の場合は、たくさんの色の光が全部いっしょになると、私たちの目には「白」や「透明」に見えるんですね。不思議ですよね。
その混ざった光が、雨上がりの「水のつぶ」にぶつかります。この水のつぶが、光の色を分けるスクリーンのような役割をしている、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
光が水のつぶにぶつかって色が分かれることを「分光(ぶんこう)」、分かれた色の帯を「スペクトル」と呼んだりもします。
光が曲がる「屈折」とは

光には、まっすぐ進む性質(直進)があります。でも、空気中から水の中へ入る時など、違うものに入っていく瞬間に、進む向きが「カクン」と曲がるんです。
これを、理科の言葉で「屈折(くっせつ)」と言います。
お風呂やプールで、自分の足が短く見えたり、コップに入れたストローが曲がって見えたりするのも、この「屈折」のせいなんですね。
なぜ曲がるかというと、光が進むスピードが、空気の中と水の中では違うからなんです。まっすぐ進んでいた光が、急にスピードが変わる場所(水面)に斜めにぶつかると、進む向きが変わってしまうんですね。
虹ができる仕組みの、ひとつ目のカギがこの「屈折」です。
光がはね返る「反射」とは

もうひとつのカギは「反射(はんしゃ)」です。
これは分かりやすいかもしれません。鏡に光を当てると、はね返ってきますよね。ボールを壁に投げるとはね返ってくるのと同じです。あれが反射です。
水のつぶに入った光は、そのまま通り抜けるだけじゃなく、一部が水のつぶの奥の壁で「反射」して、Uターンするように私たちの目に戻ってきます。
この「反射」があるから、虹は必ず、太陽と反対側の空に見えるんです。太陽の光が、自分の後ろから飛んできて、目の前にある水のつぶでUターンして、自分の目に届く。これが虹の見える位置です。
虹を探すときは、太陽を背中にして立ってみてくださいね。
虹ができるまでの流れ(水のつぶの中)
- 入る時(屈折①): 太陽の白い光が、水のつぶに入る時、「屈折」して少し色が分かれ始めます(分光)。
- 中で(反射): 色が分かれた光が、水のつぶの奥で「反射」して、Uターンします。
- 出る時(屈折②): Uターンした光が、水のつぶから出る時、もう一度「屈折」して、色がハッキリと分かれます。
- 見える!: きれいに7色に分かれた光が、私たちの目に届きます。
虹の色の順番と理由

虹が7色に見えるのは、光が「屈折」するとき、色によって曲がる角度が少しだけ違うからです。
白い光が水のつぶに入った瞬間、それぞれの色が「いっせーのーで」と曲がるんですが、その曲がり具合が違うんですね。
- 紫の光: たくさん曲がる
- 赤の光: あまり曲がらない(曲がり方が小さい)
この「曲がり方のズレ」によって、それまで一つにまとまっていた白い光が、色の順番にきれいに分かれるんです。
光の色と波長(はちょう)
なぜ色によって曲がり方が違うのかというと、光は「波」の性質を持っていて、色ごとにその「波のカタチ(波長 はちょう)」が違うからです。
かんたんに言うと、赤色の光は波のカタチが「長く(のんびり屋)」、紫色の光は「短く(せっかち)」なイメージです。この波長の違いが、水の中での進み方や屈折の角度の違いを生み出しているんですね。
色の順番は、外側(上側)が「赤」で、内側(下側)が「紫」と、世界中どこでも決まっています。これは、曲がりにくい「赤」が上側に、曲がりやすい「紫」が下側に見えるという、科学的な理由なんですね。
虹はなぜ丸いの?

虹がいつもきれいなアーチ(丸い形)をしているのも、ちゃんと理由があります。
それは、「私たち(見る人)の目から、決まった角度に見えるから」です。
前のセクションで、光が水のつぶで屈折・反射して目に届く、と説明しました。このとき、光が目に戻ってくる「角度」は、色ごとに決まっています。
- 赤い光: たくさんの水のつぶから「約42度」という角度で目に届く
- 紫の光: 同じく「約40度」という角度で目に届く
空を見上げたとき、自分から見て「42度の場所」は、一箇所だけではありません。コンパスで円を描くように、ぐるりと一周、すべて42度ですよね。虹は、その「42度に見える場所」にある水のつぶが一斉に赤く光って見えている状態なんです。
紫の光も「40度の場所」がぐるりと光る。だから虹はきれいな円(アーチ)の形になるんですね。
飛行機からだと丸く見える?
私たちが地上から見る虹は、地面(地平線)があるので「アーチ状(半円)」に見えます。でも、飛行機の上など、さえぎるものがない場所から条件がそろうと、まん丸の虹(円虹 えんこう)が見えることもあるそうですよ。
虹ができる仕組みを小学生向けに探る

虹の基本的な仕組みがわかったところで、次は「いつ見られるの?」や「おうちで虹は作れるの?」といった、もう少し詳しい疑問について探っていきましょう。虹博士になれるかも?
虹ができる条件はいつ?

虹はいつでも見られるわけではありません。いくつかの条件がそろう必要があります。虹を見つけたいときは、以下の3つのポイントを思い出してください。
虹が見える3つの条件
- 「太陽の光」と「水のつぶ」が同時にあること
- 太陽を背中にして見ること
- 太陽の高さが低い「朝」か「夕方」
これらの条件を、もう少し詳しく見てみましょう。
1. 光と水滴が同時に必要
これが一番の基本ですね。虹の材料は「太陽の光」と「水のつぶ」です。
- 雨がやんだ直後: まだ空気中に水滴がたくさん残っている時に、雲のすき間から太陽が顔を出したとき。
- お天気雨(天気雨): 太陽が出ているのに、雨が降っているとき。
- その他: 滝の近く(水しぶき)、噴水、ホースで水をまいている時など。
ザーザー降りの真っ暗な空では、太陽の光が届かないので虹は見えませんね。
2. 太陽を背中にする
これは、虹を探すときの「おやくそく」です。理由は、虹が「反射」した光だからでしたね。太陽の光が、自分の後ろから来て、目の前の水滴でUターンして戻ってくるイメージです。太陽と同じ方向には、絶対に虹はできません。
3. 時間は朝か夕方
虹は、太陽が空の低い位置にある「朝」や「夕方」に見つけやすいです。逆にお昼ごろは、見えにくいんですね。
【理由】 太陽が真上(高い位置)にあるお昼は、虹のアーチも、自分の足元や「地面の下」にできてしまいます。これでは見えませんよね。
太陽が低い位置(朝や夕方)にあると、自分の影は前に長くのびます。虹は、その影の先(太陽と反対側)に、地面から立ち上がるように現れるので、とても見やすくなるんです。
雨をもたらす「前線」が通り過ぎたあとなどは、天気の急変と共に虹が見られるチャンスでもあります。天気の仕組みに興味がある方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。

二重の虹(ダブルレインボー)

たまに、虹の外側にもうひとつ、うすい虹が見えることがありますよね。これは「二重の虹(副虹 ふくこう)」と呼ばれるものです。内側の濃い虹は「主虹(しゅこう)」と言います。
ふつうの虹(主虹)が、水のつぶの中で光が「1回」反射してできるのに対し、二重の虹(副虹)は、水のつぶの中で「2回」反射した光が見えているんです。
色の順番が逆になる
2回反射すると、光が弱くなるのでうすく見え、さらに色の順番がふつうの虹と「逆」になります。
- ふつうの虹(主虹): 外側が赤、内側が紫
- 二重の虹(副虹): 外側が紫、内側が赤
見つけたら、色の順番にも注目してみてくださいね。ラッキーのしるし、なんて言われることもあるみたいです。
月虹(げっこう)という珍しい虹も
虹は太陽の光だけでできるわけではありません。夜、「月(つき)の光」でできる虹もあるんです。これを「月虹(げっこう)」または「ムーンボウ」と呼びます。
月の光は、太陽と比べるととても弱いです。そのため、月虹は非常(ひじょう)にうすく、色も分かりにくく、白っぽいアーチに見えることがほとんどです。
満月の前後の、明るい月が出ている夜に、雨上がりなどの条件がそろうと、ごくまれに見られる現象です。月の不思議については、こちらの記事でも紹介していますよ。

虹の作り方を実験で学ぼう

虹は、空でしか見られないものではありません。おうちにあるものを使って、かんたんに虹を作ることができます。虹ができる「屈折」と「反射」の仕組みを、実験でたしかめてみましょう。夏休みや冬休みの自由研究にもぴったりですね。
簡単にできる虹の実験

ここでは、おうちで試せる虹の作り方を3つ紹介しますね。おうちの人と一緒に、安全に気をつけて試してみてください。
1. 霧(きり)ふき・ホースで虹シャワー
これは、空の虹と一番近い仕組みの実験です。
- 準備するもの: 霧ふき(スプレー)、または水の出るホース
- やり方:
- よく晴れた日(太陽が出ている時)に、外に出ます。
- 必ず「太陽を背中」にします。(自分の影が前にのびるように)
- 自分の影の先(太陽と反対側)に向かって、霧ふきやホースで水を細かくまきます。
- なぜできる?: 自分がまいた小さな水しぶき(水滴)が、空気中の雨粒の代わりになります。そこに太陽の光が当たって「屈折」と「反射」が起こり、本物と同じ仕組みで虹が見えるんです。
2. 鏡(かがみ)と水で虹づくり
お部屋の中でも、虹の色(スペクトル)を作り出せます。
- 準備するもの: コップや洗面器(透明か白っぽいもの)、水、小さな鏡、懐中電灯(スマホのライトでもOK)、光をうつす白い壁や紙
- やり方:
- 容器に水を入れ、その中に鏡をななめに沈めます。
- 部屋を少し暗くして、水の中の鏡に向かって懐中電灯の光を当てます。
- 鏡ではね返った光が、白い壁や紙に当たるように角度を調節します。
- なぜできる?: 壁や紙に、きれいな虹の色が映し出されたら成功です。この実験では、懐中電灯が「太陽」、水が「屈折」、鏡が「反射」の役割をしています。
3. CDやDVDで虹さがし
一番かんたんな方法かもしれません。
- 準備するもの: いらなくなったCDやDVD
- やり方: CDやDVDの、ピカピカしている記録面(データを書き込む面)を見ます。その面を、部屋の電気や太陽の光に当てて、角度をいろいろ変えてみましょう。
- なぜできる?: きれいな虹色が見えますよね。でも、実はこれ…。
🚨 CDの虹は仕組みがちょっと違う?
実は、CDやDVDの虹色は、とてもきれいですが、空の虹(屈折・反射)とは少し仕組みが違います。
CDの表面には、目に見えないほどの細かーい溝(みぞ)がたくさん並んでいます。その溝に光が当たると、「回折(かいせつ)」や「干渉(かんしょう)」という、ちょっと難しい現象が起こります。光どうしがぶつかり合ったり、強め合ったりして、特定の色だけが見えるようになるんですね。
シャボン玉や、水にうかんだ油が虹色に見えるのも、CDと同じ「干渉」という仕組みなんですよ。
虹に近づけないのはなぜ?

「虹のふもと(根元)には宝物がある」なんて言い伝えを聞いたことがあるかもしれませんが、残念ながら、虹に近づいたり、さわったりすることはできません。
なぜなら、虹はビルや木のように、そこに「モノ」として存在(そんざい)しているわけではないからです。
虹は、太陽と、水のつぶと、それを見ている「あなた」の3つの位置関係が作った「ショー(現象)」なんです。テレビのスクリーンに映った映像(えいぞう)にさわれないのと少し似ているかもしれません。
あなたが虹に近づこうと動くと、虹を作っている水のつぶも、自動的に別なものに変わってしまいます。だから、あなたが動くと、虹も同じだけ動いて(逃げて)しまうように見えるんですね。虹は、いつもあなたから「同じきょり」にあるように見える、ふしぎな存在なんです。
虹ができる仕組みを小学生向けに総まとめ

今回は、「虹ができる仕組み」について、小学生向けにできるだけ分かりやすく解説してみたつもりですが、いかがでしたでしょうか。
虹の秘密は、太陽の白い光が、空気中の水のつぶによって「屈折(曲がって)」して、「反射(はね返り)」、7色に分かれて私たちの目に届くことでした。
そして、虹が見えるためには「太陽(光)」「水滴」「見る人の位置(太陽を背にする)」という条件がそろう必要がありましたね。
天気の変化は、時として私たちに大雨や強風などの「災害」をもたらすこともあります。防災士としては、そうした自然の厳しさ(きびしさ)に備えることをいつもお伝えしています。
でも同時に、自然は虹のような、ハッとするほど美しい姿も見せてくれます。
虹のふしぎをきっかけに、空や天気の変化に興味を持って、自然のすごさや、時にはその怖さ(防災)にも目を向けてもらえたら、とても嬉しく思います。

