地球の誕生は何年前?どうやってできた?

地球の誕生は何年前?どうやってできた?
こんにちは。「ふくしまの防災 HIH ヒカリネット」防災士の後藤です。
「地球の誕生は一体何年前なんだろう?」「そもそも地球ってどうやってできたの?」
こういった疑問って、ふとした時に浮かびますよね。私も防災の観点で地球の活動について考えることがありますが、その「始まり」について考えると、とてもスケールが大きくて圧倒されます。
地球の年齢が46億年前だとか、最初はマグマオーシャンだったとか、原始の海で生命の誕生がいつ、どこであったのか、そして酸素はいつできたのか…
考え始めると、とても壮大でロマンのある話だなと思います。夜空を見上げながら、この星の歴史に思いを馳せることもありますね。
この記事では、そんな地球の誕生に関する「どうやってできた?」や「何年前?」という疑問について、最新の科学的なお話を少し分かりやすく、中学生の皆さんにも伝わるように、かみ砕いてご紹介していこうかなと思います。
- 地球の年齢が「46億年」と「45.4億年」な理由
- 地球が宇宙のチリから誕生した具体的な流れ
- 月や海、酸素がどうやってできたかの仮説
- 最初の生命がいつ、どのように誕生したか
地球の誕生は何年前?どうやってできたか解説

まずは、地球の年齢という「時間」と、地球が形作られた「プロセス」という、一番基本的なところから見ていきましょう。どうやってその年齢が分かったのか、その測定方法も、科学のすごさを感じられて面白いですよ。
地球の年齢は46億年?45.4億年?

まず、地球の年齢についてですね。「46億年」って聞いたり、「45.4億年」って書いてあったり、どっちが本当?と思うかもしれません。
これ、実はどちらも間違いじゃないんです。結論から言うと、「何を基準にして測るか」の違いなんですね。
「46億年」と「45.4億年」の違い
「46億年」(あるいは45.6億年)の根拠
これは、地球単体ではなく、太陽系全体が形成され始めた時期を指すことが多いです。太陽系で最も古い物質(隕石の中に含まれる「CAI」と呼ばれるカルシウム・アルミニウム包有物など)が固まった年代です。いわば「太陽系の営業開始日」みたいなイメージですね。
「45.4億年」の根拠
これは、太陽系の材料(ガスやチリ)が集まっていく中で、だんだん「地球」という一つの惑星として実質的に完成した(あるいは、地球の材料となった隕石の平均的な年代)と考えられる推定値です。こちらが「地球自身の誕生日」により近い感覚かもしれませんね。
太陽系が形成され始めるのに約46億年かかり、その後の数千万年という時間をかけて地球が現在の大きさや形にまとまった、と考えると分かりやすいかなと思います。
なので、メディアや本によって数字が少し違うのは、こういった精度の違いや、どこをスタート地点と見ているかの違いによるものなんですね。一般的には「およそ46億年前」と言われることが多いかなと思います。
地球の年齢はどうやってわかった?

じゃあ、その「45.4億年」っていうとんでもない数字、どうやってわかったんでしょうか。
「地球で一番古い岩石を調べたんじゃないの?」と思いますよね。私も最初はそう思っていました。でも、違うんです。
なぜ地球の岩石で測れない?
地球は「生きた惑星」です。その表面は、プレートテクトニクス(大陸が動く力)や火山活動、そして雨風による侵食によって、絶えず新しく作り変えられています。
地球が誕生したときに存在したはずの最初の岩石(地殻)は、その後の激しい地質活動によって地下深くのマントルに沈み込み、溶かされてリセットされてしまいました。特に、後で触れる「ジャイアント・インパクト」のような大衝突で、地球全体が溶けた「マグマオーシャン」状態になったことで、それ以前の証拠はほぼ消えてしまったんですね。
宇宙からの証人「隕石」
地球自身の「出生証明書」が失われているため、科学者たちが見たのが、「隕石」です。
なぜ隕石でわかるの?
- 同時形成と共通起源: 隕石(特にコンドライトと呼ばれる始原的なタイプ)と地球や他の惑星は、同じ「原始太陽系星雲」という材料から、ほぼ同時に作られたと考えられています。
- 情報の保存: 隕石の多くは、小惑星の破片などであり、地球のような大規模な地殻変動や溶解を経験していません。そのため、46億年前の情報をそのまま「冷凍保存」したタイムカプセルのような役割を果たします。
つまり、「隕石の年齢 ≒ 地球の年齢」とみなせる、というのが科学的なコンセンサスなんですね。
どうやって測る?「放射性年代測定」
具体的には、「放射性年代測定」という方法を使います。これは、岩石に含まれる特定の「放射性同位体」(親元素)が、時間とともに一定のスピード(半減期)で別の安定した元素(娘元素)に崩壊していく性質を利用した「自然界の時計」のようなものです。
地球の年齢測定で特に重要なのが「ウラン-鉛 (U-Pb) 法」です。隕石が固まった瞬間から、そこに含まれていたウラン(親元素)は、長い時間をかけて鉛(娘元素)へと変わっていきます。このウランと鉛の比率を精密に測定することで、「その岩石が固化してから何年経ったか」を逆算できるわけですね。(出典:国立科学博物館『岩石の年代測定法』)
この時計を使って最も古い隕石群の年齢を測ったら「約45.4億年」という結果が出た。これが、地球の年齢の最も信頼できる推定値とされています。
宇宙のチリから地球ができた仕組み

年齢がわかったところで、次は「どうやってできたか」のプロセスです。現在、惑星形成の理論として最も有力とされているのが「星雲説(せいうんせつ)」というシナリオですね。これは観測事実や物理法則と最もよく合うモデルと考えられています。
すごく簡単にステップで分けると、こんな感じだったと考えられています。
ステップ1:原始太陽系星雲の誕生
約46億年前、宇宙空間に漂う巨大なガス(主成分は水素とヘリウム)と、微細な固体の粒子であるチリ(塵)でできた雲「原始太陽系星雲」がありました。これが私たちの太陽系のすべての材料です。
ステップ2:原始太陽と円盤の形成
この星雲が、何らかのきっかけ(近くで起きた超新星爆発の衝撃波などが仮説としてあります)で重力収縮を開始し、ゆっくりと回り始めました。物質は中心に集まっていき、中心部はどんどん密度が高く、熱くなっていきます。やがて中心部は、自らの重力で核融合を開始する「原始太陽」として輝き始めました。太陽の「赤ちゃん」ですね。
そして、太陽にならなかった残りのガスやチリは、回転しながら遠心力で扁平な円盤状の構造、すなわち「原始惑星系円盤」になりました。この円盤こそが、地球を含むすべての惑星の材料となります。
ステップ3:微惑星の形成(チリから岩石へ)
この円盤の中で、チリ同士が静電気などでくっついたり、衝突したりして、だんだん大きくなっていきます。数ミリサイズの「コンドリュール」と呼ばれる球状の粒子が形成され、それらがさらに集積し、直径数km〜数十kmくらいの「微惑星(びわくせい)」と呼ばれる、無数の小さな天体(岩石の塊)が作られました。
(ちなみに、この「チリから微惑星へ」の成長は簡単ではなく、途中で壊れてしまったりする物理的な障壁があったのですが、星雲内の衝撃波などがうまく働いて、一気に集まることができたのではないか、と考えられています。)
ステップ4:原始地球の誕生(衝突・合体)
こうして誕生した数えきれないほどの微惑星は、似通った軌道で太陽の周りを公転していましたが、お互いの重力によって軌道を乱し、何度も何度も衝突と合体を繰り返しました。
この「共食い」のようなプロセスでは、より大きな重力を持つ微惑星が周囲の小さな微惑星を掃き集め、雪だるま式に成長していきました。数千万年(太陽系形成全体で約1000万年程度)という時間をかけて、最終的に軌道上の材料をほぼ独占した大きな天体、「原始惑星」が誕生しました。
その一つが、私たちの「原始地球」なんですね。壮大な話です。
誕生直後の地球はマグマの海だった

微惑星がとんでもないスピードで衝突しまくってできたわけですから、その運動エネルギーは莫大な熱エネルギーに変わりました。
誕生したばかりの原始地球は、その衝突の熱で、表面全体がドロドロに溶けた灼熱の「マグマオーシャン」に覆われていたと考えられています。地表の温度は1000℃をはるかに超えていたでしょう。
今のような青い海どころか、岩石が溶けたマグマの海だったんですね。
失われた「第一世代の大気」
この時期、地球がその重力で捕らえていた最初の大気(第一世代大気)は、星雲の主成分であった「水素、ヘリウムなどの軽い成分」でした。しかし、これらは誕生から数千万年の間に、若く活発だった太陽から吹き付ける「強い太陽風」によって、残念ながら宇宙空間へ吹き飛ばされてしまったと考えられています。
月の誕生とジャイアント・インパクト

地球ができてから約数千万年〜1億年後、地球の運命を(そして私たちの夜空も)決定づける、太陽系史上最大級の大事件が起こります。
それが「ジャイアント・インパクト(巨大衝突)」説です。
火星くらいの大きさ(直径で地球の半分ほど)の天体(「テイア」と仮称されたりします)が、なんと原始地球に斜めから激しく衝突したというんです。
このとんでもない衝突の結果、2つの(少なくとも2つの)決定的なことが起こりました。
結果1:地球のリセットと核の形成 この衝突によって、原始地球の内部は再びドロドロに溶け、地球の構成物質は激しく混ざり合いました。この時、重い鉄などが中心に沈んで「核(コア)」になり、軽い岩石成分がその周りを覆う「マントル」になる、という現在の地球の内部構造が決定づけられたとされています。
結果2:月の誕生 衝突によって宇宙空間に飛び散った、原始地球のマントルと衝突天体テイアの破片が、地球の周回軌道上で再び集積し、「月」が形成されました。この月が地球の自転軸を安定させ、潮の満ち引きを生み、その後の生命進化にも大きな影響を与えたと考えられています。
私たちが見上げている月が、そんな大事故の産物だったかもしれない、というのは何だか不思議な感じがしますね。
【最新の研究では?】 ちなみに、長らく「地球はジャイアント・インパクトで完全にリセットされた」と考えられてきましたが、最近の研究(2025年)では、「地球は完全にリセットされたんじゃなくて、衝突前の原始地球のかけら(衝突でできたテイアの成分とは異なる)が、地球の奥深く(マントル)にマーブルケーキのように残ってるかも?」なんていう報告も出てきているようです。科学は日々進歩しているんですね。

地球はどうやってできた?生命誕生までの軌跡

さて、灼熱のマグマオーシャンだった地球が、どうやって今のような「水の惑星」「生命の惑星」になっていったんでしょうか。ここからは、海や酸素、そして私たちにつながる「生命」の誕生までの道のりを見ていきたいと思います。
地球の海はどこから来たのか

ジャイアント・インパクトが収束し、灼熱のマグマオーシャンが数億年かけてゆっくりと冷え始めると、地球の内部から活発な火山活動が起こりました。
この火山活動に伴い、地球内部に取り込まれていたガス(水蒸気、二酸化炭素、アンモニアなど)が大量に放出されました。これが地球の「第二世代大気」です。この水蒸気が、やがて冷えて分厚い雲になり、何百万年もの間、雨となって地上に降り注ぎ、「原始の海」ができたと考えられています。(約40億年前頃と推定されています)
でも、そもそも「その水はどこから来たの?」という大きな謎があります。これには、主に2つの説が議論されていますね。
仮説1:宇宙からの「配達」説
最も有力とされてきた説です。地球ができた場所(スノーラインの内側)は、太陽に近すぎて水(氷)は蒸発してしまうため、カラカラに乾いていたはず、という考え方です。では水はどこから来たかというと、太陽系のもっと外側(スノーラインの外)で作られた、水をたっぷり含んだ小惑星(炭素質コンドライトなど)や彗星(氷の塊)が、地球誕生後の数億年間にわたって無数に衝突し、水を「配達」してくれた、というシナリオです。
仮説2:地球での「現地生産」説
いやいや、地球の材料になった「有機物」を含む岩石が、地球内部の地熱などで加熱される化学反応(実験では350℃〜400℃)によって、地球内部で水が作られたんじゃないか?という説も近年の研究で出てきています。
今のところ、どちらか一つというよりは、おそらく両方のプロセスが組み合わさって、今の豊かな海ができたんだろうな、というのが妥当な見方かなと思います。
酸素はいつできた?大酸化イベント

海ができても、まだ大気に「酸素(O2)」はほとんどありませんでした。第二世代大気の主成分は二酸化炭素や窒素、水蒸気だったんですね。
地球の歴史、特に生命の歴史が大きく変わったのが、今から約24億年前。「大酸化イベント(Great Oxidation Event, GOE)」と呼ばれる出来事です。
このとき、海の中で誕生した「シアノバクテリア」という細菌が大活躍(?)します。彼らは、太陽の光を使って「酸素発生型光合成」を始めました。これは、二酸化炭素と水からエネルギー(糖)を作り、副産物として「酸素」を放出する仕組みです。
シアノバクテリアが排出した酸素は、当時の地球環境(無酸素環境)で生きていた多くの嫌気性生物にとっては猛毒でした。これにより、地球規模で大規模な大量絶滅が引き起こされたと考えられています。
皮肉なことに、この「大酸化イベント」こそが、酸素を利用する(より効率的なエネルギー代謝を行う)我々のような好気性生物の進化を可能にする土台となったわけですね。生物が地球の環境そのものを劇的に作り変えた、最初で最大級の事例と言えるかもしれません。
最初の生命はいつ誕生した?

では、肝心の「生命」はいつ誕生したんでしょうか。
現在見つかっている、最も古い「生命の痕跡(細胞の化石)」は、約35億年前の地層から複数発見されています。
ここで面白いのが、地球の歴史における「空白期間」です。
生命誕生までの「失われた10億年」
- 地球の誕生が約45.4億年前。
- 海の形成が始まったのが約40億年前頃(推定)。
- しかし、最古の生命の化石は約35億年前。
つまり、地球が誕生してから最初の生命が確認されるまでに、約10億年もの(あるいは海ができてから数億年の)間があるんです。
生命がいつ、どのように誕生したのか、その正確な瞬間は化石に残っていません。海ができてから35億年前までの、どこかのタイミングで、ジャイアント・インパクトのような激動の環境を生き延びて、最初の生命は産声をあげたはずなんですね。
最初の生命はどんな姿だった?

じゃあ、その最初の生命って、どんな姿だったんでしょうか?
今の私たちの体は、遺伝情報の「設計図」であるDNAと、実際に体を作ったり働いたりする(酵素などの)タンパク質でできています。
でも、これには有名な「鶏と卵」の問題があります。
生命の「鶏と卵」問題
- DNA(設計図)を複製するためには、タンパク質(酵素)の働きが必要です。
- しかし、そのタンパク質(酵素)を作るための情報は、DNA(設計図)に書かれています。
どっちが先だったのか? 最初の生命が、こんな複雑な仕組みをいきなり持っていたとは考えにくいですよね。
そこで出てきた有力な仮説が「RNAワールド」説です。
「RNAワールド」仮説とは?
「RNA」という物質は、なんだかDNAと名前が似ていますが、すごい特徴を持っています。
なんと、「設計図(遺伝情報)」としての役割と、「酵素(化学反応)」としての役割(リボザイムと呼ばれます)を、一人二役でこなせるんです。
つまり、最初の生命は、このRNAが主役の世界(RNAワールド)で誕生したんじゃないか、と。そして、進化の過程で、より安定して情報を保存できる「DNA」と、より高機能な触媒である「タンパク質」に、徐々に役割を分担させて、現在の「DNAワールド」へと移行した、というシナリオです。
すごく賢い仕組みだなと感心してしまいますね。
地球の未来と太陽の寿命

46億年の歴史を見てきましたが、最後に「地球の未来」についても少し。防災士として、地球の将来というのはやっぱり気になります。
地球の運命は、地球自身の活動(火山や地震)によってではなく、その母なる恒星である「太陽」の進化によって決定づけられます。
太陽は、その核融合のプロセスにより、少しずつですが、だんだん明るく、熱くなっていっています。科学的な予測では、今から約10億年後には、太陽の放射エネルギーが強くなりすぎ、地球の温度が上昇しすぎます。
この過剰な熱エネルギーにより、地球の海は蒸発し、水蒸気が強力な温室効果ガスとして作用する「暴走温室効果」が発生します。その結果、地表は生物が生存できない灼熱の世界(現在の金星のような状態)になると予測されています。
10億年後というと、とてつもなく未来の話に聞こえるかもしれません。
でも、私たちが今直面している「気候変動」による水害の激甚化や、いつ起こるかわからない「巨大地震」などの災害は、もっとずっと身近な危機ですよね。
地球の壮大な歴史を知ることも大切ですが、まずは「今、ここにある危機」に備えることが、私たち防災士の役目だなと改めて感じます。
例えば、気候変動による水害への対策や、日頃からの地震への備えを見直すことは、この奇跡の星で生きる私たちにできる、とても重要なことだと思います。

地球の誕生と「どうやってできたか」の答え

あらためて、地球の誕生が何年前で、どうやってできたのかを振り返ってみました。
地球45.4億年の奇跡の連鎖
- 約45.4億年前、宇宙のチリやガスが集まって生まれ、
- ジャイアント・インパクトという大衝突を経て「月」という相棒を得て、
- 外部からの「配達」と内部での「生産」によって「海」を獲得し、
- シアノバクテリアが「大酸化イベント」を引き起こし、環境を劇的に変え、
- RNAワールドを経て(おそらく)「生命」を育んだ。
こうして見ると、地球の歴史は、物理学、地質学、生物学が織りなす、本当に「奇跡的な連鎖」の連続だったんだなと感じます。この連鎖の一つでも欠けていれば、今の地球の姿はなかったでしょう。
このとんでもない確率で生まれた地球という星に、今私たちが生きている。そう考えると、日々の防災への備えも、この奇跡の星と私たち自身の未来を守るための、尊い行動の一つなのかもしれないな、なんて思ったりしますね。
